CRMとは「Customer Relationship Management」という英語の頭文字をとった言葉であり、顧客との関係性を管理する、もう少し詳しく言えば「顧客とのやりとりの情報を集約して管理する」という概念を表す言葉です。

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CRMの考え方を使い、顧客がもつニーズや求めている情報について理解を深められると、顧客一人ひとりに合った施策を実施できるため、顧客とより深い関係を築けるようになります。
消費者のニーズが多様化してきた昨今、このCRMの考え方はマーケティングにも活用できます。

本記事では、CRMの考え方をマーケティングに活かすメリットや、具体的な施策について解説します。

※本記事をご覧いただいている方の中には、「CRM」という言葉についてまだあまり詳しくないという方もいらっしゃるかもしれません。 もしCRMという言葉についてしっかり理解しておきたい場合は、以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

>CRM (顧客関係管理)とは?導入するメリットや成功法則を徹底解説

CRMを活用したマーケティングのメリットだけでなく、活用時に注意すべきポイントについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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1.CRMの考え方をマーケティングに活かすメリット

CRMの考え方をマーケティングに活かすメリット

CRMの考え方をマーケティングに活かすメリットを端的にお伝えすると、「顧客と良好な関係を築ける」の1点に集約されます。

昨今、この「顧客と良好な関係を築ける」ということが、マーケティングにおいてますます重要とされています。

なぜなら今、多くの顧客は、自分に最適化された情報をより求める傾向にあるからです。

1.顧客が自ら情報を選択できる時代に

インターネットが普及する前、商品・サービスに関する多くの情報をもっていたのは主に企業でした。
今でこそ検索すれば商品に関する情報はたくさん得られますが、検索エンジンやSNSなどがなかった当時、商品の情報を手に入れるには企業が出した広告や情報誌などを見るしかありませんでした。

そのため、顧客が商品を購入する際、顧客は欲しい情報を自分で手に入れられず、多くの場合、企業が発信する情報をもとに意思決定をしなければなりませんでした。 つまり、企業が相対的に優位な立場にあったのです。

しかし、インターネットが普及すると、顧客は自らインターネットやSNSで情報を収集できるようになりました。
その結果、自分が集めた情報をもとに意思決定する人が増えました。
たとえば、検索エンジンやSNSを使えば、企業が発信していないような情報や、他の顧客のクチコミを見ることができます。

そこで初めて知る商品情報や商品への評価などもあるでしょう。
そのように、顧客が自ら欲しい情報を選べるようになった今、企業主体のメッセージは以前ほど顧客に受け入れられにくくなりました。

その結果、企業が伝えたい情報と顧客が集めた情報との間にギャップが生まれることが増えています。

企業が伝えたい情報と顧客が集めた情報との間にギャップが生まれる

そのような状況を防ぐためには、顧客がどんな情報を求めているかを知り、顧客が「この企業は自分たちのことを深く理解してくれている」と感じられるような、顧客に寄り添ったアプローチをおこなうことが大切です。

一人ひとりの顧客に合わせて、その顧客が情報を求めるタイミングで、その顧客に最適化した情報を渡す。
そうすることで、顧客は自分が集めた情報以上に、企業が発信する情報に信頼を置いてくれる可能性が高まります。

たとえば、顧客自身でさえも気付いていない「本質的な課題」を見つけ、その本質的な課題を解決するような情報を提供するのもよいでしょう。
そうすれば、「この企業は自分たちのことを自分たち以上に理解してくれている。だから継続して取引したい」と感じてもらえるようになり、「お得意様」が増えるようになります。

一方、顧客と浅い付き合いを続けてきた企業の場合は、たとえ長らく取引を続けていたとしても、顧客からいずれ「継続して取引するメリットはない」と判断され、取引を継続してもらえない状況が起きます。

そうならないためにも、企業は顧客にとって大切なパートナーになることが大切なのです。

そして、そのパートナーシップは、短期的な取引ではなく、長期的な取引の中でこそ育っていきます。
よって、顧客と良好な関係を築き続けること、すなわち顧客との関係を大切に管理し続けること、=CRM(Customer Relationship Management)が重視され始めたのです。

