営業の仕事は、コミュニケーションを通じて見込み客や顧客の課題を解決することです。そのためには、高いヒアリング力と最適な商品・サービスを見極めて提案するスキルが欠かせません。また、ビジネスパーソンとして基本的なスキルを身につけておくことも重要です。
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この記事では、営業パーソンとして身につけておきたい11のスキルとその伸ばし方をまとめました。営業としてスキルアップを目指すヒントとしてお役立てください。
営業に必要なスキル・求められる能力の一覧
営業に必要なスキルや求められる能力を、「営業職」と「ビジネスパーソン」という軸でまとめると、次のようになります。それぞれのスキルについて詳しく見ていきましょう。
営業職として特に必要なスキル
まずは、営業職として必ず身につけておきたいスキルを紹介します。
ヒアリング・傾聴・質問力
営業として最も重要度が高いのは、ヒアリング力・傾聴力・質問力などの「聞く力」です。
見込み客や顧客は、自身の本当の課題に気づいていないことも多いため、営業活動を通じて潜在的なニーズを深掘りするスキルが必要です。
話を真摯に聞きながら、時折要約をしたり、質問を投げかけたりして、相手のニーズを上手に引き出しましょう。的確な相槌や質問は、話しやすい雰囲気をつくることや、本題に集中して商談の密度を高めることにつながります。
ヒアリングで得た情報は、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)ツールなどに蓄積して管理するのがおすすめです。顧客に関するリアルタイムの情報を共有でき、社内の連携が円滑になります。
提案力・課題解決力
ヒアリングで相手のニーズを把握できたら、それに対する適切な提案を行います。
顧客を定期的に訪問して必要な注文を取る営業スタイルを「御用聞き営業」と呼ぶのに対して、営業側から解決策を提案する営業スタイルを「提案営業」と呼びます。提案営業は、見込み客や顧客が自身の課題を明確に把握できていない場合、特に有効です。
提案内容を考える際は、論理的で誰が見ても納得してもらいやすい内容にすることが重要です。数値や具体的な事例を交えると、見込み客が契約後の状況をイメージしやすくなり、説得力が増します。
このときに意識したいのが、見込み客や顧客の課題を解決するための手段の一つとして自社の商品・サービスがあるということです。自社の商品・サービスの魅力を伝えることは大切ですが、それが相手の課題解決に役立つものでなければ、購入や契約にはつながりません。相手の立場になって最適な解決方法を模索しましょう。
プレゼンテーション能力
提案の内容だけでなく、それを適切にプレゼンテーションする能力も重要です。見込み客や顧客が抱える課題に対して、自社の商品・サービスがどのように役立つのかをわかりやすく伝えましょう。
また、商談が進むと、プレゼンテーションの場に決裁権を持つ人物が同席することが増えます。窓口となっている担当者とマネージャーでは、納得してもらいやすい資料や伝え方が変わるため、万全な事前準備と臨機応変な対応力が必要です。
交渉力
商談は、営業にとって成果につながる重要な場面です。双方の要望をすり合わせ、納得できる着地点を見つけてWin-Winになるためには、高い交渉力が求められます。
見込み客や顧客の期待に応えたいという思いですべての要望を引き受けると、一時的には顧客満足が高まるでしょう。しかし、それでは商品やサービスを提供する側が「Win」になっているとはいえません。無理な価格の引き下げなどによって、中長期的には商品やサービスの質が低下する恐れもあります。
ビジネスパートナーとして健全な関係を築くためにも、交渉力の強化は営業にとって欠かせないスキルといえます。
クロージング力
相手に断られることを恐れてクロージングを避けてしまう失敗は、新人の営業担当者によくある課題です。クロージングを行わないと、商談が長期化するだけでなく、競合の商品・サービスが選ばれてしまうかもしれません。
クロージングは最後に一度だけ行うものではなく、次のようにステップを踏むと効果的です。
- 見込み客が契約するつもりだと仮定した言葉をかける(アセンプションクローズ)
- 選択肢を提示して、どちらかを選ぶよう促す(アルターネイティブクローズ)
- 期限を設定して意思決定を促す(タイムクローズ)
商談の進行状況や相手の反応、関係性を考慮しながら、最適なタイミングでクロージングを進めるスキルを身につけましょう。
関係構築力
