近年、注目を集めている「インサイドセールス」。内勤型営業とも言われるインサイドセールスの本来の役割は、営業活動を通じて顧客の購買体験を向上させることです。
インサイドセールス欠かせないツールを資料にまとめました
HubSpotは、インサイドセールスに欠かせないツールや参考になる書籍などを1冊の資料にまとめました。他にもこの資料ではインサイドセールスの基本的な情報やHubSpotの営業事例を紹介しながら、インサイドセールスの具体的な進め方を詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
インサイドセールスの成果を最大化させるためには、マーケティングと営業の業務をつなぐソフトウェアの導入が欠かせません。本記事では、インサイドセールスにおけるツールの必要性や選定方法、導入のコツを紹介します。
インサイドセールスの考え方と進め方を解説した「インサイドセールス活用法無料ガイドBOOK」とあわせて読むことで、より理解が深まります。
インサイドセールスとは?
インサイドセールスとは、電話やメール、Web会議ツールなどを利用して、見込み客を訪問せずに行う営業活動のことです。 インサイドセールスには、見込み客とのコミュニケーションを通じて案件の機会を作り出し、フィールドセールスに引き継ぐ「案件創出型」と、案件の創出から商談、受注までを担う「クロージング型」があります。
より具体的な内容について知りたい場合には、「【2023年版】インサイドセールスとは?役割やメリットを独自調査データを交えて解説」こちらもご覧ください。
インサイドセールスの成功には部門間の連携が不可欠

インサイドセールスの役割は、営業活動を通じて顧客の購買体験を向上させることです。インサイドセールスの成果を最大化するには、マーケティングや営業などの各部門間の連携が欠かせません。
部門間連携について知りたい場合には、以下記事もお読みください。
インサイドセールスを支える6つのツール
ここからは、インサイドセールスを支える6つのツールを、その役割とともに紹介します。
1. MA(マーケティングオートメーション)
MA(マーケティングオートメーション)ツールは、マーケティング活動におけるEメール配信やSNSへの投稿、Webサイト分析などの作業を自動化するツールです。データを活用した顧客ニーズ分析により「最適なコンテンツを」「最適なタイミングで」提供できるようになるため、見込み客の購買意欲を高めることが期待できます。
見込み客との関係構築を行えるという特性があるため、マーケティング部門だけでなくインサイドセールス部門で活用されるケースも多々あります。マーケティング部門と共同で利用すれば部門間連携もスムーズに進めやすいでしょう。
2. CRM(顧客関係管理)ツール
CRMツールは、見込み客や顧客の情報を一元管理するデータベースです。CRMツールは、長期的な信頼関係を構築するうえで役立つのはもちろん、部門間の情報共有を促進し、見込み客や顧客との円滑なコミュニケーションを継続するための基盤となります。
メールや電話、Web会議など、さまざまな接点を持つインサイドセールス部門では、CRMにストックされた情報がコミュニケーション戦略の立案に役立ちます。

MAツールやSFAツールは、CRMツールの情報を基盤として活用します。インサイドセールスにおいては、CRMツールを導入したうえでその他のツールの活用を検討するとよいでしょう。
CRMの導入を検討している方は「 営業チームを成功に導くためのCRMテンプレート 」でCRMについてくわしく解説しています。
3. SFA(営業支援)ツール
営業活動を行う上で、見込み客のステータスや案件管理など営業活動に関わるさまざまな業務を効率化・可視化するシステムがSFAツールです。
SFAツールで顧客や案件に関する情報を一元管理することで、成績のよい営業担当者の契約件数やアポイント履歴、行動履歴などをナレッジとして蓄積し、新人教育に生かすことも可能です。