どんな価値も、相手との関係性の中でこそ伝わります。
その関係性は、CRMの概念なくしては深まりません。

2.CRMをマーケティングに活かすメリット

CRMにおいては、顧客との良好な関係性を維持しするために、顧客とのやりとりの情報を集約して管理することを大切にします。

やりとりの情報を集約すれば、次のような3つのメリットが得られるからです。

1.顧客分析を進めやすくなる

顧客情報を一か所で管理すると、必要な情報を必要なときにすぐに取り出しやすくなります。
そのため、マーケティング施策の立案に欠かせない顧客分析を進めやすくなります。

2.顧客一人ひとりにあったマーケティング施策を実施できる

顧CRMの考え方を用いると、どんな顧客が、どんな情報をいつ必要としているのかを知れるため、顧客に合ったコンテンツを提供できます。
その結果、自社が発信する情報に興味を示してもらいやすくなるため、成約数などにも良い影響が出ます。

3.安定して利益を得られるようになる

マーケティングの世界には「1:5の法則」があります。
これは、新規顧客に商品を購入してもらう場合は、既存顧客に購入してもらう場合の5倍のコストがかかるというものです。
そのため安定して利益を得るためには、新規顧客を集客することも大事ですが、既存顧客に自社の商品やサービスを長く愛用してもらうことがより重要になります。

企業がCRMを活用し、顧客に最適なタイミングで求められている情報を提供すると、顧客は企業を信頼し、その企業のサービスを利用するようになります。
商品やサービスを利用し価値を感じた顧客の中には、その価値をもっと他の人にも体験してほしいと感じるため、自分が利用する商品を知人に口コミでオススメしたり、SNSで商品の良さを発信してくれる人も増えてきます。


その結果、商品をまだ知らない見込み客が、それらの口コミを聞いたり、SNSの情報を見て商品を知り、商品を購入するケースも増えていきます。
つまり、良好な関係を築いた顧客が、企業の広告塔となって新たな顧客を呼び込んでくれることがあるのです。

上記のように、顧客と良い関係を築くと、その顧客に長期間商品を愛用してもらえるだけでなく、新規顧客の集客にもつながります。

その結果、安定した利益を得られるようになるのです。

2.CRMを活かしたマーケティングを成功させるために必要な考え方

CRMを活かしたマーケティングを成功させるために必要な考え方

CRMの考え方をマーケティングに活かし、成果を上げるためには、次の3つを意識することが重要です。

1.「データ」をもとに、顧客一人ひとりに合ったアプローチを考える

管理した顧客情報から、顧客に合わせたアプローチを考えましょう。

一般的にマーケティングをおこなう場合は、アプローチしたいユーザーのモデル像である「ペルソナ」に合わせて施策を考えるかもしれません。

しかし、実際の顧客は一人のペルソナではありません。
100人いれば100通りの属性情報や興味・関心をもっています。

インターネットが普及して以降、人々の興味・関心の多様性は加速度的に増しています。

よって、ペルソナをもとに顧客へのマーケティング施策を考えても、企業が良いと考えるアプローチと、実際に顧客が求めているアプローチにギャップが生まれやすくなりました。

そこで、これからのマーケティングはペルソナから離れ、顧客の「データ」をもとに顧客一人ひとりに合わせたアプローチを考えることが必要になります。

たとえばNetflixやSpotifyのようなコンテンツ配信型のサービスを20代の女性が使っている場合、同じ20代女性が使っていたとしても、配信される映画や音楽は人によって異なります。

これは、NetflixやSpotifyが、20代女性というような「ペルソナ」だけではなく、「データ」に基づいて顧客に合ったコンテンツを提供しているからです。

このように、CRMに蓄積された顧客の属性情報や購買履歴などの「データ」に基づいて「ペルソナ」を考えることで、自社がアプローチしたい顧客層に的確にアプローチできるようになります。
そうすると、顧客が求めるコンテンツを顧客に合ったタイミングで提供できるようになるため、顧客の購買体験の質を向上できます。

一方でパーソナライズのしすぎにも注意が必要です。
Cookieデータの使用がしばしば問題視されるように、過剰な個人情報の活用は顧客に対して不安を与えかねません。
「顧客と良好な関係を築く」という目的に沿って、どこまで顧客情報を活用するかについて検討しましょう。

