Webマーケティングを担当していると、まだ自社の顧客ではない潜在顧客から見込み客(リード)を創出する「リードジェネレーション」や、見込み客の購買意欲を高める「リードナーチャリング」という言葉を聞く機会があるでしょう。
リードジェネレーションやリードナーチャリングで効果的に集客をするためには、それぞれが集客のプロセスにおいてどのような役割を果たすのかを正しく理解する必要があります。リードジェネレーションとリードナーチャリングは密接な関係にあり、二つの言葉の意味をきちんと整理しておく必要があるのです。
この記事では、リードジェネレーションとリードナーチャリングの違いや関係性を解説します。見込み客を創出し、自社の商品やサービスを選んでもらうためのポイントも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
リードジェネレーション基礎ガイド
新規リードの創出に必要なベストプラクティスを、基礎から解説しています。リードジェネレーションに取り組もうとしている方や、納得できる成果が得られていないという方は、ぜひ参考にしてください。
- リードジェネレーションにおけるコンテンツの重要性
- リードジェネレーションを実行するための5つの方法
- リードジェネレーションを成功させるポイント
- リードジェネレーションの効果測定方法
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リードジェネレーションとリードナーチャリングの違い
リードジェネレーションとリードナーチャリングはよく似た言葉ですが、目的やとるべき手法は異なります。それぞれの内容を簡単にまとめると、次の表のようになります。
リードジェネレーション |
リードナーチャリング |
|
---|---|---|
目的 |
まだ自社の顧客ではない潜在顧客から見込み客を創出する |
将来的に見込み客が商品やサービスを購入して顧客になる可能性を高める |
手法 |
コンテンツマーケティングや広告の掲載など |
メールマガジン配信やセミナーの開催など |
ここでは、リードジェネレーションとリードナーチャリングの違いをさらに掘り下げ、詳しく解説します。
リードジェネレーション
リードジェネレーションとは、リードを創出するための活動を意味します。「リード」とは、コミュニケーションがとれる状態にある見込み客を表します。
ここでは、リードジェネレーションの目的や手法、事例を解説します。
目的
リードジェネレーションは、購買プロセスの入り口に当たります。リードジェネレーションで見込み客を創出した後にリードナーチャリングを行い、成約につなげます。
自社の商品やサービスの価値を知ってもらうためには、相手とコミュニケーションをはかり、有益な情報を提供する必要があります。リードジェネレーションでは、まだ自社の顧客ではない潜在顧客の中から、コミュニケーションに必要な情報が得られた見込み客を創り出すことを目的とします。
主な手法
リードジェネレーションの手法はオンラインとオフラインの2つに分けられます。それぞれの代表的な手法を確認しましょう。
【オンラインの主な手法】
- コンテンツマーケティングによる集客
- Web広告の掲載
- SNSによる集客
- ウェビナーの開催
- リードジェネレーションサイト(資料ダウンロードサイト)の利用
【オフラインの主な手法】
- 展示会・セミナー・イベント開催
- DM送信
- 看板・交通広告の掲載
リードジェネレーション事例
コンテンツマーケティングでリードジェネレーションを行い、見込み客数が大きく増加した事例をご紹介します。
B2Bマーケティング向けのイベント運営をサポートするイベントレジスト株式会社では、電話による積極的な営業スタイルを採用していました。しかし、見込み客があまり増えなかったため、相手に情報をとりに来てもらう「インバウンドマーケティング」へと方針を転換します。
潜在顧客との接点を持つための取り組みとして、イベント運営の課題解決につながる記事の作成やeBookの作成に注力しました。その結果、創出できた見込み客の数はかつての7倍まで増加しました。
リードジェネレーションの手法や事例の詳細は、こちらの記事で詳しく解説しています。興味のある方はぜひご覧ください。
リードナーチャリングの目的は信頼の醸成
