Webの検索結果に連動して表示されるリスティング広告は、費用を抑えながら商品やサービスをプロモーションできるため、ビジネスの規模に関わらず、多くの企業に利用されています。
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競合他社の広告を見かけて、「自社でもリスティング広告の活用を」と検討中の方もいるでしょう。
この記事では、そのような方に向けて、 Google リスティング広告の基本的な特徴や設定方法を解説します。 Web 広告出稿の経験がないマーケティング担当者でもリスティング広告の出稿ができるようになりますので、ぜひ最後までお読みください。
Google リスティング広告とは?
Google リスティング広告は、Google の検索結果上に表示される広告です。
表示したいキーワードを設定すると、ユーザーが検索したキーワードに連動して広告(検索連動型広告)が表示されます。リスティング広告は、広告がクリックされた時点で費用が発生するPPC(Pay Per Click)広告の一種です。
検索ニーズに対して広告が表示されるため、自分のニーズを自覚している顕在顧客にアプローチしやすいのが特徴です。自分の悩みや課題を解決する方法をリサーチしている購買意欲の高いユーザーにアプローチできるため、自社の顧客になってもらえる可能性を秘めています。
また、Google のリスティング広告は、細かなターゲティングが可能です。住んでいる地域や使用しているデバイスなどの条件と一致するかを照合したうえで、行動データからオーディエンスやユーザー属性を絞ります。
配信対象がひとりのユーザーと合致しているかどうかまで確認するため、広告を届けたいユーザーに的確に配信が可能です。例えば、「スマートフォンからアクセスしてきた、東京都在住の30代の購買意欲の強い独身女性に配信する」といった詳細なターゲティングも設定できます。
なお、厳密にいうと、リスティング広告には、検索連動型広告と検索画面以外でも表示可能なディスプレイ広告の2種類があります。本記事では、リスティング広告=検索連動型広告として解説します。
リスティング広告を運用するメリット
Web広告の中でも、リスティング広告を利用するメリットには以下のようなものがあります。
低予算で始められる
数千万円以上にもなるマスメディア広告と比べると、リスティング広告は低予算で始められるメリットがあります。クリックされて始めて課金されるPPC広告であることから、1万円からでも出稿でき、成果を得ることが可能です。
なお広告の表示にはオークションが行われ、課金額が大きいほど表示される可能性が高いため、使い方を覚えてきたら徐々に予算を上げたりターゲティングを工夫したりといった工夫が必要となります。
成果が確認しやすい
リスティング広告では、どのくらいの結果が得られたのかがリアルタイムに確認できます。そのため、広告のパフォーマンスが悪ければすぐさま修正でき、目標も立てやすいといえるでしょう。
検索結果画面の上部に表示できる
リスティング広告は、上記のとおり検索結果画面の上部に表示されることから、明確な検索意図をもって検索を行ったユーザーの目に一番に触れるというメリットがあります。ターゲティングを正しく行えれば、高いクリック率も期待できます。
自然検索との違い
同じ検索結果画面に表示される項目でも、リスティング広告と自然検索には大きな違いがあります。
検索キーワードにもよりますが、リスティング広告は検索結果画面の上部および下部に0~数件表示されます。上図はページ上部に表示されたリスティング広告の例で、1件のみ表示され、次から自然検索の結果が表示されています。リスティング広告には広告だとわかるマークが表示され、2023年8月時点の仕様では「スポンサー」と出てきます。
リスティング広告は課金によって表示されるエリアですが、自然検索は検索エンジン(この場合はGoogle )のアルゴリズムによってキーワードと関連性の高いページが表示されるエリアです。極論を言えば、ページを公開後に何もしなくても表示されます。この自然検索エリアで多くクリックされるべく、上位表示を目指す施策を「SEO(検索エンジン最適化)」といいます。
Google リスティング広告の基本
ここでは、Google リスティング広告の全体像をつかむために、基本的な特徴を3つご紹介します。
掲載場所
Google リスティング広告は、Google の検索結果ページの上部および下部に表示されます。検索結果と並んで掲載されていますが、リスティング広告はURLの前に「広告」の文字が入っているため、簡単に見分けることができます。
2023年8月現在、日本国内での検索エンジンのシェアの約70%をGoogle が占めています。Google にリスティング広告を掲載することで、多くの顕在顧客にアプローチが可能です。
