Google 広告は初心者でも簡単に設定ができ、成果を得やすい広告システムです。しかし、2024年10月現在の仕様では、ターゲティングに関してはかなり設定が難しく「どこに何があるのか」がわかりづらくなっています。
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ただし、Google 広告のターゲティングが難しいのは「少しこだわって設定してみよう」と思ったときで、基本的には簡単に設定を完了し広告を配信できます。
本記事では、整理するのが難しいGoogle 広告のターゲティング設定についてわかりやすく整理し、少しこだわって設定したいと考えている方がスムーズに設定を行えるよう解説します。
現在のGoogle 広告のターゲティングについて
広告システムにおけるターゲティングとは、作成した広告をどこに・誰に配信するかを設定するものです。
Web広告は条件に合う複数の候補からオークションが行われ、優れた広告やよりユーザーにマッチした広告が選ばれるため、ターゲティングを適切に設定することは費用対効果を高めるために重要です。
2024年10月現在の仕様では、Google 広告には以下のような特徴があります。
- AI任せの部分が増えてきた
- キャンペーンごとに最適化されている
Google 広告では、すべての利用者ができるだけ高い成果を得られるよう、AIによるターゲティングのアシストが進化しています。例えば、ターゲティングといえばまずユーザー属性(年齢・性別)が思いつきますが、現在のGoogle 広告ではユーザー属性は全選択が推奨されています。
また、Google 広告はタイプの異なるさまざまな広告エリアへ広告を配信するため、ターゲティング設定はキャンペーンごとに最適化されています。つまり、Google 広告全体で説明可能な「Google 広告のターゲティングはこうである」といったルールはありません。あるキャンペーンでは設定できる項目が、別のタイプのキャンペーンでは設定できないということがよくあります。
例えば、さまざまなWebサイトやアプリの広告エリアに広告を配信できるディスプレイキャンペーンでは、特定のサイトやアプリを指定して表示・除外設定を行う「プレースメント」というターゲティング項目があります。一方、検索結果ページの上部および下部にテキスト広告を掲載する検索キャンペーンでは、仕組み上プレースメントの設定はありません。
Google 広告のターゲティングにはこのような特徴があることから、本記事では、どのようなターゲティング項目があるかについて解説します。
Google 広告のターゲティングに関する項目一覧
Google 広告のターゲティングに関する項目について、それぞれ解説します。上述のとおり、すべてのキャンペーンでどの項目も設定できるわけではなく、キャンペーンによって設定できる項目は変わります。
なお、ターゲティングを設定できる場所は主に以下の2箇所です。
- 新規キャンペーン作成時の画面
- [キャンペーン]→[オーディエンス、キーワード、コンテンツ]のメニュー
Google 広告のターゲティング項目は、基本的には新規キャンペーン作成時にすべて設定可能です。修正を加えたい場合も、キャンペーンや広告グループを選択して修正できます。
一方で、各キャンペーンで設定したターゲティング項目は[オーディエンス、キーワード、コンテンツ]にまとめられ、項目ごとに実績を確認できるようになっています。ここからターゲティング項目の修正を加えることも可能です。
地域、言語
広告を配信する地域、言語について設定する項目です。すべてのキャンペーンで設定できます。
店舗への集客が重要な場合は、「別の地域を入力する」から地域を検索して絞るといいでしょう。[検索オプション]からは、より詳細な設定が行えます。以下は「神奈川県」で指定した例です。
また、特定の自治体あるいは指したピンの場所から範囲を指定することもできます。以下は横浜市から100km圏内を設定した例です。
オーディエンスセグメント
配信する対象(オーディエンス)の特徴(セグメント)を設定する項目です。設定する箇所は変わりますが、すべてのキャンペーンで設定できます。
特に最初は、[閲覧]タブからユーザーの属性、興味・関心、購買意向について選択するとよいでしょう。
3つのセグメントを選択した状態が以下です。
[検索]タブから[新しいセグメント]をクリックすると、より詳細なセグメントを作成できます。
ここでは自社ならではのデータを活用します。顧客リストがある場合はそれをアップロードできる他、YouTubeにアクセスしたユーザーやGoogle アナリティクスで定義したセグメントを使用することもできます。
デバイス
デバイスごとに指定もできます。ディスプレイキャンペーンなど、一部のキャンペーンのみ設定できます。
ユーザー属性
ユーザーの性別、年齢などを設定できる項目です。こちらも利用できないキャンペーンがあります。現在、Google 広告では全選択が推奨されています。
コンテンツ(キーワード、トピック、プレースメント)
ディスプレイキャンペーンなどで利用できる設定項目です。キーワード、トピック、プレースメントをまとめて「コンテンツターゲティング」と呼ぶこともあります。