2.顧客が感じる摩擦を減らす

顧客とより良い関係を築くためには、顧客がサービスを利用する際に感じる不便さなどの「摩擦」を減らすことが大切です。

たとえば、あなたが顧客のとき、サービスの担当者が変わるたびに同じような説明を繰り返されたことはないでしょうか。

購買プロセスにおいて顧客に同じ説明を何度も繰り返してしまうと、顧客体験を損ねてしまいます。
そのため顧客の購買データや過去のやり取りの内容を記録し、蓄積した顧客情報を用い、コミュニケーションを円滑におこなうことが大切です。

管理した購買データを使えば、多くの顧客が抱えていた疑問などもわかってきます。たとえば、多くの顧客が「サービスの契約期間がわかりにくい」という疑問を抱えていた場合、Q&Aのような形で回答をコンテンツ化しておくのもよいでしょう。

そうすることで、顧客は悩みを解消できるだけでなく、「問い合わせをする」という負担も解消できます。
そういった小さな改善の積み重ねが、良好な印象をつくりあげていくのです。

3.短期的な成果にこだわり過ぎない

CRMは「顧客や見込み客との良好な関係をつくり、育てる」ことが目的です。
顧客情報の分析や顧客へのアプローチの改善を一度だけおこなえば、すぐに成果が出る、というものではありません。

顧客と良い関係を築いていくためには、アプローチごとの効果測定をしながら、より良いアプローチがないかを検討し、何度も顧客とコミュニケーションを重ねていくことが大切です。

CRMの考え方は社内文化をも変えます。
よって、短期的に成果を追い求め過ぎず、長期的な目線でCRMの文化を社内に定着させることを意識しましょう。

ちなみに、これら3つの考え方をすべて包括する考え方に「インバウンド」という考え方があります。

これは、顧客が情報を受け取りたいと思うタイミングで顧客が求めるコンテンツを提供するという考え方です。
(逆に、テレビCMやDMのように、顧客の状況に関わらず企業のタイミングで顧客にコンテンツを提供する考え方を「アウトバウンド」と呼びます)

「インバウンド」なマーケティングをおこなうと、顧客からの信頼が得られやすくなるため、自社の根強いファンが増えます。

ただ、そのようなマーケティングを進めるには、顧客がいつ情報を欲しているのかなどの顧客の購買プロセスや顧客のニーズを知ることが不可欠です。
そこで、CRMの考え方を採り入れるわけです。

このように、CRMを活用したマーケティングは「インバウンド」なマーケティングとも言えます。

では続けて、マーケティングにCRMを採り入れる前に準備すべきものを紹介します。

3.マーケティングにCRMを採り入れる前に準備すべきもの

マーケティングにCRMを採り入れる前に準備すべきもの

CRMをマーケティングに活かす前に、次の3つの準備をしましょう。

1.マーケティングに活用できる顧客情報が社内にあるか確認する

まずは社内に活用できる顧客情報があるかどうかを確認しましょう。
もし活用できる顧客情報が社内にない場合は、顧客情報を蓄積するための準備も始めます。
顧客情報を蓄積するための準備は、このあと説明します。

また、顧客情報があるとしても、それが名刺なのか、名刺管理ソフトに入力されたデータなのか、Excelでまとめられたデータなのか、といった具合に、情報がどのような形式で保管されているのかの確認も必要です。

2.KPIを設定する

マーケティングは「振り返り」こそが大切です。
より精度の高い施策を続けていくためにも、道標となるKPI(重要業績評価指標)を設定し、目標値を達成できたかどうかを常に振り返るようにしましょう。

3.顧客情報を管理できる体制が社内にあるか確認する

顧客との関係性がどう変化しているのかを管理するために、顧客情報を管理できる体制を用意しましょう。

具体的には、社内に顧客情報の収集や管理をおこなう担当者を確保したり、データを一か所にまとめるためのルールづくりなどが必要です。
そういったことが進められる体制を用意できるかを確認しましょう。

