顧客の問い合わせを受けて必要な対応を行う部門としては、「カスタマーサポート」や「テクニカルサポート」があります。両者の違いを一言で説明すると、顧客のサポート全般と技術的な課題に特化した顧客サポートの違いです。

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両者をしっかりと区別し、適切に設置することで、自社の業務効率化や顧客満足度の向上につながります。
本記事では、カスタマーサポートとテクニカルサポートの違いを徹底解説します。自社のサポート体制構築の参考にしてみてください。
カスタマーサポートとテクニカルサポートの共通点
カスタマーサポートとテクニカルサポートには、このあとご紹介する対応内容や役割などの違いがある一方で、共通点もあります。
両者の最も大きな共通点は、顧客から問い合わせを受け、必要な対応を行う点にあります。顧客の困りごとや疑問を聞いて問題を解決し、顧客満足度を向上させることが役割です。顧客は何か問題があったとき、最終的に頼れるのはカスタマーサポートやテクニカルサポートであり、どちらの部門においても顧客に寄り添う姿勢でサポートに当たることが重要です。
カスタマーサポートについて詳しく知りたい場合は、以下コラムをご覧ください。
カスタマーサポートとテクニカルサポートの違いを比較
カスタマーサポートとテクニカルサポートについて、6つの視点で違いをまとめました。
両者の違いを把握し、どちらを設置するのが自社に適しているか確認したい方はぜひ参考にしてください。
目的・役割の違い|顧客対応 vs 技術的な解決
カスタマーサポートの目的は、顧客の課題解決全般です。商品やサービスを購入した顧客の不満や課題に寄り添い、サポートすることが求められます。例えば、商品を購入した顧客からクレームが来た際には、クレーム内容を適切に汲み取り、顧客の不満を解消します。
カスタマーサポートは主に商品やサービスを購入後のアフターフォローを目的としているため、既存顧客に向けたサービスです。企業によっては「CS」「お客様サポート」と呼ばれることもあります。
テクニカルサポートの目的は、商品やサービスの仕様に関する技術的な調査と回答を行うことです。こちらも対象となるのは既存顧客で、IT商品やサービスの設置・操作・運用・設定など、顧客の技術的な疑問や問題を解決することが求められます。
カスタマーサポートと比べて、テクニカルサポートは商品・サービスに関する専門的な問題の解決を専門とします。
コミュニケーション手段の違い:幅広さ vs 専門性
カスタマーサポートとテクニカルサポートのコミュニケーション手段は、ほとんど変わりません。しかし、テクニカルサポートは実際の状況確認や修理を行う際に、より詳細なコミュニケーション手段が必要になる場合もあります。
カスタマーサポートは、電話・メール・チャットサポートなど、顧客の課題解決のために、さまざまな手段で対応します。業種や商品・サポートにもよりますが、対応範囲は基本的に幅広く、顧客のニーズに合わせてさまざまなチャネルを使い分けます。
テクニカルサポートも、顧客とのやり取りに使用するチャネルは限定されていません。ただし、詳細なコミュニケーションが必要になることも多く、電話での対応が多い場合もあります。時には、状況確認のためパソコンなどの遠隔操作を行い、顧客先との契約内容によっては、現場に出向くこともあります。
対応内容の違い:手続き全般 vs 技術トラブル
カスタマーサポートの対応内容は、既存顧客からの商品やサービスに対する疑問や不満に関する問い合わせ、クレーム対応などのアフターフォローがメインになります。適切に対応するため、商品やサービスについての深い知識が求められます。
カスタマーサポートの具体的な対応内容の例は次の通りです。
- 商品やサービスの初期設定・使い方サポート
- 不良品などに対するクレーム対応
- 顧客が自己解決できるFAQの作成
一方、テクニカルサポートでは、ハードウェアの操作方法やソフトウェアのトラブル対応など、IT・技術的な問い合わせの対応を行います。
具体的には、ハードウェアやソフトウェア、ネットワーク環境などに不具合があった場合や操作方法についての問い合わせなど、顧客の要求に技術的な観点から対応します。技術的な観点に特化してサポートするため、より高度かつ具体的な知識や経験値が必要になります。
テクニカルサポートの具体的な対応内容は次の通りです。
- IT関連商品やサービスの操作方法の説明
- IT関連商品やサービスの設置、修理
- IT関連商品やサービスのアフターフォロー
- ヘルプデスクからのエスカレーション対応
- 技術的なアドバイスとサービス提案
効果の違い:満足度向上 vs 信頼性向上
カスタマーサポートを設置する効果は次の通りです。
- 中長期的な顧客満足度及び信頼性の向上
- 商品やサービス内容の向上
- 既存顧客によるリピート率UP
- Web上に良い口コミを増やす
顧客が「また商品やサービスを利用したい」と思うかどうかは、カスタマーサポートの良し悪しが大きく影響します。うまく対応できれば、クレームを入れた顧客を自社のファンに変え、Web上の口コミを良いものにする効果も期待できます。また、社内で問い合わせやクレーム内容を共有すれば、新商品の開発や既存商品の改良に活かすこともできます。
テクニカルサポートでは、高度な専門知識が必要となる技術的な顧客の疑問に素早く対応することで、会社や商品・サービスの信頼性の向上を図ることができます。
テクニカルサポートでは、技術面で深い知識があるだけでなく、それを顧客に分かりやすく説明するコミュニケーションスキルも求められます。
向いている人材の違い:共感力 vs 専門知識
顧客の課題全般に対応するカスタマーサポートと、技術的な課題を解決するテクニカルサポートでは役割が違うため、向いている人材においても異なる部分があります。
カスタマーサポートで顧客のサポートを行う人材には、顧客への共感力が求められます。特に、AI技術の発達により定型的な問い合わせはAI対応が可能になってきた現在は、人間のオペレーターはより複雑な問題に対応する能力が必要とされます。
テクニカルサポートでは、共感力はもちろん、商品・サービスに関する専門知識が特に求められます。
KPIの違い:顧客満足度 vs 課題解決率
カスタマーサポートにおいては、業界や商品・サービスによってさまざまなタイプのKPIが設定されますが、最終的には顧客満足度の向上を目指すケースが多くなります。顧客の体験価値を上げたい場合は、顧客からのファーストコンタクトでの課題解決を目指す「一次解決率」をKPIとして設定するなど、顧客の感動を引き出す努力が行われます。
テクニカルサポートにおいては、基本的に近いKPIが設定されますが、技術的な問題を解決する必要性から一次解決率よりは最終的な課題解決率のほうが重視される場合があります。素早く解決するよりも、問題の根本から確実に解決することを目指すイメージです。
カスタマーサポートにおける主なKPIについては、以下コラムにて詳しく解説しています。
その他のカスタマーサポートと似た業務との違いは?