これらは、どのようなコンテンツ(Webサイト、YouTubeチャンネル、アプリ)に広告を配信するかを設定するものです。そのため、ディスプレイキャンペーンなどで設定します。
「キーワード」では、以下のようにいくつかキーワードを指定し、そのキーワードに関連するコンテンツに広告を掲載します。検索キャンペーンで指定するキーワードは「ユーザーが検索エンジンで入力するキーワード」のことであり、役割が異なります。
トピックは、プルダウンメニューからさらに細かく指定もできます。
プレースメントでは、具体的なWebサイトやチャンネル、アプリを指定します。指定したプレースメントのみに広告が配信されるわけではありませんが、範囲はかなり狭くなります。
コンテンツの除外
ディスプレイキャンペーンでは、コンテンツの除外も設定できます。広告を表示させたくない項目があれば、チェックを入れます。
オーディエンスマネージャー
オーディエンスマネージャーとは、オーディエンスとして設定するセグメントをあらかじめ作っておき、キャンペーン設定時に適用できるものです。
すべてのキャンペーンで利用できると便利ですが、現在は動画キャンペーン、P-MAXキャンペーンなど一部のキャンペーンに限られています。
オーディエンスマネージャーへは、以下のようにアクセスします。
「データセグメント」は、「オーディエンスセグメント」で出てきた顧客リスト、YouTubeユーザーなどを定義する項目です。
「オーディエンス」にて、ユーザーのオーディエンスを定義して保存します。
ここでは自社データも合わせた細かいオーディエンスの作成が可能です。
オーディエンス(動画キャンペーン)
動画キャンペーンでは、「オーディエンス」という項目があります。これは「オーディエンスセグメント」と同様の内容です。
[保存されたオーディエンスを追加]をクリックすると、オーディエンスマネージャーで作成したオーディエンスを適用できます。
シグナル(P-MAXキャンペーン)
Google のすべての広告エリアへ広告を配信するP-MAXキャンペーンでは、「シグナル」という名称のターゲティング項目があります。これも基本的にはオーディエンスセグメントと同じ内容です。
「検索テーマ」は、検索キャンペーンで指定するキーワードと近い役割で、ユーザーがどんなキーワードで調べ物をしたときに広告を配信するかを指定します。
[保存済みのオーディエンスシグナルを追加]をクリックすると、動画キャンペーンと同様に、オーディエンスマネージャーで作成したオーディエンスを適用できます。
除外リスト
ディスプレイキャンペーンの新規追加時に設定できるコンテンツの除外とは別で、除外リストを作成し、各キャンペーンに適用することができます。この除外リストは、新規作成時ではなくキャンペーンを保存した後に適用できます。
除外リストを作るには、以下のようにアクセスします。キーワードとプレースメントそれぞれの除外リストを作成可能です。
除外キーワードは、以下のように追加してリスト名を付けてから保存します。
プレースメントの除外も同様に行います。
作成した除外リストは、そのリストをクリックし、[キャンペーンに適用]をクリックすることで作成したキャンペーンへ適用できます。
「除外01」の除外キーワードリストを「Sales Search-9」というキャンペーンに適用しました。
適用できたかを確認するには、キャンペーン一覧から該当のキャンペーンを選択し、[オーディエンス、キーワード、コンテンツ]のメニューから[除外検索キーワード]をクリックします。
「除外01」が適用されていることがわかります。
リストが作成できるのはキーワードとプレースメントのみですが、上図④の[オーディエンス、キーワード、コンテンツ]以下のメニューからオーディエンスや地域なども除外設定を追加することができます。
Google 広告のターゲティング・モニタリングの違いとは
オーディエンスセグメントを設定する際、「ターゲット設定」と「モニタリング」から選択する場面があります。
ターゲット設定とは
ターゲット設定とは、指定したコンテンツ・ユーザーに対してのみ広告が配信される設定方法です。
例えば、オーディエンスセグメントのユーザー属性で「住宅所有:賃貸」と指定した場合、「住宅所有:賃貸」に該当するユーザーに広告が配信されます。
ターゲット設定のメリットは、購買意欲が高いユーザーに絞ってアプローチできることです。その反面、潜在顧客には広告を配信できず、機会損失につながる可能性もあります。
モニタリングとは
モニタリングを設定すると、指定したユーザー以外にも配信されます。
例えば、先ほどと同様にオーディエンスセグメントで「住宅所有:賃貸」と指定すると、「住宅所有:賃貸」に該当するユーザー以外にも広告が配信されます。
一見すると選択する意味がないように思えますが、モニタリングを設定すると、ターゲットとしたユーザーとそうでないユーザーへの配信結果を確認できます。
これにより、ターゲット別のクリック率やコンバージョン率を分析でき、反応の良いカテゴリの配信量を増やすなどの改善ができることがメリットです。
