「採用戦略」はどう設計するべき?押さえておきたい6つのポイント

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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昨今の人口減少や少子高齢化に伴い、優秀な人材の確保が業界を問わず課題となっています。優秀な人材を採用するためには採用戦略の立案が不可欠ですが、具体的にどのような戦略を立てるべきなのかわからないとお悩みの人事採用担当者の方もいるでしょう。

これからの時代、採用戦略はどう設計するべき?押さえておきたい6つのポイント

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本記事では、採用戦略の重要性やメリットに加えて、採用戦略の立案方法を6ステップで解説します。採用戦略を実行する際の注意点にも触れているため、ぜひお役立てください。

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採用戦略とは

採用戦略とは

採用戦略とは、自社が求める人材を採用するために立てる戦略を指します。人材は経営資源の一つであり、企業が市場で成長し続けるための重要な要素です。

自社の経営計画や事業計画に合わせて、採用方針や採用基準といった採用活動の軸を決めることで、自社に適した人材を採用できるようになります。
 

採用戦略が必要とされる背景

パーソル総合研究所の推計によると、2030年時点で労働需要は7,073万人、労働供給は6,429万人となり、644万人もの人手不足が起こると予想されています。少子高齢化や労働人口の減少の影響により、将来的な採用の難易度はさらに高まる可能性があるといえるでしょう。

また、厚生労働省の調査によると、高卒・大卒の新卒者の平均3割以上が3年以内に退職するといいます。これは全業界の平均値であり、特定の業界では、さらに厳しい状況になっています。中長期的に経営を安定させるためにも、企業は離職率の低下へ向けて採用の質を高める必要があります。
 

採用戦略と採用計画の違い

採用戦略と関連する言葉に「採用計画」がありますが、採用計画は部署ごとの採用人数などの計画のことで、採用戦略は採用計画を実現するための手段です。両者の違いをしっかりと理解しておきましょう。

 

採用戦略を立てるメリット

採用戦略を立案すると、採用活動を効率的に進められるだけでなく、社内体制にも良い影響があります。ここでは、企業が採用戦略を立てるメリットを4つ解説します。
 

社内体制の強化

採用戦略は、採用担当者だけではなく社内全体で取り組んでいくことが重要です。自社の採用活動の目標や方針が共有されることで、部署ごとに必要な人材の情報などについても共通認識が生まれます

結果として社員が共通認識を持てるようになり、社内の協力体制の強化にもつながるでしょう。また、部署ごとに求める像にマッチした人材を採用できれば、会社全体の組織力がベースアップされます。
 

応募者の増加

採用戦略を立てる過程で、競合他社との違いや求職者のニーズなどの分析が必要になります。分析の過程で明確になった自社のアピールポイントや求職者のニーズをもとにした採用活動によって、応募者の増加が見込めます。

応募者の母数が増えることで、即戦力となる優秀な人材や自社にマッチした人材を採用しやすくなるでしょう。
 

採用コスト・採用効率の改善

自社が求める人材像や職種、スケジュールなどによって適切な広告媒体は異なります。採用戦略を立てることで、目的に合った採用方法を選択できるようになり、無駄なコストの削減につながります。

また、求職者に向けて自社の魅力や方針を効果的に伝えられるため、自社が求める人材が集まりやすいなど、採用効率の改善も期待できるでしょう。

 

ミスマッチによる離職率の低下

ミスマッチとは、自社と求職者の間で仕事の方針や社風、条件などの認識に不一致が生じることです。ミスマッチによって、採用活動が円滑に進まなくなる、入社してもすぐに離職してしまうといったケースが発生します。

採用戦略を立て自社の方針や他社との違いを明確に伝えることで、求職者が自社について深く理解できるようになり、ミスマッチを防止できます。
 

採用戦略の立て方における6つのステップ

採用戦略の立て方における6つのステップ

採用戦略は、採用活動を進めるための軸であり、今後の企業の成長を左右する重要な施策です。採用戦略は、次の6つの手順で設計を進めます。
 

1. 採用戦略立案チームの結成

採用戦略は人事・採用担当者だけではなく、社内全体で決定する課題です。そのため、部門の責任者、経営陣など、社内の状況を把握している人材をチームに含めると良いでしょう。採用戦略立案チームの結成後は、それぞれの業務範囲なども定めておきます。

自社のリソース不足や、より専門的な戦略を立てたい場合は、コンサルティング企業の支援を受けることも手段の一つです。
 

2. 経営計画・事業計画の把握

採用戦略は、企業の経営計画や事業計画に沿って立案することが重要です。採用戦略を立てる前に、中長期的な事業の拡大計画や社内体制などを把握しておきましょう。

自社の今後の動向に沿うことで、部署ごとに必要な人材像や人数、採用戦略の目的が明確化できます。
 

3. 採用市場・自社・競合の現状分析

採用に関する前提条件を把握するために、次のような現状分析を行います。

  • 採用市場の動向
  • 求職者のニーズ
  • 自社の採用課題
  • 自社の強み、弱み
  • 業界や職種ごとの採用倍率といった競合他社の採用状況

マーケティング分野で活用される「3C分析」や「SWOT分析」といったフレームワークを用いることで、分析を効率的・効果的に行えます。

「3C分析」とは、Customer(市場・顧客)のニーズや成長性、Company(自社)、Competitor(競合)の強みと弱みを分析する手法です。採用戦略ではCustomer(市場・顧客)を、求職者や有効求人倍率などに置き換えます。Competitor(競合)は、自社と同じ職種の求人を出している企業となり、Company(自社)と比較することで競合優位性を把握できます。

