「潜在顧客」と「見込み客」。この2つは、将来的に顧客になる可能性を秘めたターゲットです。
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両者は似ているように感じますが、実際は異なる意味を持ちます。顧客のステータスをしっかり知るためには両者の違いは理解しておきたいところです。
顧客へアプローチするうえで、「自社のサービスを認識しているか」「課題は明確になっているのか」など、顧客が今どのような状態にあるのかを把握し、適切なアクションを選択することが重要です。
潜在顧客を発掘するアプローチと、見込み客を優良顧客へと導くアプローチを理解し、自社の成長につなげましょう。
潜在顧客と見込み客の定義とは?
潜在顧客と見込み客の違いは、顧客ライフサイクルのステージにあります。
顧客ライフサイクルとは、ターゲットが企業や商品について知り、興味や信頼を深め、商品購入・サービス利用に至り、さらにはリピーターになるまでのプロセスをいいます。
企業側から見た場合、顧客ライフサイクルは以下の6ステップに分解されます。
【顧客ライフサイクルの6ステップ】
- 認識:抱える課題の解決となりうるサービス・商品に出会う
- コンバージョン:より詳しい情報を得るために、無料コンテンツなどを入手
- 購入:有料版を利用したり、商品を購入したりする
- 利用促進:毎日、毎週利用するといったアクティブユーザーになる
- 更新:数か月または1年経過した顧客が、利用を更新する
- 紹介:満足度が高く、友人や同僚に製品を勧めるパワーユーザーになる
出会い、詳しい情報を知り、購入を決意し、継続利用をし、数か月~1年のスパンで更新し、周りに勧めるようになるのが、顧客ライフサイクルにおける理想的な顧客の心理状態です。
そして潜在顧客とは、6ステップのうちの「認識」に至る前の状態を指し、対して見込み客は「認識」と「コンバージョン」の状態に位置づけられます。
以下より、さらに詳しい違いをみてみましょう。
潜在顧客とは?
「認識」より手前のステップにいる潜在顧客は、商品やサービスを知ることで見込み客となる可能性を秘めています。
ターゲットの抱えるニーズや課題に商品やサービスが合致したとき、潜在顧客はより興味を喚起され、次のステップであるコンバージョンや、さらにその次の購入へと駒を進めます。
見込み客とは?
見込み客は潜在顧客とは異なり、商品やサービスを認識しています。一定の興味・関心を持っており、積極的に自身のニーズや課題を満たす情報を求めています。
また、「Webサイトから問い合わせを送ってきた」、「メールマガジンに登録した」、「見積もりを要求してきている」など、「企業に対してアクションをしているが、購入の決断はしていない」状態も見込み客に分類されます。
見込み客の求める情報に沿ったアプローチを行うことで、購入や、さらにその先の優良顧客へと成長する可能性があります。
潜在顧客と見込み客の違い
潜在顧客と見込み客の違いをまとめると以下のようになります。
- 潜在顧客……商品やサービスを認識する前の段階
- 見込み客……すでに認識しており、ニーズを感じれば購入する可能性のある段階
多くの場合、潜在顧客は商品・サービスを認識していないだけではなく、自身が抱えている課題やニーズにも気づいていません。潜在顧客に対しては「抱えている課題」を明確に認識してもらい、「商品・サービスを利用することによって課題が解決すること」に気づいてもらうきっかけが必要です。
そのため、潜在顧客へは、商品・サービスが価値のあるものだと認識させるのが第一ステップといえます。
一方で、見込み客へは、潜在顧客よりもさらに相手の心理に合わせた戦略的なアプローチが求められます。購入前の段階といっても、「より詳しい商品情報が欲しい」見込み客と「購入の最終検討をしている」見込み客では、懸念事項も異なるものです。
見込み客へのアプローチにおいては、見込み客が持つ不安や、見込み客がより検討したいと感じているポイントを把握し、納得できる情報を与えて信頼関係を築くことが重要です。
見込み客にステップアップする潜在顧客を定義しよう
潜在顧客から見込み客へステップアップさせるには、ニーズに気づいていない潜在顧客にニーズを気づかせる必要があります。
一方で、誰も彼もを潜在顧客として捉えるのではなく、具体的にどんな人や企業が潜在顧客となりうるのかを明確にすることが重要です。
自社サービスや商品について再定義する
