📋 この記事の要点
- CRM乗り換えの前に確認すべきは、「ツールの問題」か「運用の問題」かの切り分け。原因を特定せずにツールを変えても、同じ状況が繰り返される
- 必要な業務を現行CRMで実現できない、設定変更や連携に過度な費用・時間がかかるなど、運用改善では解消しにくい制約があれば、乗り換えを検討する価値がある
- 乗り換えに成功した事例では、機能比較より先に「全員が使えるか」「現場が自分で設定を変更できるか」を確認していた
- 乗り換えを決めたら、まず現状課題の言語化と要件整理から始めるのが、移行をスムーズに進める出発点になる
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CRM・MA導入の事前準備チェックリスト
CRMやMAを導入する際にマーケティング施策別に準備するべきことをチェックリストにしてまとめました。
- CRM導入の事前準備チェックリスト
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CRMがうまく活用できていないと感じる
CRM(顧客関係管理)を導入してからしばらく経つと、初期の熱量が落ち着くにつれて、じわじわと気になることが出てきます。入力されていない項目が増えている、データを確認しても全体像がつかめない、コストに見合った活用ができているか自信を持って答えられない。
「乗り換えを決断した」というより、「このままでいいのかを確かめたい」フェーズにいる方も多いと思います。
実際にCRMを乗り換えた企業では、「現場から使いにくいという声が積み重なった」「コスト見直しのタイミングで活用状況を確認したら課題が浮き彫りになった」「人員増加でライセンスコストが障壁になった」といったことをきっかけに検討が始まったケースがあります。ある日突然決断したというより、日常の不満や外部の変化が後押しになることが多いようです。
この記事では、CRM乗り換えを検討すべき状態かどうかの判断基準と、移行をスムーズに進めるステップを順番に整理します。
CRM乗り換えの判断基準:運用改善か乗り換えかを見極める
CRMが活用されていない原因は、大きく「ツールの問題」と「運用の問題」の2つに分けられます。どちらが原因かを確認せずにCRMを乗り換えると、新しいCRMでも同じ状況が繰り返されます。まず自社の状況がどちらに当てはまるかを確認してみてください。
乗り換えの前に確認したい:運用改善で解決できるケース
CRMが活用されていない理由のすべてが、ツールの問題にあるわけではありません。入力ルールや利用目的、推進体制を見直すことで改善できるケースもあります。
以下に当てはまる場合は、ツールを変える前に運用を見直すことを先に検討してください。
入力ルールが整備されていない
「何をどこに入力するか」が明文化されておらず、担当者ごとにバラバラな運用になっている場合、ツールを変えても同じ状況が起きます。入力項目の定義と入力基準を整理するだけで改善することがあります。
現場が「なぜ入力するのか」を理解していない
入力することの意味や、入力したデータがどう活用されるかが共有されていないと、どれだけ使いやすいツールに変えても入力は続きません。
顧客支援の現場でも「現場が頑張って入力しても、マネージャーが見ていなかったり、Excelで別管理が続いていたりすると、だんだん入れても意味がないという空気になっていく」という声をよく耳にします。まず「入力した情報が自分の業務に返ってくる」という実感を作ることが運用改善の出発点になります。
管理者・推進担当がいない
CRMの活用を継続的に推進する担当者がいない場合、ツールの問題以前に組織的な仕組みが不足しています。まず推進体制を整えることが有効です。
これらが解決されていない状態でツールを変えると、新しいCRMも同じように使われなくなります。「ツールが悪い」ではなく「使い方が固まっていない」段階であれば、乗り換えより先に運用改善を試みてください。
CRM乗り換えを検討する際の判断基準
一方、以下のような状態は、ツール自体の構造的な制約が原因です。個人の努力や運用改善では回避しにくく、乗り換えを検討してよいサインです。
| 状況 | 具体的な例 | |
|---|---|---|
|
1 |
スマホや外出先から使えない |
外出が多い営業担当が入力を後回しにし、活動履歴や商談情報が十分に蓄積されない状態が続いている |
|
2 |
設定・分析変更のたびに依頼が必要 |
