AISCEASとは?ステップごとの特徴や代表的な施策を紹介

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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AISCEASとは、「Attention(注意)・Interest(興味)・Search(検索)・Comparison(比較)・Examination(検討)・Action(行動)・Share(共有)」の7ステップで構成される、購買行動モデルのひとつです。

AISCEASとは?ステップごとの特徴や代表的な施策を紹介

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    AISCEASを活用すると、消費者行動のステップごとに効果的な施策を検討できます。マーケティング活動におけるターゲットやニーズが整理され、施策に一貫性を持たせられることが大きなメリットです。

    本記事では、AISCEASの特徴やステップごとの仕組み、代表的な施策を紹介します。AISCEASをマーケティングに活用するための具体的なポイントも解説しています。

    AISCEASとは

    AISCEASとは、インターネット普及後の社会における消費者行動を表した購買モデルのひとつです。2005年に有限会社アンヴィコミュニケーションズの望野氏によって提唱されました。日本語では、「アイシーズ」または「アイセアス」と呼ばれています。

    AISCEASは、商品やサービスの認知から、購買後の行動に至るまでの7ステップで構成されています。

    7ステップで構成

    購買行動モデルにはさまざまな種類がありますが、AISCEASの場合、インターネットの普及を背景に旧来のモデルが最適化されているのが特徴です。

    それぞれのステップは次の通りです。

    ■認知段階

    • Attention(注意):消費者が商品・サービスを認知する段階
    • Interest(興味):特定の商品やサービスに興味を持つ段階

    ■比較検討段階

    • Search(検索):興味を持った商品・サービスに関して情報収集する段階
    • Comparison(比較):複数の商品やサービスの価格や機能などを比較する段階
    • Examination(検討):サンプル購入やトライアルなどで内容を精査する段階

    ■行動段階

    • Action(行動):比較検討を経て購入へと至る段階
    • Share(共有):口コミやレビューなどを第三者と共有する段階

    ここでは、購買行動を認知・比較検討・行動の3段階に整理し、各ステップの特徴や施策の一例を紹介します。
     

    1. 認知段階

    認知段階は、「Attention(注意)」と「Interest(興味)」に該当するステップです。ユーザーが商品やサービスの存在を知り、興味を示すまでの流れを示しています。

    そもそもユーザーが商品やサービスを認知しておらず、興味もない状態では、その後のアクションにはつながりません。そのため、ユーザーとの関係構築のきっかけを生み出す仕組みづくりが重要です。

    認知段階では、情報発信や集客の施策が中心となります。主な施策は次の通りです。

    • マス広告(テレビ・ラジオ・新聞など)の出稿
    • デジタル広告(Web広告・デジタルサイネージなど)の出稿
    • SEO(検索エンジン最適化)によって自社サイトへの流入を図る
    • SNSやメールマガジンで定期的に情報を発信
    • 展示会に自社製品を出展してPRする
    • プレスリリースによって外部メディアの影響力を活用する
       

    2. 比較検討段階

    比較検討段階は、「Search(検索)・Comparison(比較)・Examination(検討)」に該当するステップです。

    消費者が商品やサービスを認知して、即座に購入に至るケースもありますが、情報検索を経て購入に至るのが一般的な購買行動といえます。例えば、Searchのステップでは、Web検索でコーポレートサイトや個人ブログなどの情報を収集します。ComparisonやExaminationのステップでは、製品比較サイトや口コミサイトが活用されます。

    ユーザーがスムーズに自社商品・サービスを調査できるよう、次のような方法でさまざまな情報を提供できる体制を整えておきましょう

    • コーポレートサイト内での商品・サービス情報の整備
    • 製品比較サイトや口コミサイトへの登録
    • 顧客の声や導入事例の紹介
    • ユースケースに合わせたコンテンツや資料の用意
       

    3. 行動段階

    行動段階は、「Action(行動)」と「Share(共有)」に該当するステップです。商品やサービスに興味を持ったユーザーが購買活動を行い、他者と情報共有するまでの流れを指します。

    ブログやSNS、動画共有サイトでは、個人が気軽に情報発信を行っています。なかには、購入した商品やサービスの感想を他者と分かち合ったり、満足感を共有したりしたいと考えるユーザーが一定数存在します。また、ECサイトや口コミサイトなどへのレビュー投稿も、情報を共有する手段の一種です。

    商品やサービスの購入を促し、購入後は気軽に情報を発信できる一連の取り組みが、良い口コミの生成につながります

    • クーポンやキャンペーンを活用して購買意欲を高める
    • 購入時の入力フォームの利便性を向上させて離脱を避ける
    • 決済手段の多様化などでECサイトの利便性を高める
    • ハッシュタグキャンペーンを展開してSNSへの投稿を促す
    • 商品・サービスのレビュー投稿に対して特典を付ける
       

