見込み客へ価値を提供する手段のひとつに、ウェブサイトやSNSなど、インターネット上での情報発信があります。
そこで質の高い価値ある情報を提供していけばタッチポイントとなり、チャットなどより親密なコミュニケーションを活用して継続的な信頼関係を築くことへとつながります。
ただし、企業側のサポート体制に余力がなければ、顧客を長時間待たせてしまう可能性もあります。せっかく電話をかけたのに「ただいま電話が混み合っております」というアナウンスが延々と流れると、顧客のイライラは募ってしまうものです。
そこで有効なのが、チャットボットです。
チャットボットを導入し、その旨を顧客や見込み客に提示しておけば、電話やメールの前にまずチャットでお問い合わせをしてくれる方が多くなるでしょう。
チャットボットの導入にはさまざまなツールやサービスがありますが、もしあなたがFacebookページを運用しているなら、低価格で導入できるFacebookのメッセンジャーボット(Messenger bot)がおすすめです。
Facebookページをフォローしてくれている顧客や見込み客には馴染みのあるプラットフォームなので、利用にあたっての心理的ハードルを下げることになります。
Facebookのメッセンジャーボット(Messenger bot)を導入すると決めたら、続いてすべきことはなんだと思いますか?
導入手順を調べて実際に導入してみることも大切ですが、まずはFacebookのメッセンジャーボット(Messenger bot)を導入する前に知っておきたい大切なポイントを理解しておくことです。このポイントを知っていたかどうかで、導入したことを後悔するかどうかに影響します。
そこで今回は、Facebookのメッセンジャーボット(Messenger bot)を導入する前に知っておきたい15のポイントを紹介します。
成功より失敗から学ぶことの方が多いとよく言いますが、何年かボットを作ってきて、まさにそのとおりだと実感しています。
私は一足先に経験しましたが、これから初めてボットの導入を検討される方もたくさんいらっしゃることでしょう。本記事を参考に同じ轍を踏まず、Facebookメッセンジャーボット(Messenger bot)を効率よく構築してください。
なお、チャットボットの定義や導入メリットについては、以下の記事でもご紹介していますのでご確認ください。
【チャットボット】定義や導入メリット、サービス選定のポイントを解説
顧客を増やすためのFacebook活用法
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Facebookメッセンジャーボット(Messenger bot)とは?
Facebook上で友達になっている相手と直接的なメッセージのやり取りができるのが、Facebookメッセンジャー。
Facebookメッセンジャーボット(Messenger bot)は、FacebookメッセンジャーへのメッセージやFacebookページの投稿へのコメントがあったときに、自動で返答することができるチャットボットサービスです。
質問やコメントに対して自動応答ができるチャットボットにはさまざまなプラットフォームがありますが、Facebookメッセンジャーボット(Messenger bot)は膨大なユーザー数を抱えるFacebook上で展開できる点に特徴があります。
企業側からは問い合わせ対応の工数を削減できるというメリットがあり、顧客や見込み客からは不明点などがあったときに気軽に問い合わせできるというメリットがあります。
Facebookメッセンジャーボット(Messenger bot)の利用料金や条件、導入方法などについて、ここでは簡単にご紹介します。
詳しい仕組みや導入事例については、以下の記事をご確認ください。
Facebookメッセンジャーのチャットボットとは?仕組みや導入事例を紹介
利用料金や条件は?
