コンテンツマーケティングは中長期的に取り組む施策になるため、中間目標となるKPI(重要業績評価指標)を適切に設定して、施策を数値で評価しながら進めることが大切です。


コンテンツマーケティング入門ガイド
〜効果的なコンテンツ戦略の立て方を大公開〜
- コンテンツマーケティングの基本
- マーケティング戦略の立案方法
- ブログ作成のポイント
- 成功事例と書籍のご紹介
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本記事では、リードジェネレーション・リードナーチャリング・LTV(生涯顧客価値)向上という3つの目的に分けて、コンテンツマーケティングのKPIとして設定可能な指標をわかりやすく解説します。
KPIを管理するポイントや測定に役立つツールも紹介しますので、あわせて参考にしてください。
コンテンツマーケティングのKPI設定方法
コンテンツマーケティングで成果を出すためには、適切なKPIを設定し、取り組むべき施策やフェーズごとの目標を明確にすることが欠かせません。
KPIの設定は、次のステップに沿って進めていきましょう。
- KGIを設定する
- コンテンツマーケティングの戦略を立てる
- KGIの達成に必要な指標を検討する
- KPIを設定する
1. KGIを明確にする
まずは、最終的に達成したい経営目標であるKGI(重要目標達成指標)を明確にします。
KGIの代表例としては、年間の売上高や最終的な利益などがあげられます。自社にどのような課題があり、何を達成するためにコンテンツマーケティングに注力するのかを明確にしましょう。ここで設定したKGIをブレイクダウンしてKPIを設定するのが基本的な流れです。
ブランド認知度の向上やリード(見込み客)の創出、顧客エンゲージメントの強化、LTV(生涯顧客価値)の向上など、コンテンツマーケティングの目的は企業によってさまざまです。最終的な目標であるKGIを明確にすることで、コンテンツマーケティングの方向性が定まります。
2. コンテンツマーケティングの戦略を立てる
コンテンツマーケティングの戦略は、カスタマージャーニーのステップに合わせて設定すると良いでしょう。カスタマージャーニーとは、顧客が商品・サービスを認知してから購入に至るまでの過程のことです。顧客が購入を決定するまでの行動や心理状況の変化を理解することで、そのときのニーズに合ったコンテンツの提供が可能になります。
具体的な手順としては、まずカスタマージャーニーを図として可視化した「カスタマージャーニーマップ」を作成し、顧客が商品やサービスを購入するまでの段階を「認知」「興味関心」「比較検討」「行動」に分解します。続いて、ステップごとにコンテンツの戦略を考えましょう。
- 認知:自社のターゲット層に興味を持ってもらえそうな情報を幅広く提供してタッチポイントを創出
- 興味関心:商品・サービスへの理解を深めるためのコンテンツを提供
- 比較検討:競合の商品・サービスとの比較検討がスムーズに進むようにスペック一覧表などのコンテンツを提供
- 行動:自社の商品・サービスの活用事例やレビューの共有で購入を後押し
既存のコンテンツも洗い出し、活用できるものがあれば試してみましょう。詳しい戦略の立案方法は、次の記事を参考にしてください。
3. KGIの達成に必要な指標を検討する
コンテンツマーケティングの戦略が固まったら、カスタマージャーニーのそれぞれのステップで、KGIの達成を目指すうえで重要となる指標を検討します。これがKPIのベースとなります。
例えば、認知フェーズにいる見込み客に向けてコラム記事の作成を実施する際には、「ページビュー(PV)数」「SNSでのシェア数」が指標として考えられます。見込み客の購買意欲を醸成する段階では、コラム内に設置した導線から発生した「メルマガ登録数」や「資料ダウンロード数」などが指標として適しています。
この段階では指標の検討のみを行い、具体的な数値の設定は次のステップで行います。
4. KPIを設定する
指標を絞り込んだら、具体的な数値に落とし込んでKPIを設定します。
KPIを設定する際には、SMARTの法則を意識しましょう。
- Specific:具体的か
- Measurable:測定可能か
- Assignable:役割や担当者は決まっているか
- Realistic:実現する可能性はあるか
- Time-related:期限は明確に定められているか
