オウンドメディアを運用して経営目標を達成するには、KPI(重要業績評価指標)の設定によって、目標の達成度合いを正確に把握することが重要です。KPIを適切に設定できていないと、オウンドメディアの運用状況を正確に判断できず、最終的な経営目標であるKGI(重要目標達成指標)への到達も難しくなります。自社の状況に合ったKPIを設定し、オウンドメディアの運用成果を高めましょう。


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本記事では、KPIの基本から具体的な設計手順、フェーズごとの評価指標や設定のポイントまでを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
オウンドメディアのKPI
オウンドメディアのKPI(重要業績評価指標)とは、メディア運用における目標の達成度を定量的に評価するための指標です。最終的に目指すのはKGI(重要目標達成指標)の達成で、KPIはKGIを達成するための中間目標となります。
オウンドメディアのKPIを適切に設定するためには、まず最終目標を示す数値であるKGIを明確にすることが大切です。
オウンドメディアを通して達成したいことをKGIとして設定し、そこから逆算して中間目標となるKPIを段階的に設定していきます。
オウンドメディア運用におけるKPIとして、例えば次のような指標があります。
- PV
- UU
- SS
- 検索順位
- 目標ページ到達数
- CV数・CVR
- ページ回遊率
- スクロール率
- SNSシェア数
- 記事数
オウンドメディアのKPIは、運用の目的によって異なります。KGIを設定したうえで、KPIと適切に連携させましょう。
オウンドメディアのKPI設計手順
ここでは、オウンドメディアのKPI設計手順を詳しく解説します。
- KGIの設定
- 指標を細分化
- KPIツリーの作成
- 具体的な数値の設定
1. KGIの設定
KPIを設定する前に、オウンドメディアを運用することで最終的に達成したい経営目標であるKGIを設定します。
KGIの例としては、売上高・受注件数・マーケットシェア率などがあります。
KPIは、あくまでもKGIを達成するためのプロセスを評価する指標です。まずはオウンドメディアの運用で達成すべきKGIを明確にしておきましょう。
2. 指標を細分化
KGIを定めたら、KGIから逆算して数値を細分化し、KPIとなる指標を出していきます。
例えば、売上をKGIに定めた場合にKPIになり得る数値には「訪問者数」「購入率」「注文単価」などがあります。そこからさらに細分化していくと、「訪問者数」を「新規訪問者数」「リピート訪問者数」などにブレイクダウンできます。
3. KPIツリーの作成
細分化した指標を分かりやすく可視化するために、KPIツリーを作成します。
KPIをブレイクダウンしていくと、ツリーのような形状になります。このKPIをロジックツリーとして可視化したものがKPIツリーです。
KPIツリーを作成することで、各指標が目標の達成とどのように結びついているのかを視覚的に把握できるようになります。
KPIツリーの作成例は「オウンドメディアのKPIツリー作成例」の見出しで紹介しています。
4. 具体的な数値の設定
次に、KPIに数値を設定していきます。その際のポイントは、計測可能な数値に落とし込むことです。
例えば、「訪問者数を増やす」のような抽象的な目標にするのではなく、「訪問者数を前年比〇〇%増加させる」「月の新規訪問者数を〇〇人にする」というように、具体的で実現可能な数値を設定します。
KGIとの整合性も考慮し、KPIを達成すれば自動的にKGIも達成できるような目標設定にすることが大切です。
オウンドメディアのKPIツリー作成例
KPIツリーの作成例を紹介します。
KPIツリーを作成するにはまず、最終的なKGIをロジックツリーの頂点に置きます。そしてそれに関連するKPIを段階的に設定していきます。
例えば、KGIを「見込み客の増加」と設定すると、KPIは「訪問者数」「コンバージョン率」の2つで構成されます。
そこからさらに細分化していくと、「訪問者数」は「新規訪問者数」「リピート訪問者数」というように分けられます。
新規訪問者数を増やしていくのであれば、さらに「検索流入数」「SNS流入数」「広告流入数」などにブレイクダウンしていけます。
【フェーズ別】オウンドメディア運用のKPIの設定例
オウンドメディアに適したKPIは、運用フェーズによって異なります。
例えば、メディアの立ち上げ直後は、訪問数やページ閲覧数が少ない状態です。その段階でCV(コンバージョン)数をKPIに設定しても、達成は困難でしょう。
ここでは、オウンドメディア運用のKPIの設定例を、フェーズ別に紹介します。
立ち上げ期
立ち上げ期は、オウンドメディアを運用していくための体制作りの時期です。この段階では、記事制作のスケジュールや制作本数をKPIとして設定します。
記事の制作スケジュール
社内のリソース状況を踏まえたうえで、記事制作のスケジュールを立ててKPIとします。専任の担当者がいない場合は、通常業務と並行して制作を進めることになるため、無理のないスケジュール設定が重要です。
担当者と期日を明確にして、予定通り進んでいるかどうかモニタリングしましょう。
記事の制作本数
記事の制作本数は、立ち上げ期で必ず設定しておきたいKPIです。
記事数が多ければ必ずPVが増えるわけではありませんが、コンテンツが少ないと集客につながりません。それだけではなく、せっかくメディアを訪れたユーザーからも「情報が少ない」と思われてしまう可能性があるでしょう。
