インサイドセールスとは、電話やメール、オンラインミーティングツールなどを活用した非対面の営業活動を意味する言葉です。営業活動の効率化だけでなく、見込み客とのコミュニケーションを最適化するうえでも役立ちます。
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本記事では、インサイドセールスで成功した企業の事例8選と、事例から見る成功のポイントをご紹介します。事例を参考に、自社のリソースや目的に合ったインサイドセールスチームの構築を検討してください。
インサイドセールス導入企業の成功事例8選
インサイドセールスの導入に成功した事例として、次の8社の取り組みを紹介します。
- パナソニック インダストリー株式会社
- 株式会社Salesforce
- 株式会社イトーキ
- 中央日本土地建物株式会社
- 株式会社ヤプリ
- 株式会社カケハシ
- スエナミ工業株式会社
- PCA株式会社
1. パナソニック インダストリー株式会社
パナソニック インダストリー株式会社は、パナソニックホールディングスにおけるデバイス領域を担当する事業会社として発足しました。FAソリューション・電子材料・コンデンサを軸として幅広く事業を展開し、2万5,000社以上の取引先を抱えています。
同社は営業部門のDXを推進するためにHubSpotを導入し、まずは事業部ごとに管理されていた顧客情報の一元管理に着手しました。営業・マーケティングの基盤となる顧客情報が整理された後、蓄積されたデータを活用する目的でMA(マーケティング・オートメーション)ツールを導入する流れになります。
「スモールスタート・スモールサクセス」を目指して、インサイドセールス部門によるメルマガの配信から取り組み、パーソナライズされたメッセージを送信しました。メルマガの誘導先となるLP(ランディングページ)も、営業拠点ごとにカスタマイズできるようにするなどの工夫をしています。その結果、営業担当者が積極的にフォローアップするようになり、メルマガを起点とした商談化率が大きく改善しました。
この成功事例をきっかけとして、他部門も積極的にツールを活用するようになりました。
2. 株式会社Salesforce
CRM(顧客情報管理)ツールを提供しているSalesforceは、顧客一人ひとりの興味関心や最適な連絡タイミングといった詳細な情報を収集し、きめ細やかなアプローチによるインサイドセールスを実現しています。
CRMに加えてBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールも活用し、営業活動の全プロセスを可視化することで、数値に基づいた迅速な意思決定を実現しています。
さらに、AI技術を活用した営業トークの分析や改善も行っており、組織全体の能力向上にも力を入れています。顧客視点のきめ細やかなアプローチと、データに基づいた科学的な営業手法を組み合わせることで、インサイドセールスの成功につなげている事例です。
参考:Salesforceのインサイドセールスを知り尽くした人 - Salesforce
3. 株式会社イトーキ
オフィス家具大手の株式会社イトーキは、営業DXの一環としてインサイドセールスを導入しました。
立ち上げ当初は手探りで進める形になり、専門知識がある外部の企業に研修も依頼します。その際に、「インサイドセールスでは、その後の商談をスムーズに進めるために一歩踏み込んだヒアリングを行う必要がある」などのノウハウを得ました。
電話のかけ方やヒアリングのポイントなど、実践を通して蓄積されたノウハウは「プレイブック」としてマニュアル化し、メンバー同士のフィードバックも行われたといいます。フィードバックの際に、個人のスキルを数値として「見える化」したことで、チーム全体の強み・弱みが明確になり、上司と連携した課題解決につながりました。
参考:インサイドセールスの基礎教育!一流講師による実践型研修
4. 中央日本土地建物株式会社
都市開発や不動産ソリューション事業を展開する中央日本土地建物株式会社は、シェアオフィス事業「SENQ(センク)」の立ち上げに伴い、CRMとMAを活用してインサイドセールスの体制を強化しました。
同社は従来、BtoBを中心としたビジネスを展開してきました。しかし、ベンチャー企業や中小規模の企業経営者を主な対象としたシェアオフィス事業では、BtoCに近い営業やマーケティングの取り組みが必要です。
そこで、HubSpotのCRMとMAを導入し、問い合わせの状況が誰でもわかる環境を整えました。現場スタッフの間にも「データを積極的に活用しよう」という意識が芽生えたといいます。その結果、見込み客へのフォローアップ体制を改めたり、より効率的に商談機会を逃さない形へ変化させたりと、戦略的な取り組みが可能になっています。
5.株式会社ヤプリ
株式会社ヤプリは、ノーコードで誰でも簡単にアプリを作れるプラットフォームを提供しています。同社のインサイドセールスチームは、フィールドセールスチームやマーケティング部門との連携を密に行い、顧客のニーズに合った提案を行っています。
