Googleが1日に処理する検索は35億回を超えています。こうした状況の中で、Googleに料金を支払い、関連するキーワードの検索結果ページに広告を掲載する検索連動型広告は、オンライン広告の中でも特に人気が高く、また効果の大きい形態であると言えます。とはいえ、さまざまなキーワードで膨大な数の広告主が検索結果の上位をねらっています。これは皆さんの業界でも例外ではなく、人気の高いキーワードで上位に入るための激しい競争が繰り広げられています。この競争の道を突き進むしかないのでしょうか?

HubSpotでは、Googleへの広告掲載を通じて無料のCRMソフトウェアのユーザーを獲得するべく、過去3年にわたって多額の資金を投入し、広告の対照実験を1,200回以上も実施してきました。その過程でたくさんの新しい知見やプロセスを少しずつ集めると共に、独自の広告管理ツールの無料提供を開始して、ユーザーの皆さんがGoogleでの広告戦略を正しく進められるようサポートしてきました。

そして現在では、これまで集めた知識をマーケティング担当者の皆さんと共有して、皆さんの時間と予算を節約し、フラストレーションを軽減できるようにしたいと考えています。

そこでこの記事では、HubSpotがGoogle 広告の費用を最適化するために実践している8つのステップをご紹介します。これからGoogle 広告を使い始めるという方のために、まず「Google 広告の基礎知識」からご説明します。既に基礎知識をお持ちの方は、このセクションを飛ばしていただいても差し支えありません。

Google 広告の基礎知識

キーワード

簡潔に言えば、Googleでの広告活動とは、キーワードへの入札によってインプレッション数(表示回数)を向上する作業です。もう少し詳しく説明すると、Google 検索で特定の検索語句を入力したユーザーに自社の広告が表示されるよう、Googleに依頼することが必要になり、そのために設定する語句を「キーワード」と呼びます。

たとえば、無料のCRMソフトウェアの広告を出稿する広告主は、Google 検索で「無料 CRM」と入力したユーザーに対して広告を表示させたいと考えるはずです。しかし、同じキーワードで広告を表示させたい他の広告主も、それぞれの入札単価を設定しています。そして、この入札単価などのさまざまな条件に基づいて、ユーザーに表示される広告が決定されます。

広告グループ

広告グループでは、キーワードを複数のグループに分類することができます。たとえば、HubSpotで「競合対策」という名前のキャンペーンを設定する場合、その配下に「HubSpot Marketing Hubの競合対策」と「HubSpot Sales Hubの競合対策」という広告グループを作成することができます。そして、これらの広告グループのそれぞれで競合他社のブランド名や、HubSpotの製品と競合他社の製品をキーワードとして設定することになります。

品質スコア

キーワードの入札単価を高く設定したからといって、広告の掲載順位が上がるわけではありません。クリックあたりの入札単価を競合他社の2倍に設定したところで、競合他社の品質スコアが高ければ、オークションに負けてしまう可能性があります。

品質スコアとは、ユーザーに表示される広告やランディングページの利便性と関連性を測定するための指標です。品質スコアを決める際には多くの要素が考慮されており、その中にはランディングページの利便性やクリックスルー率が含まれます。

つまり広告の入札単価を高く設定するだけでは検索結果のトップに広告を表示することはできず、トップを勝ち取るには関連性の高い広告コンテンツが必要になるということです。

Googleでは優れたユーザー体験を提供することを何よりも重視しており、この目標を達成するためであれば、たとえ広告収入が減少しても、クリック単価が1万円の広告よりも関連性の高いコンテンツを無料で表示します。

マッチタイプ

Google 広告では、キーワードを部分一致、絞り込み部分一致、フレーズ一致、完全一致という4種類の中から選択できます。これら4種類をキーワードの「マッチタイプ」と呼びます。それぞれの特徴は次のとおりです。

部分一致:部分一致を選択すると、ユーザーの入力した検索語句がキーワードの一部と一致した場合や、キーワードの類似パターン(キーワードそのものとは関連がない場合もあります)である場合に、検索結果ページに広告が表示されます。たとえば、「無料 CRM ソフトウェア」というキーワードに入札している場合、「CRM ソフトウェア」や「Adobe ソフトウェア」という検索語句でも広告が表示される可能性があります。なお、キーワードのマッチタイプに部分一致を選択したまま運用後のチェックをおろそかにしてしまうと、大した成果が得られないまま費用が膨らみやすくなるので注意が必要です。

絞り込み部分一致:絞り込み部分一致は、キーワードのフレーズに含まれる特定の語句を必須の検索語句として指定できるマッチタイプです。たとえば、「無料 +CRM +ソフトウェア」というように「CRM」と「ソフトウェア」に「+」を付けて設定した場合、「無償 CRM ソフトウェア」や「簡単 CRM ソフトウェア」といった検索語句では広告が表示されますが、「無料 ソフトウェア」という検索語句では表示されません(「CRM」という語句が抜けているからです)。