商品やサービスの価格・機能などがほぼ同等だった場合、最終的な決め手となるのは営業担当者と見込み客の関係性です。最初のアプローチから見込み客と良好な関係を築くことを意識している営業担当者は、高い成果を上げることができるでしょう。
また、受注後にも良好な関係を維持していくことで、新たな提案機会となる相談を持ちかけられたり、新規顧客を紹介してもらえたりといった成果につながります。見込み客への積極的な情報提供や誠実な対応を意識して、良好なパートナーシップを構築しましょう。
市場分析力
見込み客にとって最適な提案を考案するためには、見込み客の業界・競合他社・経営課題などの事業環境を把握する力が必要です。見込み客や顧客の視点から物事を考えられるようになり、提案力を強化できるだけでなく、見込み客に安心感を与えることにもつながります。
加えて、自社が属する市場の動きも敏感に察知できるようになりましょう。営業戦略を立てるにあたり、市場のニーズや競合他社の動向などを把握しておくことは重要です。
ビジネスパーソンとしても必要なスキル
ここでは、営業職としてだけではなく、社会人として求められる基本的なスキルを取り上げます。
セルフマネジメント力
セルフマネジメントとは、目標達成に向けて自分自身のタスクや行動を管理する能力のことです。自分で自分をコントロールして仕事を進めることは、社会人として必ず身につけておきたいスキルです。
営業の仕事は、市場分析から商談、アフターフォローまで多岐にわたります。限られた時間を有効に使い、効率的にタスクを処理することで、見込み客の対応や商談準備などの重要な仕事に集中できます。
また、セルフマネジメントには、健康管理や感情のコントロールも含まれます。心身の健康とモチベーションを適切に管理・維持することが、仕事に対する積極的な姿勢につながります。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力を高めると、意思疎通がスムーズになり、周りの人と信頼関係を築くことができます。信頼関係は、社内・社外を問わずにビジネスでは必須といえる要素です。
相手の意図や気持ちを正確に読み取る力と、自分の伝えたいことをわかりやすく発信する力が高いほど、迅速で齟齬のないやり取りが可能になります。言語以外のジェスチャーや表情、声のトーンといった「非言語コミュニケーション」も意識することも大切です。
言語によるコミュニケーションは、商品・サービスのベネフィットを明確に説明することにつながります。非言語コミュニケーションは、相手への共感を伝え、安心感を与えるなどの役割があります。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキング(論理的思考)は、物事を矛盾せず筋道立てて考える思考法です。論理的思考力が高い人は、要素を分解・整理する力も高いため、相手の言いたいことを汲み取ったり、相手に自分の言いたいことをわかりやすく伝えたりできます。論理的思考力を身につけると、さまざまな立場の人とのコミュニケーションが円滑に進むでしょう。
また、ロジカルシンキングは、直感や感情に頼ることなく、事実に基づいて本質的な結論にたどり着く力ともいえます。
営業の現場では、これまでに経験したことがない事態や不確定な未来についても瞬時に判断を下さなければならない場面がよくあります。ロジカルシンキングを身につけることで判断力が強化され、営業の成果を高めることが可能です。
営業に必要なスキルの身につけ方
営業に求められるスキルは幅広く、漫然と日々の業務をこなすだけではなかなか身につきません。ここでは、営業スキルを身につけるために効果的な方法を紹介します。
上司や先輩とロールプレイングを行う
ロールプレイングは、上司や同僚に顧客の役を演じてもらい、商談を再現するトレーニング手法です。
実際の商談と同じようにロールプレイングを繰り返すことで、話す力・聞く力を効果的に高めることができます。受注率が高い同僚や商談経験が多い上司など、優れた営業スキルを持つ人の目線でフィードバックをもらうことで、多くの気づきが得られます。
また、商談の流れや提案手順を繰り返し練習することで、自信を持った話し方ができるようになってきます。本番で落ち着いて営業に臨むことで見込み客の安心感が増し、商談の成功率も高まるでしょう。
現場で経験を積む・振り返る
見込み客一人ひとりに合わせた柔軟な対応力を身につけるためには、現場での実践経験も欠かせません。多くの商談を経験し、実践のなかでスキルを磨きましょう。
商談後は、必ず振り返りを行います。進行が速すぎたり遅すぎたりしなかったか、説明の順番は適切だったかなど、改善点を明確にして次に活かしましょう。オンライン商談の場合は、相手に許可を得たうえで録画しておくと、客観的な振り返りがしやすくなります。
