カスタマーサポートの電話対応を効率化するには?

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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カスタマーサポートは、企業が顧客の問い合わせやサポートを目的に設置する部門です。顧客とのやり取りの手段として、主に電話・メール・チャットなどが用いられますが、近年ではAIを活用した自動化も進んでいます。

カスタマーサポートの電話対応の必要性・効率化の方法を解説

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企業の窓口となるカスタマーサポートの重要性が高まるなか、電話対応の効率化や品質向上に課題を感じていませんか。

カスタマーサポート部門ではDXによる業務効率化が進んでおり、AIの活用を通じて顧客満足度やリピート率を向上させたいと考えている企業も多いでしょう。

本記事では、カスタマーサポートの電話対応業務について、必要性から効率化のやり方まで解説します。カスタマーサポートの業務改善に成功した企業事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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    カスタマーサポートの電話対応業務の必要性とは

    カスタマーサポートの画像

    カスタマーサポートには、電話・メール・チャットなど、さまざまな手段があります。その中でも電話対応は、自社の印象が大きく変わる重要な業務です。また、うまく活用できればメリットが多いのも電話対応の特徴です。

    ここでは、カスタマーサポートの電話対応業務の必要性が高い理由を具体的に解説します。
     

    サービスの改善につながる

    カスタマーサポートには日々顧客からの問い合わせや質問が多数寄せられます。なかには、不満やクレームなど自社の対応やサービスに関する厳しい指摘もあるでしょう。しかし、顧客からの意見には、サービス改善につながる貴重なヒントが隠れていることも少なくありません。

    顧客の意見・指摘を真摯に受け止め、「なぜこうした指摘を受けたのか」「次に同じ失敗を繰り返さないためにはどうすべきか」と検証・改善を繰り返すことで、より顧客の要望に沿ったサービスを提供できるようになります。
     

    顧客満足度の向上につながる

    カスタマーサポートは、自社の商品・サービスを購入した顧客と接点を持つ重要な部門です。カスタマーサポートとは、文字通り商品の使い方やトラブルの対処など、顧客の課題を解決に導くサポートをする役目を担います。

    サービスに対して顧客が抱える悩みや問題に応えることは、顧客満足度やエンゲージメント向上につながります。仮に顧客がクレームを入れることを目的に問い合わせをしてきたとしても、要望や不満を受け止め、最適な改善策を示すことでファンに変えることができます。
     

    リピート率向上・解約率低下につながる

    近年では、SaaSサービスをはじめとしたオンラインツールの導入が急増しています。多くのツールはサブスクリプション(月額課金)であり、使い続けてもらうことを前提としたビジネスモデルです。そのため、一度の購入額を増やすことよりも、一人の顧客から生涯を通じて得られる収益「LTV=Life Time Value(顧客生涯価値)」の最大化が重視されます。

    継続的に利用してもらうためには、顧客の抱えている不満や疑問の解消、顧客の意見をもとに商品やサービスをアップデートし続けることが求められます。カスタマーサポートによるアフターフォローがリピート率向上・解約率の低下につながります。
     

    カスタマーサポートの電話対応業務を効率化する方法

    電話対応自体は、顧客満足度を高める上で欠かせない業務です。しかし、業務そのものに時間を取られ、サービス改善まで手が回らないことによって品質が落ちてしまう懸念もあります。そのため、カスタマーサポート部門では、サービスの品質を保ちながら、業務を効率化する仕組みを整えることが重要です。

    ここでは、カスタマーサポートの電話対応業務を効率化する方法を紹介します。
     

    オペレータ全体の対応品質レベルを揃える

    電話対応業務の効率化を図るためには、オペレータ全体の対応品質レベルの標準化が重要です。スタッフごとに対応力や知識にばらつきがあると、業務の属人化が起きてしまい全体のサービスレベル向上につながりません。

    対応品質を標準化するためには、対応マニュアルの整備、マナー研修、商品知識勉強会の実施などが有効です。
     

    チャットボットを導入する

    カスタマーサポートにチャットボットを導入すると、かんたんな質問やよくある質問の自動対応が可能になります。チャットボットは24時間365日いつでも対応できるため、オペレーター業務を軽減できることがメリットです。

    チャットボットでは回答が難しい質問に関しては有人オペレーターが対応する仕組みを構築することで、よりきめ細やかな対応が実現できます。

    人間とチャットボットの役割分担によって、より多くの顧客の悩みや課題を解決できるようになるでしょう。
     

    ヘルプページを作成する

    ヘルプページを作成すれば、カスタマーサポートの対応時間外でも顧客が自分自身で情報を調べて問題を解決できるようになります。

    また、ヘルプページは一度作成して終わりではなく、検索キーワードや各ページの閲覧数を検証することで、顧客がどういった課題や悩みを抱えているかが把握できるようになります。蓄積したデータは、商品・サービスの改善にも活かせます。
     

    カスタマーサポートの電話対応スキル向上に役立つ方法

    カスタマーサポートを通じて顧客満足度の向上を実現するには、オペレーターの電話対応スキル向上が欠かせません。ここでは、カスタマーサポートの電話対応スキル向上に役立つ方法を3つ紹介します。
     

    定期的なフィードバックを実施する

    カスタマーサポート部門の管理者は、各オペレーターに対して定期的なフィードバックを実施しましょう。対応件数・対応時間などの定量評価や、顧客満足度・対応品質などの定性評価をもとに、フィードバックや業務改善に役立つアドバイスを行うことで、電話対応品質の向上につながります。