フレーズ一致:フレーズ一致では、キーワードとして設定したフレーズそのものの検索に加え、フレーズの前後に他の単語が含まれている検索語句でも広告が表示されます。たとえば、キーワードに「無料 CRM ソフトウェア」というフレーズを設定している場合、「無料 CRM ソフトウェア 小規模企業向け」という検索語句では広告が表示されますが、「無料 ソフトウェア CRM」では表示されません(語順が設定したものと異なるからです)。

完全一致:文字通り、キーワードと検索語句が完全に一致した場合に広告が表示されます。たとえば、「無料 CRM ソフトウェア」というキーワードを設定した場合、「無料 CRM ソフトウェア」という検索語句や、その類似パターン(類義語や言い換え、タイピングミス)で検索したユーザーにのみ広告が表示されます。

Google 広告の基礎知識を説明したところで、ここからはいよいよ本題に入りましょう。

Google 広告の費用を最適化する方法 – HubSpotが実践する8つのステップ

1. キーワードを選択する

Google 広告でキャンペーンの運用を始める場合、最初は規模を小さくしてスタートしましょう。キーワードを5~10個ほど選び、絞り込み部分一致キーワードとして設定します。たとえば、無料のCRMソフトウェアに関するキャンペーンでは、「無料 CRM」、「CRM ソフトウェア」、「CRM レビュー」、「CRM 比較」、「CRM お勧め」などを最初のキーワードとして設定するとよいでしょう。絞り込み部分一致は完全一致よりもコストがかかる一方、完全一致よりも広告の掲載条件の柔軟性が高まり、より多くの検索語句に対して広告を表示できるようになります。

また、上記で取り上げたブランド名を含まないキーワードに加えて、「HubSpot CRM」のようなブランド名を含むキーワードも選んでおきましょう。これには2つのメリットがあります。

  1. クリック数が増える。HubSpotのウェブサイトは「HubSpot CRM」という検索語句で既にトップに表示されているのに、これをキーワードとして設定するのはなぜなのか、疑問に思う方もいるでしょう。確かにその通りなのですが、各種調査の結果としてオーガニック検索のトップに自社のサイトが表示されていても、検索結果ページで有料広告枠のトップを獲得すれば、クリック数が大きく増加することが明らかになっています。最近は検索結果のファーストビュー(画面をスクロールしなくても見える範囲)に表示される広告が多くなっているという事実を踏まえれば、この調査結果には十分納得できます。
  2. 競合他社をブロックできる。仮に当社が「HubSpot CRM」というキーワードを設定し、検索結果のトップに表示されることがなければ、競合他社のいずれかが表示されるはずです。一方で、入札単価を高めに設定しても広告の品質によっては競合他社にトップの座を許すおそれがあります。

2. キャンペーンを作成する

キャンペーンの構造に決まった形式はありませんが、私個人としては、キャンペーンと広告グループとキーワードを「1:1:1」で設定することをお勧めしています。これは、各キャンペーンに対して広告グループを1つ設定し、各広告グループに設定するキーワードも1つにするということです。組織的な観点では、このような設定の仕方をするとアカウント内の構造が複雑になるおそれがありますが、この方法を実践した方がよい理由としては、次の2つがあります。

  1. Google 広告では、1日の予算をキャンペーン単位で設定するのが一般的なので、この方法でキャンペーンを設定すると予算の柔軟性が高まります。これはキーワードのROI(投資収益率)を最大化するうえで重要です。Google 広告はオークション制のため、広告の表示回数を増やすには入札単価を上げる必要がありますが、一定の段階に達すると、クリック単価(CPC)が上がっても広告の表示回数が増えなくなります。そうなると、予算を別のところに配分した方が得策であり、キーワードごとにキャンペーンを分けておけば、より正確に予算を配分できるようになります。
  2. Googleの品質スコアはキーワード単位で測定されるため、キーワードごとに広告グループを分けておくと効果的です。すべてのキーワードを1つの広告グループに含めるのではなく、キーワードごとに広告グループを分けておけば、一部のキーワードの成果が低いせいで広告グループ全体の品質スコアが低下するという事態を回避できます。各キーワードを専用の広告グループに設定しておくと、成果の低いキーワードのキャンペーンだけを一時停止して他のキャンペーンに悪影響が及ぶのを防ぐことができます。

3. コピーライティングを強化する

品質スコアを改善するうえで効果的な手段の1つはクリックスルー率の向上であり、クリックスルー率を向上させるうえで効果的な手段の1つは、魅力的な広告文を作成することです。Google 広告で広告文を作成する際は、その広告がユーザーの検索している情報と関係があるということをGoogleやユーザーに対して明確にアピールする必要があります。たとえば、「CRM ソフトウェア」と「CRM レビュー」というキーワードに入札する場合には、キーワード別にまったく異なる広告とランディングページを用意してみてください。