SFAツールは、営業担当者のスケジュールや行動履歴を可視化し、案件や顧客情報を共有する役割を担います。インサイドセールスでは、ヒアリングやメール、Web会議などで得られた情報を、SFAツールを通じて共有化します。
4. クラウド電話システム
インサイドセールスの実践の中心となるのが、電話を通じての見込み客との対話です。見込み客とのコミュニケーションを重ね、ヒアリングを通してニーズを深掘りします。
その活動を支えるのが、クラウド電話システムです。 クラウド電話とは、PCやスマホにアプリをインストールした上でクラウドにアクセスすると、そのPCやスマホを端末として利用できるものです。従来のオフィス内に主装置を設置するビジネスフォンとは異なり、大規模な工事は不要です。
5. Web会議ツール
インサイドセールスでは、見込み客とのコミュニケーションツールとして、電話だけでなく、メールやWeb会議ツールを利用します。見込み客との信頼関係の構築度合いや購買意欲によって、メール、電話、Web会議などを使い分けます。
Web会議ツールは双方の顔を見ながら、同じ画面や資料を共有しつつ対話を重ねることで、距離を感じさせないコミュニケーションが可能です。
ただ、Web会議ツールは通信環境やアプリのダウンロードなどが必要な場合があります。さまざまなWeb会議ツールがあるので、先方と事前にすり合わせを行いながら進めます。
6. スケジュール管理ツール
インサイドセールスでは、マーケティング部門やフィールドセールス部門との緊密な連携が不可欠です。そのためには他部門の動きや進捗度合いを可視化する必要があります。
分業体制を敷く場合「マーケティングが創出した見込み客をインサイドセールスが案件化してくれない」「インサイドセールスからフィールドセールスにパスした案件は、今どうなっているのか?」などの齟齬は起こりがちです。部門間のコミュニケーションが十分でないと、協働体制も崩壊しかねません。
スケジュール管理ツールを導入することで、会議での報告を待たなくても異なる部門の動きが把握できます。また、自部門の工程を多部門に連動させるのも可能です。
スケジュール管理ツールには、見込み客に日程調整のURLを送信し、空いているスケジュールを選択してもらうだけでアポ取りが完結するツールもあります。このように社内・社外問わずコミュニケーションが効率化する、インサイドセールス組織には必要不可欠なツールのひとつです。
インサイドセールスにツールを導入する3つのメリット
これまで見てきたツールはインサイドセールスにどのように役立つのでしょうか。ここでは代表的なメリットを3つ紹介します。
1. 見込み客に一貫したフォローを提供できる
ツールにより部門間の情報共有が促進されると、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスそれぞれの役割が明確化します。
「どのフェーズの顧客に」「どの部門が」「どのような行動を取るのか」など、お互いを意識したアクションプランが設定可能になるため、見込み客のフォロー体制を強化できます。
結果として顧客の購買体験が向上し、営業戦略全体のゴールへ向けて推進力が高まります。
2. 組織の営業力が強化される
ツールの導入により「コンタクト履歴」や「商談履歴」など、営業活動全体が可視化されます。
従来は、営業成績のよい担当者の電話内容や商談内容を他の営業担当者が確認できないことが多く、営業ノウハウの属人化も見られました。そこで、ツールに各自の営業活動データを蓄積することにより、「営業成績のよい担当者」のナレッジの組織内での共有が実現します。
データ蓄積が進むと、データに基づいたニーズ分析も可能になるため、根拠に基づいた「顧客への提案」が可能になります。
3. PDCAサイクルが活性化する
ツールの導入により、部門の垣根を超えたデータ分析も可能になります。マーケティング施策やリードナーチャリング(有望な見込み客への育成)などの効果測定が容易になり、改善策の検討が加速します。
結果としてPDCAサイクルが活性化し、顧客購買体験や売上の向上につながります。
インサイドセールスに導入するツールは何を重視して選ぶ?
