質の高いホームページ = デザイン性に優れているホームページだという考え方があります。確かに、ホームページの見た目も大切ですが、本当に必要なのは、ユーザーにとってわかりやすく、信頼できるホームページにすることです。
ホームページを制作する際は、誰に何を伝えたいのか目的を明確にしたうえで、ホームページで「やってはいけない」といわれていることを回避する必要があります。
今回は、ホームページを作るうえで失敗したくない人に向けて、設計から制作会社の選び方までステップに沿って、やってはいけないことや注意点をご紹介します。「やってはいけないこと」を避けることができれば、ユーザーにとって魅力的で、また訪れたくなるようなホームページ作りが実現できるでしょう。
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ホームページの企画・設計でやってはいけないこと
まずは、ホームページの企画や設計について、やってはいけないことを解説します。設計は、ホームページ制作において土台となる重要な部分です。マーケティング視点がないと失敗しやすい部分なので、ぜひ本章でご紹介するポイントを参考にしてください。
ホームページを作成する目的が明確でない
何のためにホームページを制作するのか目的が曖昧だと、軸が定まらず、形だけのホームページになりがちです。「見た目をかっこよくしたい」などのデザイン面は、ホームページの目的として適切ではありません。次のような大きな目標をベースに、「誰に」「どのような情報を提供して」「どのような行動を取ってもらいたいか」を考えると良いでしょう。
- ブランディング
- 求人
- 販促
- カスタマーサポート
ターゲットが決まっていない
ターゲットが広すぎることも、ホームページ制作においてよくある失敗です。
例えば、通勤バッグのECサイトを作成する場合でも、女子大生向けなのか、40代のセールスパーソン向けなのかで、デザインや商品ページのキャッチコピーは大きく異なります。
女子大生向けのページなら、20代が好みそうなトレンドライクなデザインで、ビジネスパーソン向けなら、ビジネスを彷彿とさせる洗練されたデザインなど、訴求の仕方が変わります。
また、ターゲットを設定する時は、「デモグラフィック」や「ペルソナ」を理解しておきましょう。デモグラフィックとは、人口統計学的なデータのことで、性別や年齢、家族構成、職業、年収、ライフステージなどを指します。
一方で、ペルソナは架空のユーザー像、人物モデルのことで、その人物が実在しているかのようにリアリティある詳細な情報を設定します。ターゲットを明確化することで、コンテンツがユーザーの求めている内容とマッチし、満足度が高まります。
目標数値を決めていない
ホームページは、具体的な数値目標を設定したうえで改善を繰り返していくことが大切です。目標値はできる限り週や月ごとに細かく設定しましょう。また、ホームページの種類によって目標値は変わるので、次の表を参考にしてみてください。
ホームページの種類 |
目的 |
目標例 |
---|---|---|
コーポレートサイト |
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|
サービスサイト |
|
|
ECサイト |
|
|
ブランドサイト |
|
|
リクルートサイト |
|
|
ホームページ制作会社の選定でやってはいけないこと
依頼者に知識がないことを悪用する業者もいるので、ホームページの制作会社に依頼する際は、専門知識をある程度身につけておきましょう。ここでは、ホームページの制作会社を決める際にやってはいけないことを解説します。
相見積もりをしない
ホームページの制作会社から見積もりを取る際に、1社しか取らないと、その金額が妥当かどうかがわかりません。また、内容の割に、高額な費用で依頼してしまうことにもなりかねません。少なくとも3~4社の制作会社から見積もりを取り、比較して選定を行いましょう。
リース契約など途中解約不可の業者と契約
ホームページは作って終わりではなく、作成後のメンテナンスが必要です。ホームページの制作会社によっては、ホームページが完成した後に企業と保守管理契約を結び、ドメインやサーバーの管理、Webページのメンテナンスなどのサービスを提供しているところもあります。
保守管理契約は、月額もしくは年額で料金を支払うのが一般的です。ホームページのメンテナンスをするリソースがない場合や、ITに詳しい社員がいない企業にとって、保守管理契約は大きなメリットになるでしょう。
一方で、「リース」と呼ばれる契約を持ちかけてくる制作会社には注意が必要です。
リース契約とは、制作会社からホームページをレンタルする契約のことで、中途解約できない契約内容になっている場合もあります。長期契約を結んでしまうと、サービスに不満を感じても解約できず、毎月費用を支払わなければなりません。
