成果があがる営業トークスクリプトとは?作成方法を解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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営業は「どれだけ先方に足を運んだか」「どのような提案を行ったか」というプロセスより、最終的には「契約が取れたかどうか」によって評価される仕事です。

成果があがる「営業トークスクリプト」とは?作成方法から活用法まで徹底解説

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なぜ同じ商品やサービスを販売していても、契約が取れる営業担当者と契約が取れない営業担当者の差が生じるのでしょうか? 大きな理由の1つとして挙げられるのは、営業トークの質と営業担当者の話し方です。

成果を出せない営業担当者は、営業先で挨拶からヒアリング、提案を経てクロージングに至るまでの一連の営業トークが、しっかり組み立てられないケースが目立ちます。その結果、お客様と信頼関係もうまく構築できず、自信を持って話ができないという悪循環に陥っている傾向があります。

お客様と信頼関係を構築しつつ、営業トークを進めていくスキルは、経験を積めば習得できるものではありません。成果を出せない営業担当者や、経験の浅い営業担当者は、営業トークを体系的に学ぶ必要があります。

そんな時、役に立つのが台本のような役割を果たす「営業トークスクリプト」です。本記事ではお客様と信頼関係を構築し、成約につながる営業トークスクリプトの作成を紹介します。

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    営業トークスクリプトづくりに欠かせない「顧客視点」と「顧客理解」

    スクリプトとは、演劇やドラマなどの台本のことです。営業トークスクリプトとは、営業トーク用の台本のことで、営業先でどのように営業トークを進めていくか、お客様の返答や反応まで想定して作成します。

    「実際の営業現場では、台本通りに進むわけがない」と思うかもしれません。確かにお客様それぞれに固有の問題があり、環境や条件も異なります。

    しかし、顧客ニーズを深く掘り下げていけば、表面的な違いを超えて、いくつかのパターンに分類できるようになるのです。顧客視点を踏まえてお客様の状況や起こりうる問題を想定し、パターンごとの営業トークスクリプトを作成しておけば、お客様の反応に合わせて適切な営業トークを活用できます。

    なお、営業に役立つトークスクリプトは、お客様の視点に立っていること、お客様に対する深い理解が前提 となっています。あくまで、実際の営業現場を意識して作成するのがポイントです。

    なぜ営業トークスクリプトが重要なのか?

    営業 トークスクリプトを作成することで、以下の3点が可能になります。

    これが可能になれば、営業担当者全員の営業トークが洗練され、結果的にお客様に高い価値を提供できるようになります。

    営業トークを可視化して、確認・分析・共有が可能になる

    一番簡単な営業トークスクリプトの作成方法は、自社で最も営業成績の良い担当者の営業トークを録音し、お客様の言葉も含めて、一言一句正確に書き起こすことです。

    聞くだけでは流れていく会話も、文字に起こして可視化すれば、要点を確認し、分析しやすくなります。たとえば「この切り出し方で、お客様の興味を引いている」「こう質問することで、顧客ニーズを深掘りするのか」「この提案は、お客様の痛みをうまくとらえているな」「このテストクロージングは効果があったな」などの分析を進め、1人の経験を全体の経験として共有します。

    属人的でない営業トークが可能になる

    かつて優秀な営業担当者の営業スキルは、営業担当者がスキルを発揮して顧客を開拓し、商品やサービスを売り込むなど「属人化」されたものでした。獲得した契約数で評価が決まる世界では、自分自身が獲得したノウハウを共有するのは、自分にとってはデメリットになりかねません。

    しかし時代の変化とともに、営業の役割も変わってきました。今日求められている営業は、マーケティングチームと営業チームが共同で、深掘りした顧客ニーズに沿って、価値ある提案を行うというものです。そのため、営業スキルの属人化は、企業にとってはむしろマイナスに働きます。

    ベテラン営業担当者を中心に営業トークスクリプトを作成することで、個人の営業スキルが可視化され、全体でそれをさらにブラッシュアップすれば、営業活動の効果を高められるでしょう。

    営業トークスクリプトを通じて新人の組織的な教育が可能になる

    HubSpot Japanが2020年12月に調査を実施し、2021年2月に公開した「 【2021年版】インサイドセールスに関するデータ集 」によると、経営陣の52.6%が自社の営業部門の課題として「人材の育成」を挙げています。ほとんどの企業は入社時に研修期間を設けていますが、人材育成の継続的な仕組みを確立できている企業は多くありません。

    営業部内で育成を行おうとしても、経験を積んだ実績ある営業担当者が何の準備もなく、新人をうまく指導できるとは限りません。人によっては、自分がうまくできることを「長年の経験」や「営業センス」としか説明できない場合もあります。

    しかし自分の成功体験を踏まえて営業トークスクリプトを作成すれば、「長年の経験」や「営業センス」としか言えなかった要素が可視化できます。新人や経験の浅い人は、ロールプレイングを通じて営業トークスクリプトを繰り返し練習することで、営業のノウハウを学び、自信を持って営業に臨めるようになります。