分析軸の変更や項目追加のたびにエンジニアへの依頼が必要で、反映まで数営業日〜最長数ヶ月かかる |
|
3 |
ツールがバラバラで、顧客情報が一元化できない |
CRM・MA・名刺管理が別々に動いており、どこを見ても顧客の全体像がつかめない |
|
4 |
コストに見合う活用ができていない |
契約している機能の大半が使われておらず、ライセンス費用だけが積み重なっている |
該当する項目がある場合は、事業への影響、現行CRMでの改善可能性、改善に必要な費用と期間を確認します。複数の重要課題があり、設定変更やプラン変更でも解消できない場合は、乗り換えを比較検討する段階といえます。
判断の基本的な考え方は「個人の努力や工夫では回避できない制約があるかどうか」です。ツールを変えれば解決するものなのか、運用を変えれば解決するものなのかを切り分けることが、次の一手を間違えないための起点になります。
自社の状況を整理したい方は、CRM・MA導入の事前準備チェックリストも参考にしてください。
乗り換えを決断した組織に共通する「動き出しのタイミング」
CRMの乗り換えは、契約更新、人員増加、予算見直しなどの節目をきっかけに検討が具体化する場合があります。
よく見られるパターンは3つあります。
契約更新のタイミング
既存ツールの契約更新が近づき、大幅な値上げや条件変更が重なったことをきっかけに「このまま続けるか変えるか」を改めて検討したケース。以前から感じていた不満が、更新という節目によって判断を後押しする形になります。
人員増加のタイミング
事業拡大にともない人員が増えると、ユーザー数に比例して積み上がるライセンスコストが無視できなくなります。導入当初は許容できていたコスト構造が、組織の成長によって見直しを迫られることがあります。
決算期のコスト見直し
決算前の費用精査をきっかけに、既存ツールの活用状況を改めて確認したところ、日常業務で積み重なっていた課題が明確になったケース。課題自体はそれ以前から存在していたものの、見直しの機会がなかっただけという場合もあります。
課題はあっても、明確な節目がなければ判断は先送りになりやすいです。3つのパターンに共通しているのは、課題自体はそれ以前から存在していたという点です。節目はあくまで判断を後押しした外部の変化であり、日頃から現状を把握しておくことが、いざというときの意思決定を速めます。
CRM乗り換え後の定着を左右する条件乗
CRMの乗り換えを繰り返しても定着しない組織があります。乗り換え後に定着しない原因は、製品選定だけでなく、目的設定、業務設計、データ移行、教育、推進体制など複数の要因にあります。
乗り換え前に解消すべき課題
CRMを乗り換える前に、「なぜ現行CRMが活用されていないのか」を整理する必要があります。ツールを変えれば現場が動くと期待したくなりますが、移行後も現場の習慣はすぐには変わりません。よくあるのは、「何のためにCRMを使うのか」が曖昧なまま導入が進み、新しいツールに変えても結果が変わらないというケースです。目的設定が固まっていないことも、失敗が繰り返される背景の一つです。
特に確認したいのは、次の点です。
- CRMを利用する目的が部門間で共有されているか
- 誰が、いつ、どの情報を入力するか決まっているか
- 入力した情報が会議、案件管理、レポートなどで利用されているか
- CRMの管理者と、設定・運用を見直す体制があるか
- 現在の課題が、ツールの制約と運用上の問題のどちらに起因するか
運用設計や推進体制に原因がある場合、ツールを変更するだけでは課題が解消しないことがあります。現行CRMで改善できることと、乗り換えなければ解消できない制約を分けて整理することが重要です。
乗り換え事例で重視された選定条件
本記事で紹介するCRMの乗り換え事例では、機能の多さだけでなく、現場の利用を妨げている課題を解消できるかという観点から、移行先が検討されていました。
確認していた主なポイントは以下の4点です。
- 対象メンバーが日常業務で無理なく利用できること(モバイル対応・操作性の良さ)
- 必要な設定やレポートを社内で変更できること(エンジニア依存の排除)
- 活動履歴を記録しやすく、手入力の負荷を抑えられること(入力負荷の低減)
- 人員増加後を含むライセンスコストが予算に合うこと(人員増加時の試算含む)