「好感度」や「満足度」のような主観的な指標も、測定可能な数値に落とし込むのがポイントです。例えば、「好感度」はSNSの「いいね」数を指標に設定できます。「満足度」であれば、リピートユーザーの割合や口コミの数などが指標として考えられます。
SMARTの法則に基づいてマーケティング戦略を設定する方法は、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
コンテンツマーケティングのKPIになる指標
ここでは、コンテンツマーケティングの代表的なKPIを3つの視点から解説します。
- リードジェネレーションに関するKPI
- リードナーチャリングに関するKPI
- LTV(生涯顧客価値)向上に関するKPI
リードジェネレーションに関するKPI
リードジェネレーションに関するKPIとしては、次のようなものがあげられます。
- 投稿記事数・コンテンツ数
- インプレッション数
- PV(ページビュー)数
- UU(ユニークユーザー)数
- 離脱率
- ページ遷移率
投稿記事数・コンテンツ数
コンテンツマーケティングでは、継続的に情報を発信して見込み客にアプローチすることが重要です。そのため、特定の期間内に投稿した記事数やコンテンツ数をKPIとして設定できます。
幅広いテーマでコンテンツを提供すると、見込み客のさまざまなニーズに対応できるでしょう。
インプレッション数
インプレッション数は、コンテンツがユーザーに表示された回数を表す指標です。インプレッションが増えるほど、見込み客を創出できる機会が増えます。
PV(ページビュー)数
PV数は、「コンテンツが何回閲覧されたか」を示す指標です。PV数が多いほど、コンテンツの魅力度が高く、ユーザーのニーズや課題に合った内容になっていると考えられます。
例えば、あるブログ記事が1か月に500回閲覧された場合、PV数は500です。1つの記事に対して、1人のユーザーが複数回閲覧した場合も1PVとしてカウントされます。
UU(ユニークユーザー)数
UU(ユニークユーザー)数は、異なるユーザーの訪問数を示し、一定期間内にコンテンツがどれだけの人にリーチしたかを把握する指標です。UU数が多いほど「人気がある」または「魅力のあるコンテンツ」であると判断できます。
インプレッションとの違いは、インプレッションが「何回表示されたか」を表すのに対して、UUは「何人に届いたか、閲覧されたか」を表す点です。
また、PV数の考え方とも違いがあります。PV数は同じユーザーが1つのコンテンツを複数回閲覧した場合、それぞれカウントされるのに対して、UU数の場合は1人のユーザーが同じ端末で2回アクセスしても1人としてカウントされます。
離脱率
離脱率は、サイト訪問者が特定のページを最後にサイトから離れた割合を示す指標です。ユーザーの満足度を表している指標といえます。
一般的に離脱率が高い場合、コンテンツがユーザーのニーズや悩み解決につながっていないと考えられるので改善が必要です。
ただし、離脱率が高くても問題ない場合もあります。例えば、FAQ(よくある質問)のようなページで、知りたい情報をすぐに見つけられたユーザーが多いと、離脱率は高くなるでしょう。離脱率をKPIとして設定する際は、コンテンツの特性を考慮することが大切です。
ページ遷移率
ページ遷移率とは、ユーザーがサイト内でほかのページへ移動した割合を表す指標です。リード創出やエンゲージメント向上を目指す際に重要な要素であり、コンテンツの質を反映しています。
特定のページからアクセスさせたいページへの遷移状況を把握することで、ページ間の導線設計がうまく機能しているかどうかを評価できます。
コンバージョンに関するKPI
コンバージョン(CV)に関するKPIの例は、次の通りです。
- クリック率(CTR/Click Through Rate)
- コンバージョン数(CV)
- コンバージョン率(CVR)
クリック率(CTR/Click Through Rate)
CTR(Click Through Rate/クリック率)は、リンクやコンテンツが表示された回数(インプレッション数)に対して、クリックされた割合を示す指標です。
例えば、コンバージョンボタンが1,000回表示され、そのうち30回クリックされた場合のCTRは3%です。
CTRが高いほど、ユーザーがそのコンテンツやサービスに興味関心を示していることを表しており、効果的なマーケティング活動が行われていると判断できます。
