VOCとは?マーケティングに活用する方法と事例を解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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VOCとは「顧客の声」を意味するビジネス用語です。VOCを収集・分析した結果を商品やサービスの改善・開発、マーケティングに活用すれば、新規顧客の創出や顧客体験の向上、競合他社との差異化が可能になります。

VOCとは?マーケティングに活用する方法と事例を解説

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    本記事では、VOCの概要とマーケティングにおける重要性を解説します。活用メリットや収集方法、活用・分析の手順、活用事例もご紹介するので、VOCを活用する際の参考にしてください。

    VOC(顧客の声)とは

    VOCは英語の「Voice of Customer」の略語で、日本語では「顧客の声」を意味します

    企業や商品・サービスに対して顧客から寄せられる意見や感想であり、コールセンターやアンケート、インタビューなどで直接取得するほか、SNSなどに投稿される感想などもVOCに該当します。

    VOCにはポジティブな意見もネガティブな意見も含まれ、どちらも商品・サービスの改善や施策に活用できる貴重な情報です。
     

    VOCのマーケティングにおける重要性

    VOCがマーケティングにおいて重要とされる理由は、ニーズや不満、行動理由といった顧客の本音が隠されているからです

    企業側の一方的な想像ではなく、事実に即した顧客の本音を商品やサービスの改善、施策に反映させることで、顧客体験や満足度をより高められます。
     

    顧客のニーズがわかる

    VOCには顧客が抱えている悩みや課題が含まれているので、ニーズの把握に役立てることが可能です。VOCをもとに顧客ニーズに合致する商品やサービスを提供できれば満足度が向上し、新規顧客の創出や、既存顧客のリピーター化が可能になります。

    トレンドや顧客ニーズが変化しやすい市場、競争が激しい市場では、いち早く顧客のニーズに応えることが重要です。ニーズに応えられる本当の商品やサービスを迅速に提供すれば競合との差異化も可能になり、顧客から選ばれる企業になれるでしょう。
     

    顧客の不満がわかる

    VOCから、顧客が商品やサービスに対して不満に思っている内容がわかります。

    不満を放置すれば顧客の離反が起こる可能性があります。また、不満の程度が大きいと、SNSなどにネガティブな口コミが投稿され、それが拡散して企業の評判を落とすようこともありえるでしょう。

    日頃からVOCを活用して顧客の不満を理解し、早期に対応することで、顧客の離反やクレームを予防できます。顧客の不満と向き合い対応する姿勢は、企業の評判を高めることにもつながります。
     

    顧客の行動理由がわかる

    VOCを分析すると、数字だけでは判断しづらい行動の理由がわかります。

    商品の購入理由や購入しなかった理由などは、定量的なデータだけではわかりません。VOCから具体的な行動理由がわかれば、商品やサービスの開発改善のほか、効果的なプロモーションに活かせるでしょう。
     

    VOCを活用するメリット

    VOCを活用すると、次のようなメリットが得られます。

    • マーケティング施策へ反映できる
    • 顧客ロイヤルティの向上が期待できる
    • 商品やサービスの改善点が明確になる
       

    マーケティング施策へ反映できる

    VOCに含まれている顧客ニーズをマーケティング施策に反映すると、より高い成果が見込めます。

    VOCには、企業側からは気がつきにくい商品の強みや弱み、顧客が商品やサービスを使う理由が含まれます。それらの情報から、ターゲットの特徴や、より強く訴求すべき内容の手がかりが得られるからです。

    VOCをうまく活用すれば、潜在的な顧客ニーズもとらえることができ、より多くの顧客に響く施策を実施できます
     

    顧客ロイヤルティの向上が期待できる

    VOCに含まれる顧客のニーズや不満に対応し、「便利になったら良いな」という顧客の要望を実現したり、不満に感じていることを改善したりすることで、顧客満足度が向上します。

    また、収集したVOCデータを分析した結果をもとに改善すべき項目の優先順位を決定すれば、顧客が重要視する問題や要求に対して優先的に取り組めます。

    顧客ロイヤルティとは、顧客が特定の企業やブランドに対して信頼や愛着を持つ忠誠心の度合いです。継続的に顧客の声を確認して商品のサービスの改善を行うことは、顧客ロイヤルティの向上に寄与します

    顧客ロイヤルティが向上すれば、顧客の離反抑制やリピーター創出が期待でき、結果的に収益にも好影響をもたらします。

     