リース契約は、保守管理契約と全く別物なので注意しましょう。
目的に合った制作会社を選んでいない
ホームページの目的に合わない制作会社を選ぶと、ミスマッチが起こる場合があります。例えば、集客目的のサイトにもかかわらず、デザイン重視のサイトになってしまうなどのミスマッチが考えられます。
また、制約の多いCMSを使用する制作会社の場合、デザインやサイトの構造を変更しにくいなど、ホームページの運用が不便に感じることがあります。
初期費用が格安or高額なパターンは要注意
制作会社を選ぶ際は、安すぎるのも高すぎるのもNGです。安すぎる場合は、こちらの望む要望やデザインができないなど、本来の目的が達成できないことがあります。
一方で、費用が高い場合は、なぜ相場より高いのかを確認する必要があるでしょう。ホームページ作成の費用に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
無料のホームページ作成ツールでやってはいけないこと
最近では、直感的な操作で簡単にホームページを制作できる無料のツールが数多く出回っています。ここでは、無料のツールを使用して自社でホームページを作成する際に、やってはいけないことをご紹介します。
目的を無視したホームページ作成ツールの選定
無料ツールには、それぞれ得意分野があります。「無料だからこのツール」と安易に選ぶと無駄な出費につながり、かえって時間がかかる場合もあります。商品販売をするECショップなのか、オウンドメディアで集客するのかなど、目的とするホームページに合ったツールを選びましょう。
ホームページ作成ソフトに関して詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください。
独自ドメインを取得しない
ホームページの「〇〇.com」「〇〇.jp」の部分を「ドメイン」といい、インターネット上の住所のような役割をします。ドメインには「共有ドメイン」と「独自ドメイン」があり、独自ドメインは、この「〇〇.com」の部分を契約者が好きなように決めることができます。
一方で共有ドメインとは、1つのドメインを複数の契約者で利用するドメインです。例えば、https://www.■■.comというURLであれば、https://www.aa.■■.comやhttps://www.bb.■■.comのように、「■■.com」のドメインを複数のアカウントで共有することになります。
無料のホームページは共有ドメインを使用しているケースが多く、その場合、ドメインを自社で決めることができません。自社のホームページURLに、共有ドメインのような自社と関係のない文字列が入ると、信頼性に欠け、ユーザーを不安にさせてしまいます。
広告を非表示にしない
無料のホームページ作成ツールは、使用できる機能に制限があるケースが大半です。広告を非表示にできないことも多く、ホームページに広告が表示されると、ユーザーが外部サイトへ離脱する原因になります。
自社ホームページに少しでも長く留まってもらうため、広告は非表示にするのが理想です。数は少ないですが、無料ツールのなかにも広告を非表示にできるものがあります。ただし、使いたい機能が備わっていないことも考えられるため、ホームページの目的によっては有料ツールの使用も検討してみましょう。
ホームページの運用費用を予算に含めていない
無料ホームページの作成ツールは、作成は無料でも、毎月の手数料やオプション料金がかかるケースが多いです。ECサイトを作成できるプラットフォームであれば、決済手数料やシステム手数料など、毎月積み上がると、無視できないコストになることもあります。
ホームページは制作費用だけでなく、運用費用も含め、自社の予算と目的に合わせた判断が必要です。
ホームページの構築でやってはいけないこと
SEO対策に悪影響があることは、ホームページの構築でやってはいけません。検索結果に表示されないのは、ユーザーがホームページを見つけられないということと同じで致命的な問題です。
次で解説することは、専門的な内容となるので、依頼した制作会社からの成果物に対しチェックリストとして参考にしてみてください。
無料のレンタルサーバーを使う
サーバーとは、ホームページに表示するテキストや画像などのデータを保管しておくコンピュータやソフトウェアのことです。ホームページの立ち上げには欠かせないもので、サーバーを貸し出すサービスを「レンタルサーバー」と呼びます。
レンタルサーバーには、無料サーバーと有料サーバーがありますが、無料サーバーには次のようなデメリットがあります。
- サポートが受けられないことがある
- 容量が小さい
- 一部のCMSが使用できない
- ドメイン数に限りがある
このように、無料サーバーは運用面で推奨できない部分があるため、制作会社が無料サーバーを勧めてきた場合は注意が必要です。実際のところ、有料サーバー自体、そこまで費用がかかるものではないので、できれば有料サーバーの利用がおすすめです。
