📋 この記事の要点
- インサイドセールスとカスタマーサクセスの大きな違いは、アプローチ対象が「見込み客」か「既存顧客」か
- インサイドセールスは見込み客の創出・醸成が主な役割で、カスタマーサクセスは契約後の顧客の成功を目指す
- 1人の担当者が両方を兼ねると評価軸が混在しやすいため、既存顧客対応の切り分け基準とKPIを明確にすることが重要
- 分業を機能させるには、部門間の連携体制と引き継ぎ基準を明確にすることが欠かせない
- 分業を成功させるポイントは、連携意識の浸透・ツールの活用・引き継ぎタイミングの明確化・代行サービスの活用の4つ
この記事は11分で読めます

インサイドセールスとカスタマーサクセスとでは、アプローチする相手や目的、業務内容、KPIが異なります。チームの人数が増えるなかで、インサイドセールス担当が既存顧客のフォローまで兼ねるようになると、役割の境界が曖昧になり、メンバーの評価軸もぶれやすくなります。役割分担を見直す前に、まずは両者の違いを押さえておきましょう。
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本記事では、インサイドセールスとカスタマーサクセスの違いを一覧表で整理し、分業を成功させるポイントも解説します。
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インサイドセールスとカスタマーサクセスの違い
インサイドセールスとカスタマーサクセスの大きな違いは、「アプローチ対象が見込み客か既存顧客か」です。 インサイドセールスとは、電話やメールなどの非対面の手法で見込み客にアプローチし、購買意欲を醸成して商談につなぐ役割です。カスタマーサクセスとは、契約後の既存顧客に能動的に働きかけ、自社の商品・サービスで成果を得られるよう継続的に支援する役割です。目的や主な業務内容、KPIの違いも一覧にまとめました。
| 項目 | インサイドセールス | カスタマーサクセス |
|---|---|---|
|
アプローチ対象 |
見込み客 |
既存顧客 |
|
目的・役割 |
見込み客を創出し、購買意欲を醸成して商談につなぐ |
既存顧客の満足度を高め、LTV(顧客生涯価値)を向上させる |
|
主な業務内容 |
見込み客へのメール・電話でのアプローチ、リードスコアリングによる優先順位付け |
オンボーディング支援、利用状況のモニタリング、改善提案 |
|
主なKPI |
架電率 メール開封率 商談数 商談化率 |
解約率 LTV アップセル・クロスセル率 NPS®(顧客推奨度)※ |
違いを項目ごとに詳しく見ていきましょう。
※NPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。
アプローチ対象
インサイドセールスは、見込み客を対象に、電話やメールなどの非対面の手法でアプローチします。一方、カスタマーサクセスは、既存顧客を対象に、自社のサービスを継続的に利用してもらえるようサポートを行います。
見込み客の創出・醸成を主な目的とするインサイドセールスと、契約後の顧客の成功を目指すカスタマーサクセスとでは、同じ「顧客対応」であっても、業務内容や押さえておくべきKPIが大きく異なります。そのため、1人の担当者が両方を兼ねていると、商談数と解約率のどちらで成果を評価すべきかが曖昧になりがちです。
目的・役割
インサイドセールスの目的は、見込み客を創出し、購買意欲を醸成して商談につなぐことです。見込み客の興味関心や課題、ニーズを把握したうえでアプローチを実施し、 フィールドセールスに引き継ぐのが役割です。企業によっては、インサイドセールスがクロージングまで行う場合もあります。
カスタマーサクセスの目的は、既存顧客の満足度を高めて長期的に良好な関係を築き、 LTV(顧客生涯価値)を向上させることです。顧客が自社の商品・サービスによって最大限の価値を得られるようサポートし、顧客体験の向上に努めます。解約率の低下や アップセル・クロスセルによる売上拡大を目指すのがカスタマーサクセスの役割です。
業務内容
インサイドセールスの主な業務内容は、商談機会の創出を目的とする、見込み客へのメールや電話でのアプローチです。営業活動を効率化するために、リードスコアリングを活用して優先順位をつけることもあります。
カスタマーサクセスの主な業務内容は、契約後のオンボーディング(導入)支援、利用状況のモニタリング、顧客への改善提案など多岐にわたります。顧客の課題を先回りして把握し、改善策を打つなど、能動的なサポートを提供して顧客のビジネスを支援することが狙いです。
主なKPI
インサイドセールスの主なKPIは、下記の通りです。
- 架電率
- メール開封率
- 商談数
- 商談化率