    商品やサービスの改善点が明確になる

    VOCを活用することで、商品やサービスの改善点を明確にできます。

    使用時に使いづらい点や不便を感じるポイントなど、定量データからは気づきにくい具体的な問題や課題をVOCは提示してくれるからです。これらの情報を活用すれば、商品やサービスの改善につなげられます。

    他にも、利用方法の案内は適切か、顧客は利用開始時に不便さを感じていないかなど、カスタマーサポート面の改善にも役立てられます。
     

    VOCを収集する方法

    VOCを収集する主な方法は、次の4つです。

    • 電話・コンタクトセンター
    • アンケート
    • インタビュー
    • SNS

    自社に最適な方法を見極めるためにも、各方法の特徴を把握しておきましょう。
     

    電話・コンタクトセンター

    コンタクトセンターは、一般的な収集方法です。

    電話やメールなどを通じて顧客と直接やりとりをするため、他の手段に比べて多くの情報が得られ、ニーズや不満を掘り下げることができます

    問い合わせには、顧客のニーズや不満が混じるケースも多く、場合によっては、その場の対応で顧客の不満を解消できるでしょう。

    コンタクトセンターの運用には人件費やオペレーターの教育にコストがかかるものの、VOCを取得できる重要なチャネルです。近年では、電話の他にメールやチャットによるやりとりも増えています。
     

    アンケート

    アンケートは、従来より活用されているVOCの収集方法で、企業側が聞きたい項目に関する意見を回収できます。

    店頭での商品購入後、サービスの利用後、特典との引き換えにアンケートの回答をお願いするなど、さまざまな手法があります。代表的なのは、オフラインでのアンケート用紙の配布やオンラインでのアンケートフォームの配信によりVOCを収集する方法です。最近では、Webサイトに搭載したチャットボットによって顧客に質問を提示し、リアルタイムで回答を収集する方法も注目されています。

    アンケートは、回答のシチュエーションや質問数、内容、形式によって回答者の負担が変わるため、いかに回答率を高めるかがポイントになります。

    アンケートの質問が複雑で専門的な内容である場合、回答者は質問の意図を理解しにくくなるため、回答を避けたり不正確な回答をしたりする可能性も否定できません。

    回答時の負担が軽いアンケートを作成することで、回答率の向上が期待できます

    HubSpotが提供するService Hubでは、ニーズに応じたアンケート作成を容易に行えます。多様な質問形式と豊富なテンプレートも利用できるので、ぜひ導入をご検討ください。

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    インタビュー

    インタビューは、事前に候補者にアポイントを取り、顧客に直接質問をしてVOCを収集する方法です。1対1で行う他、複数人を集めて行うフォーカスグループ・インタビューなどの手法があります。最近ではオンラインで行うことも多くなりました。

    対話を通じて聞きたいことを掘り下げ、定性的な深い情報を取得できるのがメリットです。

    インタビューの実施には時間がかかるため、実施回数に限界があります。そのため、VOCを収集したいターゲットの属性や条件を絞り込んで行う必要があります。
     

    SNS

    X(旧Twitter)やFacebook、InstagramなどのSNSに投稿される商品やサービスの感想や意見もVOCとして収集できます。

    SNSの投稿は短いものが多いですが、顧客が自発的に行うため本音が得られる可能性が高いのが特徴です。また、企業は公式アカウントを通じて顧客とコミュニケーションを取ることができます。

    ただし、匿名で利用できるSNSでは、投稿内容に信憑性がない場合もあるため、振り回されないように注意が必要です。

    自社に関する投稿をすべて確認するのは労力がかかるため、効率的にSNS上の情報を収集・分析できるソーシャルリスニングツールなどを活用すると良いでしょう。
     

    VOCの活用・分析ステップ

    VOCを活用するには、集めたデータを分析して、マーケティング施策や商品・サービスへ反映させる必要があります。次の手順で行います。

    1. 目的の設定
    2. 収集方法の決定
    3. 分析
    4. マーケティング施策や商品・サービスへの反映
       

    目的の設定

    VOCの収集方法や分析手法は、後述するように複数あり、目的に応じて最適なものが異なります。

    自社が必要とする情報を正しく収集し活用するために、まずは目的を明確にしましょう。なお、目的が不明確なまま手順を進めると、収集や分析をやり直さなければならない可能性が生じます。同じ顧客から短期間に何度もVOCを取得するのは難しいため、目的の設定は重要なステップです。