モニタリング設定でも入札単価調整によって配信量の強弱を付けられるため、ユーザー層ごとに配信数を調整すると良いでしょう。
なお、以前までは「ターゲット設定」が推奨されていましたが、現在はAIによるアシストが進化した関係か、「モニタリング」が推奨となっています。
Google 広告のターゲティングで最優先すべきはリマーケティング
Google 広告では、さまざまなパターンのターゲット設定ができるため、「何から始めれば良いのかわからない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
ターゲティング設定で優先すべきはリマーケティング、次いでコンバージョンしたユーザーの類似ユーザーです。
リマーケティングとは、過去に1回以上Webサイトを訪問しているユーザーに広告を表示する手法です。すでに自社商品・サービスに興味を持っているため、コンバージョンの可能性が他のユーザーよりも高い傾向があります。
また、過去にコンバージョンしたユーザーに行動や思考が類似しているユーザーも、ニーズが近いと考えられます。
自社の商品・サービスを求めているユーザーに広告を届けられれば、ニーズにマッチして、購入につながる可能性が高くなるでしょう。
これらの設定は、Google アナリティクスと連携し、アナリティクス側でセグメントを作成することで可能となります。Google アナリティクスでは訪問ユーザーはもちろん、コンバージョンユーザーも当然計測できるので、それをGoogle 広告のターゲティングでも活用するイメージです。
項目としては、オーディエンスセグメントの「新しいオーディエンス」から指定するか、オーディエンスマネージャーの「データセグメント」から作成できます。
Google アナリティクスとGoogle 広告の連携については、以下コラムをご確認してください。
Google 広告ターゲティング設定の3つのポイント
Google 広告のターゲティング設定では、次の3つのポイントを意識してみましょう。
- リマーケティングでは期間を指定する
- キーワードはユーザーの行動を予測して設定する
- 配信結果に合わせて除外設定をする
このような工夫を取り入れることで、購入意欲の高いユーザーにアプローチが可能になり、Google 広告のパフォーマンスを高められるでしょう。
リマーケティングでは期間を指定する
リマーケティング設定では、「Webサイト訪問後〇日以内」などユーザーがWebサイトを訪問した期間を指定すると効果的です。期間を設定すると、購入意欲の大きさにより広告配信数を変えることができるためです。
例えば、Webサイト訪問後「3日以内」と「30日以内」では、前者の方が購入意欲が高いと考えられます。そのため、3日以内のユーザーへの配信量を増やせば、コンバージョン率の向上が期待できます。
リマーケティングの対象期間は、オーディエンスマネージャーから設定できます。
管理画面ヘッダーメニュー「ツールと設定」→「オーディエンスマネージャー」→「データセグメント」でリマーケティングリストを作成します。アクションを任意の内容に設定すれば、該当期間内に訪問したユーザーに絞った配信が可能です。
キーワードはユーザーの行動を予測して設定する
コンテンツターゲティングのキーワード設定では、ターゲットとするユーザーの行動の予測が重要です。
ただし、商品・サービスのカテゴリや関連するサービス名を設定しても、競合が多く自社広告がほとんど表示されない可能性があります。そのため、「そのキーワードで検索しているユーザーがどんな行動をするか(どんなWebサイトを見るか)」を推測し、キーワードを選びましょう。
例えば、引越しサービス広告の場合、ユーザーは「引越し」「引越し業者」などのキーワードで検索すると考えられます。そこからさらに踏み込んで、「引越しサービスを検索しているユーザーは他に何を検索するのか」と考えると、「〇〇(地域名) 賃貸」「住所変更 やり方」などが候補としてあがってきます。
ユーザーの行動を予測したキーワード設定により、直接的なキーワードでなくても広告が表示できるでしょう。ユーザーにとっても、サービスを必要とするタイミングで広告が表示されるメリットがあります。
配信結果に合わせて除外設定をする
配信結果が蓄積されてきたら、クリック率などが低いWebサイトやトピックに配信されないよう除外設定をしましょう。成果が低いターゲティングはユーザーニーズとずれている可能性があるため、配信し続けると余計な広告費がかかってしまいます。
除外設定をすれば、ユーザーにとっては不要な広告が表示されず、広告主にとっては広告費を削減できるメリットがあります。
最適なターゲティングを取り入れた広告運用を
ターゲット設定次第で広告のパフォーマンスは大きく変わります。そのため、自社の商品・サービス、ターゲットとするユーザーに合った最適な方法を取り入れることが重要です。
まずはリマーケティングと類似ユーザーを用いて、購入に近いユーザーに確実に広告を届けられるような設定をすると良いでしょう。
配信結果を見ながら分析・改善していけば、徐々にユーザーニーズに合った広告配信ができるようになっていきます。最適なターゲティングを取り入れて、広告運用のパフォーマンスを高めていきましょう。