掲載フォーマット
リスティング広告の掲載フォーマットは、テキストです。「広告見出し」「説明文」「リンク先のURL」の3つで構成されています。
リスティング広告には、次のような文字数の制限があります。
- 広告見出し
- 30文字×3つまで
- 説明文
- 90文字×2つまで
- パス(ドメインの後ろに表示できる文字)
- 15文字×2つまで
記載した文字数は半角です。全角で入力した場合、掲載できる文字数は半分になるため注意しましょう。
料金体系
Google リスティング広告の料金体系は、課金のタイミングはクリック課金制、料金はオークションによる入札形式によって決定されます。
クリック課金制は、ユーザーが関心を持った広告をクリックしたときに初めて料金が発生する仕組みになっています。検索結果に表示されただけでは広告費が発生しないため、費用対効果が高い料金体系です。
広告掲載にかかる料金は、入札形式によって決まります。1クリックあたりの上限単価によってオークションが行われ、掲載される広告や掲載順位が決まります。なお、広告の品質も掲載順位の判断基準になります。
Google 広告の費用発生の仕組みや料金相場は、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
Google 広告その他のキャンペーン
Google における広告出稿は、「Google 広告」というツールを用いて一括で行い、リスティング広告はそのうちの1つです。Google 広告では大きなカテゴリとして「キャンペーン」があり、2023年8月時点では以下のキャンペーンが選択できます。
- 検索:ユーザーの検索にあわせて広告を配信
- P-MAX:すべてのGoogle サービスのユーザーにリーチ
- ディスプレイ:Webサイトやアプリの広告表示エリアへ配信
- ショッピング:ECページへ直接遷移する広告を配信
- 動画:YouTubeへ広告を配信
- アプリ:アプリのダウンロードなどを促す
- スマート:小規模ビジネス向けの簡易的な広告キャンペーン
- ファインド:DiscoverやGmailなどへ広告を配信
本記事でご紹介しているリスティング広告(検索連動型広告)は、1番目の「検索キャンペーン」に該当します。
リスティング広告が適しているケース
さまざまなWeb広告の中でも、リスティング広告が適しているのは以下のようなケースです。
- 自身の課題を認識している顕在層のユーザーがターゲット
- 検索エンジンを日常的に使うセグメントがターゲット
- 緊急性の高い商品やサービス
リスティング広告はキーワードに連動して表示されることから、課題を認識しているユーザーにリーチしやすいといえます。例えば、自社にCRMツールを導入したいと考えているユーザーがいたとき、CRMツールをキーワード設定してリスティング広告を配信するとクリックしてもらえる可能性が高まります。表示箇所が検索結果画面であることから、検索エンジンを日常的に使うユーザーセグメントがターゲットとなるでしょう。
また、課題が顕在化しているユーザーが適していることから、緊急性の高い商品・サービスは特にリスティング広告向きです。
リスティング広告は自分で運用できる?
リスティング広告は、基本的な設定方法さえわかっていれば自社で運用することも可能です。
自社運用の利点は、広告運用の外注費を抑えられるため、予算のほとんどを広告掲載の費用にあてられることです。ただし、成果を出すためにはPDCAを回して改善を続ける必要があります。
短期で成果を出したいのであれば代理店への依頼も選択肢のひとつですが、広告費の手数料(例として20%)を支払う必要があります。また、自社で運用する場合と比べて、広告運用のデータやノウハウを蓄積しにくい点もデメリットといえます。
リスティング広告は、2〜3万円からの出稿が可能なので、まずは自社で少額から運用してみましょう。徐々に予算を増やしていき、リスティング広告の効果を確かめます。
その後、本格的に運用を開始したいと思ったタイミングで代理店に依頼すると、費用対効果を高めることができます。
Google のリスティング広告の始め方・手順
Google のリスティング広告を配信するまでの手順は、大きく分けると次の4通りです。
- Google 広告アカウントの開設
- 広告キャンペーンの作成
- 広告グループの作成
- 広告表示オプションの設定
Google リスティング広告は設定項目が多く、手順に迷ってしまうかもしれません。こちらの記事では、Web広告の初心者の方でもわかるように、画像付きで設定手順を詳しく解説しています。
リスティング広告を運用するコツ
