ワークフローの改善で業務効率化するには?ポイントと手順を詳しく紹介

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

最終更新日:

現在、多くの企業がテクノロジーの進化や消費者ニーズへの対応を目的として業務プロセスの効率化に取り組んでいます。なかでも「ワークフロー改善」は、無駄な作業の削減や承認プロセスの迅速化など、効率向上に大きな効果をもたらす重要な施策とされています。一方で、具体的な改善方法に悩む担当者も少なくありません。

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    本記事では、ワークフロー改善が必要な状態と改善を行う手順、改善による効果や注意点などを解説します。

    ワークフローの改善が必要な状態とは

    ワークフローの改善が必要な状態には、次のケースが挙げられます。

    • 承認プロセスが複雑で時間がかかる
    • 紙ベースのワークフローで効率が悪い
    • 業務の透明性が低くボトルネックが特定できない
    • 情報共有が滞りミスが発生しやすい

    それぞれの状況や課題を具体的に解説します。
     

    承認プロセスが複雑で時間がかかる

    承認プロセスが複雑化すると、承認者ごとに書類が停滞しやすくなるため、業務全体の遅延による意思決定の遅れや機会損失が生じます。特に、複数の部門を横断するワークフローでは、承認者の不在や判断の遅れによって、一つの申請処理に数週間を要する場合が少なくありません

    申請内容の重要度にかかわらず、同じ承認プロセスを経ることで、重要度や緊急度の高い案件の処理が後回しになる懸念もあります。

    さらに、複雑な承認プロセスは従業員のストレスや不満を増加させる原因にもなります。
     

    紙ベースのワークフローで効率が悪い

    デジタル化が進む環境下では、紙ベースのワークフローは効率性を下げる原因になります。申請書の記入、押印、提出、保管などの一連の作業には、多くの労力と時間がかかるためです。

    紙の書類は紛失リスクが高く、過去の申請履歴を検索・参照するにも時間がかかり、重要な文書が見つからずに業務が停滞するケースも少なくありません。また、リモートワークを採用している企業において、出社しなければ申請や承認ができない状態では、根本的な見直しが必要となるでしょう。コピー代や保管スペース確保など、物理的なコストも発生します。
     

    業務の透明性が低くボトルネックが特定できない

    ワークフローの透明性が低いと、「誰が」「どの段階で」処理しているのかが見えず、進捗状況の把握が困難になります。ある部門で承認が滞っていても、その事実が可視化されていなければ、ボトルネックを特定できず、業務改善も困難です。

    透明性の低さは責任の所在を不明確にするため、問題が発生した際の「たらい回し」による対応の遅れを引き起こします。業務の全体像や流れを把握できないと、非効率な作業が温存され続ける悪循環に陥りやすくなります。
     

    情報共有が滞りミスが発生しやすい

    情報共有の仕組みが整っていない状態では、部門間の連携不足によりミスや重複作業が発生しやすくなります。申請内容の変更が関係者全員に伝わらず、古い情報に基づいて業務が進められたり、担当者の不在時に誰も対応できなかったりする、などの問題が生じかねません。

    情報共有の不足は、決裁の遅れや誤った判断につながるだけでなく、顧客対応や納期にも悪影響を与える可能性があります。例えば、重要な申請が埋もれてしまった結果、期限内に処理されないリスクが生じます。緊急性の高い案件が見過ごされると、ビジネスチャンスの損失や顧客満足度の低下を招く可能性があるため、改善が必要です。
     

    ワークフロー改善のステップ

    ワークフロー改善を効果的に進めるには、体系的なアプローチが必要です。現状分析、課題の特定、改善案の立案、実施、効果測定からなる一連の流れに沿って進めることで、成果につなげられます。
     

    1. 現状分析:業務フローの見える化

    はじめに、現状の業務プロセスを分析し、可視化します。関係者へのヒアリングや実際の業務の観察などを通じて、「誰が」「何を」「どのように」「どのくらいの時間で」行っているかを明らかにしましょう。