これらの指標をKPIに設定すると課題を見つけやすくなります。例えば、架電率が数値目標に達しているものの商談数が未達であれば、その間のプロセスに課題があると推定できます。
一方、 カスタマーサクセスの主なKPIには、以下のような指標があります。
- 解約率(チャーンレート)
- LTV(顧客生涯価値)
- アップセル・クロスセル率
- NPS(顧客推奨度)
これらの指標を活用して、顧客満足度や収益拡大の達成度を評価します。
インサイドセールス担当が既存顧客対応を兼任している場合、商談数などのインサイドセールスのKPIだけで評価すると、既存顧客のフォローに割いた時間が成果に反映されません。メンバーを公平に評価するためにも、担当業務ごとに追うべきKPIを分けて設定することが重要です。
インサイドセールスとカスタマーサクセスの分業で得られるメリット
インサイドセールスとカスタマーサクセスを分業すると、次のようなメリットがあります。
各部門が専門領域に集中できる
見込み客の創出・醸成を目的としたインサイドセールスと、既存顧客をフォローするカスタマーサクセスとでは、期待される役割が異なります。分業によって、各部門の担当者が自分の専門領域に集中できるようになり、結果としてチーム全体の成果につながります。また、担当業務と評価指標が一致するため、マネージャーがメンバーの成果を公平に評価しやすくなる点もメリットです。
担当業務が明確になると、各部門の定型業務をAIに任せやすくなります。HubSpotが実施した「 日本の営業に関する意識・実態調査2026」によると、営業職の生成AI活用率は前回調査の28.9%から43.4%へと伸びており、効果を実感しやすい業務には「CRM/SFAへの活動記録の入力」や「アプローチ先のリストアップや優先順位付け」などの定型業務が上位にあがりました。


定型業務をAIに任せれば、インサイドセールスは見込み客を引き継ぐタイミングの見極めに、カスタマーサクセスはアップセルの兆しの把握に、それぞれ多くの時間を使えるようになります。
なお、こうした分業の考え方は、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの4つに営業プロセスを分ける「The Model」という枠組みにもとづいています。
日本の営業に関する意識・実態調査2026データ集
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変化する買い手のニーズに応えやすくなる
インサイドセールスとカスタマーサクセスを分業すると、担当者が自分の受け持つ段階の相手に集中できるため、一社ごとの事情に合わせた提案をしやすくなります。
一人で両方を兼ねていると、見込み客への連絡と既存顧客からの問い合わせ対応が入り混じり、一社に使える時間が細切れになりがちです。担当範囲が絞られれば、インサイドセールスは見込み客の課題や検討状況の把握に、カスタマーサクセスは既存顧客の利用状況や事業の変化の把握に、まとまった時間を使えます。同じ段階の相手に継続して接することで、その段階で起こりやすい課題やつまずきにも詳しくなるでしょう。
一方で、相手から見れば途中で担当者が替わる点には注意が必要です。相手に同じ説明を繰り返させないように、インサイドセールスが把握した課題や期待をカスタマーサクセスに引き継ぐ仕組みづくりが大切です。
インサイドセールスとカスタマーサクセスの分業を成功させるポイント
分業を成功させる主なポイントは、①連携意識の浸透、②ツールの活用、③引き継ぎタイミングの明確化、④代行サービスの活用の4つです。それぞれ詳しく解説します。
部門を超えて連携する意識を持つ
インサイドセールスとカスタマーサクセス領域を分けて分業を成功させるには、各部門が意識的に連携することが重要です。前述したように、営業活動を分業化すると、各部門における情報の把握度により、顧客対応の質が低下するリスクが生じるためです。
インサイドセールスが取得した見込み客の課題や悩みなどの情報は、フィールドセールスやカスタマーサクセスに積極的に引き継ぐことが重要です。情報共有が適切に行われることで、営業活動がスムーズに進みやすくなります。
「The Model」型の営業プロセス全体の成果を最大化するには、業務に関わるすべての人に連携の意識を浸透させたうえでの仕組みづくりが大切です。
業務が円滑に進むツールを活用する
インサイドセールスとカスタマーサクセスの分業を効率的に進めるには、ツールの活用も有用です。例えば、 CRM(顧客関係管理)を使用すれば、各部門間においてリアルタイムで情報を共有でき、顧客対応の質を向上できます。
また、カスタマーサクセスツールを導入すると、既存顧客の行動データを可視化できます。行動データの分析により顧客の状態や課題を常に把握できるため、顧客にとって最適なタイミングでのサポート提供やアップセル・クロスセルの提案が可能です。