見込み客へステップアップできる潜在顧客を定義するためには、まず自社サービスや商品の再定義を行いましょう。
そのサービスや商品が誰のどんな課題をどのように解決するために作られたのか、改めて社内やチームで定義し、外部の人にも分かりやすく説明できるようにします。
こうすることで、どんな人や企業へアプローチすれば見込み客になってくれるのかが明確になり、ターゲットとするべき潜在顧客の像が見えてきます。
既存顧客を分析する
見込み客にステップアップしてくれる潜在顧客を定義するには、すでに自社サービスや商品を利用している既存顧客を分析してみるのがおすすめです。
その顧客はどんな人なのか、どのような課題を持ち、解決するためになぜそのサービス・商品を選んだのかを分析することで、アプローチするべき潜在顧客が分かってきます。
既存顧客の分析には、STP分析がおすすめです。
STP分析とは
セグメンテーション(市場の細分化)、ターゲティング、ポジショニング(自社の立ち位置の確認)の3つの頭文字を取った分析方法が、STP分析です。
マーケティングにおいて、自社サービス・商品がどの市場を狙うかを分析する際に使用されるフレームワークで、狙うべき潜在顧客の層が見えやすくなります。
セグメンテーションでは、市場を細分化します。
年齢や性別・家族構成・学歴などで分類されるデモグラフィック(人口統計的変数)、市町村や気候・文化などで分類されるジオグラフィック(地理的変数)、性格や商品の価格観・ライフスタイル・購買動機などで分類されるサイコグラフィック(心理的変数)などの細分化方法があります。
ターゲティングでは、細分化した市場のどこを狙うかを分析します。
1つあるいは限られたセグメントを狙うこともあれば、複数のサービス・商品を展開して複数のセグメントを狙うこともあります。
ポジショニングでは、競合他社と比較して、自社がどの立ち位置にあるのかを分析します。
品質、店舗数、販売チャネルの数や種類、価格帯などさまざまな軸で競合他社と比較することで、利益を得られる市場なのか、そうでないのかを予測することが可能です。
見込み客にステップアップする潜在顧客と出会う方法
見込み客へステップアップしてくれる潜在顧客を定義できたら、その層へどのようにアプローチするかを決めていきます。
潜在顧客へアプローチし、見込み客(リード)へ醸成することを「リードジェネレーション」と言います。リードジェネレーションについては、以下のコラムにて詳しくご紹介しています。
ここでは、潜在顧客にリーチするための、6つの基本的なチャネルについて紹介します。
1. オウンドメディア
「自社が所有する媒体(Owned Media)」を指します。主に企業が運営するウェブメディアやブログを指します。
2015年に実施された「オウンドメディア活用実態調査2015」では、自社がオウンドメディアを所有していると回答したマーケッターが1割程度だったのに対し、2020年に実施された『オウンドメディア白書2020』では、約8割がオウンドメディアに注力していると回答。
それぞれ別の期間が実施している調査なので母数も調査対象も異なるものの、その差を見るとオウンドメディアへの注目度が高まっていることは明らかです。
一方で、オウンドメディアは一時多数立ち上げられたものの、黒字化が難しい側面があり、継続的に運営するのはそう簡単ではありません。2019年から2020年にかけては、有名オウンドメディアの閉鎖も相次ぎました。
運営にあたっては、潜在顧客をメディアの「ファン」として獲得するための長期的計画が求められます。ブランディングや、見込み客の獲得など、オウンドメディアに求めるKPIを明確に設定することが大切です。
以下に、優れたオウンドメディアの例として2つのメディアをご紹介します。
事例①:北欧、暮らしの道具店
「フィットする暮らし、つくろう。」をコンセプトにクラシコムが運営するオウンドメディアです。販売する商品のイメージに沿った読み物やお役立ちコンテンツを展開することで、商品購入へとつなげています。
事例②:キャリアハック
採用事業を行うエン・ジャパンが展開するオウンドメディアです。「テック業界で働く人のためのWebメディア」をコンセプトに、今話題となっている人物や事業にフォーカスしたインタビュー記事を展開しています。
2. Web広告
インターネット上に掲載される広告を指します。
ユーザーの検索キーワードに応じて表示される「リスティング広告」、Webサイトの広告枠に表示される「ディスプレイ広告」、過去にWebサイトを訪問したことがあるユーザーに対して表示させる「リターゲティング広告」などがあります。