また、上司や先輩の商談に同席させてもらう方法も効果的です。どうやって相手の潜在的なニーズを引き出すか、見込み客の課題をどのように解決するかなど、実際のやり取りを観察して学びとりましょう。
セミナーや研修に参加する
社内研修や外部のセミナー・研修への参加もスキルアップにおすすめの方法です。プレゼンテーションやセールストーク、クロージング手法など、スキルアップにつながる実践的な知識を学べます。
特に外部で開催されるセミナーでは、最新の営業手法やトレンドなど、新しい視点やアプローチ方法のヒントを得られることがあります。業種や会社の枠を越えて人脈を広げる機会にもなるでしょう。
近年は、オンラインで受講できるセミナーも豊富にあります。場所を問わず参加できるため、気になるテーマが開催されていたら積極的に申し込んでみましょう。
独学
営業に関する書籍や専門誌、Web上の記事といった情報を参考に、独学で営業スキルを磨くことも可能です。
独学のメリットは、自分の知りたいことをピンポイントですぐに学べる点です。研修やセミナーのようにスケジュールを押さえる必要がなく、Web上の記事や電子書籍であれば「クロージング」などのキーワードで必要な情報を検索できます。体系的に知識を学びたい場合は、書籍を探してみると良いでしょう。
営業手法とあわせて、心理学の知識を身につけておくこともおすすめです。相手をコントロールするために心理学を利用するのではなく、相手に届きやすいストーリー展開や言葉選びの参考にするのがポイントです。
営業としてスキルアップするために必要なこと
営業として成長するためには、自分に必要なスキルや不足しているスキルを把握し、目標に沿ってアクションを起こしていくことが大切です。次に紹介するステップで進めてみましょう。
1. 営業活動の課題を分析する
まずは自己分析を行い、改善が必要な点を明確にします。見込み客へのファーストコンタクトから商談のアポイントメント獲得、事前準備、商談、クロージングのように具体的なステップに分けて考えてみましょう。
先輩の営業パーソンや上司に協力してもらい、自分なりの分析結果を見てもらう方法もおすすめです。適切なフィードバックをもらうことで、成長が加速します。
2. 目標を決める
改善が必要なポイントが把握できたら、具体的な目標を決めます。その際に、成果目標と行動目標を分けて考えることが大切です。
例えば、「月末までに商談を1件成功させる」という成果を目標にすると、自分の努力と関係のないことが原因で未達に終わる可能性があります。一方で、「月末までに見込み客に10件メールを送る」という行動目標であれば、自分の努力次第で達成が可能です。
成果を目標にするのではなく、細かく行動目標を決めて達成していくことを意識しましょう。それを繰り返すことで、商談の成功や売上の向上といった成果目標も達成できるようになっていきます。
3. インプットとアウトプットのサイクルを繰り返す
実際にスキルを伸ばすためのフェーズでは、知識のインプットと実践によるアウトプットのサイクルを繰り返すのがコツです。
まずは、基本的な知識をインプットして、「わかる」状態を目指しましょう。そこから「できる」ようになるまでには時間がかかるため、繰り返し実践して知識を自分のものにします。
成功した場合も失敗した場合も、必ず振り返りを行い、そこから学びを得ることが大切です。
4. 楽しみながら学びを継続する
今は営業を得意としている先輩や上司も、始めからうまくいっていたわけではありません。知識のインプットと実践を繰り返し、徐々にスキルを高めることでステップアップしていきましょう。
楽しみながら学びを継続するためには、自分が理想とする営業パーソンをイメージする方法がおすすめです。理想の状態と自分の現状を理解し、そのギャップを埋めていくための方法を考えるとスキルアップがうまくいきます。身近に憧れの存在がいる場合は、具体的なスキルアップの方法をアドバイスしてもらうと効果的です。
営業スキルの強化で頼れる営業パーソンになろう
営業パーソンにとって必要なスキルは、営業職ならではの「聞く・話す」に関連するスキルから、ビジネスパーソンとして求められる基本スキルまで多岐にわたります。
まずは自己分析を行い、改善すべきポイントを知ることがスキルアップの第一歩です。伸びしろが見つかったら、書籍やセミナーなどで知識をインプットして、実践の場でアウトプットするサイクルを継続しましょう。ロールプレイングや商談への同行など、上司や先輩の協力を得ることも大切です。
学習と実践を継続することでスキルを磨き、頼れる営業パーソンを目指しましょう。