リードナーチャリングとは、リードジェネレーションで創出した見込み客と継続的にコミュニケーションをとって自社への信頼や興味関心を醸成し、購買意欲の向上につなげるプロセスのことです。営業効率の向上や集客コストの削減といった効果が期待できます。
ここから、リードナーチャリングを実施する目的と手法、事例をご紹介します。
目的
リードの創出から成約までは、長期間かかることがあります。リードジェネレーションの時点では購買意欲が低い見込み客もいるため、商品やサービスについてアプローチを続けず放置していると、競合他社に見込み客が流出する可能性があります。
リードナーチャリングの目的は、見込み客が購買をしてくれる可能性を上げ、将来的に見込み客から顧客へとなる可能性を高めることにあります。そのため、見込み客の課題解決や興味のありそうな情報を定期的に配信し、自社と見込み客の間にしっかりと信頼関係を構築することが重要です。
主な手法
リードナーチャリングの目的にあわせて、適したアプローチ方法は変わります。次のような手法が、リードナーチャリングに該当します。
- 見込み客の内容にあわせたメールの送信
- メールマガジンで有益な情報や無料トライアルの案内を配信
- セミナーを開催し、見込み客の興味や関心度を向上
- オウンドメディアで価値ある情報を継続的に配信
リードナーチャリング事例
メールを活用したリードナーチャリングの事例を紹介します。
マンガを利用したWebマーケティング活動を支援する株式会社シンフィールドでは、見込み客の創出にはそれほど苦労しなかったものの、手に入れたリストを有効活用できていませんでした。
そこで、ナーチャリングとして次の施策を行いました。
- 展示会やセミナーで得た名刺を集約し、見込み客とコミュニケーションがとれる状態にする
- 見込み客に対して、有益な情報提供のメールと受注や商談を目的としたメールの2種類を配信
- 受注や商談を目的としたメール本文に記載のURLをクリックした見込み客に、電話でフォローを行う
これらの施策の結果、電話によるアポイント成功率は10~15%、アポイントからの成約率も5件に1件となっています、
リードナーチャリングの詳細に興味のある方は、こちらの記事をご覧ください。
リードジェネレーションからリードナーチャリングまでのプロセス
ここでは、リードジェネレーションで潜在顧客から見込み顧客を創出し、リードナーチャリングで購買意欲を醸成するまでのプロセスを解説します。
リードジェネレーション|集客して潜在顧客からリードを創出
リードジェネレーションで良質な見込み客をどれだけ創出できるかが、マーケティング活動の成功を左右します。
どれだけ役立つ商品やサービスを開発しても、その価値をコミュニケーションによって伝えなければ興味を持ってもらえません。リードジェネレーションを通じてコミュニケーションのとれる見込み客をできるだけ多く創出しましょう。
リードジェネレーションでは、潜在顧客に対して魅力的な情報提供を行い、自社の情報提供と引き換えに相手の情報を提供してもらいます。不特定多数の潜在顧客に向けてやみくもにアプローチするよりも、自社の顧客となる見込み客の創出を目標とすることが大切です。自社が貢献できるターゲットを事前に明確にしてから潜在顧客へアプローチすることで、成約につながる質の高い見込み客と出会える可能性が高まります。
リードナーチャリング|創出したリードの購買意欲を醸成
リードジェネレーションで創出した見込み客に対して、有益な情報を定期的に提供し、自社に対する興味や関心の度合いを高めていきます。
リードナーチャリングでは、見込み客に対してとにかく接触回数を増やせば良いというわけではありません。しつこくアプローチしてしまうと、見込み客は不要な情報を何度も受けとることになり、自社のイメージが悪くなる可能性があります。
適切な頻度でリードナーチャリングを行うことは、見込み客と企業の双方にメリットがあります。
見込み客にとっては必要なタイミングで情報を受け取れるため、じっくりと商品やサービスを検討できます。そして、適切なリードナーチャリングで購買意欲が高まった見込み客にのみアプローチを行うことで、企業は成約率の向上や営業効率の改善といったメリットを享受できます。リードナーチャリングの効果を測定し、頻度を変えて最適なタイミングを見つけてみてください。