    業務フローの可視化には、業務の流れを図式化したフローチャートなどの活用が効果的です。作業時間や処理件数などの定量的なデータも収集しておくと、客観的な分析が可能になります。

    他部門との連携箇所や情報の引継ぎ方法、使用システム、ツールなども整理し、全体像を把握することも重要です。

     

    2. 課題の特定:ボトルネックと非効率性の発見

    現状分析で可視化した業務フローを基に、ボトルネックや非効率な部分を特定します。時間を要する工程、ミスの多発や情報の断絶が生じる部分などを洗い出し、課題を明確にしましょう。

    現場担当者の意見を積極的に取り入れると、実態に即した課題抽出が可能です。数値に表れにくい「使いづらさ」や「ストレス」なども、改善すべきポイントです。承認プロセスの滞留や書類の移動によるタイムラグ、重複作業など、表面化しづらい非効率性の発見がワークフローの改善には重要です
     

    3. 改善案の立案:具体的な改善策の検討

    特定された課題に対して、「無駄な工程の削減」「承認フローの簡素化」「自動化できる部分の特定」などの観点から、効果的な改善案を立案します。

    短期的に実現可能な「クイックウィン」と、中長期的に取り組むべき大規模な改善を区別し、段階的なアプローチを計画しましょう。

    複数の改善案を比較検討する際は、効果の大きさ、実現難易度、コスト、リスクなどを評価することが重要です。

    システム導入を検討する場合は、自社の業務に最適なシステムの選定基準や導入スケジュールを含めた計画を立てます。
     

    4. 改善の実施:新ワークフローの導入と運用

    ワークフローの変更やシステム導入には、関係者への十分な説明と研修が不可欠です。新しいプロセスやシステムの使い方、メリットなどを丁寧に説明し、スムーズな移行を促します。なぜその改善が必要なのか、どのようなメリットがあるのかを明確に伝えると、現場の協力を得やすくなります。

    大規模な変更を行う場合は、一部の部門や業務から試験的に開始し、改善を続けながら全社に展開するアプローチが効果的です。新しいワークフローへの移行期間中は、旧プロセスとの並行運用や段階的な切り替えなど、業務への影響を最小限に抑える工夫も必要です。マニュアル整備やヘルプデスクの設置など、運用開始後のサポート体制も整えておくと良いでしょう。
     

    5. 効果測定と継続的改善:PDCAサイクルの実践

    新ワークフローの導入後は、効果を定量的・定性的に測定し、さらなる改善につなげます。処理時間の短縮、エラー率の低下、コスト削減額などの目標を設定しておき、達成度を評価しましょう。現場担当者からのフィードバックを収集し、使い勝手や運用上の課題を把握することも重要です。

    効果測定の結果、期待した成果が得られていない場合は、原因を分析し、必要な修正を行います。ワークフロー改善は一度で完成するものではないため、PDCAサイクルを継続的に回してより良いプロセスを追求していく姿勢が大切です。
     

    ワークフローの改善には自社に合ったシステム選びも重要

    ワークフローの効率を最大限に高めるには、ワークフローシステムの導入が効果的です。申請から承認までの流れをデジタル化し、リアルタイムでの進捗管理や承認状況の可視化が可能になります

    導入するシステムは、自社の業務に最適なものを選定することが重要です。使いやすさやカスタマイズ性、既存システムとの連携可能性、モバイル対応の有無などを比較検討しましょう。クラウド型かオンプレミス型か、初期費用とランニングコストのバランス、導入後の運用や保守の負担も考慮し、自社のIT環境や人材に適したシステムを選びましょう。

     