では、次からはいよいよ、CRMを活用したマーケティングの具体的な進め方について説明します。

4.実際にCRMを活用してマーケティングを進める手順

実際にCRMを活用してマーケティングを進める手順

CRMを活用したマーケティングは、以下の4つのプロセスで進めます。

それぞれのプロセスについて、順番に説明していきます。

1.顧客情報を蓄積する

1.属性情報

顧客の社会的な特性を表す情報です。

顧客の属性情報を知ることで、自社商品やサービスがどんな顧客層に購入されているかなどを分析できます。

●情報例

  • 氏名
  • 住所
  • 電話番号(携帯電話番号)
  • メールアドレス
  • 生年月日(年齢)
  • 家族構成
  • 勤務先
  • 学歴・職歴
  • 居住地
  • 年収(および世帯年収)
  • 持ち家の有無

●取得できる場面

オンラインの場合は、自社のWebサイトから取得できます。
実店舗の場合は、顧客の属性情報を直接顧客に尋ねるのが難しい場合があります。
その場合は、商品販売時に販売スタッフが推測した顧客の属性情報をPOSレジに記録することで、属性情報を蓄積できます。

  • 会員登録ページ
  • お問い合わせページ
  • 資料ダウンロードページ
  • 営業担当による顧客からのヒアリング
  • 無料体験・製品デモのお申し込みフォーム
  • イベント・セミナー参加へのお申し込みフォーム
  • イベント・セミナー参加者へのアンケート

2.購買データ

「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「いくらで」「どれだけ」「どのように」といった、顧客が商品を購入したときの状況を示す情報です。

●取得できる場面

オンラインの場合、Google AnalyticsなどのWebサイト分析ツ―ルや、CRMツールやMAツールに備わっている「トラッキング機能」を使うと、顧客がどのような経路で商品の購入に至ったのかなどのアクセスログを得られます。

「MAツール」については、詳しくは「5.マーケティング活動におけるMA、SFAの役割」をご覧ください。

3.定性データ

メールや電話で顧客とやり取りした内容や、お問い合わせフォームから送信された顧客の要望に関する情報です。
属性情報と紐づけることで、お問い合わせ対応時に過去の履歴を参考にし、顧客に合わせた対応ができるようになります。

●取得できる場面

  • お問い合わせフォーム
  • アンケートフォーム
  • 営業担当による顧客からのヒアリング
  • お問い合わせ対応・カスタマーサポートによる顧客からのヒアリング

上記の顧客情報を記録する際は、記録漏れがないようにしたり、データを見やすく整理できる環境が大切です。
そのためにオススメしたいのが、CRMツールです。
CRMツールとはまさに顧客情報を管理することに特化したツールで、顧客情報の蓄積において強みを発揮します。

2.顧客情報の分析

顧客情報の分析

顧客情報を蓄積したら、現状を把握するために分析をおこないます。
ここではよく用いられる分析方法を4つ紹介します。

1.RMF分析

RFM分析とは、顧客を、Recency(最新購買日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(累計購買金額)という3つの指標からランク分けする分析手法です。

  • Recency(最新購買日):顧客が最後に商品を買った日付
  • Frequency(購買頻度):顧客が商品を購入した回数や頻度
  • Monetary(累計購買金額):顧客の今までの購入金額の合計

たとえば、化粧品を販売している場合、過去に何度も購買履歴がある顧客のほうが、一年前に一度だけ購入してくれた顧客よりも、自社商品への関心が高いと判断できます。

RMF分析で高ランクの顧客は、自社への貢献度が高い可能性があります。
そのため、そのような顧客に優先的にアプローチすることで、マーケティング施策の費用対効果を高められる場合があります。

ただし、住宅や車のように買い替える頻度が低い商品を扱っている場合は、最新購買日や購買頻度は更新されにくいため、優良顧客かどうかを判断する指標には向きません。
そのため、購入または利用頻度が高く、競合他社に乗り換えやすい商品を扱っている場合に、RMF分析を検討するのがよいでしょう。

2.デシル分析

デシル分析とは、全顧客を購入金額(累計購買金額)の高い順に10グループに分け、各グループの顧客の購入比率や売上構成比率を分析する手法です。
(「デシル」はラテン語で「10等分」を意味します)

