案件管理とは、営業活動の進捗状況や予想売上高を案件別に管理する方法で、営業管理のプロセスに含まれます。営業活動に必要な情報を可視化・共有することで、業務効率化や顧客体験の向上など、多くのメリットをもたらします。

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実行するには管理表を作る必要がありますが、そのためにもまず、必要となる項目やスムーズに管理するためのコツを押さえておくことが大切です。適切なポイントを理解したうえで案件管理を行うと、自社に合う管理表を作成でき、結果としてチーム全体の営業成績の向上につながります。

本記事では、案件管理のメリットや適切な管理方法について徹底解説します。

一元管理を実現!営業案件 & 進捗管理テンプレート

案件管理とは

案件管理とは

一元管理を実現!営業案件&進捗管理テンプレート|HubSpot

案件管理とは、案件ごとの顧客情報や営業進捗状況を記録し、現在の営業活動の状態や受注見込みを一目で確認できるようにすることです。

案件管理の目的は大きく2つに分けられます。

1つ目は、営業チームがスムーズに目標を達成できるようにすることです。営業マネージャーは、チーム内の目標達成率や達成できない場合の対策などを考慮したうえで、適切な営業戦略を設計する必要があります。その戦略設計に必要な情報を正確に蓄積しておくのが、案件管理の主要な目的のひとつです。

2つ目の目的は、顧客に適切な提案をできるようマネジメントすることです。案件ごとの提案状況を可視化し、営業マネージャーがレビューできる状態にしておくことで、属人化の防止と提案内容の均質化を実現できます。チーム全体のパフォーマンスを底上げするためには、適切な案件管理が不可欠だといえます。
 

適切な案件管理がもたらす5つのメリット

適切な案件管理を行うと、次の5つのメリットがもたらされます。

  1. 業務効率化
  2. 情報共有による顧客体験の向上
  3. 分析による営業の質改善
  4. 高精度な売上の予測
  5. ナレッジの共有

それぞれのメリットについて詳しく解説します。
 

1. 業務効率化

案件管理によって顧客の情報や進捗状況を可視化すると、必要な情報を瞬時に見つけられるようになり、よりスムーズに営業活動を進められます。

当社HubSpotでは、2021年に「日本の営業に関する意識・実態調査」を実施しました。営業担当者に「働く時間のうち無駄だと感じる時間の割合」を質問したところ、回答者全体の加重平均で「20.2%の時間が無駄」という結果になりました。また、回答企業の3社に1社(35.5%)が、顧客管理の方法に関して「明確ではない・わからない」と答えています。

この結果から、営業活動のなかでも、特に情報管理は無駄が発生しやすい業務といえるでしょう。例えば、事あるごとに営業マネージャーが各担当者へ、口頭やメールで進捗状況を確認しているような状況では、チーム全体の生産性が低下してしまいます。営業部門の業務効率化には、適切な案件管理が欠かせません。

営業活動を効率化させる方法を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

 

2. 情報共有による顧客体験の向上

適切な案件管理は顧客体験の向上につながります。案件管理表があれば、過去のデータから顧客のニーズや社内事情を営業チーム内で共有できるようになるからです。

案件管理表には、受注に至った案件だけではなく、失注した案件も詳細に記録しておきます。失注の理由には、価格の高さや必要な機能の欠如、信頼関係の不備などさまざまな要因がありますが、原因を緻密に分析することで、より顧客のニーズに沿った新規提案につながります。

その結果、顧客体験が向上するだけではなく、成約率にも良い影響を与えます。営業活動における成約率の低さに悩んでいる方は、こちらの記事を参考にしてください。

 

3. 分析による営業の質改善

案件ごとに営業活動を分析すると、業績全体の質改善につながります。案件管理表を確認すれば、営業プロセスの途中で発生している課題や問題点が一目瞭然だからです。

例えば、想定した目標達成率を下回る案件が多いようなら、「担当者のアプローチや提案の方法に問題がある」「設定した目標値が高すぎる」といった仮説を立てられます。その仮説をもとに改善策を考え、繰り返しPDCAを実行することで、パフォーマンスの向上につながります。

営業成果を高めるための分析方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

 

4. 高精度な売上の予測

適切な案件管理を行い、その時々に抱えている案件の進捗具合や確度、予想受注金額を把握していれば、1か月単位の正確な売上目標を立てることも難しくありません。その売上見込みをもとにして、新たな事業戦略や採用戦略を構築できるでしょう。

