2017年頃、HubSpotは前代未聞のピンチを迎えていました。ブログの月間トラフィック量が伸び悩み、そればかりか、減り始めてしまったのです。なぜブログへのアクセスが頭打ちになったのか、理由がわからないまま気をもむこと数か月。私たちはついに一度立ち止まり、コーヒーを何杯もあおりながら、原因を突き止めることにしました。
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そしてたどり着いた答えは「記事のトピックについてブレインストーミングを行い、読者に好まれそうなコンテンツを直感に頼って判断するという従来のやり方が、もはや編集戦略として十分ではない」ということ。
現在、ほぼすべてのソーシャル メディア プラットフォームは、外部のウェブサイトにユーザーを誘導することを敬遠する傾向にあります。加えて、見込み客の受信トレイは、既に大量のEメールが山のように積み上がっています。そこで私たちは方針を転換し、ブログ開設以来、常にトラフィックの大半を生み出してきたチャネルにエネルギーを注ぐことにしました。そのチャネルとは、オーガニック検索です。
オーガニック検索に関する戦略を見直してから数年が経った今では、毎月のトラフィック獲得目標をほとんど達成できており、月間トラフィック量の過去最高記録を塗り替えることもあります。新しいオーガニック検索戦略がトラフィック増加の火付け役となり2017年に発生したトラフィックの大停滞を終結させられたことに、私たちが大いに沸き立って(同時にほっとして)いることは言うまでもありません。そして今回は、その戦略策定の基礎となったSEOの必須テクニックをぜひ皆さんにも紹介したいと思います。
SEOのテクニック
- ツールと同じくらい「SERP分析」にも時間を割く
- SERPのオーバーラップテストをマスターする
- SERP上で強調スニペットに選ばれることを目指す
- オンページSEOについて検討する
- 検索数の多いものから少ないものまで多彩なキーワードをターゲットにする
- ブログの運営期間が長くなったらコンテンツの整理を検討する
- リダイレクトとcanonicalタグを使用しウェブサイトのページを統合する
- 過去の記事の最適化戦略を実施する
- 自社ブランドの検索をウェブサイト訪問者に習慣づける
- ページオーソリティーを確立する
- ピラークラスターモデルを活用する
- リンクの構築戦略を策定する
- URLを変更しない
- 画像を圧縮する
- すべての画像に代替テキストを追加する
- CTAの効果を最大化する
- 開発者やデザイナーと良好な関係を築く
- 技術的な観点からSEOの監査を行う
- データを繰り返しチェックする
1. ツールと同じくらい「SERP分析」にも時間を割く
検索エンジンの結果ページ(SERP)の表示順位はアルゴリズムによって決定されますが、このアルゴリズムは特に質の高いコンテンツをインターネット上で提供している発行者ほどランクが高くなるように設計されています。
そこで重要になるのが、検索の意図を理解することです。その理解を深めるべく、私たちはキーワードについてSERPの分析を行い、対象の文言を検索したときにユーザーがどのような問題を解決しようとしていたかを考察しています。
HubSpotでSEOコンテンツの責任者を務めるAja Frostは次のように述べています。「もちろんツールは、たくさんの情報を提供してくれます。ただしその情報は、古くて不完全な、偏ったデータセットに基づいていることが少なくありません。SEO対策を行う際は、ツールから入手した分析情報と併せて、SERPからわかるリアルタイムの手がかりを参考にすることをお勧めします。新しいターゲットキーワードを決定するときや、コンテンツをリニューアルするとき、そしてトラフィックが不安定な理由を解明するためにページまたはページの一部を診断するときは必ず、主要な検索フレーズについてGoogleでどのような検索結果が出るかを試してみましょう」
またFrostは、皆さんの目標に応じて次のような点に注意するようアドバイスしています。
- 検索機能
- ランキング対象のコンテンツのタイプ(製品ページ、まとめ記事、チュートリアルなど)
- ランキング対象のウェブサイト(データベース、ビジネス情報、メディアサイト、ディレクトリーなど)
- オーガニック検索の1件目の結果がページのどのくらいの位置に表示されるか
- 自社のページがどのように表示されるか(タイトル、メタディスクリプション、日付、ジャンプリンク、また該当する場合はスキーマなど)