まず、マーケティング部門が収集した見込み客の情報を、インサイドセールスチームがニーズとして吸い上げます。インサイドセールスチームは、フィールドセールスの営業フローを詳細に把握しており、必要な情報を引き出せるようにルール化しているのが成功のポイントです。
部門やチームの役割を明確にしたうえで、最終的なゴールである商談や成約に向けて動く体制を整えることに成功している事例といえます。
参考:多様なキャリアのメンバーが活躍できる、インサイドセールスチームの体制・仕組みとは? #ヤプリなひとびと|#times_yappli
6. 株式会社カケハシ
株式会社カケハシは、調剤薬局向けのクラウドサービスを展開しています。
従来、新規顧客の開拓は、医薬品の卸業者に同行して飛び込み営業のような形で行っていました。しかし、なかなか商談までたどり着かないという課題があり、自ら顧客を創出できる体制を整える必要性を感じていました。そこでたどり着いたのが、インサイドセールスチームの立ち上げだったといいます。
立ち上げ後は、アプローチの「量」を増やすために外注も活用しながら、手法を模索していきました。現在ではインサイドセールスが顧客から得た知見を社内に共有し、フィールドセールスチームやマーケティング部門の新たな活動につなげています。
例えば、薬局業界では2年に1度、調剤報酬改定が行われます。2022年の改定では、全国の薬局関係者が改定の全体像や詳細を学びたいと思っていることをインサイドセールスチームが感じ取り、マーケティング部門に共有してコンテンツを作成しました。
参考:成長を志す営業経験者が選ぶ「カケハシのインサイドセールス」という仕事 | 株式会社カケハシ
7. スエナミ工業株式会社
食品加工や農業に使用する機械の加工などを展開するスエナミ工業株式会社は、インサイドセールスツールの導入により、売上向上と社員のモチベーションアップの二つの大きな成果を上げました。
従来、同社は既存顧客との取引が中心で、新規顧客の開拓に苦戦していました。インサイドセールスツールを導入後は営業活動が効率化され、新規顧客が大幅に増加します。売上は導入から1年で約10%も向上しました。この成果は、社員への還元にもつながり、モチベーション向上にもつながっています。
参考:Sales Platformのおかげで新規顧客を獲得!自社の強みに特化した仕事ができるようになった – 株式会社アイドマ・ホールディングス
8. PCA株式会社
PCA株式会社は、PC用基幹業務系パッケージソフトウェアを提供している企業です。統合型CRMツールの導入により、マーケティングとセールスとの連携を強化し、MRR(月次経常収益)を5倍に成長させるという大きな成果を上げました。
従来は、マーケティングとインサイドセールスがそれぞれ異なるツールを使用し、情報共有が円滑に行われていませんでした。ツールの導入後、両部門が一つのプラットフォーム上で連携することで、顧客データの一元化を実現し、より親身な顧客対応が可能になったといいます。
具体的には、Webサイトの訪問履歴やメール開封状況などのデータをもとに、顧客の興味関心を深く理解し、最適なタイミングでのアプローチを実現しています。また、ツールの導入は、社員の意識改革にもつながりました。各部署が協力し、顧客視点でマーケティング施策を検討する風土が醸成され、組織全体の生産性向上にも貢献しています。
事例から見るインサイドセールスの成功のポイント
ここでは、成功事例から学ぶインサイドセールスの3つのポイントを紹介します。
- ツールの活用
- 部門間の連携強化
- 顧客情報の詳細な収集と分析
ツールの活用
ツールの導入により、顧客情報の一元管理や営業プロセスの効率化を実現し、迅速な意思決定や顧客満足度の向上が期待できます。リアルタイムの情報共有が可能になるのもツールの大きなメリットです。個別の担当者に情報をイチから引き継ぐ必要がなく、効率化につながります。
部門間の連携強化
インサイドセールスを顧客対応の品質向上や営業効率の向上につなげるには、マーケティング部門やフィールドセールスチームとの連携強化が不可欠です。顧客の購買行動について共通の理解を持ったうえで、それぞれの役割を明確にしておくことも大切です。
顧客情報の詳細な収集と分析
顧客一人ひとりの興味関心や行動履歴を詳細に収集し、データに基づいたきめ細やかなアプローチを行うことで、顧客との関係を強化できます。マーケティング部門が分析を担い、営業部門に情報連携すると良いでしょう。ツールやAI技術の活用も効果的です。
自社の状況に近い事例を参考にインサイドセールスの体制を構築しよう
インサイドセールスは、比較的新しい営業手法です。従来の営業手法と大きく異なる点は、見込み客や顧客の情報を詳細に収集し、営業活動を可視化する必要があることで、そのためにはCRM(顧客関係管理)ツールなどの活用が欠かせません。今回紹介した企業のなかでも、ツールを活用してインサイドセールスの体制を構築した事例がありました。
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