インターネット利用が当たり前になった現在、オンラインにて問い合わせの受け付けを行う「オンラインカスタマーサポート」を無視することはできません。

HubSpotカスタマーサポート部門のAI導入事例から学ぶ企業におけるAI活用3つの鍵
実践事例で学ぶ、データ統合・段階導入・役割分担によるAI成功の秘訣
- 日本における AI活用の現状
- AI導入の課題と解決するための3つの鍵
- カスタマーサポートチームによる導入事例
- AI導入プロセスと得られた成果
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オンラインカスタマーサポートとは、インターネットを通じてオンラインでサポートを提供する仕組みのことです。メールやSNS、チャットなど、オンラインのプラットフォームを通じて顧客からの問い合わせに対応します。
本記事では、オンラインカスタマーサポートの概要と導入するメリット、顧客の要望に対してオンラインカスタマーサポートができることについて解説します。オンラインカスタマーサポートを成功させるコツもご紹介しますので、参考にしてください。
オンラインカスタマーサポートとは?
オンラインカスタマーサポートとは、顧客からの問い合わせに対してオンライン上でサポートを提供する仕組みのことです。
主なサポート方法は、次の通りです。
- メール
- 有人チャット
- チャットボット
- SNS
オンラインカスタマ-サポートでは、顧客に合ったサポート方法(チャネル)を用いて、商品やサービスを使う際の問題を解決します。
トランスコスモス株式会社が実施したカスタマーサポートに対する「カスタマーサポートに対するカスタマーニーズ調査2024」によると、「チャット」や「チャットボット」を最初の問い合わせ方法として選んだ回答者の割合が、2022年に実施した調査に比べて増加しています。また、同調査では、カスタマーサポートで「待たされること」に対して、ユーザーが最もストレスを感じていることがわかりました。
これらの結果から、オンラインカスタマーサポートを充実させて顧客の利便性を高めることは満足度の向上につながるといえます。
オンラインカスタマーサポートのメリット
オンラインのカスタマーサポートの実施により得られるメリットは次の2つです。
- 顧客体験を向上させられる
- 業務効率化を図れる
顧客体験を向上させられる
オンラインカスタマーサポートを導入すれば、顧客は必要なときに最適なチャネルでサポートを受けられるため、結果として顧客体験の向上につながります。メールやチャットボットなど、複数のチャネルに対応している場合は、顧客自身で使いやすいチャネルを選択できるからです。
顧客にとって時間が無駄になりにくいのも特長です。スマ-トフォンがあれば、移動中でもチャットなどを利用して問い合わせられるでしょう。また、コールセンターへ電話で問い合わせる際は長い待ち時間が生じる可能性がありますが、オンラインサポートであれば、その場で解決できるケースもあります。
たとえ返信を待つ必要がある場合であっても、顧客はその時間を他のことに使えるため、ストレスを感じにくくなるでしょう。待ち時間が減少する結果、満足度の向上が期待できます。
業務効率化を図れる
オンラインカスタマーサポートでは、複数の業務を同時並行したり、ツールによって業務を自動化することで効率化を図れます。例えば、電話サポートでは顧客と1on1で対応する必要がありますが、オンラインであればチャットなどで複数の対応を同時進行させることが可能です。
また、担当者がすぐに回答できない場合は、スーパーバイザーがアドバイスしたり社内のFAQを参照したりするといった対応を取れるため、管理や担当者の育成にかかる手間や工数を削減できます。
チャットボットを導入すれば単純な問い合わせを自動化することも可能です。
コスト削減が可能
FAQの充実やチャットシステムの整備により、顧客がある程度の問題を自己解決できるようになれば、カスタマーサポートの人員で処理するべき問い合わせ件数が減ります。これにより、カスタマーサポートではより複雑な問題や個別対応するべき案件、創造的な業務に集中できるようになります。
事業規模の拡大により問い合わせ件数が増えたとしても、線上に人員を増やす必要はなく、人と技術が共存しながら効率のいいカスタマーサポートチームを構築できます。近年、トレンドから必須事項となりつつあるAI技術の導入についても、同様のことが言えるでしょう。
また、電話の対応業務を行わないオンライン専任のオペレーターを増やすことができれば、リモート勤務を増やしやすくなり、オフィス維持に必要なコストを削減できるという側面もあります。
顧客からのカスタマーサポートへの期待をオンラインでどう解決するか