リスティング広告で成果を上げるには、コツを押さえて運用することが大切です。ここでは、長期にわたって成果を出し続けるためのポイントを8つご紹介します。
広告運用の目標を明確に
リスティング広告を運用し成果を上げるためには、何をもって達成とするかの目標を設定しておくことが重要です。
リスティング広告においては、CTR(クリック率)、CVR(コンバージョン率)などが目標となりえます。はじめに設定しておくことで、目標達成までの課題解決においてチーム内で共通認識を持つことができ、ビジネスのゴール(KGI)の達成にも近づけられるでしょう。
ターゲット設定を明確に
リスティング広告では課金額によって表示オークションの結果が変わることから、適切なターゲット設定が重要となります。自社商品・サービスがターゲットとする層へ絞って配信することで、低予算でも十分な成果を得られるようになります。
Google 広告では、年齢・性別・地域・端末などのユーザー属性の他、ライフスタイルや趣味などでもターゲット設定を行えます。
キーワードの範囲を絞る
キーワードの数が多すぎると、ターゲットとするユーザー以外にも広告が表示され、予算が分散してしまいます。また、リスティング広告の効果を分析できるだけのデータが集まらないため、PDCAサイクルを回せない可能性もあります。
まずは、注力すべきキーワードを見極めることからはじめましょう。5~10個のキーワードに絞り込んで配信を開始し、運用しながら少しずつ改善していくのがおすすめです。
マッチタイプをうまく組み合わせる
マッチタイプとは、キーワードが一致する範囲を指定する設定です。部分一致・フレーズ一致・完全一致の3種類があります。リスティング広告の効果を高めるためには、マッチタイプをうまく調整しながら配信することが重要です。
部分一致にすると、指定のキーワードに関連したキーワードで幅広く広告が表示されます。意図しないキーワードにも広告が表示されるため、予算を多く消化してしまう可能性がある点に注意が必要です。
一方、完全一致では、指定キーワードとまったく同じ意図や意味を持つ場合にのみ広告が表示されます。狙ったターゲットに広告を配信できるのが利点ですが、表示できるキーワードの範囲が狭くなるため、広告が表示されないリスクもあります。
フレーズ一致では、指定したキーワードと同じ意味のキーワードを含む場合に広告表示されます。「かばん」と「バッグ」のように、違う語句でも同じ意味として解釈できる場合、広告が表示される可能性が出てきます。
除外キーワードを設定する
リスティング広告を運用するうえで知っておきたいのが、除外キーワードの設定です。
マッチタイプを部分一致に設定すると、幅広いキーワードで広告が表示されます。除外キーワードを設定すると、関連性の低いキーワードでの表示機会を制限できます。ターゲット層を広げながら効果的に配信できるため、重要な設定項目です。
例えば、モバイルバッテリーの販売を検討している場合、「車 バッテリー」や「バッテリー交換」など関連性の低いキーワードでも部分一致するため、検索対象になることがあります。しかし、ユーザーの検索意図とマッチしないため、広告からの流入は期待できません。
関連性の低いキーワードを除外キーワードとして設定することで、ニーズにあったユーザーにだけ広告が表示される可能性が高まります。その結果、費用対効果が向上しやすくなります。
魅力的なタイトルと広告文を作成する
リスティング広告は、テキストで構成されています。そのため、ユーザーの興味・関心を引くタイトルや広告文を作れるかどうかで、成果が変わります。
タイトルの見出しには、できるだけキーワードを含めるようにしましょう。広告文は、ユーザーが解決策を知りたい、クリックしたいと思えるような文章を、短い言葉で的確にまとめます。
誤字や脱字があると、広告のクリック率が下がる要因になります。文章の案が完成したら、見直してから配信を行いましょう。
広告表示オプションを設定する
広告表示オプションは、リスティング広告の説明文の下にサイト内のリンクや電話番号などの情報を追加して表示できる機能です。
ひとつの広告でより多くの情報をユーザーに届けられるため、クリック率が上がりやすくなります。また、広告の表示面積が増えるため、競合他社より目立たせる効果もあります。
広告表示オプションは、品質スコアに影響します。Google の公式ヘルプでも広告表示オプションをすべて設定することを推奨しており、広告表示の可能性が高まると言及しています。
広告の情報が増えることで、ユーザビリティが向上するだけでなく、通話や経路検索などの具体的な行動を促すことが可能です。例えば、水のトラブルなどの緊急性の高いサービスでは、電話を通じてコンバージョンに至ることが多くあります。ユーザーに合ったアクションを促し、新たな方法で顧客との接点を持つことができるため、リスティング広告を設定する際は、ぜひ活用したい機能です。
