カスタマーサポートは、顧客の問い合わせ対応やサポートを目的に設置する部門です。顧客とのやり取りの手段(チャネル)としては、電話・メール・チャット・SNSなどさまざまなものがあり、近年はデジタルを活用した効率化やAI技術の導入も進んでいます。

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そんな中でも、電話による問い合わせ対応は変わらずにカスタマーサポートの重要な業務です。
電話対応業務にて顧客満足度を向上させていくためには、業務の効率化も重要です。
本記事では、カスタマーサポートの電話対応業務について、必要性から効率化のやり方まで解説します。カスタマーサポートの業務改善に成功した企業事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
効率化の進むカスタマーサポートにおける電話業務の必要性
カスタマーサポートが対応を担うチャネル(顧客接点)は、かつては電話が主流でした。
現在は、メール・チャット・SNSなどチャネルが増え、幅広い層の顧客が問い合わせをしやすく、企業も複数のチャネルから顧客の声を収集しやすいよう、効率化が進んでいます。近年はAI技術による効率化や新しい価値の創出にも注目が集まっており、カスタマーサポートはデジタル技術を活用した部門へと変化を続けています。
そんな中でも、カスタマーサポートにおける電話対応は重要な業務の一つです。ここでは、電話対応業務が現在も必要である理由について具体的に解説します。
サービスの改善につながる
カスタマーサポートには日々顧客からの問い合わせや質問が多数寄せられます。なかには、不満やクレームなど自社の対応やサービスに関する厳しい指摘もあるでしょう。しかし、顧客からの意見には、サービス改善につながる貴重なヒントが隠れていることも少なくありません。
顧客の意見・指摘を真摯に受け止め、「なぜこうした指摘を受けたのか」「次に同じ失敗を繰り返さないためにはどうすべきか」と検証・改善を繰り返すことで、より顧客の要望に沿ったサービスを提供できるようになります。
顧客満足度の向上につながる
カスタマーサポートは、自社の商品・サービスを購入した顧客と接点を持つ重要な部門です。カスタマーサポートとは、文字通り商品の使い方やトラブルの対処など、顧客の課題を解決に導くサポートをする役目を担います。
サービスに対して顧客が抱える悩みや問題に応えることは、顧客満足度やエンゲージメント向上につながります。仮に顧客がクレームを入れることを目的に問い合わせをしてきたとしても、要望や不満を受け止め、最適な改善策を示すことでファンに変えることができます。
リピート率向上・解約率低下につながる
近年では、SaaSサービスをはじめとしたオンラインツールの導入が急増しています。多くのツールはサブスクリプション(月額課金)であり、使い続けてもらうことを前提としたビジネスモデルです。そのため、一度の購入額を増やすことよりも、一人の顧客から生涯を通じて得られる収益「LTV=Life Time Value(顧客生涯価値)」の最大化が重視されます。
継続的に利用してもらうためには、顧客の抱えている不満や疑問の解消、顧客の意見をもとに商品やサービスをアップデートし続けることが求められます。カスタマーサポートによるアフターフォローがリピート率向上・解約率の低下につながります。
カスタマーサポートの電話対応業務を効率化する5つのポイント
電話対応自体は、顧客満足度を高める上で欠かせない業務です。カスタマーサポートの電話対応業務を改善するアプローチとして、部門単位で取り組む「効率化」と、オペレーター一人ひとりの対応品質を上げる「スキル向上」の2つが挙げられます。
ここでは2つのアプローチのうち、「効率化」によって電話対応業務を改善するポイントをご紹介します。
CRMシステムを導入する
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)システムとは、顧客に関連する情報を一元管理し、顧客一人ひとりに対する切れ目のない対応やチーム全体で同じ情報を共有することのできるシステムです。カスタマーサポートにおいては、電話対応に関連する機能を有するコールセンターシステムとの連携や、コールセンターシステムの機能を有するCRMを導入することで業務の効率化を実現できます。
CRMシステムの導入は、近年急速に技術が発達しているAIをカスタマーサポートの現場に導入するためにも有用です。AI技術の良い面を活用するには、AIに分析させるデータの形式を統一する必要があります。CRMシステムに顧客関連のデータを一元管理できれば、AI活用のための土台作りにもつながります。
当社HubSpotでは、優れた顧客価値の提供と、長期的な顧客維持を実現するためのCRMシステムとして「Service Hub」を提供しています。
Service Hubは、カスタマーサポートとしてはもちろん、能動的に顧客体験価値の向上を目指すカスタマーサクセスの領域もカバーできるのが特徴です。
あらゆるカスタマーサポートの情報を、統合型のCRMプラットフォーム上にて一元管理し、オムニチャネルでのサポートを展開できます。ナレッジベース、デジタル化されたヘルプデスク、AI搭載のチャットなどの機能があり、カスタマーサポートを効率化します。