Facebookメッセンジャーボット(Messenger bot)を利用するために、Facebook上で発生する料金はありません。
メッセンジャーボット(Messenger bot)に連携させる外部サービスには有料のサービスもあるため、その分の費用が必要となります。
メッセンジャーボット(Messenger bot)を開始する条件は、Facebookの個人アカウント、およびFacebookページを持っていることだけです。
Facebookページは無料でいくつも作ることができます。あとは外部サービスに登録し、連携することでメッセンジャーボット(Messenger bot)を開始できます。
導入方法
Facebookメッセンジャーボット(Messenger bot)を使用するには、APIを用いて外部サービスとFacebookを連携させる必要があります。
自身でサーバーを立ててボットを開発する方法もありますが、ノンプログラミングでボットを作成できる外部サービスもあります。
ここでは、外部サービスを使った場合の導入方法をご紹介します。
- Facebookページを作る
メッセンジャーボット(Messenger bot)を開始するには、Facebookページが必要です。
外部サービスの登録手順の途中で作成することもできますが、まだ作成していない場合はあらかじめ作成しておくといいでしょう。
- 外部サービスを選択する
無料・有料問わず、Facebookメッセンジャーボット(Messenger bot)と連携できるサービスは多数あります。
表記は英語ですが、無料で使えるボット構築ツールとして有名なのはManyChatやChatfuelなどです。
なお、そのほかのチャットボット構築ツールについて、以下の記事でもご紹介していますのでご確認ください。
チャットボット完全ガイド | 無料ツールと国内・国外最新事例
- Facebookページと連携する
Facebookの個人アカウントで外部サービスにログインし、連携したいFacebookページを選択すれば連携は完了です。
連携が完了したら、管理画面からノンプログラミングで自動応答のルールを作成できます。ツールごとに得意な内容は異なるため、どのようなメッセンジャーボット(Messenger bot)を作成したいか検討してからサービスを選択しましょう。
Facebookメッセンジャーボット(Messenger bot)を導入する際の15のポイント
ここでは、Facebookメッセンジャーボット(Messenger bot)を導入する際に押さえておきたい15のポイントについてご紹介するので、導入を検討している場合はぜひご覧ください。
1. 必要な機能に注力すること
まず最初に、大きな効果が得られる機能を1つに絞るための計画づくりに時間を費やしましょう。
私がボットを作り始めた際、あれもこれも作成できると有頂天になりました。結果、作るべき大切なボットの制作にじっくりと取り組むことを疎かにしました。
あくまで、ボットは単なるツールにしか過ぎません。第一に、ボットの活用方法と戦略をしっかり立てるようにしましょう。
2. 会話らしい表現を考えること
友人と自然と会話できるのは、毎日のようにする行為だからです。
一方で、友人たちにどのようにメッセージを届けているかを俯瞰することはとてつもなく難しい行為です。なぜなら、私たちがメッセージを届ける時に発する情報は、文字だけではないからです。
Messengerを用いると、文字だけでなく、絵文字やスタンプ、GIFなどの媒体を用いて多様な表現を行うことができます。2017年には、Facebook Messengerで毎日17億もの絵文字がやり取りされたそうです(そのうち5%は私が送信したものだろうと、友人たちに言われました)。
ユーザーとやり取りするのに、何が一番適していて満足してもらえるかを検討してください。
3. だれがMessengerを利用し、だれが利用していないかを知ること
当初、私はそれほど多くの人がMessengerを日常的に使っているとは思っていませんでした。TechCrunchの記事によれば、月間アクティブユーザーはなんと13億人を超えているそうですが、その実感はありません。
Messengerは世界中で多くの人に使われていますが、メッセージのやり取りによく使われるアプリは国によって異なり、Facebook Messengerであるとは限りません。
たとえば南米ではWhatsAppがよく使われています(厳密にはこれもFacebook所有のプラットフォームですが)。
プラットフォームを決める前に、オーディエンスが何を使用しているかをきちんと調査してください。