URLを正規化していない
同じホームページでも、次のように複数のURLが存在することがあります。この場合は、URLの正規化が必要です。
- https://〇〇.com/
- https://www.〇〇.com/
- https://〇〇.com/index.htm
URLが正規化されていないと検索エンジンで別のページと判別され、SEOの評価が分散します。その結果、検索結果の表示順位に悪影響を与えます。
SSL化していない
SSLとは、データの暗号化によりハッカーや改ざんなどを防ぐ仕組みを指します。非SSLでは、個人情報が漏れてしまう恐れがあり、安全性が確保されません。ユーザーに不信感を抱かせる原因にもなります。
SSL化すると、ホームページのURLが「http」から「https」に変更されます。「s」がついていなければ、対応を急ぎましょう。ホームページのSSL化は、ユーザーの個人情報を守るうえで欠かせない項目です。
パンくずリストを設置していない
パンくずリストとは、ユーザーがホームページ上のどの位置にいるかを示すリストのことです。パンくずリストを設置すると、位置だけでなく、ユーザーがホームページの構成を理解できるため、SEO対策にも効果があるといわれています。
ページ表示速度を考慮していない
ページの表示速度に時間がかかるとユーザーは離脱し、最後までホームページを見てくれません。表示速度を上げるには、画像や動画などのサイズの工夫が必要です。
2020年にはGoogleがコアウェブバイタルを発表し、そのなかには表示速度も含まれており、これからはより一層、表示速度を気にしてホームページ制作を行わなければなりません。なお、コアウェブバイタルとは、検索順位の決定要素に組み込まれた最新のUX指標(サービスを通じてユーザーが得る体験)を指します。
レスポンシブ(モバイル)対応していない
レスポンシブ対応とは、ユーザーが使用している端末に合わせて画面のレイアウトが自動調整される仕組みのことです。ホームページにアクセスするユーザーのなかにはスマートフォンやタブレットを使っている人もいるため、レスポンシブ対応は必須といえます。
制作会社にレスポンシブ対応を依頼する際は、別料金がかかる場合があります。ホームページを作成する前に確認しましょう。
セキュリティ対策をしていない
対策を講じないとページ改ざんや個人情報の漏えいなどのリスクが高まります。法人であればセキュリティ対策は必須で、セキュリティ対策機能のあるサーバーを利用するのがおすすめです。
問い合わせフォームを設置しない
問い合わせ対応の体制が整っていないと機会損失を招く可能性があります。問い合わせするユーザーは、商品やサービスに強い関心を持っている場合が多く、すぐに問い合わせができないと離脱してしまうかもしれません。
問い合わせ対応を簡略化するには問い合わせフォームの設置がおすすめです。代表的なものには、無料で作成可能な「Googleフォーム」があります。
ホームページのデザインでやってはいけないこと
ホームページのデザイン面でやってはいけないことを4つのポイントに分けて解説します。
何のホームページか一目で分からない
扱っている商品やサービスが一目で伝わるデザインを選定しましょう。かっこよさやビジュアルにこだわり、内容と関係ない画像を選定すると、ユーザーが混乱してしまいます。
誰が見ても分かりやすいホームページのデザインを心がけましょう。
誰に向けたホームページか分からない
ターゲットに即したデザインになっていないとユーザーは興味を持ってくれません。性別や年齢層、地域などターゲットに寄り添ったデザインが共感を生み、目標達成につながります。
アニメーションやフラッシュの多用
アニメーションは目線の誘導には効果的ですが、過度な使用は逆効果です。フラッシュはスマートフォンでは表示できず、セキュリティの脆弱性やSEO対策では不利になります。
重要な要素の視認性に欠ける
デザイン性を重視しすぎて、文字が小さく読みにくいと、利便性に欠けます。さまざまなユーザーに配慮し、最低でも大きさは16px、サブ情報も12pxは必要です。
ページ速度を考慮していないデザイン
動画やアニメーションの使用、またはサーバーの環境などが起因で速度が低下することがあります。デザイン性を意識することも大事ですが、ページが重くストレスになってはユーザーにとっても、SEO面でもマイナスになります。
デザインを重視して、不要な動画、アニメーションの設置はできるだけ控えましょう。
ホームページのコンテンツでやってはいけないこと
コンテンツはホームページの肝であるSEOに大きく影響を及ぼす部分なので、精査が必要です。ここでは、コンテンツの制作でやってはいけないことを解説します。
他サイトの文章をコピペする