3C分析

「SWOT分析」は、内部環境のStrength(強み)とWeakness(弱み)、外部環境のOpportunity(市場機会)とThreat(脅威)を分析するフレームワークです。採用戦略では、自社が求める人材像に沿って分析を行い、内部環境と外部環境をかけあわせて詳細なアピールポイントを見つけます。

SWOT分析

 

4. 採用戦略の条件を定める

分析の結果をもとに、採用活動の成功につながる条件となる「KSF(Key Success Factor)」を定めます。KSFとは、戦略を成功させるために重要な成功要因のことです。

KSFを採用戦略の基準とすることで、採用活動に統一感や一貫性が生まれます。例えば、自社のKSFが「国内トップクラスの導入実績」であれば、多くの企業に導入されている理由やサービスの開発秘話などを求職者に共有することで、競合にはない開発の楽しさなどをアピールできるでしょう。
 

5. 求める人材像(ペルソナ)の明確化

自社で採用したい人材をイメージするために「ペルソナ」を設定しましょう。ペルソナとは、典型的なターゲットを具体化した人物像のことです。求めるスキルや経験、価値観などの採用要件を明確化しておくことで、ミスマッチの減少につながります。

採用要件を考える際には、必須条件、歓迎条件、NG条件を書き出すと、自社の求める優先順位がわかります。ペルソナは、年齢・職歴・スキル・性格・生活環境などを具体的に設定しましょう。対象部署が求めている人材像もヒアリングしながら、ペルソナ作成の検討材料にします。

 

6. 採用施策の策定

次のような項目を具体的に設定することで、効率的な採用活動が可能になります。

  • 予算
  • 選考フロー、説明会・面接の日程といった採用スケジュール
  • 外部サービス(求人広告、エージェントなど)の利用、自社採用(採用ページの作成、社員紹介など)などの採用手法
  • 説明会の内容
  • 面接担当者
  • 面接の評価項目
  • 採用決定者のフォロー体制

採用手法は企業や設定するペルソナによって異なるため、自社に適した手法を採用しましょう。
 

採用戦略を実行する際のポイント

次の4つのポイントを実践することで、より効果的な採用活動が実現できます。
 

社内で連携をとる

採用戦略をあらかじめ社内で共有することで、共通認識を持つことができ、社内全体の連携がとれるようになります。採用に携わる部署以外からの協力を得られやすくなるため、活動が円滑に進むでしょう。

また、採用に関する情報を社内に共有することで、各部署が受け入れや教育の体制を整えやすくなり、入社後の早期離職防止にもつながります。
 

採用担当者のスキルの向上

採用戦略を実行するためには、採用担当者が選考のスキルを上げていくことも大切です。

特に面接では、応募者に安心して話してもらうための会話力、必要な情報を聞き出す質問力、応募者を見極める力、自社の魅力を伝える力などが求められます。

動画やeラーニングなどを活用し、面接官トレーニングをしておくと良いでしょう。また、複数人で面接をする場合は、ズレが生じないように評価項目を統一しておくことも重要です。
 

入社後の体制を整える

採用した人材の入社後には、自社に定着してもらうための取り組みも重要です。社員が抱えている悩みなどを聞き、職場に馴染めるようにサポートすることで早期離職を防ぎます。

定期的なフォロー面談をする、社内でのコミュニケーションを積極的にとるなどの社内体制を整えておきましょう。人材の定着や能力の発揮を目的として、労働環境や人事制度を整備する「リテンションマネジメント」も有効です。
 

PDCAで効果検証・改善を続ける

採用戦略は内定者が決定して終了するのではなく、中長期的に進めていくものです。PDCAを回し、半期・年度ごとに効果検証と改善を続けていきます。募集・選考・内定・入社後などの段階ごとに目標と結果を確認し、課題や改善策を明確にしましょう。

PDCAや改善をサポートするツールに、採用に関わる情報を一元管理できる「採用管理システム(Applicant Tracking System)」があります。

採用管理システムを活用することで、媒体やエージェントごとの出稿・受付・連絡など、煩雑になりがちな人事の業務を効率化できます。また、効果の高い求人媒体のスクリーニング、求人広告のコスト配分効率化なども可能です。

応募者を入社後の定着率まで一元管理することで、採用課題全体の見える化が実現できます。

採用管理システムには多くの機能とメリットがあるため、ぜひ導入を検討してみてください。

 

採用戦略を立案し効率的な採用活動を

採用戦略は、自社が求める人材を採用するために欠かせません。中長期的な経営計画や事業計画に沿って採用戦略を立てることで、企業の成長につながります。

また、採用戦略は人事担当者だけではなく、社内全体で取り組むべき課題です。本記事で紹介した6つのステップに沿って採用戦略を立案し、効率的・効果的な採用活動にお役立てください。

HubSpotでは、「求職者に対し、企業側から先に有益な情報や良い体験を提供する」という考えを前提に採用活動を行う「インバウンドリクルーティング」を推奨しています。

昨今は売り手市場で採用の難易度が増しています。そのような状況だからこそ、ターゲット層に一方的にアプローチするのではなく、興味を引き、応募してもらえるような状態を目指すことが重要です。採用にもマーケティングの思考を取り入れ、キーメッセージや採用フローなどを求職者起点で設計していきましょう。

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