IVRを最適化する
カスタマーサポートの電話対応業務を効率化する手段としては、IVR(Interactive Voice Response:音声自動応答システム)の最適化が挙げられます。
IVRは、中規模~大規模のコールセンターにて一般的に導入されている、電話問い合わせを適切なスキルセットへ接続するためのシステムです。顧客は電話をかけたあと、自動音声ガイダンスに従って任意の数字キーを押す必要がありますが、その後は目的・要望に合わせたオペレーターにつながることができます。
IVRは、始めに設定した内容から最適化されていないケースも少なくありません。顧客の声を分析し、定期的にIVRを最適化することで、待機時間を減らし、課題解決率を上げることにつながります。
適切なKPIを設定しチームで目標を追う
ビジネスの目標を達成するための各マイルストーンを指す「KPI」は、カスタマーサポート部門でも適切に設定することで、チームで目標を追えるようになります。
顧客満足度という、数値では測りにくいものを扱うカスタマーサポートですが、「課題解決率」や「課題解決時間」、「一次応答時間」、「AHT(平均処理時間)」など、定量的に品質を評価できるKPIは多くあります。自社のカスタマーサポートではどのKPIを追うのが適切かを検討し、チームで共有することで、業務効率化および顧客満足度の向上につなげられます。
カスタマーサポートにおけるKPIについては、以下コラムもあわせてご覧ください。
顧客の問い合わせチャネルを最適化する
カスタマーサポートが担当できる問い合わせチャネルは複数あるため、自社ターゲットの特性や実際の声を考慮し、チャネルを最適化することが重要です。顧客の層や問い合わせの種類に応じて適切なチャネルを用意することで、電話対応業務についても効率化され、電話での問い合わせが本当に必要な顧客に対して十分なサポートを提供できるようになります。
最適化の手段としては、メール問い合わせの導線を改善する、チャットボットを導入する、FAQページを作成するといったものがあります。
FAQページについては、簡単な問い合わせであればFAQページで完結できるよう、定期的に見直しを行うことが重要です。
オペレーター全体の対応品質レベルを揃える
電話対応業務の効率化を図るためには、オペレーター全体の対応品質レベルの標準化が重要です。スタッフごとに対応力や知識にばらつきがあると、業務の属人化が起きてしまい全体のサービスレベル向上につながりません。
対応品質を標準化するためには、対応マニュアルの整備、マナー研修、商品知識勉強会の実施などが有効です。
特にマニュアルの整備は、オペレーターの対応品質を平準化するだけでなく、担当者の負担軽減、適切なタイミングでのエスカレーション、一次解決率の向上などが期待できます。クレーム対応についても、負担を軽減しつつクレーム内容に応じた適切な対応を行いやすくなります。
クレーム対応におけるマニュアル作成については、以下コラムもあわせてご覧ください。
カスタマーサポートの電話対応スキルを向上させる5つのポイント
カスタマーサポートを通じて顧客満足度の向上を実現するには、オペレーターの電話対応スキル向上が欠かせません。ここでは、カスタマーサポートの電話対応スキル向上に役立つ方法を3つ紹介します。
定期的なフィードバックを実施する
カスタマーサポート部門の管理者は、各オペレーターに対して定期的なフィードバックを実施しましょう。対応件数・対応時間などの定量評価や、顧客満足度・対応品質などの定性評価をもとに、フィードバックや業務改善に役立つアドバイスを行うことで、電話対応品質の向上につながります。
フィードバックに際しては、トーク分析を取り入れるのもおすすめです。トーク分析とは、オペレーターと顧客との実際の通話内容を分析し、どの点に課題があるかを客観的に評価する分析手法です。客観的な評価軸があれば、オペレーターは言われていることに納得しやすく、ポジティブな姿勢で改善に臨みやすくなります。
オペレーターは顧客からのクレームなどを受けることも多く、大きなストレスを抱えている可能性もあります。そのため、管理者は単に指摘をするだけではなく、常日頃からオペレーターとの信頼関係を構築する姿勢が欠かせません。
数値だけでは見えないオペレーターの不安や不満に寄り添い、相談しやすい人間関係を築くことが大切です。
ロールプレイなどでオペレーターのスキル向上を図る
オペレーターのスキル向上を図る手段としては、ロールプレイもおすすめです。
ロールプレイとは、複数人でオペレーター役・顧客役などに分かれ、状況を設定し電話対応の練習を行う手法です。擬似的に電話対応の練習ができるだけでなく、オペレーター同士でお互いにフィードバックを送り合うことができ、顧客側の視点に立ってみるという経験もできます。
システムを活用した品質管理を行う
オペレーターの対応品質は数値化しにくく、何を基準に評価すべきかあいまいになりがちです。そのためどのように対応品質を管理・評価していくべきか悩む方も多いでしょう。
そんな時は「コールセンターシステム」の活用が役立ちます。コールセンターシステムでは、オペレーターの通話回数や稼働率など、あらゆるデータを集計・分析できます。そのデータをもとに、パフォーマンスが高いスタッフとそうでないスタッフのデータを比較分析することで、課題の特定に役立ちます。
