動画コンテンツの宝庫であるYouTubeには、世界で毎分数百時間もの動画がアップロードされており、無数のコンテンツが存在しています。その中で自分の動画を多くの人に見てもらうには、ターゲットにとって魅力的な動画を作成することがまず重要ですが、ユーザーのホーム画面や検索結果に表示されるような工夫も必要です。
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今回はいくつかあるテクニカルな要素から、「タグ」について解説します。
YouTubeのタグとは
タグとは、YouTubeにアップした動画を検索でヒットしやすくするために設定するキーワードのことです。
YouTubeタグを設定するメリット
YouTubeタグを付けることで、主に次の2つの効果が期待できます。
1. 自分のアップロードした動画が関連動画として表示されやすくなる
タグを付けることで、動画のカテゴリがYouTube側から認識されやすくなります。YouTubeのアルゴリズムは、同じカテゴリに属する動画を「関連動画」として他のユーザーに表示する仕組みになっており、そのカテゴリに興味を持っているユーザーに動画を見てもらえる可能性が高まります。
また、自分のチャンネル内で共通のタグを設定し、関連動画にアップロードした各動画を表示させることでユーザーの回遊率を上げることも可能です。
2. 自分のアップロードした動画がYouTubeの検索結果に上位表示されやすくなる
YouTubeにおいて動画の検索順位を上げるには、動画のタイトル、サムネイル、説明を工夫することがなによりも重要ですが、タグも一定の役割を担っています。
Google はタグについて、「動画のコンテンツがスペルを間違えられやすいものである場合」役に立つことがあると発表しています。ユーザーが検索したキーワードにスペルミスなどがあったとしても、タグを設定することで、検索結果に表示させることができるためです。
ハッシュタグとの違い
YouTubeにはタグの他に「ハッシュタグ」があり混同されやすいですが、これらは全く別の機能です。
本記事で紹介する「タグ」は、YouTubeに対して配信者が動画のジャンルやカテゴリを知らせるもので、視聴者からは見えないようになっています。
一方で「ハッシュタグ」は、InstagramやTwitterなどで使われているハッシュタグと同様の機能です。視聴者はハッシュタグをクリックすることで、同じハッシュタグが付いている別の動画へ飛ぶことができるため、直接的に検索結果への影響がある機能だと言えるでしょう。
YouTubeのタグはどのくらい重要?
では実際のところ、YouTubeのタグ機能は動画の再生数を伸ばすためにどのくらい重要なのでしょうか。
Google はタグの重要性について、上記でもご紹介した「スペルを間違えやすい単語が動画のコンテンツとなっている場合」には識別の一助になるとする一方で、ユーザーが動画を検索する際のタグの影響は「ごく小さなもの」としています。
ユーザーの検索結果やホーム画面に動画を表示しやすくするには、タグよりもタイトルやサムネイル、説明文のほうが重要です。これらはユーザーから直接確認できるため、見るかどうかを決めるための判断材料となります。
YouTubeのタグの付け方
タグはPCとスマホのYouTube Studioから設定できます。ケースごとに、具体的なタグ付けの方法を紹介します。
新規動画にタグを追加する
YouTube Studioにログイン後、新規動画をアップロード
[すべて表示]を選択してメニューを展開
タグの記入欄にタグを入力
アップロード済みの既存動画にタグを追加する
左側のメニューから[コンテンツ]を選択し、対象の動画を選択
[すべて表示]を選択し、タグの記入欄にタグを入力
効果的なYouTubeのタグ付けのポイント
ポイントをおさえたタグの付け方をすることで、ユーザーに動画を見てもらえる可能性が高まります。
1. 動画に関連性が高いキーワードを重要な順に並べる
YouTubeは検索順位を決める際、前半のタグを重視していると言われています。そのため、1つめのタグは動画コンテンツのメインとなるようなキーワードを設定しましょう。
2つめ以降のタグも、動画に関連性が高いものから設定していくなど、重要度が高い順に並べていくことを意識してください。
2. スペル・つづりを間違えそうなコンテンツで複数パターンを入れる