オンラインで問い合わせ対応を行うことは、顧客にとってもメリットのあることですが、実際には顧客がカスタマーサポートへ求めていることをオンラインで解決することはできるのでしょうか。
以下3つの観点で、オンラインカスタマーサポートのあり方を確認してみましょう。
- 問い合わせたいと思ったときに気兼ねなく問い合わせができること
- スピーディーな対応
- 親身なやり取り
問い合わせたいと思ったときに気兼ねなく問い合わせができること
顧客は商品・サービスについて疑問があったとき、問題が発生して解決して欲しいとき、不具合や理不尽なことがあったときなどは、その場で気兼ねなく問い合わせができることを望んでいます。問い合わせ先をすぐに探せなかったり、自身に合わないチャネルしか用意されていなかったりすると、問い合わせをあきらめる・ブランドから離反するといった結果につながる可能性があります。
この要望を満たすためには、多くの顧客にとってすぐに問い合わせしやすいように、チャネルの数を充実させておくことが有効です。オンラインでは複数の問い合わせチャネルを用意することが可能なため、FAQで調べたい層、問い合わせフォームから送って回答を待ちたい層、チャットにてすぐさま回答が欲しい層それぞれに対応できます。
スピーディーな対応
顧客は、オンラインであっても直接対応と同じようにスピーディーなサポートが得られることを期待しています。
メールなどを利用したオンラインサポートでは、企業が問い合わせに対して回答をくれるタイミングを顧客は把握できません。回答までの期間があくほど、顧客は不安を抱きやすくなるため、スピーディーな対応が求められます。
また、デジタルツールを使い慣れた顧客の期待値が徐々に上がってきている点にも注意が必要です。例えば、メールであれば、多くの顧客が12時間以内の回答を求めているという調査結果もあります。
親身なやり取り
顧客に寄り添う対応は、オンラインサポートでも求められます。顧客は、自分の抱える問題を正しく理解して、速やかに解消してほしいと願っているからです。
マニュアルやテンプレートに沿うだけでは、機械的な対応になりがちです。1on1で顧客の声を傾聴し、親身な対応を心がけることが大切です。
例えば、チャットボットを導入している場合であっても、質問内容によっては自動応答から有人対応に切り替えるといった工夫を行いましょう。
オンラインカスタマーサポートを成功させるには
オンラインカスタマーサポートを成功させるには、次のポイントを意識して実施しましょう。
- 顧客が自身で解決できる環境を整備する
- 顧客が利用しているチャネルごとに応対品質を最適化する
- CRMをベースにして顧客と対話する体制を作る
- サポートチームのトレーニングにITのカリキュラムを組み込む
- 収集したデータをフィードバックする仕組みを作る
顧客が自身で解決できる環境を整備する
オンラインカスタマーサポートは、ただサービスを用意するだけでなく、顧客自身が問題を自己解決できる環境作りが重要となります。
オンラインカスタマーサポートのうち、顧客が問題の自己解決を行える方法には以下の3つがあります。
- FAQを充実させ最新の状態を保つ
- 動画コンテンツを用意して操作方法などを理解しやすくする
- 自動応答型のチャットボットを導入する
その上で、これらのサポートに顧客が簡単にアクセスできることが重要です。例えばFAQページであれば、きちんとSEOを行って簡単に検索できるようにし、FAQページの重要度が高い場合はSNSの自社アカウントトップに置いておくといった導線作りも行います。
自動応答型のチャットボットは、顧客が自身で問題を解決するために非常に有効です。Webサイトの関連ページにわかりやすく設置するなど導線を整備しつつ、自動応答できる範囲を拡大するためにはAIチャットボットの導入もおすすめです。
HubSpotのカスタマーサポートチームでは、AIを導入することによりチャットボットで解決できる問い合わせが増加し、解決率の向上や顧客満足度の向上につながっています。AIは強力な技術である一方で、虚偽の情報を正解かのように返してしまうハルシネーションなど問題もありますが、AIと人間の役割分担を正しく設定することで顧客の課題解決のための環境作りを推進しやすくなるでしょう。
顧客が利用しているチャネルごとに応対品質を最適化する
自社の顧客の傾向を把握し、利用頻度の高いチャネルを問い合わせ窓口として充実させることも有効です。なぜなら、顧客は最も利用しやすいチャネルで問い合わせをしたいと考えるからです。
具体的には、Webサイト上にFAQやチャット、問い合わせ用のメールフォームを設置したり、SNSのダイレクトメッセージ機能を活用したりする方法があります。また、サポート用のLINE公式アカウントを運用するのも方法です。