4. 広告表示オプションを設定する

Google 広告には便利な広告表示オプションがいくつも用意されていますが、必ず設定した方がよいものを1つ選ぶとしたら、サイトリンク表示オプションです。サイトリンクとは、広告の下に4~6個ほど表示されるリンクのことで、Googleではほとんどの広告で表示されています。このオプションを設定すれば広告の表示面積が大きく広がり、クリックスルー率が向上します。しかも、サイトリンクのクリックによって追加費用が発生することはありません。

5. 除外キーワードを設定する

除外キーワードを設定することで、検索語句に除外キーワードが含まれる場合に入札が行われなくなります。除外キーワードを設定するケースはさまざまですが、特に注意すべき状況としては次の3つが挙げられます。

  1. 無関係な検索語句で表示される。以前勤めていた会社で、私は運動前に摂取するサプリメントのマーケティングに携わっており、その商品は「VolcaNO」という名前でした。「volcano」は「火山」を意味する英単語ですが、当然ながら、「volcano lava(火山 溶岩)」という検索語句では広告を表示させたくなかったので、「lava(溶岩)」を除外キーワードに指定しました。
  2. 自社のキャンペーンどうしで競合している。繰り返しになりますが、Google 広告はオークション制です。そのため、たとえば「CRM ソフトウェア」を絞り込み部分一致のキーワードに設定しているキャンペーンと、「無料 CRM ソフトウェア」を完全一致のキーワードに設定しているキャンペーンがある場合、ユーザーが「無料 CRM ソフトウェア」で検索すると、自社のキャンペーンどうしが競合することになります。そこで、「CRM ソフトウェア」というキーワードのキャンペーンで「無料」を除外キーワードに指定し、自社のキャンペーンのせいでクリック数が減少する事態を回避しましょう。
  3. ターゲティングの精度が低い。営業担当者から自社の製品やサービスとマッチしない顧客のタイプについて話を聞き、そのような顧客に広告が表示されないようにすることで、自社にとって理想的な顧客に照準を合わせるようにしましょう。

 

6. 成果の大きいキーワードを特定する

キャンペーンの運用に慣れてきたら、次はキャンペーンの最適化に着手します。キャンペーンを最適化するうえで、Google 広告の機能の中でも特に重要なのが検索語句レポートです。検索語句レポートでは、特定のキーワードを設定した広告が、実際にはどのような検索語句で表示されたのかがリストアップされています。たとえば、「無料 CRM」という絞り込み部分一致のキーワードを設定すると、「無料 CRM SaaS企業向け」「お勧め 無料 CRM」「無料 CRM Excel代用」などありとあらゆる検索語句に対して広告が表示される可能性があります。そこで、検索語句レポートを活用すれば、実際に使われた検索語句の中でも特に成果の大きいものを抽出できます。

特に成果の大きい検索語句が見つかった場合は、その検索語句を除外キーワードに指定して、キーワード間の競合が起こらないようにしたうえで、その検索語句をキーワードに設定した新しいキャンペーンを作成します。そして、そのキャンペーンに対して予算、広告、表示URLを新しく設定し、余裕があれば専用のランディングページも用意するなど、力を入れて取り組みましょう。

7. 特定のユーザー層を除外する

除外キーワードは比較的よく知られていますが、ユーザー層の除外設定は見落とされがちです。たとえば、25歳未満の男性や60歳より上の女性でコンバージョン率が低いことが判明したとします(こうしたデータはGoogle 広告内で確認できます)。この場合、これらのセグメントのユーザー層を広告の表示対象から除外するには、除外条件を指定したり、入札単価調整を利用したりします。なお、入札単価調整については次の項目で説明します。

8. 入札単価調整を設定する

入札単価調整は、キャンペーンや広告グループ自体のターゲット設定を変更することなく、特定の条件に対して入札単価を調整できる機能です。たとえば、モバイル端末のコンバージョン率がパソコンと比べて50%低い場合、モバイル端末からのクリックで、入札単価を50%引き下げるよう設定します。これにより、モバイルでの広告掲載に対する入札単価が引き下げられ、モバイルでの広告表示が減少し、予算を最適化することができます。入札単価調整は、端末以外にも次のような条件を設定できます。

  • 年齢、性別
  • 地域
  • 時間帯
  • 曜日
  • 過去の一定期間以内に自社のウェブサイトを訪問したユーザー
  • リードのリストに登録されているユーザー

Google 広告の活用には実践と学習が不可欠

今回ご紹介した方法は、あくまでHubSpotの有料広告戦略で成功した事例です。読者の皆さんの会社にとって最適なアプローチを判断するには、多様な手法を試し、得られたデータから学び続ける以外の方法はありません。Google 広告を始めるにあたって弊社の事例がご参考となれば幸いですが、実際のデータに注目することで、自社のビジネスに最適な手法を早期に確立できるように取り組んでいただくことをお勧めします。

Google Ad Guide

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元記事発行日: 2019年9月02日、最終更新日: 2019年9月02日