    上記3点を実現することでうまくなるのは、営業トークだけではありません。顧客対話を通じてより深くヒアリングできるほか、よりニーズに沿った提案をしやすくなります。

    営業活動に求められているのは、お客様が違和感なく商品やサービスを知り、試し、自発的に「ぜひ導入したい(購入したい)」と言えるようになるのをサポートすることです。営業トークを通じたサポートを実現するためにも、営業トークスクリプトは大きな役割を果たします。

    営業トークスクリプトを活用する3つのメリット

    重要な役割を持つ営業トークスクリプトですが、実際に活用することで以下3つのメリットが得られるでしょう。

    1.お客様との対話の密度を高められる

    【2021年版】インサイドセールスに関するデータ集 」では、以下のことが明らかになっています。

    「どのような営業担当者が、買い手にとって誠意のある営業担当者だと思うか」という問いに対し、多かった回答は「できないことを明確に伝えてくれる」で40.4%、「社内でも気づいていない課題を発見し、解決策を提案してくれる」で38.4%だった。次いで、「自社のアピールより顧客の課題ヒアリングを重視している」との回答が35.9%にのぼった

    引用元:HubSpot Japan ブログ「 【2021年版】インサイドセールスに関するデータ集 」より

    
お客様が重視しているのは「どのような商品・サービスか」の説明ではなく、客観的・専門的な見地から見た解決策の提案であり、ヒアリングを通した課題の発見です。そして、それを実現するには、ヒアリングで顧客の課題・ニーズを深堀りすることが欠かせません。

    「お客様の課題を適切に聞き取る質問力」「顕在化していない問題を探り当てる洞察力」など、密度の高い対話をするためのスキルは、体系的な学習から習得可能です。 そのためにも営業トークスクリプトの活用が求められています。

    2.お客様との信頼関係を構築しやすくなる

    困りごとを話せるのも、自社のニーズを共に深掘りできるのも、直接の窓口である営業担当者に対して「この人なら共に問題を解決できる」と信頼するからです。 密度の高い対話も、深掘りしたヒアリングも、信頼関係の構築が前提です。

    仮に、初対面の営業担当者が「自社は〇年にわたって〇〇業を中心に百社の問題を解決してきた信頼と実績のある企業です。お客様の会社のお困りごとをお聞かせください」と切り出したらどう感じるでしょうか?顧客側からすると「こちらに寄り添う姿勢がなく、自社の自慢ばかりされた」と思われ、相談する前に気分を害する人が多くなるのではないでしょうか。

    このような失敗を防ぐために、営業トークスクリプトを通じて、お客様の信頼を勝ち取る雑談力や対話のスキルを身につけましょう。

    3.成功事例を共有し、自らの営業活動に活用できる

    成約につながった営業トークを、お客様の反応も含めて書き起こした営業トークスクリプトを通じて、1人の営業トークを全員で共有できます。そして営業トークスクリプトをもとにロープレを重ねましょう。営業トークのスキルアップを図ることで、営業担当者は自信を持って営業活動が行えます。

    営業トークスクリプトは4つのシチュエーションを想定して作成する

    営業トークスクリプトは、部署や場面によって異なるため、数種類を用意しておきます。そして、初めに以下の4つの場面で必要になる営業トークスクリプトを整理しておきましょう。

    1.インサイドセールス(内勤営業)

    「インサイドセールス」は内勤営業を指し、顧客を直接訪問することなく、電話やオンラインミーティングで商談を進めます。

    インサイドセールスについてくわしく知りたい方は、HubSpotの別ページ「 【無料eBook付】「インサイドセールス」入門ガイド 」を参考にしてください。

    インサイドセールスの営業トークスクリプトは3種類用意

    インサイドセールスでの営業トークスクリプトは、通常「初回用」「2回目以降用」商談が設定できそうな見込み客に対する「案件化に向けた営業トークスクリプト」の3種類を用意します。

    ・初回用営業トークスクリプト

    これまで取引のない新規見込み客の中で、Webサイトの商品ページや価格表のページを何度も訪れたりして、 特定の商品やサービスに明確な興味を持っている見込み客(企業)と、電話で初めてコンタクトする場合の営業トークスクリプトです。 ヒアリングを中心に行います。

    ・2回目から必要に応じて架電する際の営業トークスクリプト

    コミュニケーションが途絶えないように、またお客様に一歩前進してもらうために、 定期的に電話し、デモの提案やセミナーへの案内、新製品のお知らせなどを行うための営業トークスクリプトです。

    ・案件化に向けた営業トークスクリプト

    お客様と定期的に対話し、先方の課題が明確になった段階で、具体的な解決策の提案と商品説明をさせてもらえないか提案します。商談のアポイントを取るための営業トークスクリプトです。