例えばカラクリ株式会社では、「メンバー全員がアクセス可能で、業務をスムーズに遂行できること」を選定の軸に置きました。複雑な業務プロセスがなく障壁がほぼないと判断したことで、検討開始から2週間で決定・1か月で環境構築まで完了しています。移行後4か月間の新規獲得リード数は前年同期比152%に達しました。
株式会社デジタルアイデンティティでは、データ移行ではなくマスターデータのゼロベース再設計を選択し、1か月で移行を完了。リードからの受注が2〜3倍に増加し、ツールコストも10〜20%削減されました。
機能の一覧表を並べて比較する前に、この4点を確認することが選定精度を上げる手がかりになります。
なお、CRM導入そのものが失敗するパターンについては、CRM導入で失敗する5つの理由もあわせてご覧ください。
CRM選定にあたって自社の要件を整理したい方は、CRM設計とは?重要な理由と設計の全体像を7つのステップで解説も参考になります。
乗り換えを検討し始めたら、何から手をつけるか
「乗り換えたほうがよさそうだ」と判断できたとして、では最初に何をすればよいでしょうか。移行プロジェクトを進めた組織の経験をもとに、5つのステップで整理します。
ステップ1:現状課題を言語化する
まず「今のCRMの何が問題なのか」を言語化します。「使いにくい」という感覚のままでは社内合意も取れず、次のツール選定の軸も定まりません。前述の4つのサインを参考に、「ツールの問題」か「運用の問題」かを分けながら整理するのが出発点です。
ステップ2:現場ヒアリングで要件を固める
課題の言語化と並行して、実際に使う現場の声を集めます。ヒアリング対象は、実際にCRMを使っている営業・マーケティング・CSの現場メンバーです。「入力しにくい場面はどこか」「どんな情報が欲しいのにとれないか」という視点でヒアリングすると、ツール選定の判断基準が具体的になります。情報システム部門が関与する場合は、セキュリティ要件や既存システムとの連携条件も同時に確認します。
ステップ3:ツール選定の軸を決める
要件が固まったら、ツールを評価する軸を先に設定します。ツール検討が始まると機能比較のマルバツ表から作り始める組織が多いですが、CRM導入・移行を支援してきた経験から言うと、「何のために入れるのか」「誰がどう使うのか」という目的と使い方が固まっていないと、機能比較の結果を正しく判断できません。まず目的を明確にした上で、前述の4点(全員が使えるか・設定を現場で動かせるか・ログが残りやすいか)を評価軸として設定することが、選定の精度を上げる手がかりになります。
ステップ4:データ移行方針を決める
データ移行では、すべてをそのまま移すか全面的に作り直すかの二択ではありません。移行対象、保持期間、項目の統廃合、重複処理、履歴データの扱いを決め、必要に応じて一部を再設計して段階的に移行します。。どちらが適切かは既存データの品質によって異なります。「現在のデータをそのまま持ち込んでも使いやすいか」を確認した上で判断することをおすすめします。株式会社デジタルアイデンティティでは、使いにくさの根本原因がデータ設計にあったため、ゼロベース再設計を選択しています。
ステップ5:現状維持・改善・乗り換えの3案を比較する
現行CRMを継続する場合、設定や運用を改善する場合、別のCRMへ乗り換える場合について、費用、期待効果、移行期間、リスクを比較します。その結果を経営層、情報システム部門、現場マネージャーへの説明材料として整理します。
移行後に現場が動くための定着設計
新しいCRMに移行しても、現場が動くかどうかは別の問題です。定着に向かった組織に共通して見られた取り組みは、以下の3つです。
- 入力負荷を減らす自動化の整備(モバイルアプリの活用、入力漏れの自動通知など)
- 入力ルールの明文化(何をいつ誰が入力するかを明確にする)
- 「なぜ入力するのか」の動機づけ(入力した情報が自分の業務に返ってくる仕組み)
株式会社デジタルアイデンティティでは、移行後に毎朝9時、入力漏れリストが各メンバーに自動通知されるフローを組み込みました。「入力しなければならない」というルールではなく、「入力しやすい状態」と「入力しないと気になる仕組み」を同時に作ったことが習慣化につながったといいます。
また、全員一斉に切り替えるより、まず変革意欲の高い部門からスモールスタートして「使ってみたら便利だった」という実感を組織の中に広げていく進め方が、慎重な現場を無理なく巻き込む土台になります。一部門からのスモールスタートは、全社一斉移行より対象範囲を限定しやすくなります。1か月程度で移行した事例もありますが、必要期間はデータ量、連携先、セキュリティー審査、業務要件などによって異なります。