売上を予測するには予想受注金額のほかにも、案件数や成約率、受注までの平均日数、四半期・年度別の平均成長率などのデータが必要です。より正確に金額をシミュレーションするなら、こうしたデータを案件管理表に含めるのも良いでしょう。

 

5. ナレッジの共有

各営業担当者が保有するノウハウや技術をスムーズに共有できるのも、案件管理のメリットです。

例えば、各営業担当者の成績の良し悪しは、案件管理表の成約率や受注金額を見れば一目で把握できます。営業マネージャーはそうしたデータをもとに、優秀な営業担当者にヒアリングを行い、そのノウハウをナレッジ共有ツールやマニュアルに落とし込むのも方法のひとつです。

共有範囲が広がるほど、営業チーム全体のパフォーマンスが向上するでしょう。また、営業担当者の属人化を回避する際にも役立ちます。
 

成果を出せる案件管理に必要な項目

成果を出せる案件管理に必要な項目

実際に案件管理を行う際は、どのような項目を管理すれば良いのでしょうか。ここでは、具体的な管理項目を5つご紹介します。ただし、これらはあくまで必要最低限の項目なので、商材やビジネスモデルによって適宜項目を追加しましょう。
 

1. 担当者

担当者

案件ごとに、その案件を誰が担当しているのかを記録します。担当者を明確にすることで、見込み客を放置して適切なタイミングを逃してしまうリスクを回避できます。また、各担当者がどれだけの案件を抱えているのか、マネージャーが把握しやすくなります。
 

2. 進捗状況

進捗状況

案件がカスタマージャーニーのどのフェーズにあるのか記録します。案件ごとに進捗を常に記録しておくことで、営業マネージャーが進捗を管理できるようになるだけでなく、進捗の遅れが生じていないかを担当者自身も把握できます。
 

3. 受注予定日

受注予定日

過去の受注にかかった時間から、案件の受注予定日を算出します。この予定日から逆算して営業活動のスケジュールを組みましょう。予定日を決めることで、先方に対して適切なタイミングで適切な提案ができるようになります。
 

4. 見積金額(予想売上額)

見積金額(予想売上額)

案件ごとに見積金額(予想売上額)を記録します。

案件ごとの見込み受注額と受注率を掛け合わせることで、期待値としての予想売上額を立てられます。この予想売上額と実際の売上とのギャップを比較し、差が発生した要因を振り返りながら、営業組織でのPDCAを回します。

また、経営陣はこの見積金額をもとに、どれだけ事業拡大のために投資を増やせば良いのか、事業戦略を立てていきます。
 

5. 失注理由

失注理由

失注した場合のみ、その理由を案件ごとに明記します。「価格・機能・競合・その他」といった形で、エクセルのドロップダウンリスト機能を活用すると良いでしょう。失注の要因には潜在的な課題が隠されている場合があるため、丁寧に分析すると製品の弱みや各担当者のボトルネックの発見につながります。
 

案件管理をスムーズに行うためのコツ

案件管理を行おうとしても、チーム内でその必要性が十分に理解されておらず、営業メンバーが情報を更新してくれない可能性も考えられるでしょう。このようなトラブルを避けるためにも、案件管理をスムーズに行うためのコツを理解することが大切です。
 

1. 案件管理項目を定義する

営業担当者が案件データを入力する際に困惑してしまう理由のひとつに、管理項目が不明確という問題があります。例えば、あらかじめ失注理由の入力内容を絞り込んでおかないと、「機能不備」や「営業の仕方が悪い」など、担当者ごとに異なる定義や形式で内容が記録されてしまいます。

失注理由やステータス、顧客種別といった、入力者それぞれで定義が異なる項目には特に注意が必要です。管理項目の定義を決めておくと、入力内容の属人化を防げます。
 

2. 管理している案件を日々モニタリングする

営業マネージャーは、できるだけ毎日、営業管理表をモニタリングしましょう。1週間や1か月単位で表を確認していると、進捗に遅れが生じた際に適切な対処ができず、手遅れになってしまう可能性があるからです。遅れが発生しそうなら早めの対処を心がけましょう。
 

エクセルでの案件管理によくある問題

エクセルでの案件管理によくある問題

これから案件管理を実施しようとする企業のなかには、「費用がかからない」「使い慣れている」といった理由から、エクセルを活用するケースも多いでしょう。エクセルでも案件管理は行えるものの、次のような問題が発生する可能性があります。