こうした検索を行うときは「シークレットモードのウィンドウを使用し、キャッシュやCookie、履歴をこまめに消去しましょう。また、デスクトップとモバイルの両方で検索するようにしてください」とFrostは付け加えています。
2. SERPのオーバーラップテストをマスターする
SERPを分析する段階で、FrostはSERPのオーバーラップテストを実施しています。
Frostはこのテストを頻繁に行う理由について「単一のコンテンツに対し、2つ以上のクエリーをターゲットにすべきかどうかを判断するため」と説明します。
ここで皆さんは「SERPのオーバーラップテストとは何だろう?」と首を傾げているのではないでしょうか。
Frostによれば、このテストは次の手順で行います。
- シークレットモードを使用して、キーワードAとキーワードBについてそれぞれ簡単な検索を実行します。
- 両者のSERPに大きな違いが見られる場合(上位にランクインしたページの顔ぶれが違う、またはキーワードAで1位のページがキーワードBでは9位になっているなど)は、Googleが2つの検索を、異なる意図を持った別のクエリーとして扱っていることがわかります。
- 一方、SERPの結果の多くが重複(オーバーラップ)している場合は、2つのクエリーを同一視しても問題ないと考えられます。
3. SERP上で強調スニペットに選ばれることを目指す
強調スニペットとは検索された内容に関連するウェブページの一部をSERP上に直接表示する検索エンジンの機能で、ユーザーが他のページをわざわざ訪問しなくても必要な情報を確認できるというメリットがあります。
ご想像のとおり、強調スニペットはオーガニック検索の結果に影響を及ぼします(英語)。だからこそ、強調スニペットにできるだけ多く選ばれるようにすることが重要になります。
そのために有効なのが、予想されるユーザーの疑問に対し的確に答える記事を書くことです。強調スニペットに選ばれるには、ユーザーが検索しているキーワードについて、その本来の検索意図との本質的な(セマンティックな)関連性があることが最も重要になります。
さらに、質問への回答が記載されていることをGoogleが判別できるよう、ブログ記事の構成と書式を整えましょう。たとえば、特定のコーディング方法を使用することで、ページ内の強調スニペットに適した部分を目立たせるのも一案です。
HubSpotで採用している戦略(英語)も参考にしてください。
HubSpotのブログチームでシニアマネージャーを務めるKarla Cookは、次のように話します。「強調スニペットを想定し、セクションに一貫した書式を適用するようになったことで、強調スニペットに選ばれるためにどんな手を打ったらよいか憶測に頼ることが減りました(もちろん、すべてなくなったわけではありませんが)。HubSpotの顧客獲得担当ディレクターであるMatthew Howells-Barbyも、一貫した無駄のないコードこそが強調スニペットに選ばれるための重要な要素であると説いています」
4. オンページSEOについて検討する(ただし、すべてのコンテンツでSEOを意識する必要はない)
オンページSEOは、フロントエンドとバックエンドのコンポーネントを通じて自社のウェブサイト上のページを最適化し、検索エンジンでのランク上昇を促すプロセスです。
対象のコンポーネントには、次のようなものが挙げられます。
- 質の高いページコンテンツ
- ページタイトル
- 見出し
- メタディスクリプション
- 画像の代替テキスト
- 構造化されたマークアップ
- ページのURL
- 内部リンク
- ウェブサイトの表示速度
今回は、質の高いコンテンツ、ページタイトル、見出し、メタディスクリプション、画像の代替テキストといった、コピー文に関連する要素について取り上げることにします。
検索エンジンで高いランクを獲得するには、コピー文を最適化しなくてはなりません。具体的には、コピー文にターゲットキーワードを含め、コンテキストとの関連性を持たせると共に、予想されるユーザーの疑問に対して答えを提供することが大切になります。
最終的な目標は、ユーザーが探している情報を掲載していることを検索エンジンに対して示すことです。
ただし、HubSpotでテクニカルSEOを担当し主席マーケターを務めるVictor Panは、すべてのコンテンツでSEOを意識する必要はないと話し、次のように付け加えます。