コンバージョン数(CV)
CV数は、実際にコンバージョンが発生した件数を示す指標です。具体的には、購入・資料請求・問い合わせなど、Webサイトやキャンペーンなどで設定した具体的なアクションをユーザーが実行した回数を意味します。
CV数が増えると、見込み客の創出や売上の増加につながります。
コンバージョン率(CVR)
CVRは、Webサイトへの訪問者数のうち、購入や問い合わせ、資料ダウンロードなど最終成果につながった件数の割合を表す指標です。
あるランディングページに1,000人が訪問し、そのうち30人が購入した場合、CV率は3%です。
CVだけでなくCVRも確認しておくと、コンテンツの適切な評価につながります。アクセス数が多いコンテンツの場合は、それに比例してCVも多くなるため、CVだけでは集客効率を判断できません。アクセス数が多いにも関わらず、CVRが低いコンテンツを優先して改善することで、集客効果を大きく改善できる可能性があります。
リードナーチャリングに関するKPI
ここでは、リードナーチャリング(見込み客の購買意欲の醸成)に関するKPIを紹介します。
- メルマガ開封率
- ウェビナーの参加数
- SNSのシェア数
メルマガ開封率
メルマガ開封率は、配信したメールがユーザーによって開かれた割合を示します。読者がコンテンツに興味を持ち、メールの内容をチェックしているかどうかの判断材料となり、メールマーケティングの成果を評価する基本的なKPIです。
1,000通のメールを配信し、そのうち300通が開封された場合、開封率は30%となります。
メルマガ開封率が低い場合は、件名や送信のタイミングを見直すことで改善できる可能性があります。
ウェビナーの参加者数
Web上で行うセミナーである「ウェビナー」の参加者数も、重要な指標のひとつです。
リードナーチャリングを目的として行われるウェビナーは、見込み客に対する商品・サービスの紹介や事例共有などの場です。参加者数が多い場合は、見込み客にとって価値あるコンテンツを提供できていると判断できます。
一方で、集客方法に問題があり、参加者数が増えない個とも考えられます。ウェビナー終了後のアンケート内容などを参考に、告知や開催の方法を見直してみましょう。
SNSのシェア数
SNSのシェア数は、特定のコンテンツがSNS上でほかのユーザーに共有されたことを示す指標です。
シェア数が多いほど、ユーザーがそのコンテンツを価値のあるものだと認識していることがわかります。
LTV(生涯顧客価値)向上に関するKPI
LTV(生涯顧客価値)向上に関するKPIには、リテンション率(顧客維持率)や顧客満足度などがあります。
リテンション率(顧客維持率)
リテンション率(顧客維持率)とは、一定期間内で既存顧客がどれだけ商品・サービスを利用し続けているかを表す指標です。
リテンション率は、「(期間終了時の顧客数 ? 期間中に契約した顧客数)÷ 期間開始時の顧客 × 100」で算出できます。期間開始時の顧客数が100人、期間終了時の顧客数が80人、期間中に契約した顧客数が10人の場合、リテンション率は70%です。
リテンション率が高い企業は、それだけ顧客が商品・サービスに満足しており、継続して利用したいと考えているといえます。
顧客満足度
顧客満足度は、商品やサービス、または顧客体験に対して、顧客がどの程度満足しているかを表す指標です。
顧客満足度が高いと、顧客のリピート購入によるLTVの向上や、良質な口コミの拡散によるブランド認知度拡大などの効果が期待できます。
顧客満足度は、アンケートやインタビューを通じて調査するのが一般的です。
コンテンツマーケティングのKPI管理のポイント
コンテンツマーケティングでKPIを設定・管理する際のポイントは、次の通りです。
- 進捗状況を定期的に確認する
- 状況や結果を踏まえて修正する
- ツールを活用する
進捗状況を定期的に確認する
KPIを設定したら定期的に振り返りを行い、KPIがKGIの達成に向けて正しく機能しているかどうかを評価する必要があります。
チームでプロジェクトを動かす場合は、KPIを共有するとともに、振り返りのスパンや達成状況の報告方法、改善プロセスなども事前に決めておきましょう。
状況や結果を踏まえて修正する
トレンドやアルゴリズムの変更、プラットフォームのアップデートなどにより、コンテンツマーケティングを取り巻く環境は変化します。こうした変化に対応するために、一度決めたKPIに固執することなく、状況に合わせて修正していくことが重要です。