    オペレーターは顧客からのクレームなどを受けることも多く、大きなストレスを抱えている可能性もあります。そのため、管理者は単に指摘をするだけではなく、常日頃からオペレーターとの信頼関係を構築する姿勢が欠かせません。

    数値だけでは見えないオペレーターの不安や不満に寄り添い、相談しやすい人間関係を築くことが大切です。
     

    システムを活用した品質管理を行う

    オペレーターの対応品質は数値化しにくく、何を基準に評価すべきかあいまいになりがちです。そのためどのように対応品質を管理・評価していくべきか悩む方も多いでしょう。

    そんな時は「コールセンターシステム」の活用が役立ちます。コールセンターシステムでは、オペレーターの通話回数や稼働率など、あらゆるデータを集計・分析できます。そのデータをもとに、パフォーマンスが高いスタッフとそうでないスタッフのデータを比較分析することで、課題の特定に役立ちます。
     

    電話応対検定やコンクール参加に取り組む

    オペレーターの電話応対力の向上を実現するために、電話応対技能検定(もしもし検定)や電話応対コンクールなどの、検定やコンクールへの参加も有効です。

    資格・検定は一定以上の対応力を有する証明になり、コンクールへの参加によって新しい知見や刺激を得ることが可能です。

    また、HDI-Japanの格付けベンチマークでは、顧客の視点から各企業のカスタマーサポート部門のクオリティとパフォーマンスを評価し、それを格付けとして公開しています。

    格付けベンチマークで三ツ星を獲得すると、三ツ星マークを自社のWebサイトや名刺などに記載しアピールできるようになるため、ブランディングにもつながります。
     

    カスタマーサポートで電話を有効活用している企業事例

    カスタマーサポートの電話対応業務によって、顧客との信頼関係を築くためにはどのようにしたら良いのでしょうか。そのヒントを探るために、ここではカスタマーサポートの電話対応を有効活用している企業事例を3つ紹介します。
     

    さくらインターネット

    さくらインターネット

    引用元:さくらインターネット

    レンタルサーバー事業を手掛ける「さくらインターネット」では、カスタマーサポートで年収1,000万円の世界をつくるとしたら、メンバーはどんな仕事をしてどんな価値を生んでいるべきなのかという観点から、カスタマーサクセスの改革を行いました。

    そのひとつが、通話1回当たりの時間目標をKPIから外し、上司への進捗報告もなくしたことです。回答品質の均質化を求めずに、メンバーが個々に知っている専門知識があれば、ポリシーに関わらず回答するマネジメントを図っています。

    さらに、同社ではカスタマーサポートの就業環境の改善にも取り組んでいます。常に顧客との接点がある部門であるカスタマーサポートは、「顧客の成長」「感動体験の伝播」を生み出すことに存在価値があると捉え、それこそが自社の未来に変化をもたらす起点となり得ると考えているためです。
     

    キヤノンカスタマーサポート

    キヤノンカスタマーサポート

    引用元:キヤノンカスタマーサポート

    キヤノングループの顧客対応を担う「キヤノンカスタマーサポート」では、高齢層の顧客から、製品の設定方法や使い方に関する問い合わせが増えたことを背景に「SKT運動」を実施しています。

    SKT運動とは、シニア世代(S)にわかりやすい言葉(K)で伝えよう(T)の頭文字をつなげた言葉で、このテーマをもとにカスタマーサポートの電話対応品質の向上に取り組んでいます。

    例えば、高齢者の聴力を体感するためのシミュレーターを使った研修の実施や、専門用語の言い換え集の作成・共有などが挙げられます。また、チーム制によるコンクール参加によって、全体の意識醸成や対応品質の向上を行っています。
     

    資生堂ジャパン

    資生堂ジャパン

    引用元:資生堂ジャパン

    国内を代表する化粧品メーカーの資生堂ジャパンでは、一部のブランドで専用フリーダイヤルを設置し、商品に関する専門知識が豊富なスタッフが対応しています。

    さらに電話だけではなく、LINEチャットやSNSでの対応も行っており、顧客の要望や利便性にあわせてきめ細やかな対応を実現しています。なかでも、電話で問い合わせが入る顧客はシニア層が多いため、シニアの特徴を踏まえたマニュアル作成を行っています。

    例えば、「短い文章で話すこと」「お客様の話をできる限り言い換えずに繰り返す」などが挙げられます。また、継続的な電話対応スキル向上に向けた取り組みを行っており、2016年には化粧品業界初の5つ星認証を実現しました。
     

    カスタマーサポートの電話対応品質を向上し顧客の期待に応えよう

    電話対応業務では、顧客が抱えている不安や悩みを理解し、共感を示すといった「心に寄り添った対応」が求められます。一人ひとりに最適な対応を実現するために、オペレーターの品質向上に努めることは企業経営の重要課題といえるでしょう。

    AIツールを活用することで、オペレーターの課題特定や対応力向上に役立ちます。また、チャットボットなどのAIを活用した自動化により、軽微な質問は24時間365日、自動対応が可能になります。顧客は時間帯に関わらず課題をスピーディーに自己解決でき、オペレータは時間が空いた分、一人ひとりの顧客にきめ細やかな対応ができるようになります。

    ツールは目的・用途にあった使い分けが重要です。本記事の内容を参考に電話対応品質の向上を図り、顧客の期待に応えていきましょう。

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