    AISCEASの特徴

    ここでは、別の購買行動モデルであるAIDMA・AISASとの比較から、AISCEASの特徴を解説します。
     

    AIDMAとの比較

    AIDMA(アイドマ)とは、1920年代に米国で提唱された、AISCEASの原型となる購買行動モデルです。「Attention(注意)・Interest(興味)・Desire(欲求)・Memory(記憶)・Action(行動)」の5つのステップで構成されています。

    5つのステップ

    AIDMAは約100年前のモデルで、テレビやラジオなどの「マスメディア」も十分に整っていない時代です。そのため、インターネットが普及した現代では、AIDMAが実態に合わないケースもあります。

    AISCEASは、インターネット社会の購買行動が組み込まれており、AIDMAに比べてユーザーの行動傾向やニーズを捉えやすい概念だといえるでしょう。

     

    AISASとの比較

    AISAS(アイサス)もAISCEASと同様、インターネット社会の進展に伴い、AIDMAから発展した購買行動モデルです。2004年に株式会社電通が提唱し、2005年に商標登録が行われました。

    AISASは、「Attention(注意)・Interest(興味)・Search(検索)・Action(行動)・Share(共有)」の5ステップから成り立っています。

    AISASとの比較

    AISASとAISCEASは同時期に提唱された概念であり、構造がよく似ていますが、AISCEASは「Search」のステップを深掘りしている点が大きな違いです。

    ユーザーは商品やサービスを購入する前に、ただ情報を調べるだけでなく、類似品との比較や口コミの検討を通じて納得感を得ようとします。特に、購入前の入念な情報収集が欠かせない高額な商品やサービスの場合は、AISASよりもAISCEASのほうが顧客の実態に適っているといえます。

     

    AISCEASをマーケティングに活用する際のポイント

    マーケティングにAISCEASの仕組みを導入する場合は、事前にいくつか気を付けておくべきポイントがあります。ここでは、そのポイントを3つに分けて解説します。

    • カスタマージャーニーマップを活用する
    • BtoBビジネスでは決裁プロセスを深掘りする
    • サイクルを意識して施策を考える
       

    カスタマージャーニーマップを活用する

    カスタマージャーニーとは、商品やサービスの認知から購買後の行動までのプロセスのことです。カスタマージャーニーを可視化したものを、「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。

    カスタマージャーニーマップ

    AISCEASは7つのステップに分かれていて複雑なので、それぞれのタッチポイントやアクションプランを一元管理するには、カスタマージャーニーマップのようなツールが不可欠です。

    カスタマージャーニーマップは、各ステップで想定できるユーザーの行動や感情、理想的な体験といった要素を洗い出したうえで作成します。ユーザーのインサイトを正確に把握し、タッチポイントや施策の最適化に活用できるのがメリットです。

    HubSpotが提供するMAツール「Marketing Hub」には、「アドバンストマーケティングレポート」と呼ばれる機能が搭載されています。アドバンストマーケティングレポートでカスタマージャーニーの一連の流れを可視化し、AISCEASの各ステップにおける施策効果を検証する活用方法がおすすめです。

    HubSpotのMAツール「Marketing Hub」
     

    BtoBビジネスでは決裁プロセスを深掘りする

    BtoCビジネスでは、「Search(検索)・Comparison(比較)・Examination(検討)」の3ステップは比較検討段階にあたりますが、BtoBビジネスでは社内の決裁プロセスに該当します。このステップでは、BtoCとBtoBで大きな違いが現れます。

    BtoCの場合、購入者本人が意思決定するケースが一般的です。一方のBtoBでは、購買担当者や部長、統括部門リーダーといった多数の人物が意思決定に関与するため、ターゲットを明確にしたうえで、その決定権や影響力の大きさを考えることが重要です。また、感情よりも合理性を重視する傾向があるため、BtoCとは異なるアプローチが求められます。
     

    サイクルを意識して施策を考える

    AISCEASをうまく活用すれば、顧客転換から新規顧客創出までのサイクルが生まれます。

    AISCEASのステップを経て商品やサービスを購入した顧客が、SNSで良い口コミを投稿した場合を想定してみましょう。口コミを見た潜在客が興味を持ち、新たな購買行動が発生することで顧客となり、また口コミを投稿するサイクルが生まれます。これにより、自然な形で情報が拡散されていくでしょう。

    この仕組みを機能させるためには、ユーザーが気軽に情報発信できる環境を整えたり、新たなコミュニティを構築したりといった取り組みを行うことが大切です。
     

    AISCEASを活用してマーケティングプロセスを最適化しよう

    AISCEASは、インターネットの普及によって多様化した購買行動を捉えるうえで欠かせない概念です。7つのステップに分かれており、各ステップで適切な施策を検討できるのがメリットといえます。

    AISCEASを活用し、顧客転換から新規顧客創出までのサイクルを形成することで顧客体験が向上し、中長期的な売上や利益にもつながるでしょう

    今回紹介したポイントを参考に、自社のマーケティングにAISCEASの仕組みを取り入れてみてください。

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