「SEO対策が求められるのは、ランディングページ、サンキューページ、内部のセールス イネーブルメント ページ、ログインページです。投資する時間よりも得られるビジネスチャンスが大きい場合は優先的に検索への最適化を行い、それ以外は後回しでかまいません。後回しにした分は、プロセスが確立され、短い時間で最適化に当たれるようになった段階で対処しましょう」
5. 検索数の多いものから少ないものまで多彩なキーワードをターゲットにする
オーガニック検索に関する戦略では、検索数の多いものから少ないものまで各種のキーワードをターゲットにし、カスタマージャーニー全体をカバーすることが重要です。
HubSpotでシニアSEOストラテジストを務めるBraden Beckerは次のように語っています。「カスタマージャーニーの初期段階で関心が持たれやすい広範囲のキーワードは検索頻度が高い一方で、カスタマージャーニーの後半または購入直前の段階で関心を集めるキーワードは検索頻度が低い傾向にあります。なぜなら、後の段階になるほど検索内容が具体的になるからです。そのため、ウェブサイト訪問者をリードや顧客に転換する割合が高いキーワードであれば、たとえ検索頻度が低くても積極的にターゲットとして採用していくべきです」
HubSpotの英語版ブログは、マーケティング、セールス、カスタマーサービス、ウェブサイトの4分野にカテゴリー分けされているため、SEOチームはこの4分野のブログコンテンツに関し、詳細なキーワード調査を行っています。チームがキーワードごとに見込んでいる検索ボリュームは、月間12万回以上の場合もあれば、わずか50回の場合もあります。
さらに、既存のトピッククラスターで手薄なトピック、または最近注目されるようになり、まだコンテンツクラスターを十分に形成できていないトピックも考慮します。
Frostによれば、検索ボリュームの大きいキーワードをターゲットにするときは創造力を働かせることが大切です。
たとえば、FrostがHubSpotのセールスブログの編集を担当していたときは、通常扱っているトピックからは外れても、膨大な検索ボリュームが稼げるトピックを割り当てていたと言います。
同時に、すべての投稿でターゲットとする読者の疑問に答えると共に、当社の価値基準に則り、十分に調査したうえで総合的な記事を作成するよう心がけていました。
6. ブログの運営期間が長くなったらコンテンツの整理を検討する
コンテンツの整理とは、古くなって質が低下し自社のウェブサイトに価値をもたらさないコンテンツを削除し、インデックス化されたページの数を減らすプロセスです。
Beckerは次のように説明します。「ブログの運営期間が長くなったら、コンテンツの整理を検討しましょう。ウェブサイトが成長してコンテンツが増えるにつれて、思ったようにパフォーマンスが上がらないコンテンツがあることに気付くはずです。そういったコンテンツが積み重なると、ウェブサイト全体のスピードやパフォーマンスに悪影響を及ぼしかねません。ウェブサイト監査を行って、トラフィック量、バックリンク数、コンバージョン率が一定レベルに満たないページを特定し、公開を停止しましょう」
具体的なコンテンツの整理方法については、こちらの記事(英語)が参考になります。
7. リダイレクトとcanonicalタグを使用しウェブサイトのページを統合する
サイト監査の実施に併せて、類似のコンテンツを掲載しているページもチェックするとよいでしょう。
類似するページが見つかった場合には、リダイレクトとcanonicalタグを使用し、ページを統合することを検討するようお勧めします。
「長い期間いろいろなコンテンツを作り続けていると、似たような(またはまったく同じ)コンテンツを作ってしまうこともしょっちゅうです。同一ウェブサイト上に、目的を同じくするコンテンツが複数あるのは望ましくありません。検索エンジンの結果ページ上で、トラフィックの『共食い』が発生してしまいます」とBeckerは述べます。
関連するページがいくつも存在する場合には、パフォーマンスの低いページからパフォーマンスの高いページへとリダイレクトさせることで、問題を回避できます。
Beckerはさらに続けます。「ページのリダイレクトに加え、まったく同じページが複数ある場合は、重複しているページからコアページへのcanonicalタグを追加するのも効果的です。こうすると、重複しているページも引き続き公開しつつ、ウェブサイトのランクを評価する際はコアページを優先するようにGoogleに対して知らせることができます。ただし、canonicalタグやリダイレクトの使用には注意が必要です。慎重に検討したうえで決定を下し、あらゆる観点で理にかなっている場合にのみ使用するようにしてください」