広告表示オプションの詳しい設定方法は、こちらの記事で解説しています。あわせてご覧ください。
検索意図と一致するランディングページを作成する
広告は単体で完結するものではなく、誘導先のランディングページもセットで考える必要があります。
広告の掲載順位に影響する品質スコアにはランディングページの品質も含まれますし、実際に広告をクリックしてもらった後、ランディングページに興味を持ってもらわなければコンバージョンにはつながりません。
ユーザーは、広告文に書かれたことがリンク先で詳しく説明されているものと期待してクリックします。重要なのは、広告とランディングページのメッセージが一致していることであり、以下の3点を押さえておく必要があります。
- ユーザーの心理に寄り添った構成になっているか
- ホワイトペーパーや商品購入など、検索ユーザーが抱える課題を解決する手段が用意されているか(コンバージョンポイントがあるか)
- 次のアクションにつながるCTAが適切に設置されているか
ランディングページの作成方法については、以下の記事を確認してみてください。
リスティング広告のその他の運用方法については、以下のページが参考になります。
リスティング広告が表示されないケース
Google のリスティング広告では、以下のケースにおいて広告が掲載されないことがあります。リスティング広告の設定時には以下の内容についても注意してください。
1. 広告品質スコアが低い
リスティング広告では、品質スコアが高いほど低単価で上位表示されますが、品質スコアが低い場合には広告が表示されないことがあります。
品質スコアとは、他の広告と比べたときの品質を1から10の数値でスコア化したものです。広告がユーザーの検索意図と一致していることなどが判断基準です。
2. キーワードやターゲティングに問題がある
キーワードがニッチすぎて検索ボリューム(検索される数)が少なすぎたり、ターゲティングを絞りすぎたりしている場合には、広告のリーチが狭まり、広告が配信されないことがあります。
3. 自身で繰り返し検索している
リスティング広告がきちんと表示されているかを見るために、自分で検索してチェックするケースがありますが、やりすぎると広告が表示されない原因となります。Google 側に「このユーザーはこの広告に興味がない」と判断されてしまうからです。
広告が表示されていてもクリック率が下がり、その結果、品質の低下にもつながるため注意が必要です。
広告が配信されているか確認するためには、次に紹介する「広告プレビューと診断ツール」を利用しましょう。
4. データ分析ができていない
リスティング効果で成果を上げるためには、データを分析しキャンペーン内容を修正していくことが重要です。普段からデータ分析をしていないと、何が原因で広告が表示されていないのかもわからず、時間だけを浪費してしまうことになります。
スピーディに成果を得るためにも、常にデータ分析を行う習慣をつけるといいでしょう。
Google 広告では、以下のようなレポートを確認できます。
- 詳細分析:クリック数の多い時間帯や地域などを確認できる
- 検索語句レポート:広告の表示につながったキーワードの確認ができる
5. テキストがターゲットに合っていない
どちらかというと配信されても結果が伴っていないケースにいえることですが、リスティング広告で表示させている各テキストがターゲットに合っていない可能性があります。Google 広告ではA/Bテストが利用できるため、細かく内容を変えてより成果が高くなるテキストを模索することが重要です。
【広告プレビューと診断ツール】
診断ツールの使用方法は次の通りです。
- Google 広告の管理画面にログイン
- ツールと設定>広告プレビューと診断
- 地域・言語・デバイス・視聴者を設定後、キーワードで検索
- 広告の掲載情報を確認
その他、Google 広告が表示されないなどのトラブルに関しては以下のコラムを参考にしてください。
リスティング広告の基本の設定方法を理解して始めてみよう
Google のリスティング広告は少額からのスモールスタートが可能で、はじめてのリスティング広告の運用におすすめです。
リスティング広告は、ニーズを自覚している顕在顧客へのアプローチに向いています。検索エンジンのシェアを大きく占めるGoogle のリスティング広告を活用すると、自社の商品やサービスを必要としている多くのユーザーと接点を持てるようになります。
Google のリスティング広告はUIもわかりやすく、配信までは決して難しくありません。準備を整えて、ぜひ配信にチャレンジしてみてください。