    ワークフローの改善により得られる効果

    ワークフローの改善には、得たい成果を明確にし、目標を定めることが重要です。

    ここでは、改善によって得られる5つの主要な効果を解説します。

    • 生産性の向上
    • コスト削減
    • 意思決定の迅速化
    • コンプライアンスとガバナンスの強化
    • 従業員の働きやすさの向上
       

    生産性の向上

    ワークフローを改善すると、非効率な作業や無駄な工程を削減でき、同じ人数でより多くの仕事をこなせるようになります。

    従来は1週間かかっていた申請処理が1日で完了するよう承認プロセスが最適化されれば、その分の時間や労力を他の業務に振り分けられ、早期に次の仕事に取りかかることが可能です。従業員はより付加価値の高い業務に集中し、人手の不足や業務増大などの課題への対応が実現できます
     

    コスト削減

    効率的なワークフローの構築は、直接的・間接的なコスト削減につながります。紙の使用量や保管スペースの削減、印刷や郵送にかかる経費の節約などの直接的なコスト削減に加え、業務時間の短縮による人件費の効率化が実現できるためです。

    月間1,000件の申請処理時間が1件あたり10分短縮されれば、月に約167時間、年間2,000時間以上の労働時間削減が実現できます。ミスの減少によるリカバリーコストの削減や、意思決定の迅速化による機会損失の回避など、数字に表れにくい効果も含めると、大きなコスト削減効果を得られるでしょう
     

    意思決定の迅速化

    ワークフローの改善によって承認プロセスが効率化されると、意思決定のスピードが大幅に向上します。案件の重要度に応じて承認ルートを変更するなどの承認フローの最適化により、軽微な案件を簡易に承認できる仕組みを構築できるためです。

    また、業務のデジタル化により、場所を問わず承認作業をできるようになるため、承認者の出張や休暇による承認遅延を防ぐこともできます。

    意思決定の迅速化は、ビジネスチャンスを逃さない俊敏な組織運営を可能にし、市場環境の変化に素早く対応するための基盤を生み出します。顧客からの要望や問い合わせへの対応も速くなるため、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
     

    コンプライアンスとガバナンスの強化

    ワークフローの改善による業務の標準化と透明性の向上は、コンプライアンスとガバナンスの強化に貢献します。

    申請・承認の履歴がシステムに記録されることで、「いつ」「誰が」「どのような」判断をしたのかが明確になり、監査対応や説明責任を果たしやすくなるためです。また、承認ルールをシステムに組み込むと、権限外の決裁や必要な審査が省略されるリスクを防止できます。

    内部統制の観点からも、業務プロセスの可視化と統制は重要な要素です。不正や誤りの早期発見にもつながり、企業のリスク管理体制が強化されます
     

    従業員の働きやすさの向上

    ワークフローの改善は、従業員の働きやすさにも貢献します。申請手続きの簡易化や書類作成の負担軽減によって、従業員はより本質的な業務に集中できるためです。

    申請状況が可視化されると、「いつ承認されるのか」という不安や問い合わせの手間も軽減されます。テレワークとの親和性も高く、場所を選ばない柔軟な働き方にもつながるでしょう。

    さらに、適切な権限委譲と承認プロセスの設計により現場の裁量権が拡大し、従業員のモチベーション向上にも貢献します。働きやすい環境の実現は人材定着率の向上にも寄与し、企業の競争力も高まるでしょう。
     

    ワークフローを改善する際のポイント・注意点

    ワークフローを改善する際は、次のポイントや注意点を意識して取り組むことが大切です。

    • 現場の声を聞く
    • シンプルに設計する
    • 部門間の連携を考慮する
    • 運用後にフォローアップする

     

    現場の声を聞く

    現場の実態や意見を無視したトップダウンによって改善を進めると、現場のニーズとかけ離れた使いにくいフローが生まれてしまい、非効率になる恐れがあります。

    現場の業務担当者が最も良いアイデアを持っていることも多いため、改善プロジェクトの初期段階から担当者を巻き込み、日々の業務で感じている課題や改善のアイデアを積極的に収集すると良いでしょう。