電話応対検定やコンクール参加に取り組む
オペレーターの電話応対力の向上を実現するために、電話応対技能検定(もしもし検定)や電話応対コンクールなどの、検定やコンクールへの参加も有効です。
資格・検定は一定以上の対応力を有する証明になり、コンクールへの参加によって新しい知見や刺激を得ることが可能です。
また、HDI-Japanの格付けベンチマークでは、顧客の視点から各企業のカスタマーサポート部門のクオリティとパフォーマンスを評価し、それを格付けとして公開しています。
格付けベンチマークで三ツ星を獲得すると、三ツ星マークを自社のWebサイトや名刺などに記載しアピールできるようになるため、ブランディングにもつながります。
ワークライフバランスの改善に取り組む
電話対応を主な業務としているコールセンターでは、しばしば離職率の高さが問題視されます。クレーム対応はもちろん、顧客の感情的な要望を一手に引き受ける感情労働であることから、コールセンターでは離職率が高い傾向にあります。電話対応を行うカスタマーサポートにおいても、同じことが言えるでしょう。
この解決策の一つとして、ワークライフバランスの改善が挙げられます。仕事とプライベートのバランスを適切に保ち、前向きに業務に取り組めるようにするワークライフバランスは、カスタマーサポートのチーム力を上げるために有効です。
ワークライフバランスによりオペレーターによって働きやすい環境となり、離職率が下がれば、オペレーター一人ひとりがスキルを積み上げて対応品質を上げていくことができます。
カスタマーサポートで電話を有効活用している企業事例
カスタマーサポートの電話対応業務によって、顧客との信頼関係を築くためにはどのようにしたら良いのでしょうか。そのヒントを探るために、ここではカスタマーサポートの電話対応を有効活用している企業事例を3つ紹介します。
さくらインターネット
引用元:さくらインターネット
レンタルサーバー事業を手掛ける「さくらインターネット」では、カスタマーサポートで年収1,000万円の世界をつくるとしたら、メンバーはどんな仕事をしてどんな価値を生んでいるべきなのかという観点から、カスタマーサクセスの改革を行いました。
そのひとつが、通話1回当たりの時間目標をKPIから外し、上司への進捗報告もなくしたことです。回答品質の均質化を求めずに、メンバーが個々に知っている専門知識があれば、ポリシーに関わらず回答するマネジメントを図っています。
さらに、同社ではカスタマーサポートの就業環境の改善にも取り組んでいます。常に顧客との接点がある部門であるカスタマーサポートは、「顧客の成長」「感動体験の伝播」を生み出すことに存在価値があると捉え、それこそが自社の未来に変化をもたらす起点となり得ると考えているためです。
キヤノンカスタマーサポート
引用元:キヤノンカスタマーサポート
キヤノングループの顧客対応を担う「キヤノンカスタマーサポート」では、高齢層の顧客から、製品の設定方法や使い方に関する問い合わせが増えたことを背景に「SKT運動」を実施しています。
SKT運動とは、シニア世代(S)にわかりやすい言葉(K)で伝えよう(T)の頭文字をつなげた言葉で、このテーマをもとにカスタマーサポートの電話対応品質の向上に取り組んでいます。
例えば、高齢者の聴力を体感するためのシミュレーターを使った研修の実施や、専門用語の言い換え集の作成・共有などが挙げられます。また、チーム制によるコンクール参加によって、全体の意識醸成や対応品質の向上を行っています。
資生堂ジャパン
引用元:資生堂ジャパン
国内を代表する化粧品メーカーの資生堂ジャパンでは、一部のブランドで専用フリーダイヤルを設置し、商品に関する専門知識が豊富なスタッフが対応しています。
さらに電話だけではなく、LINEチャットやSNSでの対応も行っており、顧客の要望や利便性にあわせてきめ細やかな対応を実現しています。なかでも、電話で問い合わせが入る顧客はシニア層が多いため、シニアの特徴を踏まえたマニュアル作成を行っています。
例えば、「短い文章で話すこと」「お客様の話をできる限り言い換えずに繰り返す」などが挙げられます。また、継続的な電話対応スキル向上に向けた取り組みを行っており、2016年には化粧品業界初の5つ星認証を実現しました。
カスタマーサポートの電話対応品質を向上し顧客の期待に応えよう
電話対応業務では、顧客が抱えている不安や悩みを理解し、共感を示すといった「心に寄り添った対応」が求められます。一人ひとりに最適な対応を実現するために、オペレーターの品質向上に努めることは企業経営の重要課題といえるでしょう。
AIツールを活用することで、オペレーターの課題特定や対応力向上に役立ちます。また、チャットボットなどのAIを活用した自動化により、軽微な質問は24時間365日、自動対応が可能になります。顧客は時間帯に関わらず課題をスピーディーに自己解決でき、オペレーターは時間が空いた分、一人ひとりの顧客にきめ細やかな対応ができるようになります。
ツールは目的・用途にあった使い分けが重要です。本記事の内容を参考に電話対応品質の向上を図り、顧客の期待に応えていきましょう。
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