私が営業とマーケティングの連携に関するベストプラクティスに興味を持ったのは、南米の営業チームがわずか数週間のうちに急成長を遂げたことがきっかけでした。
突然、営業とマーケティングの連携、つまり「スマーケティング」がうまく行かなくなったのです。チームが小さかった頃は、営業担当者一人ひとりと直接、リード(見込み客)を効果的に獲得する方法を相談できましたが、大所帯になると通用しません。
状況を改善するには、アイデアが必要でした。他のマーケティング担当者が営業チームと効率的に連携するためにどう工夫しているのか尋ねてみようと思い立ち、社内のフィールド&チャネル マーケティング チームのメンバー数人に話を聞きました。
すると、全員が素晴らしいアドバイスやプロセスを知っていました。しかも、同じものは1つもなかったのです。
私はこの知識をチーム全体に、さらには営業とマーケティングの連携について知りたいすべての方々に共有するべく、チームメンバーから教えてもらったベストプラクティスをブログ記事にまとめることにしました。
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営業側で実施するべき「調整」とは?
ベストプラクティスの紹介に入る前に、営業側の調整について少しだけ説明させてください。営業側の調整とは、マーケティングと確実に連携するために営業チームが講じる措置のことです。その一部を紹介します。
バイヤーペルソナを軸に据えた営業体制を作る
バイヤーペルソナは、マーケティングだけに活用するものではありません。営業チームが販売する相手を知り、その相手がどのような課題を抱えているのか、どうすれば相手の役に立てるのかを把握する上でも参考になります。営業チームを編成するときや、セールスイネーブルメントの資料を作成するとき、CRMのEメールテンプレートを用意するときには、バイヤーペルソナを念頭に置くようにしましょう。
リードを引き継いで割り当てる担当者を指名する
営業とマーケティングが密接に関わる領域といえば、リードの共有です。マーケティングチームは、コンテンツ配信やキャンペーンを通じてリードを獲得します。そのリードを営業チームが引き継ぎ、確度を見極め、購入意欲を醸成して成約へと導きます。
マーケティング活動で獲得したリード(MQL)を引き継いでいるのは、営業チームのどのメンバーですか? この質問に5秒以内に答えられない場合、営業チームの体制を見直し、リードを受け取って割り当てを決めるチームまたは担当者を指名する必要があります。営業とマーケティングの連携が最も重要になるのが、このリードの引き継ぎです。
必要に応じて、チーム間でのトレーニングを実施する
営業チームからマーケティングチームに対して製品デモを実施します(実際の営業時のデモと同じ内容がよいでしょう)。あるいは、営業担当者が電話中に答えに詰まってしまった質問などを共有するのも効果的です。スマーケティングでは、力を合わせることだけでなく、情報を交換して理解を深めることも重要になります。
チーム連携のベストプラクティス
ここからは、私の同僚たちが教えてくれたスマーケティングのヒントをご紹介します。
1. 定期ミーティングを設定する
営業とマーケティングがつながりを保つには、直接つながるための場を作ることが一番の方法です。定期的なミーティングには、両チームの分断を防ぐ効果が期待できます。
新しい営業担当者全員にスマーケティングのトレーニングを実施する
営業チームを強力にサポートするためには、最初のうちからプロセスやリソース、ベストプラクティスを共有しておくことが非常に大切です。このトレーニングを通じて、互いをよく知り、マーケティングチームがどんな形で営業チームをサポートできるかを伝えましょう。営業チームに新しいメンバーが大勢入ってくる場合には、スマーケティングに対する認識をすり合わせたり、新メンバーの質問に答えたりできるよう、月1回のペースでミーティングを開くことをお勧めします。
営業チームの週次ミーティングに出席する