    VOCを取得する目的の具体例は次の通りです。

    • 商品・サービスの課題を見つける
    • 満足度が低下している原因を特定する
    • マーケティングで訴求すべき自社の強みを見つける
       

    収集方法を決める

    続いて、目的に応じて収集方法を決めます。

    各収集方法の特徴は、次の通りです。

    各収集方法の特徴

    例えば、全顧客の満足度の測定や、顧客の属性の傾向をつかむにはアンケートが適しています。また、自社商品やサービスの具体的な改善点を詳しく知りたい場合は、1対1のインタビューが良いでしょう。

    収集方法の特徴を理解して、適切な方法を選びましょう
     

    分析

    収集したデータは、定量分析、または定性分析によって分析します。
     

    定量分析

    定量分析は、データを数値化して客観的に分析する手法です。選択式のアンケートなどと相性が良く、設問ごとに「はい・いいえ」「あてはまる・あてはまらない」「毎日・週に〇日」などの選択肢を設けて回答してもらい、結果をスコアとして集計し、対象者の傾向を把握します。

    顧客の属性データと組み合わせてクロス集計すると、「30代よりも20代のほうが就寝時間が遅い」といった属性ごとの特徴を発見できます。

    なお、定量分析では、母数となるデータ量が少ないと統計的な信憑性が薄れるため、できるだけ多く回答を集めなければなりません。統計学では、400程度のデータがあると誤差を少なく抑えられるといわれています
     

    定性分析

    定性分析は、顧客の行動の背景にある心理や感情など、数字には現れない質的なデータを分析する手法です。アンケートの自由記述やインタビュー、SNSの投稿から得られた情報をもとに分析します。

    定性分析では、深い洞察が得られるかどうかやリアルな声がポイントであるため、サンプル数は少なくてもかまいません。ただし、分析が主観的になりがちであり、評価者によって結果が異なる可能性がある点に留意が必要です。複数人で評価する、論理的な判断理由を記載するなどして評価のズレに対応します。
     

    マーケティング施策や商品・サービスへの反映

    分析結果は整理して仮説をたて、マーケティング施策やサービス・商品の改善に活用します。

    実施後は、効果測定や改めてVOCを調査するなどして、施策の検証を行うことも大切です。

    顧客の満足度が低下している原因が判明して改善策を実施したのであれば、顧客数の推移を確認したり、改めて満足度に関するアンケートを収集したりして、施策の効果が出ているかを検証します。

    VOCをもとに仮説と検証を繰り返すことで、商品やサービスの価値を高められます
     

    VOC活用における課題

    VOCをマーケティングに活用する際に起こりがちなのが、「そもそもVOCが収集できない」「収集したVOCが管理されていない」といった課題です。

    ここからは、各課題の具体的な内容と対策を解説します。
     

    必要な数のVOCが収集できない

    よくある課題の一つが、分析に必要な数のVOCが収集できない点です。十分な量を集めるには、収集のタイミングや方法、内容を最適にする必要があります

    例えば、サービスの使用感を収集したいときは、使用前にアンケートを送るのではなく、使い始めのタイミングが適しています。タイミングが遅すぎるとサービスへの興味が薄れ、回答率が低下する可能性があるため注意が必要です。

    他にも、顧客の興味を引くタイトルにしたり、回答に納得感を与えるために、アンケートの実施目的を説明し、特典を用意したりするなどの工夫を行うことで、回答率を高められます
     

    収集したVOCが管理されていない

    VOCを収集しても管理されていなければ、データの取りまとめに時間がかかり、分析をスムーズに行えなくなります。VOCを適切に管理するために、データの取得から保存までの流れを事前に定めておきましょう

    また、電話で人を介して直接情報を聞き取った場合は、テキスト形式でのやりとりの記録が残りません。そのため、内容を確認するには録音内容を後から聞き直すなどの手間がかかってしまいます。