さまざまな企業が多様なサービスを提供しているなか、どのようにして最適なツールを探し出せばよいのでしょうか。ここではインサイドセールスに役立つツールの選定ポイントを解説します。
1. 他ツールとの連携性に優れていること
組織の主軸となるツールは、他のツールと連携しやすいものを選択しましょう。
インサイドセールスが軌道に乗ってくると「通話記録を残したい」や「提案書の作成を効率化したい」など、新たな課題を改善するために他のツールを追加することも考えられます。
すでに導入しているツールが新たに導入したいツールと連携できなければ、担当者は複数のツールそれぞれにログインしなければなりません。手間が増えれば、生産性の低下を招くでしょう。
運用の負担を軽減するためには、さまざまな製品と連携して機能するツールを選択することが大切です。
2. 各部門の情報を一元管理できること
マーケティング部門、インサイドセールス部門、フィールドセールス部門の情報を一元管理できることが大切です。
情報を一元管理すると、収集したデータの形式や粒度が揃うため、管理や比較がしやすくなり、施策の軌道修正スピードや売上予測の精度が向上します。
こうした分析のもと実施される施策は、顧客購買体験の向上につながるため、部門を横断して情報を統合的に管理できるツールを選択することが大切です。
3. 活用のハードルが低いこと
組織への浸透力や業務効率化の観点からは、ツールの使い勝手のよさも重要です。以下の特徴をもつツールを選択するとよいでしょう。
直感的に使えるUI
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・操作がしやすいか ・シンプルなデザインで求めている機能を見つけやすいか
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マルチデバイス対応
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・オフィス以外でも活用できるか
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サポート体制
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・トラブル時のサポートは充実しているか
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ストレスなく誰でも使いこなせるツールを選択することが、導入の費用対効果を高めるポイントです。
4. 機能とコストのバランスが自社に適していること
必要以上の機能が搭載されているツールを選択しても、活用しきれないケースはよく見られます。費用とのバランスを考慮すると、現状に必要な機能を自由に選択できるツールがよいでしょう。
機能の過不足を確認する際は、商材や規模が自社と近しい企業の「導入事例」が参考になります。
インサイドセールスにツールの導入を成功させる4つのコツ
インサイドセールス組織にツールを導入する際は、以下で解説する4つのコツをおさえると成功率が高まります。
1. 実際の運用リソースを加味する
ツールの導入を成功させるためには「無理なく使いこなせること」が最も重要です。運用できる人員や、導入準備にかかる時間をあらかじめ確認しておきましょう。
ツールが高機能、多機能であるほど、使いこなすための人数や知見が必要になります。自社のリソースに見合ったツールを選定し、必要に応じてベンダーのサポートを検討することが大切です。
2. 現場の担当者が活用しやすい仕組みを構築する
ツールを導入したとしても、現場の担当者が正確な情報を入力しなければ、データ活用は進みません。実際に入力作業を行う現場の担当者の入力負荷を軽減させることも大切です。
組織へツールを浸透させるためには以下の施策が有効です。
- 必須入力項目を最小限に絞る
- 無料もしくは安価で提供されているツールを試験導入し、現場の意見を聞く
- オンボーディングを実施する
- ツールの重要性やメリットを伝える機会を設ける
ツールの活用方法を教示したり、視座を高めるトレーニングをしたりなど、チームを育成する取り組みとして「セールスイネーブルメント」という概念があります。詳細は以下の記事をご覧ください。
3. データが散らばらないようにする
複数のツールを用いたり、部門ごとに情報を管理したりすると、データの重複や欠損が生じます。散らばったデータを分析するための統合作業には、膨大な人的・時間的コストがかかります。
組織全体の活用ルールを統一し、ツールを相互連携・相互運用できる体制を構築することが、効果を最大化させるコツです。
4. なるべくスリムにする
特に、ツールの導入初期においては、スリムな形で運用することが望まれます。不必要な機能が多いと、収集したデータがノイズとなり、目標達成に必要な指標を見失いやすくなります。
不必要なツールは削減し、機能が重複しているツールは1つにまとめ、できるだけシンプルに運用を始めましょう。
インサイドセールスは「部門間連携」と「要件の合うツール導入」が成功のカギ
内勤型営業とも言われるインサイドセールスの役割は、営業活動を通じて顧客の購買体験を向上させることです。インサイドセールスの成果を最大化するには、マーケティングや営業などの各部門間の連携が欠かせません。
HubSpotの統計 では、日本でのインサイドセールスの導入は2020年時点で37.4%と割合的にはまだ低いものの、今後は増えることが予想されます。
CRMツール、SFAツール、MAツール、そしてクラウド電話システムやWeb会議システムと段階を踏んでツールを導入するにつれ、マーケティングとフィールドセールスを橋渡しするインサイドセールスの存在が営業戦略の要になるでしょう。
インサイドセールスの成果を最大化させるために最も重要なのは、マーケティングやフィールドセールスとの協働体制の構築です。
部門の連携強化に役立つツールを導入すると、必要な情報が一か所に集約され、データの活用が進みます。これにより、見込み客が「どのようなサポートを」「どのようなタイミングで」欲しているのか把握できるようになり、一気通貫した購買体験を実現し、提供価値をより高められます。そのように部門で連携しながら顧客に価値を提供し続ければ、顧客の成功にも貢献できるでしょう。
顧客の成功は、結果として自社の成長につながります。顧客の成功を実現するための要のひとつがインサイドセールスであり、部門間連携しやすいツールが不可欠となります。
本記事を参考に、自社の場合はどのような要件が必要なのか確認したうえで、ツールの選定を進めてみましょう。