また、ユーザーが広告をクリックして成約することで媒体主が成果を得る「アフィリエイト広告」や、Webサイトのコンテンツに溶け込ませる「ネイティブ広告」などは広告ではなく1つのコンテンツとして認識されやすいため、ユーザーにとって心理的な抵抗感が低いメリットがあり、潜在顧客へのリーチを強化できます。
Web広告は、ユーザーの興味関心や検索履歴など、細かいターゲティングができるのが特徴です。また、広告料の方式によっては、テレビCMや新聞などのマスメディアと比較しても少ない予算で導入できます。
近年は、YouTubeに表示する動画広告も盛んになっています。潜在顧客の特性によってWeb広告を使い分けていきましょう。
3. SNS発信
FacebookやTwitter、InstagramといったSNSは、企業が情報発信する際の「基本手法」といえるほど広がっています。
総務省の『平成30年通信利用動向調査ポイント』によると、SNSを活用する企業の状況は前年度から全体で7.8%増加し36.7%に。業界別では、金融・保険業、不動産業は半数以上の企業がSNSを活用していると回答しています。
その利用目的のトップは、「商品や催物の紹介、宣伝」。つづいて「定期的な情報の提供」「会社案内、人材募集」といった目的で利用されています。
出典:総務省の『平成30年通信利用動向調査ポイント』P4
ただし、一方的な商品・サービスの宣伝だけに終始していては、潜在顧客の関心を得られる可能性は低いでしょう。
どのSNSも、利用しているユーザーは情報収集のためだけではなく、コミュニケーションやトレンドの把握などを目的としている場合も多いためです。その点を考慮し、各SNSの特性に合わせたアプローチ方法を設定しましょう。
たとえば、シャープ株式会社のTwitter公式アカウント「@SHARP_JP」は、いわゆる「中の人」が漫画賞の審査と選評を担当するなど、企業の宣伝活動の枠を大きく超えて、ひとつの人格を持って活動しています。
企業・個人に関係なくコミュニケーションが気軽にできるTwitterに合わせた運営方針を選択し、成功を納めたアカウントの代表例と言えるでしょう。
SNSを活用する際には、目先の成約を重視するのではなく、中長期的な視点で自社の活動を発信し、SNS上の1つのアカウントとして発信を継続することが大切です。
出典: シャープTwitterの中の人「SNSで未来の顧客をつくる」|日経BP
4. ダイレクトマーケティング
潜在顧客に直接アプローチする手法としては、ダイレクトメール(DM)が代表例です。
潜在顧客が抱える課題やニーズにあわせてDMを送ることで、反応を得るマーケティング手法です
Webサイトを訪問し、会員登録をしたユーザーに対して、一定期間を置いた後に新製品のメールを送るのも、ダイレクトマーケティングの一つといえます。
5. セミナー・展示会
潜在顧客に直接サービス・商品をアピールできるマーケティング手法です。「SNSマーケティングを学ぶ」「女性の働き方を考える」など、テーマによる参加者のターゲティングが可能です。
6. プレスリリース
企業からマスメディアに向けて、新事業や新サービスについての公式情報を発信するのがプレスリリースです。該当する業界紙や専門家向けのウェブメディアに掲載されることで、潜在顧客のいる市場にリーチできるため、企業の情報発信の基本として押さえておくべき手法といえます。
広告費がかからない一方で、メディアに取り上げられるかどうかは確実ではありません。
見込み客を顧客へと醸成する手法
潜在顧客を見込み客へ醸成することができても、まだその見込み客は顧客にはなっていません。見込み客を顧客へと醸成する「リードナーチャリング」を行うことで初めて、売上へとつなげることができます。
リードナーチャリングについて詳しいことは、以下のコラムにてご紹介しています。
ここでは、リードナーチャリングのために行われる4つの手法についてご紹介します。
ステップメール
リードナーチャリングでは、Eメールによるアプローチが基本となります。
その中でも特に有効とされているのが、1つのテーマに関し、見込み客や顧客の行動や態度変容に合わせて複数のメールを送る「ステップメール」です。見込み客が必要と感じるときに必要な情報を送ることができれば、顧客への醸成につながります。
ステップメールについて詳しくは、以下のコラムにてご紹介しています。