ここまで、カスタマーサポートとテクニカルサポートの特徴をご紹介しました。その他にも、ヘルプデスク・ユーザーサポート・コールセンターなど、顧客のサポートを行う部門には、さまざまな種類があります。
カスタマーサポートと各部門の違いは次の通りです。
カスタマーサポートとヘルプデスクの違い
カスタマーサポートとヘルプデスクは、サポートの対象が異なります。カスタマーサポートは社外の顧客への対応であるのに対し、ヘルプデスクはサポートの対象が社内・社外向けの両方があり、それぞれ部門が分かれています。
カスタマーサポートは商品やサービスを購入した顧客の不満や課題に対してのサポートです。一方のヘルプデスクは、テクニカルサポートと同様に、IT関連商品やサービスの操作方法など技術的な問い合わせに対してのサポートを行います。
ヘルプデスクの方がテクニカルサポートよりもサービスの対象が幅広く、ヘルプデスクで対応できない課題があれば、より専門的なサポートを行うテクニカルサポートに引き継ぎます。
カスタマーサポートとユーザーサポートの違い
カスタマーサポートとユーザーサポートは、ほぼ同義で使用されています。ヘルプデスク業務のうち、社外向け顧客を対象とする際にユーザーサポートと呼ぶこともあります。
カスタマーサポートとコールセンターの違い
カスタマーサポートは多様なチャネルを通じて顧客の課題解決を行い、中長期的な顧客満足度の向上を図ることを目的としています。一方でコールセンターは、電話に特化して顧客からの問い合わせに対応し、業務効率化やサービスの向上を図ることが目的です。
より詳しい説明は、こちらの記事をご覧ください。
カスタマーサポートかテクニカルサポートか迷ったら
自社でカスタマーサポートとテクニカルサポートのどちらを設置するべきか迷った場合は、顧客課題視点で判断するようにします。
自社が提供している商品・サービスを考慮し、顧客がどのような課題を持っているか、どのような形で問い合わせできることを望んでいるかを考えることで、どのようなサポート体制を構築するのが適しているかが見えてきます。例えば、技術的な疑問が発生しやすい業態であれば、電話サポートに重点を置いたテクニカルサポートが適しているでしょう。定型的な問い合わせが多く、問題の対応範囲が広い場合は、さまざまなチャネルを組み合わせたカスタマーサポートの構築が効果的である可能性が高くなります。
また、顧客が自身で回答を得られるようWebサイトのFAQページを充実させる、SNSでの発信を強化するなど、サポート部門でできることは多くあります。近年は、AI技術の急激な発達により、AIを活用したデータ分析やAIチャットボットなどを導入することも積極的に検討できます。サポート部門で対応できるさまざまな要素を総合的に判断し、どのようなサポート体制を構築するか判断することが重要です。
なお、AI技術を現場に導入する際は、トレンドや危機感からくる拙速な導入は避け、人間との役割分担を考えながら段階的に導入していくことで、顧客の課題を的確に解決できるサポート部門を構築できます。
顧客の課題を起点に、最適なサポート体制を構築しよう
カスタマーサポートとテクニカルサポートは、いずれも既存顧客を対象としたサポートです。カスタマーサポートでは、申し込みやクレームなどの幅広い問い合わせに対応し、テクニカルサポートでは、技術的な課題に特化したサポートを行います。
どちらを設置するべきか迷ったら、自社の事業内容、顧客が抱えがちな課題を把握したうえで優先度を決めましょう。IT関係の商品やサービスを取り扱う企業であれば、テクニカルサポートの設置は必須です。
中長期的な目線で顧客対応の体制を整え、既存顧客の満足度向上を目指しましょう。それにより、リピート率のアップや自社ブランドのファンを増やすなどの効果が期待できます。
常に「顧客は自社に何を求めているのか」と考え続けることが、ビジネスを成長させる秘訣です。
ビジネスにマッチしたカスタマーサポートのKPIを検討し、環境の変化に応じて変化させながら最終目標を達成する柔軟な考え方が大切です。
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