カスタマーサポートでは顧客に合わせた対応が求められる一方で、効率化が難しく、対応のバラつきや標準化されない後処理、情報共有の不足、属人化などが課題として多く挙げられます。しかし、カスタマーサポートとして高い生産性を生み出すためには業務効率化が必須であり、仕組みを工夫したり適切なツールを導入したりすることで十分に可能です。

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本記事では、カスタマーサポートが直面している課題や効率化の必要性から、具体的な効率化の方法までをわかりやすく解説します。業務効率化を実現するツールもご紹介しますので、カスタマーサポートを最適化して顧客満足度の向上を目指したい企業はぜひ参考にしてください。
なぜそのカスタマーサポートは効率的でないのか?生産性を妨げる7つの課題
カスタマーサポートでは、顧客にあわせたきめ細かい対応が求められることから、業務効率については軽視されることもあります。一方で、カスタマーサポートが高い生産性を持ち、企業に貢献するためには、顧客への対応品質を維持しつつ業務効率化を進めることが重要です。
では、どのような課題がカスタマーサポートの生産性を妨げているのでしょうか?
業務が属人化している
カスタマーサポートの主な課題の一つは、特定の人に業務が依存する属人化が起こりやすいことです。よくある例に、スキルが高い社員に難しい案件が集中するケースがあげられます。
この状態が続くと、他の社員では対応できない問題が増え、サービスの質も仕事の効率も低下します。特定の社員が休む事態が生じれば、業務効率が低下し、退職するとノウハウの損失にもつながります。
属人化が進むことは、企業にとって大きなリスクになりえます。後述するように、マニュアルの整備や顧客データの一元管理により、担当者にかかわらず対応できる体制を構築することで、属人化を防げます。
感情労働の負担が大きい
カスタマーサポート業務は、人と対応することが多いことから「感情労働」に分類されるといえます。特に、電話対応を主とする職種においては、クレーム対応によるストレス負担が大きく、離職率の高さにつながっています。
カスタマーサポート部門やコンタクトセンター単位で感情労働としての負担の軽減を実施しなければ、特定のオペレーターに負担が集中する・対応時間が長くなる・離職率が高くなるなどして、生産性を下げる原因となります。
また、労働環境を改善する観点においても、感情労働の負担の軽減は非常に重要な課題です。
FAQが最適化されていない
FAQ(よくある質問)が整理されていないことも、カスタマーサポートの効率化を妨げます。代表的なのが、「情報不足」「FAQがどこにあるのかわからない」「検索のしにくさ」といった課題です。
顧客による自己解決の手段が少ない場合、カスタマーサポートによる有人対応で多くの課題に対応する必要が出てきます。また、現在は疑問点や問題がすぐには解決できない場合に「解決をあきらめる」選択を取る層が増えており、電話などのカスタマーサポートを利用することに抵抗のある層も増えていることから、企業・ブランドからの離反による利益の低下にもつながります。
Webサイト上にFAQページが設置されていると、顧客は課題解決に役立つ情報を自分で探すことができます。まず重要となるのが情報を充実させることであり、よくある疑問や簡単に解決できる課題については網羅しておきます。カスタマーサポートに集められるVOC(顧客の声)を反映し、常に更新する体制作りも重要です。
また、顧客がFAQへ容易にアクセスできる導線作りも重要です。こちらはWebサイトの制作を担当するマーケティング部門との連携が重要となります。
チームで情報共有ができていない
情報共有をできる環境が整っていないことも、カスタマーサポートの代表的な課題です。なぜなら、別の担当者が二重に対応したり、同じ質問を繰り返し聞いたりと、非効率的なカスタマーサポートを続けることになりかねないからです。
情報共有が上手く行われないのは、対応に追われることにより後処理がおろそかになること、自身以外の担当者による記録やチーム全体の対応状況を把握する時間がないことなどが原因です。
こうした課題を解決するには、システムにより後処理に必要な時間を短縮したり、情報を一元管理して対応のミスが起きないようにしたりすることが重要となります。
問い合わせ1件に対応する時間が長い
