コンテンツマーケティングとSEOの違いを混同するとどうなるか?

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三友 直樹(Naoki Mitomo)
三友 直樹(Naoki Mitomo)

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コンテンツマーケティングが日本で話題になってからしばらく経ちますが、「コンテンツマーケティング=サイトへの集客手段」という認識がまだまだ目立つように感じます。

コンテンツマーケティングとSEOの違いを混同するとどうなるか?

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筆者の勤める株式会社日本SPセンターでは、コンテンツマーケティングに特化したメディア「Content Marketing Lab」を運営しています。実際にメディアを運営している私たちからみても、コンテンツマーケティングは優れた集客手段として確かに機能します。特にコンテンツによって検索流入を狙う施策、いわゆる「コンテンツSEO」を行うことで、見込み客が自発的にサイトへ訪問してくれる状態を作ることができます。

しかし本当にSEOを中心とした集客手段として、コンテンツマーケティングを理解してしまって問題ないのでしょうか?

ここで一つ気になるデータがあります。コンテンツマーケティング関連における主要検索キーワードの月間検索回数です。キーワード「コンテンツマーケティング SEO」は70回となっています。ちなみに「コンテンツマーケティング」自体の検索回数は約8,000回です。

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一方で、マーケティング先進国であるアメリカにおいて、同様のキーワード(Content Marketing SEO)の検索回数をみてみました。すると同じく70回でした。ただ「Content Marketing」の検索回数自体は数万回に上ります。日本語の「コンテンツマーケティング」の検索回数を大幅に上回っていることから、アメリカのコンテンツマーケティング業界において、「コンテンツマーケティング」と「SEO」を紐づけて考える人は、相対的にかなり少ないと言えそうです。

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今度はアメリカにおける「Content Marketing Strategy」の検索回数を調べてみました。同地でコンテンツマーケティングが語られる際に、最も重要視されるワードです。その数は1,600回でした。ちなみに英語のコンテンツマーケティング関連キーワードの中では、トップクラスの多さです。

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さらに同様の日本語キーワード(コンテンツマーケティング 戦略)の日本での検索回数です。20回となっており、「コンテンツマーケティング SEO」の3分の1以下しかありません。

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コンテンツマーケティングにおける戦略性を重視するアメリカと、集客手段としてみる日本。両者による理解には少しギャップがありそうです。

結論からいうと、コンテンツマーケティングとコンテンツSEOは似て非なるものです。ただ異なるだけなら問題ないかもしれませんが、単なるSEO施策としてコンテンツマーケティングをとらえてしまうと、うまく成果につながらない場合も出てきてしまいます。

これら2つはどう違うのか?混同することでどんな弊害があるのか?さらに戦略的にコンテンツマーケティングを実施するための考え方とは?といった観点で、今回は話を進めていきたいと思います。

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〜見込み客を惹きつけるコンテンツとは?〜

コンテンツマーケティングとコンテンツSEOの違い

コンテンツマーケティングへの理解がアメリカと日本で異なる、と説明しました。それではアメリカではどのように定義されているのでしょうか?

英語で「Content Marketing」と検索すると、1位に出てくるのが「What Is Content Marketing?」という記事(2016年11月時点)。コンテンツマーケティングが一般的に広まるきっかけを作った、米Content Marketing Instituteが執筆元です。

その定義の中でまずポイントとなってくるのが、「適切な(Relevant)コンテンツ」。見込み客がその都度求めている情報を理解した上で、適切なコンテンツを出してあげることで、彼らを少しずつ購買に導いてあげようという考えです。

見込み客が求める適切なコンテンツを出す、という意味ではコンテンツSEOも同じでしょう。そもそも検索ニーズに対して適切に答えたコンテンツでない限り、検索結果の上位に表示されず、SEOとして成立しません。

しかし見込み客が求める「適切なコンテンツ」とは、本来検索コンテンツだけではないはずです。

たとえば検索をきっかけにサイトを訪問した後に、さらに情報収集を深めたいと見込み客が感じるケースも多いでしょう。特に家電や住宅、各種サービスをはじめ、購買までに多くの情報を検討する必要がある商材で、この傾向が顕著になります。

そうした見込み客に向けて、ダウンロード資料やメルマガなどを通して、より深い情報を提供するというのも一つのやり方です。

商品の検討が進むにつれて、見込み客が求める情報は変わっていきます。彼らが知りたいことをしっかりと理解した上で、「適切なコンテンツ」を都度発信していく。それによって段階的に購買に導いていくというのが、本来のコンテンツマーケティングの考え方です。

コンテンツSEOは、あくまで商品検討における認知のきっかけを作るに過ぎません(もし自分たちの見込み客が「検索して情報を探す」という行動をとればという話ですが)。

こうした違いがある中で、2つを混同することで起こる弊害について、触れてみたいと思います。

2つの混同による弊害とは?