YouTubeにおいて、タグはスペルやつづりを間違えそうな場合に識別のために有効です。コンテンツにおいて紛らわしい単語を使用する必要がある場合は、複数パターンを入れておくといいでしょう。
3. 抽象度の高いキーワードと具体的なキーワードをバランス良く入れる
ジャンルやカテゴリなど、動画の大まかな内容を表した抽象的なキーワードを入れると、YouTubeが動画の概要を把握しやすくなり、検索表示される可能性が高くなります。
ただし、抽象的なキーワードのみでは同じジャンルの動画の中に埋もれてしまうことも多いため、動画内で紹介する商品やトピックなど具体的なキーワードを混ぜることで、他の動画との差異化を図りましょう。
4. チャンネル名、チャンネルIDを入れる
チャンネル名とチャンネルIDをタグ設定することで、自分のアップロードした他の動画の関連動画に表示できます。
これにより閲覧者にチャンネル内の他の動画を見てもらいやすくなります。
5. 人気動画についているタグを入れる
上位動画と同じタグを複数入れることで、関連動画に表示されやすくします。まずは同じカテゴリの上位動画に付いているタグにどのようなものがあるかを調べましょう。
Google Chromeの拡張機能であるTags for YouTubeや、vidlQなどの分析ツールを使うと便利です。
6. キーワードのトレンドを調べる
今人気のキーワードについての動画を投稿することで、動画の再生回数を伸ばせる可能性があります。
トレンドについて調べるためには、YouTubeの「急上昇」をチェックするのがおすすめです。YouTubeの「急上昇」はパーソナライズされたランキングではなく、同じ国のユーザーにはすべて同じ結果が表示されるため、今注目されているトピックを知ることができます。
YouTubeだけにとどまらないトレンドを調べるには、Google トレンドを利用するのが有効な方法の1つです。Google トレンドでは特定のキーワードの検索数を調べられる他、急上昇しているキーワードを調べることもできます。
YouTubeのタグを付けるときの注意点
YouTubeのタグを付けるときは次のことに気を付けましょう。
1. タグを必要以上に付けすぎない
追加できるタグの数に制限がありませんが、必要以上に付けすぎると、スパム、欺瞞行為、詐欺の禁止に関するポリシーに違反することがあります。
多くても15個までにとどめておくのがおすすめです。
2. YouTubeで禁止されているワードは使わない
YouTubeではポルノや暴力的、悪意のあるコンテンツはガイドラインで禁止されています。それらを連想させるワードは使わないように気をつけてください。
3. 動画に関連のないタグは付けない
動画に関連のないタグを付けた場合、タグを多く付けすぎた場合と同様、運営側から動画が削除される可能性があります。
YouTubeのスパムポリシーを確認し、違反によってチャンネルや動画の評価が下がらないようにしましょう。
4. 複数のタグはカンマで区切る
複数のタグを入れるときは、ハッシュタグのように半角スペースで区切るのではなくカンマで区切ります。
YouTube「ハッシュタグ」の入れ方
YouTubeでは、検索への引っ掛かりやすさやユーザーへ話題をわかりやすくする目的で、「ハッシュタグ」を活用することも重要です。動画内でハッシュタグを指定することで、ユーザーにSNSで拡散してもらうようお願いすることもできます。
ハッシュタグの入れ方は、XやInstagramなどと基本的には同じです。YouTubeではタイトル、説明文にハッシュタグを含めることができます。
「#」マークの後ろにワードを入れることで、ハッシュタグの候補やコンテンツの規模が出てくるので、これも参考にしながらハッシュタグを選択しましょう。
ハッシュタグを2つ以上入れる場合は、間にスペースが必要です。
YouTubeの再生数を伸ばすその他の要素
タグを最適化する以外にも、動画の再生数を伸ばすための要素は多くあります。
以下のポイントもYouTubeチャンネル運営の参考にしてください。
タイトルを工夫する(キーワードを意識)
内容がひと目でわかり、かつ見たいと思えるようなタイトルをつけることが重要です。ユーザーはその動画を見るかどうかについてタイトルを判断基準の1つにしているため、タイトルを工夫することで再生数を伸ばせる可能性があります。