これら複数の方法を組み合わせることで、幅広い顧客に対して個別的なオンラインカスタマーサポートを提供できるため、結果として満足度も向上するでしょう。
CRMをベースにして顧客と対話する体制を作る
オンラインでのサポートは、対面や電話での対応に比べて時間の余裕があるため、顧客データを参照しながらサポートを行えるのが強みです。
顧客の基本情報や過去の対応履歴、契約データなどを一元化しておくことで、情報共有が容易になり一貫した対応が実現します。企業側が情報を把握しておけば、顧客は利用状況や問い合わせに至る経緯を一から説明する必要がなくなるので、問い合わせにともなうストレスが軽減するでしょう。
このような顧客データの管理に役立つのが、CRMです。CRMとは、顧客との良好な関係を構築するための顧客管理システムのことで、問い合わせチャネルと連携させて顧客の情報や行動履歴などを一元化できます。CRMの活用により、個々の顧客に最適なサポートを提供できるようになります。
HubSpotのService Hubは、CRMを基盤として構築されているため、マーケティングや営業ともデータ連携でき、複数チャネルでの直接対応が可能です。過去の履歴をたどりながら、顧客一人ひとりに寄り添ったサポートを実現できます。
サポートチームのトレーニングにITのカリキュラムを組み込む
オンラインを活用したカスタマーサポートを構築するには、オペレーターのITスキルを向上せさせることが欠かせません。CRMシステムの操作はもちろん、チャットシステムやSNSの理解など、IT関連の知識やスキルを醸成するトレーニングをカリキュラムに組み込むことが重要です。その上で最新のマニュアルを常に整備し、担当者ごとの対応品質を平準化します。
特に、近年はAI導入に際してのトレーニングが非常に重要です。AIを活用し、大規模データの分析や定型的な問い合わせを担当してもらうには、チームメンバーがAIのいいところ・悪いところを理解し、共生できるチーム作りを行います。AI導入に際しては、業務の流れや評価の方法などが常に変化していくことから、変化に対応するための「チェンジマネジメント」も重要です。
収集したデータをフィードバックする仕組みを作る
オンラインで提供するサポートは、定型的なデータで蓄積しやすいため、顧客からの問い合わせ内容をVOC(Voice of Customer:顧客の声)として収集し、商品・サービスへフィードバックする仕組みを作ることが重要です。
顧客からの問い合わせに対してその場では解決しても、根本となる商品・サービス、あるいは流通やマーケティングなどの問題を解決できなければカスタマーサポートとしての役割としては不十分です。
CRMシステムを導入していれば、VOCを効果的に収集できるので、各部門へすぐさまフィードバックを送信できる体制を構築することがオンライカスタマーサポート成功のために重要となります。
オンラインでも忘れてはいけない、カスタマーサポートのキホン
ここまでオンライカスタマーサポートについてご紹介してきましたが、単なる便利な技術として捉えるのではなく、カスタマーサポートとしてのキホンを押さえておくことが重要です。
顧客の心情・状況に寄り添った対応をする
オンラインサポートは文字のやり取りが多いため、担当者と顧客、互いの心情が伝わりにくいことがあります。オフライン、オンラインを問わず、人と人のやり取りであることを意識することが大切です。
丁寧な言葉使いを意識することはもちろん、顧客の心情に寄り添い、状況を正確に把握した上で、適切なサポートを行えるようにします。
カスタマーサクセスを実現する
カスタマーサポートにおける基本的な業務は、問い合わせへの対応ですが、ただ対応するだけでは十分な顧客体験とはなりにくいといえます。
商品・サービスの提供時からカスタマーサポートに至るすべてのチャネルを通し、顧客の成功体験を実現するための「カスタマーサクセス」を実現することで、大きな感動を生み、顧客からの強い信頼を得られるようになります。
オンラインの特徴を理解したカスタマーサポートで顧客満足度を高めよう
顧客のニーズの多様化により、オンラインによるカスタマーサポートの重要性は今後も高まっていくと考えられます。オンラインサポートを充実させることには、顧客の利便性が高まるだけでなく、企業にとってもコスト削減やサポート品質の向上などのメリットがあります。
本記事を参考に、オンラインならではのサポート提供の特徴をよく理解し、顧客とのスムーズなやり取りや顧客の心情に寄り添ったサポートを提供しましょう。
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