  1. 複数人による編集でトラブルが起きる可能性がある
  2. さまざまな軸による分析が難しい
  3. 担当者や部署ごとにバラツキが出やすい
     

1. 複数人による編集でトラブルが起きる可能性がある

関数やマクロ機能などを使って簡単に表を作成できるエクセルですが、複数人による共同編集には向いていません。エクセルには、共同編集を可能にする共有ブック機能が搭載されているものの、共同編集時に生じるトラブルを完全に解消するのは困難です。

例えば、共同編集中に同じセルに情報を入力してしまい、データが上書きされてしまうほか、誤って関数を削除してしまう場合もあります。二重登録や入力時の抜けや漏れが多いと、その分、情報の整合性を確かめる手間や時間が増えてしまうでしょう。
 

2. さまざまな軸による分析が難しい

案件管理表をもとに、さまざまな軸で分析したい場合、エクセルだけでは不十分だといえます。仮に、営業担当者別・商品別の軸を設定しようとすると、グラフや表の設計に高度な技術が必要です。また、複数の軸を設定して理想的な表を作成できたとしても、多くの営業担当者が取り扱いに苦労し、管理が属人化する可能性があります。
 

3. 担当者や部署ごとにバラツキが出やすい

エクセルは、複数のシートの情報を紐づけたり、VBA(Officeのプログラミング機能)を利用したりすることで、比較的自由に管理表をカスタマイズできます。しかし、自由度が高いからこそ、入力する営業担当者が増えるほど項目の数や内容が変わってしまいがちです。結果的にデータの絞り込みや分析が難しくなります。
 

案件管理を効率化するならSFAがおすすめ

顧客数が少ない、組織の規模が小さいといった条件に当てはまる場合、テンプレートを活用すれば、エクセルでも十分に案件管理を行えるでしょう。ただし、さらに高度な案件管理を行いたい場合や、将来的に事業規模が拡大しそうなケースでは、エクセルよりもSFA(営業支援システム)のほうが目的を達成しやすくなる可能性があります。

ここでは、SFAで案件管理を行うメリットを解説します。
 

1. 決められた項目に記入するだけで管理できる

決められた項目に記入するだけで管理できる

SFAには案件管理機能が搭載されており、必要な項目があらかじめ用意されています。例えば、担当者や受注確度、提案商品、案件化に至るまでの営業プロセスなどです。フォーマットが決まっていることから、営業担当者によって記入方法が異なる問題が起こりづらいため、業務効率化へと結び付きます。
 

2. さまざまな軸で実績を分析できる

さまざまな軸で実績を分析できる

SFAに搭載されているレポート機能を使えば、案件管理にかかわるデータ分析も容易に行えます。また、案件や営業担当者、商材などのセグメントで多彩に分析軸を変えられるため、多角的な視点から営業活動の分析や営業戦略の構築が可能です。営業会議に向けて資料を準備したい場合にも役立ちます。
 

3. 案件データをもとに売上予測が立てられる

案件データをもとに売上予測が立てられる

SFAには、予算と実績の比較分析ができる予実管理機能が搭載されています。担当者ごとの案件の進捗具合にもとづき、自動的に金額や達成率が表示されるため、四半期や年度ごとの売上を予測する際に便利です。
 

4. 進捗率を可視化できる

進捗率を可視化できる

組織や担当者ごとに分類して、進捗率を可視化できるのもSFAのメリットです。営業マネージャーは、常にリアルタイムの状況を把握できるほか、現在の進捗率を参考に適切な営業戦略や人員配置を考えられます。

SFAのさらに詳しいメリットや機能を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

 

適切なツールを使って案件管理を効率化しよう

案件ごとの進捗状況や予想売上高を一目で把握できる案件管理は、営業管理を行ううえで欠かせないプロセスです。営業チーム全体で案件情報を共有すれば、顧客体験の向上に結び付くほか、高精度な売上の予測や業務効率化にもつながります。

現状の事業規模や顧客数によっては、エクセルでも十分に効果的な案件管理を行えます。まずは、使い慣れたエクセルで管理表を作成し、物足りなければSFAを検討するのも良いでしょう。

エクセルの場合は、テンプレートの活用によってスムーズな表作成が可能です。当社HubSpotは、無料でダウンロードできる「営業案件&進捗管理テンプレート」を提供しています。ダッシュボード・営業進捗管理・ToDo管理の3種類のテンプレートが搭載されているため、案件管理はもちろん、営業管理そのものを効率化できます。

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HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

 

一元管理を実現!営業案件 & 進捗管理テンプレート

 一元管理を実現!営業案件 & 進捗管理テンプレート

元記事発行日: 2020/08/05 23:00:00、最終更新日: 2023年5月23日

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