リードナーチャリングの次の段階として、商品やサービスに強い興味や関心を抱いた見込み客のなかから、「リードクオリフィケーション」で将来の顧客となる確度が高いリードを絞り込みます。
リードクオリフィケーションの詳細はこちらの記事でご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
リードジェネレーションとリードナーチャリングを成功させるポイント
顧客のニーズや購買行動は多様化し、購買行動までの時間も長期化しています。競合他社ではなく自社の商品やサービスを選んでもらうためには、リードジェネレーションとリードナーチャリングを成功させることが欠かせません。
ここでは、リードジェネレーションとリードナーチャリングを成功させるポイントを解説します。
見込み客(リード)が購買プロセスのどの位置にいるか意識する
リードジェネレーションやリードナーチャリングを検討する際にまとめておきたいのが、カスタマージャーニーマップです。
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを購入するまでに、どのような感情の変化や体験をしたかを表したプロセスを示したものです。
カスタマージャーニーを図式化したものを、カスタマージャーニーマップと呼びます。カスタマージャーニーマップを作成することで、複雑な顧客の感情の変化を視覚的に把握できます。
カスタマージャーニーマップを作成する際は、各プロセスでとるべき行動を細分化して、コミュニケーションを正しく行えるようにしましょう。
まず、潜在顧客や見込み客がカスタマージャーニーのどの位置にいるかを把握します。そして、あらかじめ決めておいた行動をとることで、方法を誤ることなく見込み客の創出や醸成のためのアプローチが可能です。
なお、当社HubSpotではカスタマー(顧客)ではなく、バイヤー(買い手)を主軸とした「バイヤージャーニー」の設計を推奨しています。企業目線ではなく、あくまで買い手を中心に捉え、買い手とどのようなチャネル・タイミングで接点を持てるのか、どのような手段で良好な関係を構築していけるのかを考えてみましょう。
見込み客(リード)に提供する情報を決める
バイヤージャーニーには、「認知段階」「検討段階」「決断段階」の3つのプロセスがあります。
各プロセスで提供するべき情報は異なります。「認知段階」では自社の見込み客となってもらうため、潜在顧客のコンタクト情報を必要とします。そこで、相手が個人情報を提供してでも欲しいと思える魅力的なコンテンツを用意します。
「検討段階」では、見込み客の悩みを解決できるような、テーマを絞って専門的な情報を提供します。自社の商品やサービスの情報だけではなく、見込み客の立場で本当に必要なコンテンツを提供することが重要です。
バイヤージャーニーの段階に応じて、どのような情報を用意すると次のプロセスに進んでもらえるかを意識して、提供する情報を選んでいきましょう。
情報提供の手段を考える
潜在顧客や見込み客に対して、どのような手段でコミュニケーションをとるべきか検討しましょう。
リードジェネレーションとリードナーチャリングで用いる手段には、eBookやテンプレートを提供するコンテンツマーケティング・広告・SNS・セミナー・メールなどがあります。例えば、「認知段階」では幅広い知識をまとめたeBookやすぐに使えるテンプレートで、多くの潜在顧客と接点を持てる手段が適しています。「検討段階」では、セミナーで深い情報提供をすると良いでしょう。
各段階に応じた手段で情報提供を繰り返し、見込み客の創出から購買までつなげていくようにしましょう。
リードジェネレーション・リードナーチャリングは「誠実に」取り組もう
潜在顧客から見込み客を創出するリードジェネレーションと、見込み客の購買意欲を醸成するリードナーチャリングを成功させるには、相手の課題を解決できるアプローチをする必要があります。
顧客の状態に応じて適切な情報提供を続けることで顧客のエンゲージメントを高め、自社のファンを増やすことを意識しましょう。自社商材の見込み客の良い口コミを見た潜在顧客が自社に興味を持ってくれることで、新たな見込み客が創出されることもあります。
常に顧客の視点で、リードジェネレーションやリードナーチャリングに取り組んでみてください。