週1回の営業チームのミーティングに参加することで、マーケティング担当者は営業チームの売上目標や達成状況を把握し、必要に応じてサポートを提供できるようになります。また、マーケティングチームからも今後のキャンペーンやコンテンツ配信、その週にプロモーションを実施するオファーなどの情報を伝えます。これから作成するオファーやブログ記事のアイデアを募るのもよいでしょう。
マネージャー同士で月次ミーティングを行う
マーケティングと営業チームのマネージャー同士で月1回のミーティングを開き、結果の分析とSLA(サービスレベルアグリーメント)の評価を行います。リードの獲得数、マーケティング活動で獲得したリード(MQL)の数、営業活動を実施したリードの割合、リードから顧客へのコンバージョン率は、特に重要な指標なので忘れずに共有します。
みんなで各種イベントに参加してみる
業界の交流会、社内のパーティー、大規模なイベントなど、カジュアルな集まりで同じ時間を過ごしましょう。仕事から離れた環境で、営業チームのメンバーの普段とは違う一面を知ることができる、またとない機会です。
2. チームのEメールエイリアスを作成する
営業チームとマーケティングチームの両方にメールが届くように、Eメールエイリアスを作成します。この機能をうまく活用すれば、重要な情報を双方向で簡単に共有できます。他のチームにとっても、関連する情報を両チームに共有しやすくなるメリットがあります。
3. コンテンツのアイデアを集めるプロセスを確立する
営業担当者はプロスペクト(営業段階の見込み客)と日常的にコミュニケーションをとっていて、どのようなコンテンツが喜ばれるかを知っています。しかし、営業担当者にはそうしたフィードバックを書き留める時間がありません。その問題を解消するために、マーケティングチームが主導してフィードバックを収集できる仕組みを整えましょう。
週次ミーティングでブレインストーミングの時間を設ける
営業チームのミーティングで5分間のブレインストーミングを行い、プロスペクトに提供したいコンテンツや、リードの獲得数を増やすためのコンテンツについて意見をもらいます。
共有のドキュメント上でアイデアや参考情報を集める
コンテンツ作成に役立つアイデアや参考情報を手軽に追加してもらえるよう、営業チームにGoogle スプレッドシートを共有しておきます。
4. コンテンツ マーケティング キャンペーンは、営業チームと連携する
マーケティング担当者はいつも新たなオファーやコンテンツのプロモーションを行っています。そのため、営業チームに最新のプロモーション情報を常に伝えておき、リードがここ最近どのようなオファーを受け取っているのかを理解してもらうことが大切です。
オファーに関する情報を営業チームと共有する基本的な方法を紹介します。
共有カレンダーにプロモーションの予定を追加する
Google カレンダーに、プロモーション(Eメール、ウェビナー、SNSキャンペーンなど)のスケジュールを追加します。各オファーのURLや主な訴求ポイント、説明文も併せて記載します。営業担当者がそれぞれこのカレンダーを参照できるよう、営業チームに必ず共有しましょう。
オファーのEメールを営業チームに送信する
オファーのプロモーションを開始し、リードが集まり始めたら、以下の情報を盛り込んだEメールを営業チームに送信します。
- オファーの訴求ポイント:オファーの重要なポイントを2~3項目の箇条書きにまとめます。営業担当者はオファーを読んでいないという想定の下、営業担当者がプロスペクトと話すときに把握しておくべき主なコンセプトを書いておきましょう。特に、統計データや導入事例、具体的なノウハウが役立つ場合が多いです。
- リードの一覧:営業チームが次のアクションを起こせるよう、オファーを通じて獲得したリードの一覧を必ず添付します。CRMをお使いなら、簡単に一覧を作成して営業チームに共有できます。
- 今週のセールストーク:訴求ポイントと同じように、営業電話で最新の話題を取り上げるときに使える汎用的なメッセージを用意しましょう。データに裏づけられた鮮度の高い情報には大きな効果が見込めるため、最新の業界トレンドや調査結果を盛り込むことをお勧めします。
フォローアップ用のEメールテンプレートを作成する