デシル分析をおこなうと、自社のビジネスにおいて売上高貢献度の高い顧客層を知れるため、その顧客層に対して集中的に効率よくアプローチできます。

ただし、過去の「購入金額の合計」のみを指標としているため、一度高額の商品を購入した顧客が優良顧客として判断されるケースがあります。
そのため、 デシル分析をおこなう場合は、目的に合わせて他の分析方法と合わせておこなうのがよいでしょう。

3.セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは、顧客の属性や特徴に類似性や共通点を見つけ出してグループ化し、分析する手法です。
グループ化する際の基準には、居住地域などの地理的な指標や、年齢や性別といった顧客属性などがあります。
どんな基準でグループ化するのかは、明確にしたい顧客層に応じて変えましょう。

たとえば、今後アプローチしたい顧客層や、既存の顧客層が自社商品に感じている価値を知りたい場合は、顧客をグループ分けし、共通点を見つけるのがよいでしょう。

逆に、失注する可能性が高い顧客層や失注の原因を把握したい場合は、商品の購入回数が少ない顧客をグループ化し、その顧客層の共通点を把握すると、原因を推測しやすくなります。

4.コホート分析

コホート分析は、顧客を共通の属性に応じてグループ(コホート)に分けたうえで、その後、各グループの顧客がどのような行動をとっていくのかを把握する手法です。

サブスクリプションビジネスでは、コホート分析を行うことで「契約してから〇〇カ月後に解約率が上がる」といったような、時間軸と顧客行動の変化の関係を知ることができます。

たとえば、Netflixのような月額課金のコンテンツ配信サービスでコホート分析をおこなった結果、契約後3カ月で解約率が急激に上がるということが判明したとします。
その結果をもとに「ユーザーは3カ月で一通りのコンテンツを見てしまい、サービスに飽きてしまっているのでは」と仮説を立て、ユーザーを3カ月で飽きさせない仕組み作りを考えられます。

このように、コホート分析の結果から顧客の現状を把握し、原因を深掘りすることでサービスやプロダクトの改善策を見つけられるようになります。

上記の分析手法を用いて顧客情報の分析を進めると、アプローチしたい顧客層や顧客が自社商品に感じている価値などをより具体的に把握できるようになります。
その結果、顧客に合わせたマーケティング施策を考えられるようになります。

3.マーケティング施策の立案

顧客情報を分析し現状を把握できたら、各顧客へのマーケティング施策を考えます。
マーケティング施策には、たとえば以下のようなものがあります。

  • メール配信
  • ブログ記事の作成・公開
  • eBookおよびホワイトペーパーの作成と提供
  • SNSの運用
  • ウェビナー・オフラインイベントの開催
  • 製品体験版の配布
  • 広告の配信・運用

いずれの施策を実行する場合も、CRMの目的である「顧客と良い関係を築く」ことができる施策を選びましょう。

たとえば顧客分析により、まだサービスを利用していないが、自社サービスのサイトを繰り返し訪れてくれているユーザーが多くいることがわかったとします。
その場合、自社サービスに関して、ユーザーがすぐに意思決定できない何かの原因がある、もしくは競合他社と比較検討しているユーザーが多いといった仮説を立てられます。

そのような場合、たとえばユーザーがすぐにサービスの価値を体験できるように、メールアドレスを入力すれば体験版が利用できる仕組みをサイトに用意するというアプローチが考えられます。
そのアプローチの過程では、体験版を利用してもらう際に見込み客のメールアドレスを取得できます。
その結果、顧客が体験版を利用した後すぐにサービスの利用を開始しなくても、メールで継続したサポ―トができるようになるでしょう。

4.マーケティング施策の実行・効果検証

マーケティング施策を実行したあとは、事前に立てたKPIをもとに施策の結果を振り返ります。
目標値に届かなかった場合は、アプローチ方法やアプローチをおこなった顧客の対象が適切だったかどうかなどを見直しましょう。

5.マーケティング活動におけるMA、SFAの役割

CRMとセットでよく用いられる言葉に「SFA」「MA」があります。

これらの言葉について知っておくことで、CRMを活用したマーケティングがより円滑に進みます。

よって、SFAとMAについてもカンタンに説明しておきます。

1.CRMとSFA、MAとの違い

CRMは「顧客関係管理」という概念を指すのに対し、SFAはおもに「営業の自動化」をおこなうためのツールを、MAは「マーケティングの自動化」のための仕組みや概念を指します。