セミナー開催
見込み客に対し、自社サービス・商品により深い関心を持ってもらいたい場合は、セミナーの開催が有効です。自社の得意分野を活かした内容のセミナーを開催しましょう。近年は、オンライン上で行う「ウェビナー」も活発になってきています。
SNSやオウンドメディアなどでの情報発信
リードジェネレーションでも活用するSNS・オウンドメディアは、リードナーチャリングにおいても有効です。見込み客に価値があると思ってもらえる情報を発信することで、顧客への醸成につながっていく可能性があります。
リターゲティング広告
一度自社サイトへ訪問した人に対して配信する広告を、リターゲティング広告と言います。一度サイトを訪れた人、つまり見込み客に絞った内容の広告を打てるため、通常の広告と比べて高い費用対効果が期待できます。
潜在顧客・見込み客にアプローチする2つのポイント
これまでに紹介したチャネルを利用して潜在顧客・見込み客にアプローチする際には、「目標値の設定」、「顧客情報の管理」の2点がポイントです。
目標値の設定
「目標値の設定」は、アプローチが期限内に成功したかを判定するための基準となる数値を設定することを指します。
オウンドメディアの例を見てもわかるように、潜在顧客へのアプローチは短期的に結果を得られるとは限りません。また、ダイレクトメールのような即効性が期待できる手法においても、何を目標値として設定するかで、効果があったかどうかの判定基準が変化します。
問い合わせ、見積もり依頼、メンバー登録、商品購入、サイトへのアクセスなど、目標に設定する項目は多岐にわたります。
「何のためにアプローチを実行するのか」を明確にし、その目的の達成に適したKPIを設定しましょう。達成するべき目標値が明確になることで、その効果を定量的かつ継続的に測定できます。
それにより、アプローチを「効果がなかった」とやりっぱなしの施策にするのを防ぎます。さらには仮に失敗したとしても、効果測定から得られた教訓はその後の対策立案にも役立つでしょう。
顧客情報の管理
「顧客情報の管理」は、見込み客の状態把握には欠かせません。
営業担当が見込み客の状態を細かく知ることで、適したアプローチを選択できます。SFAやCRMといった適切な管理ツールを用いれば、より効率的に見込み客を管理し、優良顧客へと醸成することが可能です。
当社では、ビジネスを成功に導くための統合型CRMプラットフォーム「HubSpot」を提供しています。顧客管理機能だけでなく、マーケティングから営業、コンテンツ管理まで、業務をサポートするさまざまな機能を備えている点が特徴です。
HubSpotについて詳しくは、こちらのページをご覧ください。
見込み客の獲得を進める際に起こりやすい失敗例
1つ目の失敗例は「ターゲットが明確でない場合」です。例えば広告を配信する場合は、ターゲットとなる見込み客に響くようなメッセージやデザインでコンテンツを制作する必要があります。
しかしターゲットが明確でなければ、メッセージがうまく伝わらず広告効果が見込めない可能性が高まります。
また、ターゲットの設定を誤ると広告媒体の選定にも影響が及びます。見込み客がほとんど閲覧しない媒体に広告を掲載しても、期待する成果は望めないでしょう。
2つ目の失敗例は「見込み客へのフォローアップが不足」しているケースです。フォローアップとは見込み客を顧客に昇格させるための育成を指します。
過去に接触があり、商談の可能性があったにもかかわらず、適切なフォローアップがなされずに時間が過ぎてしまった場合、その見込み客は「眠ったまま」となってしまう可能性が高いです。
こうした失敗を防ぐためにも「潜在顧客・見込み客にアプローチする2つのポイント」で紹介した「顧客情報の管理」が重要です。
潜在顧客か見込み客かを判断し、顧客に寄り添った関係性を構築する
潜在顧客へは、ターゲットが気づいていないニーズや課題に対して、興味を引きつけたり、楽しませたりするコンテンツを発信することによって、自社のサービスや商品の認知につなげます。
一方、見込み客に対しては、具体的な状態に合わせたアプローチをとることが重要です。
アプローチの過程では、顧客に価値ある情報を提供し、関係性を構築するインバウンド的な思考が求められます。
自社の商品・サービスの特徴やターゲットとする市場によって、適切なアプローチ方法を選択しましょう。潜在顧客と見込み客の違いを理解し手法を組み合わせることで、優良顧客の獲得につながります。