具体的な方法については、こちらの記事が参考になります。
8. 過去の記事の最適化戦略を実施する
2015年、現在HubSpotのウェブ戦略チームでマーケティング部門の主席マネージャーを務め、当時HubSpotのマーケティングブログの編集担当者だったPam Vaughnは、HubSpotブログの月間オーガニックトラフィックに関して画期的な発見をしました。トラフィックの圧倒的大多数が、同月よりも前に公開された記事から流入していたのです。実際にブログへの月間アクセス数の76%は、そうした古い記事から流入(英語)していました。
現在、彼女の一大発見が事実であることは、さらにはっきりと証明されています。直近では、当社ブログへの月間アクセス数の89%が少なくとも6か月前の記事を経由して流入していることが分かり、私たちはこうした過去のコンテンツのリニューアルと再発行に特化した包括的な戦略を立てるに至りました。
このタイプのブログ記事を私たちは「更新記事」と呼んでおり、エディトリアルカレンダーの35~40%がその関連作業で占められています。具体的な作業としては新たな情報を加えて記事をリニューアルし、SEO対策を施し、新しいブログ記事へと生まれ変わらせて再発行するわけですが、バックリンクの獲得やユーザーのエンゲージメントを通じて既に蓄積されたオーガニック検索に好影響を及ぼす評価はそのまま引き継がれるため、トラフィック量を2倍にも3倍にも増やすことができます。このプロセスにはブログの運営効率を高める効果もあり、新たに作成しなければならないコンテンツの数を抑えつつ、オーガニックトラフィックとコンバージョン率を向上させることが可能になります。
とはいえ、過去の記事の最適化は万人向けではありません。この戦略が適しているのは、大量のオーガニックトラフィックを生み出せるブログです。また、ブログの購読登録者やソーシャルメディアのフォロワーを大勢抱えていて、更新記事のアクセス、シェア、バックリンクが急増することが見込めなくてはなりません。さらに、これまでに書き溜めた記事が相当量あること、リニューアルして再発行する価値があることも要件になります。
自社のブログがこの3つの条件をすべて満たす場合には、過去の記事の最適化戦略を実施するよう強くお勧めします。どのようなタイプの既存コンテンツを更新し、実際にどうやって記事を更新するかについては、Pam Vaughn自身のブログ記事(英語)を参照してください。
9. 自社ブランドの検索をウェブサイト訪問者に習慣づける
これまでSEOとは、ブランド名を含めずに検索を行ったユーザーを少しでも多く自社のサイトに誘導するための手段でした。
Victor Panはこう説明します。「従来のSEOは未知の潜在顧客を掘り起こし、見込み客や顧客に転換することを目的としていました。この考え方は創業したばかりの会社には有効です。しかし、ビジネスが成熟し、既に多くの顧客と良好な関係を築いている段階においては、ブランド名を含む検索のトラフィックが同じくらい重要になります」
たとえば、Amazonのようなプラットフォームの顧客にとっては、Googleで商品を検索する際に検索クエリーの最後に「amazon」と入力することが習慣化されています。
Panによると、自社ブランドと関連するトピックについて頼れるエキスパートとして認知されることで、Amazonと同じことが実現できます。
こうしたエキスパートになるには、ページオーソリティーの確立が必要です。これについては、次の項目で詳しく説明します。
10. ページオーソリティーを確立する
ページオーソリティーは、検索エンジンがページのランクを判断するための要素の1つです。
あるトピックについて長い間ブログ記事の投稿を続け、その分野の強力なエキスパートとしての評判、つまりオーソリティーを築き上げることができると、開設されたばかりのサイトで新たに公開されたページと比べウェブページのランクが高くなります。
上記の理由から、自社の得意分野でブランドの認知度を高め、オーソリティーを確立することが重要です。そのためには、ブログ記事をコンスタントに公開すると共に、ソーシャルメディアへの投稿や他のサイトへのゲスト投稿を検討しましょう。業界内での積極的な活動が、評判の確立を後押しします。
加えて、顧客の関心事とあまり関連しないトピックについても記事を作成するとよいでしょう。こうすると、業界について深い知識があることを検索エンジンに示すことができます。