「最初の1か月で〇本、3か月後までには合計〇本の記事を公開する」のように、期間と本数を明確なKPIとして設定します。
運用初期:集客
コンテンツの本数が増えてきたら、集客に力を入れる時期に入ります。
ユーザーニーズを捉えたSEOコンテンツにすることで、検索結果からの流入が増え、より多くの人に見てもらえるメディアになります。
集客の時期に設定したいKPIの例は次の通りです。
検索順位
検索順位はオーガニックトラフィックの増加に直結しています。ターゲットキーワードでの検索順位をKPIとすることでSEOの成果を測定できます。
訪問者数(PV・UU・セッションなど)
訪問者数は、オウンドメディアへの集客効果を確認する指標です。売上やリード創出などといったKGIに直接影響する重要なKPIのひとつです。
運用中期:ファン化
安定して集客ができるようになったら、ユーザーのファン化をはかり、メディアの成長を目指します。この時期には、ユーザーのエンゲージメントをKPIとして記事の質を向上させることを目指します。
リピートユーザー数
リピートユーザー数はファン化やブランディング力を評価する指標です。サイトに再訪するユーザーの割合を高めましょう。
行動解析(滞在時間・スクロール率など)
滞在時間やスクロール率は、ユーザーの行動を解析するための指標で、コンテンツの質やユーザーエンゲージメントの度合いを把握できます。これらのKPIから、ユーザーがどのコンテンツに興味を持っているのかが判断可能です。
ただし、FAQなどのページではユーザーが求めている解決策を早く見つけた場合に、滞在時間が短くなります。滞在時間やスクロール率は、必ずしも高いほうが良いとは限らないため、コンテンツによって適切なKPIの設定を心がけましょう。
運用後期:醸成
運用後期では、KGIに直結するコンバージョンの最大化を目指します。
コンバージョン数
コンバージョンは、資料ダウンロード・問い合わせ完了・LPへの送客など、ユーザーに起こしてほしい目的の行動のことです。
オウンドメディアからどのぐらい目的が達成できているのか、効果を具体的に計測するうえでコンバージョン数は重要な指標となります。
コンバージョン率(CVR)
コンバージョン率とは、コンバージョンに至る確率のことです。
「コンバージョン数」と「コンバージョン率」をどちらも把握しておくことで、どの記事がどのぐらい目的に寄与しているのかを正確に測ることができます。一般的にコンバージョン数はアクセス数に比例して多くなるため、コンバージョン数が多くても「コンバージョン率」は低く、集客の効率が悪くなっている可能性があるためです。
コンテンツ制作期から運用後期まで、それぞれの運用フェーズに合わせて、これらの指標から適切にKPIを設定してください。
オウンドメディアのKPI設定のポイント
効果的なKPIを設定するために、次の3つのポイントをおさえておきましょう。
- SMARTの法則を活用
- 中期的な視点で設定
- 競合を調査
それぞれ詳しく説明します。
SMARTの法則でKPIを確認
設定したKPIの妥当性を確認するためには、「SMARTの法則」の活用が効果的です。
SMARTの法則は、次の5つの要素で構成された目標設定手法です。
- Specific(具体的):明確で具体的である
- Measurable(測定可能):測定可能な数値である
- Achievable(達成可能):現実的で実現可能である
- Relevant(関連性):目的と関連している
- Time-bound(期限設定):達成期限が設定されている
このフレームワークを活用することで、KPIが適切に設定されているかどうか確認できます。
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中長期的な視点で設定
コンテンツマーケティングは、中長期的にじっくりと取り組むことで成果が出る施策です。そのため、KPIも中長期的な視点で設定しましょう。
オウンドメディアで成果を上げるには、継続して質の高いコンテンツを提供し、潜在顧客や見込み客との接点を増やしていく取り組みが欠かせません。また、Webサイトや個別のページが検索エンジンに認識・評価され、検索結果の上位に表示されるようになるまでには時間がかかります。
特に、立ち上げ期から運用初期にかけては、見込み客の創出や売上といった成果ではなく、コンテンツをより多くの人に届けることに焦点を当てたKPIの設定が有効です。
競合調査を行う
競合サイトのPVや使用キーワード、検索順位などをKPI設定の参考にすることもできます。
競合の成功事例を参考にすることで、より効率良くメディアを成長させることが期待できます。
ただし、競合サイトの真似をしただけのコンテンツは、ユーザーにとって価値が低く、著作権侵害のリスクも高まります。キーワードや施策などは参考にしながらも、独自性や専門性があるコンテンツを制作することを忘れないようにしましょう。
オウンドメディアのKPIを適切に設定して効果的に運用しよう
オウンドメディアのKPI設計は、メディアの目的や運用フェーズによって異なります。KGIを明確にし、今回紹介したKPI設定のポイントをおさえることで、効果的な運用につながるでしょう。
KPIの達成度を確認するには、レポート機能やダッシュボード機能が充実したツールを活用すると便利です。
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詳細は次のページをご覧ください。