カスタマーサポートでは、問い合わせ1件に対応する時間が長いことも効率を悪くしています。また、問い合わせごと・担当者ごとに対応時間にバラつきがあり、対応品質に差が生まれることも重要な課題です。
1件ごとの対応品質を下げてはいけないという難しい面はあるものの、業務を効率化することで対応時間を短くしていくことが重要となります。
顧客の必要なときにサポートできていない
顧客の問い合わせに対して適切に対応できているとしても、対応を必要としているすべての顧客をカバーできているとは限りません。顧客が必要としているときにサポートできなければ、あきらめが発生し、顧客満足度の低下や会社・ブランドからの離反につながる可能性があります。
必要なサポートができていないケースには、電話対応にてオペレーターにつながらない「放棄呼」の発生、お問い合わせフォームの場所のわかりにくさ、対応時間外のケースなどが上げられます。
カスタマーサポートにおいては、顧客接点(チャネル)の不足や不十分な整備についても改善を主導し、他部門とも連携を取りながら途切れないサポート体制を構築することが重要です。
顧客の課題が解決されていない
対応した問い合わせが解決されないことも、効率の低下を招きます。二重の対応を行う必要があるだけでなく、顧客満足度の低下にもつながるためです。
1件1件の問い合わせに適切に対応するためには、どの担当者でも必要十分な回答を行えるようにする体制・マニュアル作り、オペレーターの継続的なトレーニング、AIを始めとしたテクノロジーの補助、システムによる情報の一元管理が有効となります。
カスタマーサポートの業務を効率化する方法
カスタマーサポートの業務を効率化するには、仕組みから改善する必要があります。ここでは代表的な5つの方法をご紹介します。
- ナレッジベースの構築
- マニュアルの定期的な改善・トレーニングの改善
- 顧客データの一元管理
- ツールの活用
- AI技術との積極的な共生
ナレッジベースの構築
カスタマーサポートを効率化する方法の一つは、ナレッジベースの構築です。ナレッジベースとは、業務で得た知識やノウハウを蓄積・共有するためのデータベースのことです。ナレッジベースの構築は情報の共有と検索を促進し、業務の効率化と顧客対応の品質向上に効果的です。情報共有の仕組みから変えることで効率化を実現できます。
なお、ナレッジベースはFAQページにも活用可能で、顧客の自己解決を促進できます。FAQページは、情報を充実させるとともに、わかりやすい場所に設置しましょう。継続的にデータを蓄積すれば企業の大きな資産にもなります。
ナレッジベースの構築について詳しく知りたい方は、次のページを参考にしてください。
マニュアルの定期的な改善・トレーニングの改善
マニュアルの改善は、業務の標準化・均一化につながり、結果として効率化に貢献します。担当者が変わっても同じ品質のサポートを提供できるようになり、ミスも減らせます。
また、社員はマニュアルを通じて業務内容を理解できるので、教育時間の短縮にもつながるでしょう。そのほか、経験の浅い社員のスキルアップや配置転換があった場合の引継ぎにも役立ちます。イレギュラー対応も記載しておけば、通常と異なる問い合わせがあった際も適切に対応できるでしょう。
マニュアルはわかりやすい言葉で書き、誰でも理解できるように整備するのがポイントです。情報の正確さと鮮度を保つため、定期的な更新も行いましょう。
マニュアルの整備とあわせて、トレーニングの体制を改善することも重要です。カスタマーサポートにおいては、新メンバーをできるだけ早く実戦投入するために重要となるOJT(オン・ジョブ・トレーニング)、サポートスキルを磨くための研修など、トレーニングメニューを充実させることが効率化・生産性の向上につながります。また、商品・サービスの仕様変更や新商品・新サービスの登場、新たな課題の発生に伴う知識の共有の場も必要です。
顧客データの一元管理
顧客データの一元管理もカスタマーサポートの効率化に役立ちます。必要な情報を迅速に取得でき、業務を円滑に行えるようになるからです。また、常に最新の顧客情報を共有できるので、顧客対応の最適化が可能です。
顧客データが一元管理されていれば、複数の部門がかかわるプロジェクトでも迅速に情報を共有できます。詳細な顧客情報の蓄積は企業の資産となり、経営資源として活用可能です。誰でも顧客情報を管理・確認できる体制の構築は、属人化を防ぐことにもつながります。