また、KPIを設定して施策を進めるなかで、「想定よりも簡単に達成できそうだ」「数値目標に全く届く見込みがない」などのケースが出てくることもあります。その場合は柔軟にKPIを調整し、パフォーマンスの最適化を目指しましょう。
ツールを活用する
データの収集・分析を効率化するためには、ツールの活用がおすすめです。詳しくは後述しますが、Google AnalyticsやSearch Console、SNS分析ツールなどを使うことで、サイト訪問数やクリック率などの行動データを詳細に把握できます。
すべてのプラットフォームに関する情報を一元管理し、詳細な分析を行うにはMA(マーケティング・オートメーション)ツールが最適です。コンテンツの制作・配信の自動化やレポート作成などの機能もあるため、マーケティング活動を大きく効率化できます。
コンテンツマーケティングのKPI測定に役立つツール
ここでは、コンテンツマーケティングのKPI測定に役立つツールを紹介します。
- Google Search Console
- Google Analytics(GA4)
- Marketing Hub
- Hootsuite
Google Search Console
Google Search Consoleは、ユーザーがWebサイトにアクセスするまでの行動を把握できる無料のツールで、Webサイトの検索パフォーマンスの監視や管理、改善などに役立ちます。
Google Search Consoleで取得できる指標は、次の通りです。
- クリック数
- 表示回数(インプレッション数)
- クリック率(CTR)
- 検索順位
Google Analytics(GA4)
Google Analyticsは、ユーザーがWebサイトにアクセスしたあとに、どのようなアクションを取ったかを把握できるツールです。コンテンツのパフォーマンスや課題の洗い出しに活用できます。
2023年7月から、Webサイトのデータは新しいバージョンであるGA4(Google アナリティクス 4)に送信される仕組みに変更になりました。
Google Analyticsで測定できる指標の一例は、次の通りです。
- PV(ページビュー)
- UU(ユニークユーザー)
- 離脱率
- ページ遷移率
- CV数(コンバージョン)
- CVR(コンバージョン率)
Google Analyticsは、Google Search Consoleと同様に無料で利用できます。Google AnalyticsとGoogle Search Consoleは、SEOを目的とするコンテンツマーケティングを実施する際には必ず導入しておきたいツールです。
Marketing Hub
Marketing Hubは、HubSpotが提供するMA(マーケティング・オートメーション)ツールです。ランディングページ作成やフォーム作成、SNSアカウント管理など、マーケティング活動全般に活用可能で、KPIの測定にも役立ちます。
充実したレポート機能が搭載されているのがMarketing Hubの特徴のひとつで、複数のマーケティング施策のパフォーマンスを1つのダッシュボードで一元管理できます。
洗練されたデザインのグラフや表もワンクリックで作成可能で、KPIの達成状況の確認や振り返りに便利です。
Hootsuite
出典:Hootsuite
Hootsuiteは、複数のソーシャルメディアアカウントを一元管理できるマーケティングツールです。予約投稿や競合分析、AIによるキャプション生成など、さまざまな機能があります。
SNSをコンテンツマーケティングに活用する場合は、複数のSNSにコンテンツを展開することが多いため、Hootsuiteのようにアカウント情報を一元管理できるツールの導入がおすすめです。
KGIの達成につながるKPIを設定しよう
コンテンツマーケティングのKPIを設定すると、最終的な経営目標であるKGIに到達できる可能性が高まります。KGIを意識して、それぞれのマーケティング施策について、適切なKPIを設定しましょう。
KPIの達成状況や振り返りを行うには、ツールの活用がおすすめです。
HubSpotのMarketing Hubは、キャンペーン管理やレポート作成、KPIの測定などをワンストップで行うことができるツールです。基本的な機能が使用できる無料プランがありますので、まずはお試しください。