    データを容易に管理できるように、会話を自動的にテキスト化するツールを導入するのも良いでしょう。
     

    VOCをマーケティングに活用する際のポイント

    VOCをマーケティングに活用する際は、次のポイントを意識しましょう。

    • 複数チャネルから収集する
    • 優先順位をつけて対応する
    • ツールを活用する
       

    複数チャネルから収集する

    VOCを収集するチャネルは複数あり、それぞれに特徴が異なるため、目的に応じたチャネルを選択する必要があります。

    例えば、多くのVOCを集めたい場合は、アンケートが適しています。顧客の満足度が下がっている原因を突き止めたいのであれば、コンタクトセンターで顧客一人ひとりに対して深く掘りさげてヒアリングするのも良いでしょう。

    チャネルごとに回答者の傾向も異なるため、複数のチャネルを活用することで、より幅広くバランスの取れた声を集められます
     

    優先順位をつけて対応する

    VOCにはさまざまな意見や要望が含まれますが、すべてに対応し、施策に反映するのは難しいでしょう。そのため、優先順位をつけて対応することが重要です。

    定量分析や定性分析の結果をもとに数の多さや、影響度の高い情報を選定します。さらに、施策実施にかかる工数や、緊急度、重要度で優先順位をつけた対応をすると良いでしょう。
     

    ツールを活用する

    VOCの収集・分析には手間と時間がかかります。効率的に行うには、専門のツールを活用しましょう。

    コンタクトセンターやインタビューで対応する際は、録音ツールや音声を自動で文字起こしできるツールが便利です。アンケートを実施するのであれば、アンケートの作成・配信・集計・分析機能を備えたツールが有用です。また、複数のSNSからVOCを収集する場合は、ソーシャルリスニングツールを使用すると効率良くVOCを収集できます。

    HubSpotが提供するService Hubでは、ダッシュボードにて顧客の満足度を追跡でき、分析結果に基づいた迅速な対処が可能です。アンケートの自動送信機能もあるので、工数を削減しながらVOCの収集や施策の改善ができます。

    顧客満足度の向上に役立つアンケートツール | HubSpot(ハブスポット)
     

    VOCの活用事例

    ここからは、VOCを活用する2社の事例をご紹介します。
     

    株式会社良品計画

    「無印良品」を展開する株式会社良品計画では、VOCを新商品の開発や既存商品の改良に役立てる目的で、2009年よりオンラインコミュニティ「IDEA PARK」を運営しています。

    「IDEA PARK」のポイントは、顧客がオンラインで商品へのリクエストを投稿できる点です。顧客からのリクエストには、企業側は気がつきにくい顧客のニーズが含まれており、それを商品改善に反映しています。2014年のリニューアル後は、わずか2年間でリクエストは1万件を超え、200点以上の商品が見直されました。
     

    株式会社ジェーシービー

    クレジットカード業務を展開する株式会社ジェーシービーは、コールセンターを顧客との重要な接点と位置づけ、電話やメールを使ってあらゆるVOCを収集し、業務改善に役立てています。さらに、「コミュニケーション企画部」を設置し、コールセンターの支援や顧客満足度向上のための施策を実施しているのが特徴です。

    コミュニケーション企画部では、コールセンターに寄せられたVOCをもとに仮説を立て、分析の方向性を明確にしてから打つべき施策を検討しています。また、ツールを導入してアンケートの配布や集計、分析、仮説検証を効率化し、継続的な効果検証を実現しました。

    ほかにも、例えば、明細書の表記に関するクレームがあった場合に修正を行うなどの具体的な対応をしたり、オペレーターの対応に関するフィードバックを行ったりと、VOCを幅広く活用しています。
     

    VOCを活用して顧客のニーズをとらえたマーケティング施策を実施しよう

    VOCとは「顧客の声」を意味する言葉で、収集し分析することでマーケティング施策に活用できます。

    VOCを活用するには、まず目的を設定したうえで収集方法と分析方法を決める必要があります。さらに、分析結果をもとに仮説を立てて、検証を繰り返すことが重要です。

    注意したいのは、VOCに必ずしも顧客の要望が全て盛り込まれているとは限らない点です。回答者が本音を言わない、もしくは自身の真のニーズに気づいていない場合もあります。顧客が本当に望むものはなにかを探るために有効なのは、行動データを追うことです。自社サイトのどのページにたどり着いたのか、どのような資料をダウンロードしたのかなど、自社に関する行動履歴を注意深く分析することで見えてくるものがあります。

    とはいえ、VOCが自社の資産になることは間違いありません。VOCを収集しつつ、言葉に表れない行動データを分析し、顧客の理解を深めましょう。

    HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

     

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