ワークフローの正しい作り方を実践すれば、日々の業務で起こりがちな承認フローの滞りによる業務停滞やタスク管理の煩雑さにともなうミスの発生などの課題を解決し、業務効率化を実現できます。

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本記事では、ワークフローの基本的な作り方と作成のポイント、ワークフロー作成に役立つツールを解説します。
ワークフローの作り方
ワークフローの作り方は、次の手順で進めます。
- ワークフローの作成目的を決める
- タスクを整理する
- 業務の流れを図式化する
1. ワークフローの作成目的を決める
まず、ワークフロー作成の目的を決めます。申請・承認業務の効率化など、ワークフローの作成目的は多岐にわたり、参加者やその権限、成果が異なるため、最初に目的を明確化することが重要です。
2. タスクを整理する
続いて、作成するワークフローに関係する人物や部門を洗い出し、それぞれのタスクを整理します。関係者やタスクは、具体的に言語化することが重要です。
例えば、見積書の発行に関するワークフローに携わる人物と役割は次の通りです。
- 営業担当者 見積もりの依頼を受け、必要情報を収集する
- 経理担当者 価格の算出や承認プロセスを管理する
- 上司 最終承認を行う
- 顧客 見積書を受け取る、内容を確認する
さらに、次のようにタスクを時系列で整理します。
- 営業担当者が顧客から必要な情報をヒアリングし、見積もり依頼を受ける
- 営業担当者が見積もり作成に必要なデータ(コスト、納期など)を社内で収集する
- 経理担当者が価格を算出し、見積書のドラフトを作成する
- 上司が内容を確認し、承認する
- 営業担当者が顧客へ見積書を送付する
- 顧客が見積書を確認し、必要に応じて修正依頼をする
- 営業担当者が修正し、最終版を送付する
- 顧客が承認し、正式な契約手続きへ進む
整理するタスクは、業務によって異なります。一般的には、次の内容を書き出します。
【発注・仕入管理】
- 購入する商品の選定
- 発注依頼の作成
- 仕入れ先との交渉
- 発注承認
- 商品の受け取りと検品
【契約・承認プロセス】
- 契約内容の確認
- 社内での承認フロー(上司や法務部など)
- 契約書の作成
- 契約相手との最終確認
- 契約締結と書類管理
【経費精算】
- 経費申請の提出
- 経理担当者の確認
- 承認フロー(上司・経理部など)
- 精算処理の実行
- 支払い手続き
3. 業務の流れを図式化する
先のステップで書きだした内容をもとに、業務の流れを図式化します。業務の始まりから終わりまでの流れを整理し、判断に基づく分岐や具体的な処理を図式化しましょう。
理解しやすいワークフローを作成するには、文字だけでなく記号や矢印を利用して視認性を高めることが効果的です。次の記事では、ワークフロー図の作り方や具体例を解説しているので、あわせて参考にしてください。
ワークフロー作成のポイント
効果的なワークフローを作成するには、次の4つのポイントを実践することが大切です。
- 誰が見てもわかりやすい図にする
- ツールやシステムを活用する
- 承認フローの種類を理解する
- 役割ごとに区切る
誰が見てもわかりやすい図にする
ワークフローは、説明がなくても、業務にかかわる誰もが全体の流れを理解できる図にします。開始条件と条件分岐を区別し、時系列に沿って作成すると良いでしょう。
記号や矢印も活用して、視認性を高めることも大切です。また、差し戻しがある場合は矢印の色を変えるなど、重要な部分を目立たせるための色分けも効果的です。
ツールやシステムを活用する
ワークフローの作成には、ツールやシステムを活用するのもおすすめです。誰がどの業務を担当するのか、どのタイミングで処理が行われるのかを視覚的に把握しやすいワークフローを容易に作成できるためです。
例えば、業務上に発生する条件分岐を設定すると、手動で行っていた作業を自動化でき、作業効率を向上し、ミスを削減させられます。また、業務プロセスに変更が生じた場合も簡単に修正可能です。さらに、メンバー内でワークフロー図を共有・管理できるようになります。
承認フローの種類を理解する
正確なワークフローを作るには、承認フローへの理解が欠かせません。主な承認フローの種類は次の5つです。
- 直列型 担当者が順番に承認する(申請者・上司・経理などの)
- 並列型 複数の承認者が同時に承認する