こうした対策はすべて自社ウェブサイトのオーソリティーの強化に役立ち、さらに多くのトピックについて深く掘り下げた記事を公開し続けることにより、自社ドメインへの検索エンジンの注目度を高めることにつながります。
11. ピラークラスターモデルを活用する
現在では大勢の人が、何か知りたいことがあれば、正確で関連性の高い情報を手に入れようと、すぐにGoogleで検索するようになりました。そのため、Googleの検索エンジンには、それぞれの検索語句に込められた意図やコンテキストを理解することが求められます。
これを受けて、Googleはユーザーのクエリーがそれぞれどのトピックとつながりがあるかを認識したうえで、同様のクエリーに関する過去の検索履歴を参照し、ユーザーの知りたい情報に一番近いコンテンツを表示できるように進化を遂げてきました。その成果として、Googleでは目的のトピックに関して最も信頼に値すると思われるコンテンツが検索結果ページに表示されるようになっています。
マーケティング、セールス、カスタマーサービスの各トピックに関しHubSpotのコンテンツが情報ソースとして信頼できることをGoogleに示すために、私たちはHubSpotブログにピラークラスターモデルを導入することに決めました。ピラークラスターモデルでは、あるトピックの概要を説明する単一のピラーページを作成した後、そのトピックのサブトピックについて詳しく述べた複数のページをハイパーリンクで参照することでクラスターを形成します。この方法により、当社のピラーページが対象のトピックに関するオーソリティーであることをGoogleに示すことに成功しました。
すべてのクラスターページをハイパーリンクによってピラーページと結びつけると、ドメインオーソリティーをクラスター全体に広げる効果も得られます。つまり、ピラーページのランクが上がるほど、オーガニック検索でのクラスターページの表示順位も向上します。そして、ターゲットとする特定のキーワードについてクラスターページのランクが上がり始めれば、ピラーページのさらなるランク上昇に役立つというわけです。
ピラークラスターモデルのもう1つのメリットとして、ウェブサイトのインフラストラクチャーが整理されることで、ウェブサイト訪問者の操作性が改善されるという効果もあります。
ピラークラスターモデルを導入する以前、私たちは特定のロングテールキーワードについて検索ランクを上げることを目指し、そのためのブログ記事の執筆に大半の時間を費やしていました。その結果、たくさんのブログ記事が無秩序に公開され、一部の記事は内容が非常に似通っているために、自社の記事どうしで検索結果の表示順位を争うことになってしまいました。
現在のモデルを採用したことで、Googleのクローラーによってブログの情報が収集されやすくなり、記事間のセマンティックな関係性が理解されて、検索結果ページでの表示順位が上がりました。それだけでなく、ブログの読者も目的のコンテンツトピックを検索しやすくなり、関連するコンテンツを見つけて、ブログ記事をじっくり読むことに時間を割けるようになっています。
皆さんの会社のブログにピラークラスターモデルを導入する方法については、HubSpotが実際に行った手順を参考にしてください。
12. リンクの構築戦略を策定する
ドメインオーソリティーを高めるには、オーソリティーとして評価されたウェブサイトやページから、質の高いバックリンクを獲得することが非常に重要です。しかし残念なことに、「記事さえ書けばバックリンクを得られる」といった安易な見通しは、SEOの世界では通用しません。
質の高いリンクを獲得するために私たちが主に取り組んでいるのは、ドメインオーソリティーやページオーソリティーが高い他のウェブサイトと協力し、当社の主要コンテンツを参照してもらうという方法です。その際には必ず、参照元のウェブサイトのコンテンツと当社のコンテンツに関連があることを確認するようにしています。
良質なバックリンクを獲得するための手段として、Backlinkoのスカイスクレイパーテクニック(英語)も効果的です。これは、検索ランクを上げたいキーワードに関してランキング上位のコンテンツを調べ、それらの記事をよりもさらに質の高いコンテンツを作成するというSEO戦略です。記事を作成したら、SEOツールを使用して競合コンテンツにリンクしているサイトをすべて特定します。そして特に関連の深いサイトに対して、競合コンテンツへのリンクを、レベルアップした自社コンテンツへのリンクに置き換えてもらえるよう交渉しましょう。