定着設計は、データ移行の計画と同じタイミングで考え始めることをお勧めします。「どうデータを移行するか」と同じ時期に「どう現場に使い始めてもらうか」を設計しておくことで、移行後に現場が動き始めるまでの時間を短縮できます。
HubSpotでは、現状のヒアリングをもとに最適な導入設計を一緒に検討する相談窓口を設けています。
CRM乗り換えにかかる期間はどのくらいか?データ移行の選択肢と目安
1部門からのスモールスタートであれば、1か月以内の移行完了も現実的です。カラクリ株式会社は検討開始から2週間で決定・1か月で環境構築を完了、株式会社デジタルアイデンティティは1か月で移行を完了しています。ただし全社一斉展開の場合は期間・工数が大きく異なります。
データ移行の方法については、既存のデータをそのまま移行するか、マスターデータをゼロベースで再設計するかの2つの選択肢があります。どちらが適切かは既存データの品質と現在の運用設計の状態によって異なります。
カラクリ株式会社からは「導入支援担当の方の手厚いフォローもあり、ほぼ1か月で環境構築まで進めました」という声が上がっています。短期間での移行を可能にした背景には、ツールの簡便さだけでなく、設計段階からの伴走支援の存在もあったといえます。
いずれの場合も、CRMの導入支援チームと早い段階で相談することで、現実的な工数の見通しが立てやすくなります。HubSpotの導入支援サービスの詳細はこちらからご確認いただけます。
よくある質問
Q1. 今のCRMが定着しないのは、ツールが合っていないからですか?
必ずしもそうとは限りません。定着しない原因は「ツールの問題」と「運用の問題」の2つに分けられます。入力ルールが整備されていない、現場が入力する意味を理解していないといった場合は、ツールを変えても同じ状況が繰り返されます。まず「スマホ非対応」「設定変更のたびにエンジニアへの依頼が必要」といったツール側の構造的な制約があるかどうかを確認してください。個人の努力では回避できない制約があれば、乗り換えを検討する価値があります。
Q2. 乗り換えにかかる期間はどのくらいですか?
1部門からのスモールスタートであれば、1か月以内の移行完了も現実的な目標です。ただし、全社一斉展開の場合は期間・工数が大きく異なります。詳細は本文をご覧ください。
Q3. 既存データはそのまま移行できますか?
技術的には可能ですが、使いにくさの原因がデータ設計にある場合、既存データをそのまま持ち込むと同じ問題が引き継がれることがあります。「現在のデータをそのまま移行しても使いやすいか」を確認した上で判断することをお勧めします。迷う場合は導入支援チームに早めに相談すると、現実的な選択肢と工数の見通しが立てやすくなります。
Q4. 乗り換えの社内合意を取るには何を準備すればよいですか?
準備したい材料は主に2点です。①将来の人員増加を想定したライセンスコストの試算、②現在契約しているプランのうち実際に活用されている機能の割合の整理です。感覚的な不満の列挙ではなく、「このまま続けた場合のコスト」を数値で示すことが、経営層への説明材料として機能しやすくなります。
Q5. 乗り換えをせずに現行CRMで運用を改善したほうがよいケースはありますか?
あります。入力ルールの未整備や現場への動機づけ不足が原因の場合は、まず運用の見直しが先になります。一方、スマホ非対応や設定変更のたびにエンジニアへの依頼が必要といったツール設計上の制約がある場合は、運用改善では解消しにくく、乗り換えを検討する価値があります。「個人の努力や工夫では回避できない制限があるかどうか」が、判断の手がかりになります。
Q6. 移行後の定着に不安があります。サポートは受けられますか?
HubSpotでは、契約後に導入支援チームがオンボーディングから定着まで伴走する体制を設けています(プランにより内容が異なります。最新情報の確認が必要です)。カラクリ株式会社でも「導入支援担当の方の手厚いフォローもあり、ほぼ1か月で環境構築まで進めました」という声があります。製品の機能確認とあわせて、サポート体制についても導入相談時に確認しておくと安心です。
CRMの乗り換えを具体的に検討されている方は、次のステップとしてご活用ください。
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