文章、テキストのコピペは、引用元を明記すれば使用可能です。ただし、オリジナルの文章の補強や補完の意味合いで利用するのがポイントで、引用の方が割合が多いコンテンツはNGです。
著作権フリーでない画像を使う
画像には著作権があるため、権利上問題がないかを確認して使用しましょう。使用したい場合は、個別に許可を取る必要があります。ライセンス表記をすれば掲載が可能になる画像もあります。
文章のみで作成する
コンテンツには読んでもらうための工夫が必要です。具体的には、イラストや図解を入れて、文字の羅列を避けることや箇条書きを使用し、テンポ良く読み進めるなどの方法があります。自分本位に書きたいことだけを書くのはNGで、常にユーザー目線を心がけたホームページを作成しましょう。
ソースや真偽が不明な情報を記載する
インターネット上には不確かな情報も多いため、発信元の信頼性や正確性を吟味する必要があります。不用意に品質の低い情報サイトにリンクをするとSEO的にも悪影響がでます。
ホームページに何を載せるべきなのか詳しく知りたい人は、こちらを参考にしてください。
コンテンツが重複している
複数のページでコンテンツが重複していると、Googleがどれを評価すれば良いか混乱し、SEOに悪影響です。例えば、コンテンツが重複していると、どちらか一方のページしか表示されない場合があります。最悪の場合、意図的な重複と判断され、どちらも表示されないという結果になります。
解決策は、noindexでどちらかを非表示にするか、表示しなくても良いページから301リダイレクトで表示させたいページへ遷移させることです。
オリジナル性のないページを作成する
他サイトを引用することはOKですが、その範囲が多すぎるなどで、Googleからオリジナリティがないと見なされる可能性があります。模倣のコンテンツは、ユーザーの満足度や信頼を得られず、結果として目標達成につながりにくいです。
ホームページのSEO対策でやってはいけないこと
検索結果で上位表示を狙うためにはSEO対策が必須です。ここでは、ホームページ制作のSEO対策でやってはいけないことを解説します。
外部リンクを購入する
かつては、被リンクの数がSEOの施策として効果的でしたが、最近では外部リンクを購入して被リンクさせるのは、検索結果の品質を下げる可能性があります。その他、関連性の低いサイトなどの被リンクも効果的ではありません。
キーワードを隠しテキストや隠しリンクで入れる
一昔前に、ユーザーには閲覧されない部分に対策キーワードを入れるSEOテクニックが横行していましたが、基本的にユーザーにとって無意味なことは、ペナルティの対象となるのでNGです。
キーワードを不自然に詰め込む
不自然に対策キーワードをコンテンツ内に乱用するのはペナルティの対象となります。 よくあるケースですが、地域名で上位表示を狙うために、サイトのフッターに地域名を羅列するのも避けましょう。
ホームページの運用でやってはいけないこと
ホームページは公開して終わりではなく、その後の運用が重要です。ここでは、ホームページの運用でやってはいけないことを3つご紹介します。
アクセス解析ツールを導入しない
ホームページは、常にユーザー目線、SEO観点で最適化する必要があります。アクセス解析ツールを導入しないと、ホームページの分析ができず、ホームページが抱えている問題を改善できません。
おすすめのアクセス解析ツールは、無料で導入できる「Googleアナリティクス」です。
コンテンツを継続的に更新しない
ホームページの更新が停止していると企業自体の活動が停止していると思われ、信用問題に影響します。SEO観点でもコンテンツの更新は必須で、常に最新情報にしておくことでGoogleからの評価も上がります。
特定の検索意図に応えるものでない企業のトップページは、上位表示しにくいので、集客用の関連コンテンツを用意して集客につなげましょう。
例えば、家事代行サービスの会社であれば、「家事代行サービス 料金」「家事代行サービス おすすめ」などのワードで定期的にコンテンツを作成すると、そこから集客が見込めます。
やってはいけないルールを理解して適切なホームページ制作を
ここまで解説したように、ホームページの制作には、「やってはいけない」といわれていることがあります。
基本的には、ユーザーのためにならないことは「やってはいけない」と考えると良いでしょう。例えば、検索エンジンからの評価を上げるために記事の文字数を不必要に増やしたり、検索エンジンから評価されている他サイトのコンテンツをコピーしたりといったことです。ホームページのセキュリティ対策を怠ることも、ユーザーを危険に晒すため「やってはいけない」ことといえます。
ホームページを制作する際は、常にユーザー目線で誠意を持って取り組みましょう。誰に何を伝えたいのかを明確にしたうえで、ユーザーにとってわかりやすく、見やすく、信頼してもらえるホームページが、理想のホームページといえるでしょう。