使われてもいないアプリを押しつけて無理に関係を作るよりも、オーディエンスが今使っているアプリを活用した方がよっぽど効果的です。
4. 今すぐ完璧なボットを作ろうとしないこと
この業界の企業やジャーナリストの言うことを聞いていると気が重くなります。万能のAIは実現可能だ、最先端の人工知能で動くボットでなければ意味がない、と思わされるのです。
そんなでたらめに耳を貸す必要はありません。実は昔ながらのIF-THENによるロジックツリーがMessengerボットを作るのに適していて、ユーザーはそれで十分楽しめるのです。
次の展開を自分で選択していくゲームブックを読み進められる人なら、だれでもボットを構築することができるでしょう。
5. ユーザーをあざむこうとしないこと
ほとんどのユーザーにとって、だれが(何が)問題を解決してくれるかは重要ではありません。ボットによる対応はろくでもないとユーザーが思っているという固定概念を抱きがちですが、そんなことはないのですから。
イライラさせられるのは、むしろ人間のふりをするボットです。正体を隠していても、2つ3つ質問すればすぐにわかります。
会話の冒頭からボットであることを知らせ、Messengerボットに何ができて何ができないかを明示するべきです。
6. まず役に立つこと、それから楽しませること
人間のふりをさせなくても、ボットの個性を確立することは可能です。会話調のコピーライティングを取り入れれば、ユーザーを楽しませることができます。
ただし、ボットに最も大切なのはユーザーを喜ばせることではありません。
私はこれまで、楽しいけれども何の役にも立たないボットを山のように作ってきました。そこで学んだのは、まず機能が大切で、楽しさは二の次だということです。
最初に現実の問題を解決してから、他のことを徐々に加えていくべきです。
7. すべてをボットに置き換えようとしないこと
あらゆるものを自動化すると顧客満足度は低下します。しかし、人間の手ですべてを処理しようとしても対応できる量に限りがあります。
そのため、人間とボットで分担する必要があるのです。
そのためにはまず、ユーザーに何をしてもらう必要があるのか考えることから始めましょう。
なんども繰り返される予測可能なコミュニケーションの場合は、ボットに任せます。一方で、営業や顧客対応など込み合った話の場合、できるだけ人間の担当者が対応すべきです。
担当者が重要な問い合わせに専念できるように手助けするのがボットの役割です。
8. 徐々に機能を追加すること
『フィールド・オブ・ドリームス』で、ケビン・コスナー氏は「作ってしまえば人は集まってくるだろう」と言いました。
この映画のように野球場を作るのならそれでよいかもしれませんが、マーケティングではそうはいきません。
Messengerボットを活用するための最大の課題は、そもそもボットの存在に気づいてもらえるかどうかです。その後、ボットにメッセージを追加していくのは簡単です。
まずはウェブサイトやFacebookページのCTAなど、小さなところから始めましょう。
9. だれもが期待する機能を作り込むこと
ボットでどのようなサービスを提供する場合でも、ユーザーが必ず欲しがる機能があります。たとえば、サブスクリプションを解除する、会話を最初からやり直す、オペレーターにつなぐ、などです。
消費者がどのMessengerボットにも暗黙のうちに期待している機能があるのです。
こうした機能を計画に組み入れるには、まず、持っている知識を総動員して、これらの機能が要求される状況をすべて洗い出すことです。
それから、ボットがそれに対応できるようにします。
ユーザーにとってサブスクリプションを解除できないほど苛立たしいことはありません。
10. エラーメッセージを準備しておくこと
ボットはまだ生まれたばかりです。ボットに話しかけたことがないユーザーも多いでしょう。
そのようなユーザーは、ボットの限界を理解しておらず、ボット作成者が意図しない方向に会話が進んでしまうことも珍しくありません。
Messengerボット作成中は、ついエラーメッセージの準備を忘れがちですが、エラーメッセージの作成にもしっかりと時間をかけ、ユーザーの満足度向上につなげましょう。
11. 自分がユーザーの立場だったら?を考えること
ボットのメッセージを作り込むときには、自分がこのボットのユーザーだったらどのようなメッセージが返ってきて欲しいかを考えます。
たとえば、聞きたいことに対してまったく関係のなさそうな回答や突き放したような回答が返ってきたら、根気よく質問を続けようとは思わないかもしれません。場合によっては、電話やメールなど別のチャネルからの問い合わせも諦める可能性もあります。
現在のボットは返答の正確性にまだ改善の余地がありますが、設計の部分で改善できることはあるはずです。