オファーは、新規リードの獲得だけでなく、既存リードの呼び戻しにも有効です。やり取りのきっかけとなるよう、営業チーム用のEメールテンプレートを作成しましょう。このEメールでは、オファーの具体的な内容に触れ、プロスペクトが抱える課題の解決をどのようにサポートできるか伝えます。
5. 共通の目標を一緒に設定する
営業チームとマーケティングチームは元来、KPI(主要業績評価指数)も、掲げる目標も異なります。たとえば、営業チームが月間の売上高を重視する一方で、マーケティングチームはウェブサイトのトラフィックに注目しているといったように、それぞれ別の目標を追いかけています。
しかし、効果的なスマーケティング戦略には、共通の目標を掲げることも必要です。コンバージョン率やリードの価値など、両チームで測定して改善を目指せるKPIもいくつか存在します。そうしたKPIを特定し、共同で取り組みましょう。
6. レポートと分析結果を共有する
営業チームとマーケティングチームはどのようなデータを追跡、評価して、その分析結果から何を読み取っていますか。両チームのコミュニケーションやアイデア交換の場と同じように、知見を積極的に共有できる手段も用意しておきましょう。一見無関係に思えるKPIや分析結果から、何か学べるものがあるかもしれません。
7. 営業担当者の知識提供をサポートする
マーケティングチームの役割は、企業のあらゆる面を宣伝することです。製品やブランドだけでなく、プロスペクトと直接やり取りし、信頼を勝ち取ろうとしている営業担当者も、その対象に含まれます。マーケティングチームの力で、営業チームの専門性の高さをアピールしましょう。
営業担当者の名前でブログ記事を代筆する
営業担当者の名前で記事を代筆するのも1つの方法です。営業担当者にインタビューして内容を書き起こし、ブログ記事に仕上げましょう。そうすれば、リードにその営業担当者に対する信頼感と親近感を持ってもらえます。
営業チームにソーシャルメディアの活用を促す
営業担当者がSNSを積極的に使っている場合、自社コンテンツのシェアを奨励しましょう。マーケティングチーム側で代わりに文面を作成しておけば、営業担当者は普段使用しているSNSにそのメッセージを貼りつけるだけで簡単にシェアできます。
8. 営業電話の内容を聞く
時間を作って営業チームの隣に座り、営業電話のやり取りを聞くのも効果的です。営業の視点から製品やサービスの活用メリットをどのように説明しているかを把握することで、大きな学びが得られます。今後のコンテンツ作成やフォローアップEメールの構成についても、アイデアが浮かんでくるかもしれません。
9. 営業用資料はアクセスしやすい場所にまとめて保管する
マーケティング担当者がパンフレット、企業概要、プレゼンなどのセールスイネーブルメント用の資料を熱心に作成しても、営業担当者にその資料を見つけて、活用してもらえなければ、せっかくの努力も水の泡です。
セールスイネーブルメント用の資料はすべて、営業担当者が簡単にアクセスできる共有スペースに一括して保存しましょう。キャンペーンのカレンダー、関連するオファーへのリンク、市場別・ペルソナ別のコンテンツなども、同じ場所に保管するとよいでしょう。
10. 共通の楽しみを持って親交を深める
最後に何より大切なアドバイスを。それは、人として互いをよく知ろうと努めることです。ランチやイベント、パーティーを企画して、とにかく一緒に楽しみましょう。そうすればチームメンバーの間に信頼が育まれ、助けが必要なときに遠慮なく頼り合える関係を築けます。
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Sales+Marketing=Smarketingを目指そう
営業とマーケティングが緊密な連携体制を築ければ、両チームの目標を達成できるだけでなく、会社全体の収益拡大にもつながります。皆さんがスマーケティング戦略を強化する上で、今回ご紹介したベストプラクティスがお役に立てば幸いです。
編集メモ:この記事は、2015年10月に投稿した内容を包括性の観点から加筆・訂正したものです。