2016年、Backlinkoは160のウェブサイトに対して、自社の「Google’s 200 Ranking Factors」という記事へのリンクの設置を依頼し、17のウェブサイトからバックリンクを獲得しました。17件という数字だけを見ると、それほど多くないように思えるかもしれません。しかし、参照元の多くがドメインオーソリティーのスコアの高いウェブサイトだったため、この記事のオーガニックトラフィックはわずか2週間で110%も増加(英語)しました。
13. URLを変更しない
「優れたURI(Uniform Resource Identifier)は変化しない」
かつて、インターネットを発明したTim Berners-Lee氏はそう言いました。
これは「優れたURIの条件とは何か? 優れたURIとは、変化しないURIである。では、どのようなURIが変化するのか? URIは変化しない。人間が変えるのだ」というフレーズでよく知られています。
「URLはURIの一部ですが、できるだけ変更するべきではありません。URLが変更される場合にはきちんとした意図があるはずですが、その情報は時間と共に失われがちです。トラフィックの異常に気付いたときと同様に、メモを残しておくことを忘れないようにしましょう」とPanは述べています。
HubSpotのURLマッピングツールを使用すると、常に最新の情報が反映されるので便利です。
14. 画像を圧縮する
検索エンジンに対するコンテンツの最適化について考えるうえで、画像のファイルサイズの圧縮はさほど優先度が高くないように思えるでしょう。しかし、Beckerによれば、画像のファイルサイズはウェブサイトのページの読み込み速度に直接的な影響を及ぼします。読み込み速度はGoogleがランクの決定に使用する指標のうち、最も重要な10項目の1つです。
「画像ファイルのサイズが大きいほど、ウェブブラウザーに画像を読み込む時間が長くなるため、ウェブサイトの全体的な読み込み速度の低下につながります。そしてウェブサイトの読み込み時間が長くなるほど、サイトに対するGoogleの評価が低くなるのです」とBeckerは説明します。
圧縮とは、同系色の複数のピクセルを単一のピクセルに融合し、画像の解像度を抑える代わりにファイルサイズを小さくする処理です。人間の目は色の差異よりも明暗の差異に敏感なので、圧縮されていない画像と圧縮された画像との色の違いを認識することはできず、知覚される品質は同一に保たれます。
圧縮しないままの画像は、圧縮したときに比べてファイルサイズが4倍も大きくなる可能性があります。画像を圧縮すれば、知覚される品質は維持しながら読み込みスピードを格段に向上できます。
Googleでの評価が下がらないよう、画像ファイルのサイズをできるだけ小さくし、ウェブサイトの読み込み速度を上げるために、HubSpotではSquooshを使用して個別の画像のサイズを圧縮しているほか、多くの画像を一括して圧縮する場合にはTinyPNGを使用しています。
15. すべての画像に代替テキストを追加する
検索エンジンがサイトの情報を収集するとき、クローラーは画像を見ることはできません。検索エンジンにとって、画像は単なるテキストです。ファイルの名前と、説明文の一種として画像に添えられた代替テキストによって、画像の内容を理解します。
この代替テキストは、画像の内容を検索エンジンに伝える数少ない手段の1つです。画像ベースの検索結果で上位のランクを獲得したければ、代替テキストは忘れずに追加しなければなりません。さらに代替テキストは、画像を見ることのできない読者にとっても役立ちます。
代替テキストは画像の内容を説明していると共に、ページのコンテンツとコンテキストが一致し、簡潔に記述されていることが大切です。
最終的に、代替テキストはSEOの助けになるだけでなく、サイトのアクセシビリティーにも貢献します。
16. CTAの効果を最大化する
ページの最適化対策が検索ランクの向上に有効なのは、対象のページがコンバージョンに最適化されている場合に限ります。
コンバージョン率を高めるための計画を立て、Top of the Funnel(ファネルの最上層)、Middle of the Funnel(ファネルの中間層)、Bottom of the Funnel(ファネルの最下層)の読者向けに、それぞれに特化したコンテンツオファーを作成しましょう。
さらに、各段階のコンテンツオファーと、対応するブログ記事を連携させると効果的です。