SFA(Sales Force Automation):営業支援システム

SFAは営業の進捗状況を可視化するダッシュボードや日報機能、請求書発行(もしくは請求書ツールとの連携)機能が実装されているツールです。

SFAを採り入れると営業の進捗を見える化できたり、営業マンが顧客からヒアリングした内容を効率よく記録できたりするなど、営業業務の効率化に役立ちます。

CRMとSFAは、どちらも顧客データを管理するという点において共通していますが、管理する目的が異なります。

CRMは顧客との良好な関係を構築することを目的にしている一方、SFAは営業活動を推進することを目的としています。

SFAについては以下の記事でより詳しく解説しています。

>最新版 おすすめの営業支援システム7選&特徴から選び方まで解説

MA(Marketing Automation):マーケティングオートメーション

MAは、見込み客の集客から顧客の購買までのプロセスを自動化する仕組みや考え方を指します。

実際にMAを導入する際は、MAツールを用いるとマーケティング活動を効率化できます。
たとえばMAツールを使うと、見込み客が自社サイトをいつ閲覧したのか記録(トラッキング)したり、より自社商品に関心の高い顧客を自動的にリストで分けたりすることができます。
また、特定の顧客に送るメールを自動化できるなど、マーケティング施策の効率化も実現できます。

CRMの考え方をもとに立案したマーケティング施策を実行する際に、それを自動化し効率化するのがMAです。

MAについては以下の記事でより詳しく解説しています。

>【2020年最新版】マーケティングオートメーション完全ガイド | 使い方から、ツール比較、事例まで

2.マーケティング活動におけるCRM、SFA、MAの役割

CRM、SFA、MAのそれぞれが、マーケティング活動の中でおもにどういった領域を担当するのかをわかりやすく説明するために、以下の図をご用意しました。

CRM、SFA、MAがマーケティング活動においてカバーする領域の図

このように、CRMは情報を取得できた見込み客から、商品を購入した顧客のアフターフォローに至るまで活用できる考え方です。

ちなみに私たちHubSpotは、顧客との関係性は、まだ情報を取得していない見込み客の集客からサポートまで、すべてのプロセスにおいて築かれると考えています。
そのため、私たちはCRMを以下の図のように、マーケティングの全般をカバーする「人対人のコミュニケーション」における本質的な概念だと捉えています。

HubSpotが考えるCRMが、マーケティング活動においてカバーする領域の図

そのため、私たちが手がけている「HubSpot CRM」というCRMツールは、すべての顧客接点において最適なアプローチを行う機能を有しています。

さいごに

どんな商品やサービスも、その価値は、相手との「関係性」の中でこそ伝わります。 その関係性は、CRMの概念なくしては深まりません。

顧客に選ばれる商品やサービスを提供するためには、顧客のことをよく知り、顧客が求める情報を最適なタイミングで提供する「おもてなし」のようなマーケティングが必要になります。

一人ひとりの顧客に合わせて、その顧客が情報を求めるタイミングで、その顧客に最適化した情報を渡す。
そうすることで、顧客は自分が集めた情報以上に、企業が発信する情報に信頼を置いてくれる可能性が高まります。

その上では、顧客自身でさえも気付いていない「本質的な課題」を見つけ、その本質的な課題を解決するような情報の提供も大切です。

そうすれば、「この企業は自分たちのことを自分たち以上に理解してくれている。だから継続して取引したい」と感じてもらえるようになり、「お得意様」が増えるようになります。

よって、どれだけ顧客と深い関係性を築けるかが大切。

顧客と浅い付き合いを続けてきた企業の場合は、たとえ長らく取引を続けていたとしても、顧客からいずれ「継続して取引するメリットはない」と判断され、取引を継続してもらえない状況が起きます。

そんな状況を防ぐためにも、従来のマーケティングにCRMの考え方を取り入れ、顧客とより良い関係を築いていきましょう。

HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

 

営業チームを成功に導くためのCRMテンプレート

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元記事発行日: 2021/03/31 23:00:00、最終更新日: 2023年5月23日

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