コンテンツSEOとは、コンテンツマーケティング施策の認知段階におけるSEOを担当するに過ぎない、という話をしました。そのため「コンテンツマーケティング=SEO」と理解してしまうことは、一部を全体ととらえてしまうことを意味します。

これによって起きてしまう弊害としては、主に2つ考えられます。

1.検索という行動をとったターゲット以外にリーチできない

コンテンツSEOは、検索によって情報を探す見込み客をサイトに引き寄せるための手段です。当然ながら、見込み客の検討ステップの中に検索行動が含まれていなければ、そもそもリーチできません。

もちろん場合によって「検索しない見込み客」は存在します。例えば情報探索が苦手、もしくは高齢であまりPCやスマホの操作に慣れていない人などです。こういった方たちによる商品検討は、売り場の店員や営業員から聞いた情報をもとにその場で決断する、となるケースも少なくありません。

もし本来のメインターゲット層がこのような非検索者であるにもかかわらず、手段ありきでコンテンツSEOを始めてしまったら、せっかくの施策がムダになってしまいます。

また「まだ検索しない見込み客」もいるでしょう。つまり潜在的なニーズはあるものの、まだ意識化されていないため情報探索を始めていない人たちです。彼らにリーチするためには、検索コンテンツ以外の手段が必要になります。

一つ事例をご紹介します。

ご存じの方も多いかもしれませんが、転職エージェンシーのインテリジェンス社は、「未来を変えるプロジェクト」というオウンドメディアを運営しています。目的は、まだ転職を考えていない人たちの中で、DODAの認知を向上させることです。

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そのために、彼らはFacebookやはてなブックマークを中心としたSNSでの拡散を狙ったコンテンツを発信しています。キャリア構築や働き方に関する記事が中心で、数多くの記事がFacebookで数千レベルのいいねやシェアをたたき出しています。

コンテンツが拡散されれば、まだ転職を検討していない人のSNSタイムラインにも表示されるので、潜在層による認知増を期待できます。

またターゲット層がシェアしたくなるコンテンツを作るために、明確な仕組みを作っている点も、非常にユニークです。(詳しくは、私たちのインタビュー記事「成功の秘訣は場づくり…インテリジェンス社が手がけるコンテンツ開発の極意!」をご覧ください)。

「コンテンツマーケティング=SEO」という発想からは、こうした施策は出てこないでしょう。

2.集客コンテンツに偏りがちになる

仮にターゲット層が検索をする人たちだったとしても、彼らをサイトに集客するだけでは不十分です。集客した人たちを購買まで導くための工夫も必要になります。家電や住宅のように、商品検討期間が長い商材の場合は特にそうです。

しかしコンテンツSEOに注力する場合、どうしても集客にばかりフォーカスが当たりがちになります。そこでコンテンツSEOだけにとどまらず、集客後の施策も緻密に実施している事例を紹介します。

米ボストンで家電の販売などを手掛けているYale Applianceという会社があります。

彼らによるコンテンツマーケティングの目的は、見込み客をサイトに集客した上で、最終的にサイト上もしくは店舗で購入してもらうことです。そのためにまず様々な家電に関するお役立ち情報を発信。検索によってサイトへ集客しますが、それだけではありません。

さらに検討熟度が高まった訪問者に向けて、家電の選び方を解説したPDF資料「Buying Guide」をいくつも用意しています。居住地域やメールアドレスなどを入力すると、ダウンロードできる仕組みです。

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その後獲得したメールアドレス宛にメルマガを定期的に送付することで、検討熟度をさらに上げていき、販売へとつなげているのです。どの資料をダウンロードしたかによって、メルマガの内容を作り分けているため、個々人の興味関心に細かく沿った内容になっています。そのためメールの開封率は50%以上に及ぶそうです。

せっかく集客した訪問者を逃さないためにも、こうした緻密な施策を検討したいところです。

目的に応じて使い分け、コンテンツマーケティング4つの型

コンテンツSEOだけでは、検討ステップごとに移り変わる見込み客の情報ニーズに対応しきれません。「適切なコンテンツ」を提供していくためにも、マーケティング対象の商品特徴などによって、複数の手法を使い分ける必要があります。コンテンツマーケティングで使う手法には、コンテンツSEOに加えて以下の3つがあります。

  • エデュケーショナル型
    見込み客の疑問や困りごとに対してコンテンツで答える手法です。「ジューサーとミキサーは何が違うのか?」「縦型とドラム型ではどちらの洗濯機がいいのか?」など、購買検討時の疑問に的確に答えることで、商品購入を手助けします。
    考え方としてはコンテンツSEOとほぼ同じですが、エデュケーショナル型の目的はSEOではないので、検索流入を重視した作りは必ずしも必要にはなりません。

  • ネイティブ広告型
    メディア内で、記事に近い形で掲載されるコンテンツです。コンテンツSEOとの比較でいうと、まだ自身で情報探索を始める前の潜在層にアプローチできる手法です。

  • 面白コンテンツ型
    誰もが興味を持つ「面白いコンテンツ」の力を利用して、生活者の関心を惹きつける手法です。うまく当たれば爆発的な引力を発揮できます。
    面白さで集めた生活者は、見込み客ではない確率も高いという課題はあるものの、例えば、集客すれば比較的高い確率で商品購入につながる低関与度の商品には適しています。

4つの型のどれが適切かは、商品特性や目的、見込み客などによって決めます。(詳しくはこちらの記事「コンテンツマーケティングの4つの型」をご覧ください)。

どの手法を選ぶにしても、その後にリードナーチャリングや、最終的な購入に導くための説得型のハードセルコンテンツがなければ、コンテンツマーケティングは成功しません。

今回の記事が、手段ありきでなく、戦略的にコンテンツマーケティング施策を考えるきっかけになれば幸いです。

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