どのページにもコンバージョンのチャンスが潜んでいるため、検索者の意図と合致するCTAをすべてのページに配置しておくことをお勧めします。
17. 開発者やデザイナーと良好な関係を築く
SEOの目標は、1人では達成できません。開発者やデザイナーとの協力が必要になります。
そのためFrostは、こうした人たちと良好な関係を築くことを勧めています。
「開発者やデザイナーのことをよく知り、(可能な限り)同じ言葉で会話できるようになって、相手の士気を高める要因を突き止めましょう(たいていの場合は、すばらしいプロジェクトです)。そして何よりも重要なのは、SEOの重要なコンセプトを理解してもらうことです。たとえば、500件のバックリンクを獲得済みの古いページを削除するときには、必ず事前に相談してほしいといったことを伝えます。SEOでは、キーワード調査やコード、コンテンツばかりを気にすればよいのではありません。協力関係の構築にも力を注ぐ必要があります」
18. 技術的な観点からSEOの監査を行う
ウェブサイトの技術面の整備も、SEOの重要な構成要素です。検索エンジンが皆さんの会社のページを見つけてクローラーで情報を収集するとき、ページの情報をインデックスに追加するには、何のページなのかを理解する必要があります。検索エンジンが内容を理解できなければ、そのページは検索結果に表示されません。
ただし検索エンジンは、われわれ人間とは異なる方法でページを見ています。検索エンジンが着目するのは、ページの表示速度、コンテンツの重複、URLの構造などです。
技術面の問題を避けるために、技術的な観点から自社ウェブページの監査を行うことをお勧めします。
特に重要なチェックポイントは次のとおりです。
- ウェブサイトのナビゲーションとリンク
- シンプルなURL構造
- ページの表示速度
- リンク切れ
- サイトマップ
- 重複コンテンツ
以上の要素に関する詳細については、HubSpotのSEO完全ガイドをご覧ください。
19. データを繰り返しチェックする
SEOの世界は常に進化しています。そのため、本当の意味で成功を収めるには成果を測定してデータをチェックする必要があります。
次のような数値を測定するとよいでしょう。
- オーガニックトラフィックの増加率
- キーワードごとの表示順位
- オーガニックトラフィックのコンバージョン率
- ページの平均滞在時間
- バウンス率
- リンクの増加率
SEOは状況に合わせて絶えず変化するため、柔軟に対応しましょう。
加えて、データを常にチェックすることをお勧めします。
Beckerは次のように説明しています。「オーガニックトラフィックを増やすには、時間がかかるだけでなく、多くのデータが必要です。キーワード調査やトラフィック分析、いずれかのパフォーマンス関連の監査を行う場合には必ず2つ以上のデータソースから情報を得るようにしましょう。自社のコンテンツ マネジメント システムでトラフィックの減少が確認された場合は、Google Search Consoleをチェックし、減少の影響を受けたページを確認します。トラフィック減少の影響がいくつかのページや記事だけに集中している場合は、検索ランクのトラッキングツールを使用して、検索ボリュームの大きいキーワードのいずれかでランキングが低下していないかどうかを確かめます。診断が的確であるほど、効果的な対策を打つことができます」
ここで紹介した19の戦術に基づいてSEO戦略を策定することにより、私たちは1年にわたるトラフィックの停滞期を脱し、月間トラフィック量の新記録を樹立しました。しかし、こうした戦術がいつか時代遅れになる可能性はまったく否定できません。
ぜひご理解いただきたいのは、私たちのSEO戦術をそのまま取り入れたからといって、皆さんの今後のコンテンツマーケティングのキャリアが安泰になるわけではないということです。どれほどパフォーマンスが向上したとしても、決して現状維持に甘んじることなく、常に状況を見ながら調整してください。
そこでお勧めしているのが、HubSpotのウェブサイト評価ツール「Website Grader」です。このツールを活用すれば、自社のウェブサイトがどのくらい強力なのかを確かめることができます。
順調に進んでいた仕事が、ある日突然に停滞しはじめ、まったく機能しなくなることもあります。この状態を脱するには、何とかなると信じて、戦略全体を徹底的に見直すしかないのです。
編集者注:この記事は2019年3月に公開されたものです。その後、情報の包括性を考慮して更新されています。