BtoCに比べて商品やサービスが高額で、複数の意思決定者が関わるBtoBビジネスでは、動画を活用したプロモーションが有効です。
動画マーケティングの基礎ガイド
動画を活用したマーケティング活動の全体像と成功事例を徹底解説!
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テキスト(文字情報)や画像に比べて商品やサービスの魅力が伝わりやすくなるだけでなく、営業・マーケティング活動の効率化や、人材不足の解消といった効果も期待できます。
本記事では、BtoBビジネスで動画を活用する必要性や、具体的な活用シーンを紹介します。動画制作のポイントについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
BtoBビジネスで動画を活用する必要性
ここでは、BtoBビジネスで動画を活用する必要性を3つの観点から解説します。
営業効率の向上が見込めるため
エン・ジャパン株式会社の「2022年 企業の人材不足実態調査」によると、人材不足を実感する企業は全体の82%を占めています。2019年に実施された同調査に比べて7ポイント下落しているものの、8割以上の企業が人材不足に悩まされていることがわかります。
そのなかで最も人材が不足している職種は、全体の28%を占める営業職で、技術職(20%)やバックオフィス職(13%)を上回っています。
人材が不足するなかで営業パフォーマンスを維持・向上するには、業務効率化や生産性向上につながる施策が不可欠です。しかし、限られた人員で多数の見込み客や顧客を相手にするのには限界があります。
その点、動画であれば、商品やサービスの紹介、デモンストレーション、プレゼンテーションといった目的に応じたコンテンツを、自由なタイミングで視聴してもらえます。つまり、営業活動の一部を肩代わりできるということです。動画活用によって余った時間を、課題のヒアリングやコミュニケーションに割くことで、営業効率の向上が見込めるでしょう。
非対面での有効な営業活動ツールになり得るため
HubSpotの「日本の営業に関する意識・実態調査2023」によると、「訪問型営業とリモート営業のどちらが好ましいか」という設問に対して、「リモート営業」と回答する買い手が徐々に増えています。パンデミック前の20%台から、2021~2022年には40%付近に上昇しており、さらにリモート営業を導入している営業組織も増えつつあります。
このように買い手の意識が変化するなか、営業活動のオンライン化に遅れが生じると、機会損失が生じる可能性があるでしょう。
リモート営業の手法は、電話やメール、ビデオ会議といったインサイドセールスにかかわるものが主流です。そこへさらに、動画を活用したコンテンツ配信を加えることで、リモート営業手法のバリエーションが増えます。
特に動画は、映像を通じて商品やサービスのより詳細な価値を伝えられるため、非対面での有効な営業活動ツールになり得ます。
社員教育や採用などの社内向け施策としても活用できるため
動画は営業・マーケティング活動などの社外向けだけでなく、社員教育や採用といった社内向けの施策にも活用できます。そして、活用範囲が広がるほど費用対効果が向上します。
株式会社Jストリームが2023年に調査した「動画活用の有効性と今後の活用意向について」によると、社内向けの動画施策は教育・研修が45.7%で最多です。次いで業務マニュアル、トップのメッセージへと続きます。また、業務のなかで動画を視聴した従業員のうち、7割以上の方が、動画コンテンツを有用だと感じています。
BtoBマーケティングにおける動画コンテンツの活用例
BtoBビジネスで動画コンテンツを活用する方法は、次の通り、さまざまな種類が存在します。これらの方法は、動画を発信するターゲットと密接に関係するため、それぞれの特徴を押さえることが大切です。
- 企業紹介・ブランディング
- 商品・サービス紹介
- デモンストレーション
- リクルート
1. 企業紹介・ブランディング
企業紹介・ブランディングは、企業の概要や事業内容、理念・ビジョンなどを伝え、視聴者からの共感を得るための動画です。主に、企業やブランドのイメージアップに向けたブランディングが目的です。
本来、BtoBビジネスは、BtoCに比べて機能的価値が重視されやすい傾向にあります。機能的価値は既存顧客との継続的な関係構築には大きな効力を発揮するものの、新規顧客創出のためには機能的価値だけでなく、ブランディングによって情緒的価値を高めることも重要です。
2. 商品・サービス紹介
商品・サービス紹介は、商品やサービスの概要・仕組み・機能・料金などを紹介し、製品に対する理解を深めてもらうための動画です。