また、タイトルにはキーワードを含めるようにしましょう。トピックがわかりやすいとユーザーに優しい他、YouTubeのおすすめや関連動画でも出やすくなる可能性があります。
ただし、ユーザーを引き込みたいばかりに過剰なタイトル、動画コンテンツとは関係のないタイトルをつけてしまうのは避けましょう。
なお、公式で説明があるように、YouTubeではタグよりもこちらのタイトルや説明文のほうが重要です。
目を引くサムネイル画像を作る
タイトルと同じ、あるいはそれ以上に重要となるのがサムネイル画像です。サムネイル画像はYouTubeにおいてタイトル以上に目を引くので、ここで動画内容に興味を持ってもらえるような画像を表示しましょう。
サムネイル画像にはテキストを入れるのもおすすめです。動画の内容を端的に説明するテキストを入れることで、ユーザーを引き込める可能性があります。
なお、動画の内容を端的にまとめた綺麗なサムネイルを作ることで、かえって企業感が増し、避けられる可能性もあります。YouTubeで再生数を伸ばしている動画を見てみると、いろいろなパターンがあることがわかるため、研究しつついろいろなパターンを試すのがおすすめです。
YouTubeのサムネイル作りについては、以下コラムもあわせてご覧ください。
動画の冒頭部分をユニークに
ユーザーはその動画を見続けるかどうかについて、動画の冒頭部分を見て判断します。最初のほうでつかまなければすぐに離脱されてしまうため、冒頭部分に注力して制作しましょう。
冒頭部分を工夫するアイディアとしては、動画全体の構成を説明する、気になる問題提起を入れる、動画の概要をまとめたダイジェストを入れるなどがあります。
カードや終了画面を活用する
YouTubeの動画には、カードや終了画面を活用して別の動画やチャンネルへ誘導することができます。うまくチャンネル内回遊の導線を作ることで、チャンネルやブランドのファンになってもらえる可能性が高くなります。
シリーズで作成している動画などがあれば、積極的にリンクを入れてユーザーの回遊を促すようにしましょう。
終了画面の作り方については、以下コラムにて解説しています。
動画の長さや投稿時間を工夫する
動画の内容だけでなく、長さにも注目してみましょう。YouTubeではある程度の長さのある動画のほうがおすすめなどにヒットしやすいと言われることもありますが、実際に自身のチャンネルでどの長さの動画が伸びているかを確認し、どの長さが適切かを探ることが大切です。
また、投稿時間も工夫することができます。動画の適切な投稿時間に正解はありませんが、ターゲットとしている層がYouTubeをよく見る時間の少し前に投稿することでリーチしやすくなると考えられます。
SNSも活用する
動画はただ投稿するのではなく、投稿したことを知らせて誘導することが重要です。その手段として有効な1つがSNSです。
SNSにある程度のフォロワーがあれば、YouTubeに動画をアップロードしたことをお知らせすることで再生数を伸ばし、場合によってはフォロワーに拡散してもらえることもあります。また、動画投稿に関するお知らせをSNSで行う、ダイジェスト版をSNSで投稿するなど、いろいろな連携方法があります。
既存の良質なコンテンツを再利用する
YouTube動画を制作するとき、トピックに困ることがあるかもしれません。そんなときは、社内にすでにある良質なコンテンツを再利用するのもおすすめです。
例えば、ウェブサイトやホワイトペーパー、書籍などですでに公開している情報・データをYouTube動画として再利用したり、社内で活用しているデータのうち公開可能なものを動画化したりなどの方法があります。
YouTubeの再生数を伸ばす方法については、以下のコラムにてさらに詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
YouTubeのタグを活用してコンテンツを効果的に配信しよう
タグは動画再生数を伸ばすうえで補助的な役割を担う機能であり、テクニックの一種です。
YouTubeの運営で最も重要なのは、細かいテクニックではなく、視聴者に満足してもらえるような質の高いコンテンツを配信することです。また、タイトルやサムネイルは動画の内容をユーザーに対して直接的に伝える役割があることから、タグよりも重要度が高いと言えるでしょう。
まずはどのような視聴者に、どのような動画を届けたいのかをよく考えます。そして、コンテンツを広めるために、タグをはじめとする機能を最大限活用してください。