    改善案の検討段階でも現場の意見を取り入れ、実際に使いやすいワークフローになっているかを確認する姿勢が重要です。
     

    シンプルに設計する

    例外処理を細かく設定するなどの複雑なワークフローでは、ルールが複雑になり使いにくくなるため、シンプルに設計することが大切です。シンプルに設計するポイントは、「80:20の法則(パレートの法則)」の活用です。ワークフローの大半を占める20%程度の主要なパターンを最適化し、例外的なケースは別途対応する方針で設計すると、少ないルールで効果的なワークフローを作れます

    また、承認者を必要最小限にとどめて決裁権限を明確にし、無駄な承認ステップを削減することも重要です。
     

    部門間の連携を考慮する

    ワークフローの改善で見落としがちなのが、部門間の連携や全体最適の視点です。一つの部門だけの効率を追求する「部分最適」が、結果的に組織全体としては非効率を生み出してしまうケースがあるためです。

    例えば、ある部門の承認プロセスを簡略化した結果、後工程の部門への引継ぎが不十分となり、問い合わせや修正作業が増える事態も起こりえます。

    ワークフロー改善は、組織全体の業務フローを全体的に捉え、部門間の情報連携を阻害しないように設計することが重要です。
     

    運用後にフォローアップする

    新しいワークフローの導入後は、フォローアップと継続的な改善を行うことが大切です。

    特に導入直後は、想定外の問題や使いづらい点がないかを確認しましょう。ヒアリングなどを通じて定期的に現場の声を集め、必要に応じて改善を行いましょう。

    ワークフローシステムを導入した場合は、利用状況のデータを収集・分析し、利用率の低い機能や頻繁に問い合わせがある箇所を特定して改善を進めます。ビジネス環境や組織体制の変化にあわせてワークフローを柔軟に見直すことで、長期的に業務効率を維持できます。
     

    ワークフロー改善の事例

    実際にワークフローを改善し、業務効率化を実現した2つの企業の成功事例をご紹介します。自社のワークフロー改善にお役立てください。
     

    アジアクエスト株式会社

    アジアクエスト株式会社では、既存のワークフローシステムを必要最低限の機能で選定したため、APIの不搭載による転記作業の手間や他アプリ(Slack)との非連携による処理の停滞、管理者権限を細分化できないことによるガバナンス上の課題を抱えていました。

    そこで、API・Webhookが豊富でSlackとの連携、複雑な承認経路、代理承認を設定できるシステムの導入を決定します。その結果、任意のタイミングでの閲覧者の追加や承認者の途中追加などを柔軟に行えるようになり、業務の透明性が向上したことで、リードタイムの大幅な短縮や承認プロセスの効率化に成功しています

    参考: DXを支援する会社で、自社のワークフローを改善するために行ったこと │導入事例
     

    エステー株式会社

    エステー株式会社では、50種類以上のワークフローシステムが社内に混在していたことに加え、作業者の属人化によるフォーム作成の不便さ、メンテナンス性の低さが課題となっていました。

    新システムの導入後は80種類以上のワークフローを一括管理できるようになり、承認業務において年間約1,000時間の削減を達成しました。また、ワークフローの開発も容易になり、属人化が解消しています。スマートフォンでの承認処理も可能となり、業務の柔軟性が向上した結果、運用コストも低減でき、効率的な運用体制を実現しています

    参考: 導入事例: エステー株式会社 様 - 詳細|ワークフローのCreate!Webフロー
     

    ワークフロー改善は現状分析から始めよう

    ワークフロー改善は、業務効率化と生産性向上のための重要な取り組みです。現状分析から始め、課題の特定、改善策の立案、実施、効果測定の手順で進めることで成果につなげられます。

    現場の声の導入やシンプルな設計、部門間の連携の考慮も実施のポイントです。PDCAサイクルを回しながら、より効率的で働きやすい業務環境の構築を目指しましょう。

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