特にBtoB向けの商品やサービスの内容は複雑なものが多く、テキスト・画像のみで特徴を訴求しても十分に伝わり切らない可能性があります。
動画であれば、映像やアニメーションを使って、より多くの情報を訴求できます。視聴者にとっては、商品やサービスの活用シーンを即座に理解できるため、購買意欲の醸成につながります。
3. デモンストレーション
デモンストレーションは、商品やサービスの概要や仕組みではなく、画面キャプチャなどを使いつつ具体的な使い方を解説する動画です。具体的な活用方法のイメージが湧くため、製品を比較・検討している段階で、特定の製品に強い関心を示している見込み客にアプローチしやすい特徴があります。
また、製品導入直後の顧客に対するオンボーディングとしても活用可能です。
オンボーディングとは、新規顧客が自走状態で製品を活用できるまで、企業側がサポートを行うプロセスを指します。新規顧客に自社製品の使い方をしっかりと理解してもらうことで、定着化を図り、早期の解約リスクを軽減できます。
4. リクルート
リクルートは、採用活動を効率化するために、求職者向けにコンテンツを配信する動画です。自社の理念や事業内容を求職者にしっかりと理解してもらうことで、自社の価値観に合った人材の採用につながり、ミスマッチを回避できます。
一般消費者向けに商品やサービスを展開していないBtoBビジネスでは、具体的な仕事内容や取り扱っている製品の仕様などが、消費者目線から理解しにくいケースも珍しくありません。
そのため、次のような動画を発信すれば、企業に対する理解を促せます。
- 従業員の1日に密着したレポート型の動画
- 若手従業員に対する入社理由のインタビュー動画
- 製品の導入イメージを紹介する動画
BtoBマーケティングの動画の活用シーン
BtoB企業が施策に用いる動画は、その手法だけでなく活用シーンも多岐に分かれます。特に次のような媒体は、BtoBビジネスでよく活用されています。
- 自社サイト
- SNS
- ウェビナー
- デジタルサイネージ
1. 自社サイト
自社サイトに動画を掲載するケースです。外部サイトに動画を掲載する場合と異なり、動画の尺やレイアウトなどを柔軟に調整できます。コンテンツの内容も、サイト内の掲載ページに合わせて自由に設計できるのが利点です。
自社サイトには、企業名や製品名を認知しているユーザーや、商品やサービスに興味を持っているユーザーが数多く訪れます。そのため、商品・サービス紹介や顧客の声の紹介動画を掲載し、購買の意思決定を後押しすると良いでしょう。
新規顧客創出に向けた宣伝だけでなく、既存顧客やファンに向けて興味深いコンテンツを発信するのも方法のひとつです。
2. SNS
Facebook、X(旧Twitter)、Instagramなどを活用し、広く動画を発信する方法です。営業活動では営業資料の動画化、人事ではOJTの動画をマニュアル化するなど、幅広いシーンで活用できます。
YouTubeやTikTokなどの動画配信プラットフォームに登録し、コンテンツを蓄積していくのも手段のひとつです。会社紹介や商品・サービス紹介だけでなく、ツールの使い方や活用方法、事例紹介など、幅広いコンテンツを発信できるのが特徴です。
HubSpotでも、XやYouTubeを活用し、製品に興味を示すユーザー向けの動画を発信しています。Xの投稿欄や、YouTubeの概要欄に遷移先のURLを掲載しているのがポイントです。これにより公式サイトへのアクセス数が伸びるため、そのなかに掲載されているホワイトペーパーやeBookに興味を示すユーザーが増えます。
3. ウェビナー
勉強会や座談会、ディスカッションなどの様子をレコーディングし、二次コンテンツとして発信する方法です。
ウェビナーには、企業名や製品名を知らないユーザーが参加し、そのなかで商品やサービスを認知するケースも考えられます。このように、顕在層だけでなく、潜在層に対してもアプローチできるのが利点です。また、既存顧客に対しては、商品やサービスへの理解を促進し、アップセルやクロスセルにつなげられます。
ウェビナーを活用する際は、目次から視聴したいコンテンツへ即座にアクセスしたり、関連するWebサイトに遷移できる仕組みを整えたりと、ユーザビリティを高める工夫を凝らすことが重要です。
HubSpotでも、次のような形でウェビナーのレコーディング動画を配信しています。
4. デジタルサイネージ
デジタルサイネージとは、公共施設や交通機関などの電子表示機器で情報を発信するメディアです。「スタンドアロン型・オンライン型・インタラクティブ型」の3種類に分類されます。
- スタンドアロン型:
外部ストレージからデータを移行し、デジタルサイネージ上で動画を流す方法 - オンライン型:
インターネット上で取得した動画を流す方法 - インタラクティブ型:
AI技術により、ユーザーの年齢や性別に合わせてコンテンツを配信する、あるいは画面をタップして動画を選択できる方法
デジタルサイネージの設置場所は、ビルボード広告や交通広告、インストア広告などが代表的です。工夫次第で数多くの通行人に商品やサービスをアピールできるほか、タクシーや電車などを利用する特定の層にピンポイントで情報を訴求できます。
BtoB企業で成果を上げる動画制作のポイント
BtoBビジネスの動画活用で成果を上げるには、いくつかポイントを押さえることが重要です。ここでは、そのポイントを4点に分けて解説します。
BtoBならではの購買プロセスを想定する
BtoBでは、購買の意思決定に多数の関係者が関与し、さらに社内稟議を通す必要があるため、検討期間が長くなりやすい傾向にあります。
また、BtoCと同様、「認知・検討・選択」といった購買プロセスを経由しますが、それぞれのフェーズが細かく分かれるのも特徴です。例えば、認知段階だけでも、「現状把握・問題認識・研究」などのフェーズがあり、必然的に認知から購買へと至るプロセスが長期化します。
上記のような性質があるため、動画視聴の想定シーンとターゲットを明確にすることは重要です。想定シーンであれば本部内なのか現場なのか、ターゲットは購買担当者なのか、それとも実際に意思決定を行う役員なのかといった具合です。このようなターゲティングが異なるだけで、コンテンツの方向性が大きく異なります。
動画冒頭での離脱率を下げる工夫を凝らす
動画コンテンツは、視聴者の属性や行動履歴に応じて情報を出し分けるのが困難です。基本的に視聴者全員に同様のコンテンツが表示されるため、内容に興味がないユーザーは冒頭で即座に離脱する可能性があります。
そのため、特に動画冒頭での離脱率を下げる工夫が重要です。動画の冒頭シーンでは、次のようなポイントを意識すると良いでしょう。
- 冒頭にインパクトのある映像や、続きが気になる内容を配置する
- ダイジェストや目次を入れて全体像を明らかにする
- ジャンプカット編集で映像にテンポを加える
- 動画内のコンテンツを選択できるインタラクティブ動画の採用を検討する
動画視聴後にアクションを起こせる仕組みを構築する
マーケティング向けの動画は視聴してもらうだけでなく、最終的にはユーザーに行動してもらうことが目的です。そのため、動画視聴後にユーザーがスムーズにアクションを起こせるよう、CTA(Call To Action/行動喚起)の仕組み作りが重要です。
具体的には、次のようなポイントを意識すると良いでしょう。
- コンテンツの一部のみを動画にし、続きが掲載された遷移先のリンクを紹介する
- 期間や商品点数を限定する希少性の原理を活用する
- 一目見てCTAの箇所がわかるようにシンプルな表現を心がける
配信プラットフォームの機能を活用するのもポイントです。例えば、YouTubeであれば、カードや動画アクションキャンペーンといった便利なCTA機能が用意されています。
- カード:
関連動画を案内する四角いボタン - 動画アクションキャンペーン:
行動促進用のフレーズや見出しなどを掲載できる動画広告
効果検証と改善を繰り返す
動画マーケティングでは、配信した動画の成果がすぐに現れるとは限りません。そこで、分析ツールを活用して効果を検証し、課題を特定したうえで繰り返し改善を行いましょう。分析ツールは一般的に、それぞれの配信プラットフォームで提供されています。
分析ツールを活用すると、視聴回数やインプレッション数といった基礎データ以外に、サムネイルクリック率、視聴者維持率、流入チャネルといった細かい情報を取得できます。
このような指標を参考に、あらかじめKGI(最終目標)とKPI(中間目標)を設定すると良いでしょう。目標が明確であれば、施策実行後の実績と比較しやすくなり、軌道修正もスムーズに行えます。
動画の利点を活かしてBtoBマーケティングや営業の効率を高めよう
アニメーションやCGなどを駆使できる動画は、テキストや画像に比べて演出の幅が広く、商品・サービスの使用イメージや活用方法などをスムーズに伝えられます。商品やサービスの情報を短時間で伝達できる点から、BtoBビジネスでは営業活動と相性が良いでしょう。
ユーザーにとっても長い文章を読む必要がなく、「ながら視聴」も可能なので、効率良く情報を収集できます。動画活用によって営業活動の効率性が高まった結果、余った時間を課題のヒアリングやコミュニケーションに割くことで、営業効率の向上が見込めます。
動画マーケティングの成果を高めるには、BtoBならではの購買プロセスを想定してコンテンツを作成することが大切です。初回で効果が出ないことも考えられるため、繰り返し効果検証と改善を行って、質の高いコンテンツを作成しましょう。