HubSpotのCRMツールでは、見込み客のメール開封時やWebサイト訪問時に営業担当者に通知できるため、適切なタイミングでアプローチを行えます。AIによるメールの自動生成もでき、効果的なメールマーケティングの実施に役立てられます。
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見込み客を引き継ぐタイミングを明確にする
見込み客をインサイドセールスからフィールドセールス、そしてカスタマーサクセスへと引き継ぐ際のタイミングを明確にすることも分業を成功させるポイントです。適切なタイミングで引き継ぐことで、見込み客の満足度を高められ、商談化率や成約率を向上できます。
特に見込み客の購買意欲が高まっている場合は、迅速にフィールドセールスに引き渡さなければなりません。インサイドセールスは見込み客の興味関心度や行動履歴を分析し、商談化のタイミングを見極めることが重要です。
商談化の段階でフィールドセールスに引き継ぐことで、成約率を向上できます。「興味関心度が特定の段階まであがれば次の部門に引き継ぐ」などの基準を決めると良いでしょう。
なお、見込み客の関心度の高さは、 HubSpotのリードスコアリング機能を活用することで効果的に測れます。購買意欲の高い見込み客を選別できるため、分析の効率化や商談化率の向上につながります。
代行サービスを活用する
既存顧客対応を切り分けたくても専任担当を置く人員が確保できない場合や、専門知識が必要な場合には、インサイドセールスやカスタマーサクセスの代行サービスを活用するのも選択肢の一つです。代行サービスを利用することで自社の担当者はコア業務に専念でき、見込み客の醸成や既存顧客のサポートも継続的に行えます。
代行業者はすでに専門知識を持っているため、社内で人材育成の必要がある場合にはサービスの活用がメリットになりえます。特に、インサイドセールスを外注すれば、成約の可能性の高い見込み客が自社のフィールドセールスに引き継がれるため、効率的な営業活動が可能です。
インサイドセールスとカスタマーサクセスの分業で顧客のニーズに応えよう
インサイドセールスとカスタマーサクセスには、アプローチ対象や目的・役割などの違いがありますが、目の前の相手に合わせた対応をすることで、はじめて顧客のニーズに応えられるという点は同じです。特に近年は、生成AIが定型業務の多くを担えるようになりました。それに伴い、担当者に求められる役割も、人にしかできない業務へと重点が移りつつあります。
分業を機能させる第一歩は、両者の役割の違いを言語化し、境界業務の担当ルールをチームで共有することです。また、相手に合わせた対応をするには、その顧客とこれまでどのようなやり取りをしてきたかを、関係者が正しく把握している必要があります。
HubSpotは、CRMを基盤とした統合型プラットフォームです。部門を越えて顧客とのコンタクト履歴や購入履歴、問い合わせ内容などを一元的に参照できる設計になっており、インサイドセールスが把握した顧客の課題や期待をカスタマーサクセスが契約後の支援に活かしやすい環境を整えられます。
インサイドセールスとカスタマーサクセスに関するよくある質問
インサイドセールスとカスタマーサクセスは兼任できますか?
組織の規模が小さいうちは兼任も可能です。ただし、両者は目的やKPIが異なるため、兼任のままでは成果を正しく評価しにくくなります。既存顧客の数が増えてきた段階で、業務と評価指標の切り分けを検討しましょう。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは何が違いますか?
カスタマーサクセスは、既存顧客に能動的に働きかけ、サービスの活用や成果の創出を支援する役割です。一方、カスタマーサポートは、既存顧客からの問い合わせや不具合の連絡を起点に対応する、受け身の役割を担います。どちらも既存顧客を対象としますが、カスタマーサクセスは解約率やLTV、カスタマーサポートは対応件数や回答までの時間などを主なKPIとする点でも異なります。詳しくは カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いの記事を参考にしてください。
インサイドセールスとカスタマーサクセスの境界にある業務は、どちらが担当すべきですか?
契約更新前のフォローやアップセル提案のタイミングなど、境界線上の業務は企業によって扱いが異なります。重要なのは「どちらが正解か」ではなく、自社内で担当ルールを明文化し、担当者間で認識を揃えておくことです。
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