具体的には、「その質問へは回答できません。」という返答メッセージが挙げられます。チャットボットによりすぐさま回答がもらえたとしても、このような回答では問い合わせた意味がないと感じさせてしまうでしょう。
回答できない質問でも、返答の内容には十分に気をつけ、また解決するための次のアクションを案内できるようにしましょう。
12. シナリオ型にするのか、FAQ型にするのかを決めること
チャットボットは大きく、シナリオ型かFAQ型かに分けられます。
シナリオ型は画面上に表示された選択肢を選んでいき、求める問い合わせ内容にたどり着く形式で、FAQ型は入力した質問に対しAIが回答を返す形式です。
チャットボットを導入する際は、あらかじめどちらを形式にするかを決めておきましょう。
2つの形式に優劣はなく、顧客や見込み客にとってどちらの形式がより価値のある体験につながるかが重要です。
自社で導入しやすいのがシナリオ型だったとしても、シナリオ型では顧客や見込み客の望む回答にたどり着くのが遅いとなった場合は、FAQ型を選択することが望ましいです。
13. 担当者を決めること
メッセンジャーボット(Messenger bot)は、AIの技術的にも、作業効率的にも、導入時に完璧なボットに仕上げることは不可能だと言えます。
そのため、運用のための担当者を決めておきましょう。
担当者を決める意味は、大きく2つあります。
1つは、チャットボットでは問い合わせを解決できない場合、有人対応に切り替えるためです。
チャット内で有人対応に切り替える、電話番号を案内するなどの方法があり、こういったフローはあらかじめ構築しておきましょう。
もう1つは、チャットボットのチューニングです。
導入時に完璧なボットを作成することはできなくても、少しずつ改善を重ねていくことで顧客や見込み客の問い合わせをより多く解決できるチャットボットに育てることができます。
14. 効果測定をすること
メッセンジャーボット(Messenger bot)をチューニングして改善していくためには、効果測定が欠かせません。
追うべき指標には、ユーザーからのメッセージに対しボットが回答を行った割合を示す回答率、ユーザーの問い合わせが解決した割合を示す解決率、チャットボット経由のコンバージョン率などがあります。
これらの指標を記録し、効果を測定することでユーザーがどれだけ満足しているか、あるいはどこに改善点があるかを知り、チャットボットをブラッシュアップしていくことができます。
15. あきらめないこと
Facebookメッセンジャーボット(Messenger bot)は、チャットを自動化することにより問い合わせの手間を大幅に削減できるツールですが、運用の担当者は常に改善を繰り返す必要があります。
シナリオ型でもFAQ型でも、いろいろなパターンのシナリオを考えて設定するのは難しいですし、どのようなメッセージを返せば顧客や見込み客に満足してもらえるかを考えるのは大変です。
しかし、あきらめずに根気強く改善を繰り返していくことが大切です。
メッセンジャーボット(Messenger bot)は運用を続けるごとに精度が上がっていくツールであり、あきらめずに続けていれば問い合わせへの回答の精度は上がっていきます。
そうなれば、自分たちはもちろん、顧客や見込み客にもFacebookメッセンジャーボット(Messenger bot)を使ってよかったと思ってもらえるようになるはずです。
ポイントを押さえて効果的なFacebookメッセンジャーボット(Messenger bot)運用を
ウェブサイトやSNSなどを使って顧客や見込み客にとって価値ある情報を発信していけば、チャットや電話などを使ったより親密なコミュニケーションにつながっていきます。
そういった見込み客の問い合わせに回答する手段として、Facebookメッセンジャーボット(Messenger bot)は大きな注目を集めています。
ユーザーからのメッセージに対し自動的に回答を返すことのできるメッセンジャーボット(Messenger bot)は、運用の手間を大きく減らしつつ、ユーザーの問い合わせへのハードルを下げる効果もあります。
しかしメッセンジャーボット(Messenger bot)も万能ではなく、現状、技術的には簡単な質問に対して回答を返すに留まっています。
そんなFacebookメッセンジャーボット(Messenger bot)を効果的に活用していくには、この記事でご紹介した15のポイントを押さえておくことが大切です。
運用するにあたって困難なことも多々あるかもしれませんが、運用担当者は根気強くメッセンジャーボット(Messenger bot)を改善していきましょう。