- 条件分岐型 条件によって承認者が変わる
- マトリックス型 複数の部門の関係者が承認に携わる
- 指名型 申請承認に最適な、指名された関係者が承認する
役割ごとに区切る
ワークフローの記載は、役割ごとに区切ることで責任範囲を明確にできます。また、役割ごとに業務を細分化して記載すると、まとまりを持たせながら全体を把握しやすくなります。
例えば、新規プロジェクトを開発する際のワークフローを作成する場合は、要件定義、設計、開発、テスト、レビューなどの担当者ごとに区切り、それぞれの業務を記載すると良いでしょう。
ワークフロー作成に役立つツール
専用ツールに限らず、平常業務に用いるツールでも、ワークフローは作成可能できます。ここでは、利用しやすい3つのツールをご紹介します。
Excel
多くの企業で導入されている表計算ソフトのExcelは使い慣れている人が多く、高度な専門知識がなくてもワークフローを作成できるツールです。
セルやテーブルを使いプロセスを一覧化したり、図形(スマートアート)を使ってフローチャート化し、業務の流れを視覚化できます。さらに、関数やマクロを活用すれば、承認フローやタスク管理を自動化することも可能です。条件付き書式によって入力規則を設けたり、特定の条件で表示を変えたりするなど、業務に合わせてある程度フォーマットをカスタマイズできる柔軟性もあります。
ただし、共同編集やリアルタイムでの管理には不向きです。また、専用ツールに比べるとフローチャートの作成に手間がかかり、視認性にも限界があります。
PowerPoint
PowerPointは、図表作成機能に優れ、視覚的にわかりやすいワークフローの作成に適したツールです。
スマートアートや図形、テキストボックスなどの機能を搭載しており、フローチャートで業務の流れを矢印でつなげて整理したり、アイコンや画像によって業務プロセスを説明したりできます。アイコンや色分けによってフローを説明できるため、視覚的に理解しやすく、カスタマイズしやすいのも特徴です。さらに、作成したワークフローをそのままプレゼン資料としても活用可能です。
一方で、図形や矢印の配置は手動で行う必要があるため、大規模なワークフローの作成には向いていません。また、進捗管理や承認フローの自動化ができず、共同編集にも不向きです。
Canva
Canvaはデザイン性が高く、テンプレートやデザインツールを豊富に搭載しているため、ワークフローの視覚的な整理に適したツールです。ドラッグ&ドロップの直感的な操作によって記号や矢印、テキストを設置でき、図式化を効率的に進められます。
用意されたテンプレートを利用すれば、プロ仕様で視認性の高いワークフローを短時間で作成できます。また、チームメンバーを招待すれば、クラウド上でリアルタイムで共同編集できるのもメリットです。
ただし、業務管理や自動化には対応しておらず、Excelのように細かなデータ管理や複雑なワークフローには適していません。
その他ワークフロー作成ツール
他にも、次のようにワークフロー作成に特化したツールもあります。
- draw.io 無料で使えるフローチャート作成ツールで、業務プロセスを簡単に視覚化できる
- EdrawMax 多彩なテンプレートを備え、業務フローやプロセス管理を詳細に設計できるプロ向けツール
- Lucidchart クラウド型のワークフロー作成ツールで、チームとリアルタイムで業務プロセスの設計・共有が可能
- Miro ホワイトボード型のコラボレーションツールで、ワークフローのアイデア出しや初期設計に最適
- CaCoo チームで共同編集しながらワークフローを作成でき、直感的な操作でフローチャートを整理しやすい
- Figma 主にUI/UXデザイン向けではあるものの、ワークフローのビジュアル化やプレゼン資料作成に利用可能
ワークフローで業務の標準化や効率化を実現しよう
正しい作り方に従って作成したワークフローを活用すれば、業務の標準化や効率化につながり、生産性を向上できます。作成目的を明確にし、タスクを整理したうえで図式化を進めれば、理解しやすいワークフローを作成できるでしょう。
ワークフローの作成時は、作業を自動化できるツールやシステムを活用するのもおすすめです。本記事でご紹介したツールも導入しながら、自社の課題解決に最適なワークフローを作成してみてください。
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