ツールの活用
ツールの活用により、カスタマーサポートの業務効率化を強力に推進でき、大幅な作業時間の削減に貢献します。カスタマーサポートツールは、複数チャネル管理対応型・単一チャネル特化型・BtoB特化型の3つに分類できます。
- 複数チャネル管理対応型:自社サイト・SNS・電話・メルマガなど、複数のチャネルに対応可能なツール。担当者間での共有や問い合わせ内容の一元管理などの機能を搭載
- 単一チャネル特化型:電話、SNSなど、それぞれのチャネルに特化したツール。多くは他のチャネルとの連携も可能
- BtoB特化型:メール対応が主体のツール。社内ヘルプデスクやBtoCにも利用可能
AI技術との積極的な共生
近年は、生成AIの急速な発展により、さまざまな業種・分野でAI活用が広がっています。AI活用の波はすさまじく、一過性の流行りではなく今後あらゆる業種・分野にてAI活用が当たり前になっていくと考えられています。デジタルツールとの相性がいいカスタマーサポートにおいては、AIを使わないことがかえってリスクになることも考えられるでしょう。
カスタマーサポートの現場にAIを導入するためには、焦りによる拙速な一斉導入や話題に乗るだけの楽観的な導入に気をつけつつ、必要な部分をAIがサポートできるような仕組み作りが重要です。また、チーム全体でAIに対する苦手意識を払拭しつつ、正しい理解やAIとの上手な付き合い方を醸成していくことも必要となります。
カスタマーサポートの業務効率化を実現するツール
ここでは、カスタマーサポートの業務効率化を実現する3つのツールをご紹介します。
Service Hub
出典: Service Hub|ビジネスの規模を選ばないカスタマー サービス ソフトウェア|HubSpot(ハブスポット)
HubSpotが提供するService Hub(サービスハブ)は、カスタマーサポートとカスタマーサクセスの両方の領域をカバーできるのが特徴です。あらゆるカスタマーサポートの情報を、統合型のCRMプラットフォーム上にて一元管理できます。ナレッジベース、デジタル化されたヘルプデスク、AI搭載のチャットなどの機能があり、カスタマーサポートを効率化します。
顧客フィードバックの管理、AI分析によるコーチング、カスタマーポータルなどの機能もあり、カスタマーサクセスにも効果的です。無料で使用できるプランもあるので、ぜひお試しください。
yaritori
出典: yaritori
Onebox株式会社が提供するyaritori(ヤリトリ)は、顧客対応を最適化・効率化するためのプラットフォームです。問い合わせごとのステータスやメールごとの担当者設定を容易に行え、対応状況の可視化が可能です。
最新AIによる文章の自動生成や翻訳など業務を効率化できる機能も搭載されています。1ユーザーあたり月額1,980円から利用可能で、7日間の無料トライアルもあるので、問い合わせ対応の効率化に特化したツールをお探しの企業は、試してみてはいかがでしょうか。
Zendesk
出典: Zendesk
株式会社Zendeskが提供するZendesk(ゼンデスク)は、顧客対応の効率化と高品質化を実現できるツールです。多様なチャネルからの問い合わせの一元管理やヘルプセンター、チャットボットなどの機能があり、パーソナライズされたサポートによって顧客ロイヤルティを高められます。
また、AIエージェント機能による、メールやWebフォームからの問い合わせへの自動返信、会話ボットの作成も可能です。4つの有料プランがあり、月額19ドルから利用できます。14日間の無料トライアルもあるので、使用感を試してから導入を検討したい企業におすすめです。
効率化には仕組みづくりによる業務改善が重要
カスタマーサポートの効率化を進めるには、ナレッジベースの構築による情報共有の仕組みづくりやマニュアルの改善による業務の標準化が効果的です。また、ツールを活用して顧客データを一元管理すれば顧客対応を最適化でき、作業時間の削減を図れます。
HubSpotが提供するService Hubには、カスタマーサポートとカスタマーサクセスの両軸で業務を効率化できる機能が搭載されています。まずは無料プランでお試しください。カスタマーサポートの効率化によってサポートの質を高め、顧客満足度の向上を目指しましょう。
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