    インサイドセールスの営業トークスクリプトについては、HubSpotの別ページ 「『電話営業つらい』は時代遅れ?トークスクリプト&話し方のコツを紹介」 でも具体的に説明しています。

    2. フィールドセールス(外勤営業)

    非対面で営業するインサイドセールスに対し、訪問して顧客と対面して行う営業を「フィールドセールス」と呼びます。BtoB企業では、新規案件に関してはインサイドセールスで商談を創出し、フィールドセールスで商談を進め、クロージングする分業体制を導入しているケースが一般化しつつあります。また、既存顧客に向けたリレーション営業を行うパターンもあります。

    フィールドセールスの営業トークスクリプトは2種類用意する

    フィールドセールスの場合は、「インサイドセールスから引き継いだ新規顧客に対する営業トークスクリプト」「既存顧客に対する営業トークスクリプト」の2種類を用意します。

    ・インサイドセールスから引き継いだ新規顧客に対する営業トークスクリプト

    この営業トークスクリプトは、顧客企業に合った形での提案を行うための営業トークスクリプトになります。インサイドセールスで行ったヒアリングをふまえた商品説明と、クロージングに焦点を当てた営業トークスクリプトを作成します。

    ・既存顧客に対する営業トークスクリプト

    既存顧客に対して再購入やクロスセル、アップセルを提案する営業トークスクリプトを作成します。

    3. 反響営業

    企業はWeb広告やTV、新聞、雑誌などさまざまなメディアを通じて、自社紹介や新製品・サービスの告知を行います。反響営業とは、告知に興味を持って問い合わせてきた見込み客に対して行う営業のことです。

    問い合わせがあったということは、見込み客の問題が顕在化しており、自社商品やサービスに対して解決策のひとつになっていると考えられます。購入に前向きな見込み客を逃さないよう、丁寧なヒアリングで状況把握と原因を見極め、提案からクロージングに至る営業トークスクリプトを用意します。

    4. セミナー・説明会

    業界のトレンドや技術の最新動向、事例を紹介するセミナーや説明会は業界関係者や業界に関心を持つ企業・個人が集まる場です。営業担当者にとっては情報収集に加えて名刺交換やリード(見込み客)を獲得する機会でもあります。

    自社が主催するセミナーや説明会では、参加者アンケートを行い、参加者に氏名やメールアドレス、会社名、役職などを記載してもらいます。その名簿を元に、インサイドセールス(電話営業部門)や営業担当者は電話や訪問などでフォローアップするのが営業活動の流れです。

    また自社商品やサービスのターゲットとなる見込み客が多く集まりそうな他社主催のセミナー・説明会も、営業担当者にとっては名刺を獲得する機会です。セミナー・説明会の年間スケジュールを把握し、見込み客が得られそうな集会をピックアップしましょう。

    セミナーや説明会での営業トークスクリプトは、現場で名刺交換を行う際の15~30秒の自己紹介と、先方の簡単なヒアリングを中心とした1分間以内の営業トークスクリプトです。自社製品やサービスの紹介、ヒアリングの内容など相手とスムーズにやり取りができるようブラッシュアップしましょう。

    4ステップで営業トークスクリプトを作る

    ここから実際に営業トークスクリプトを作成する手順を説明します。営業トークスクリプトは以下4つのステップに沿って作成しましょう。

    ステップ1:ペルソナの設定

    ペルソナとは、自社にとって理想的な顧客像のことです。

    • どのような人が自社のサービスを利用してくれるのか
    • 自社製品を購入してくれるのはどのような人か
    • なぜそのお客様にとって自社製品が解決策になるのか

    など、顧客像が具体的になればなるほど、提案方法や提案に対する疑問・反論への対応が明確になってきます。

    ペルソナを作成する場合、以下の点を中心に検討します。

    • ペルソナはどのような企業に属し、部署はどこで、どのような仕事をしているか
    • 仕事上で何に関心を持ち、何を達成したいと考えているか
    • 仕事上でどのような課題を持っているか
    • 仕事上での困りごとは何か
    • 家族構成や年収、趣味、休日はどのように過ごしているか

    既存のデータやインタビューなど客観的な情報を用いて、リアリティを持ったペルソナ像を作成します。

    ペルソナについては、HubSpotの別ページ「 5分で分かる『ペルソナ』の作り方|マーケティングで成果を出すための手法を徹底解説 」で詳しく説明しています。

    ステップ2:商品説明のスクリプトを作成

    商談の中心となるのが商品説明です。お客様が主人公のストーリー形式にすることで、お客様にも商品説明を「自分ごと」として受け取ってもらいやすくなります。

    ストーリー作りには、問題発見と課題設定を可能にするフレームワーク「S-C-Q-A分析」が有効です。

    S(Situation)…ペルソナが置かれた状況を述べます。

    例:「御社は〇〇業界にあって急成長されていらっしゃいますよね。厳しい経済状況の中で大手さんが停滞する中、新しい技術の導入によって著しい成長を持続されておられますね」

    C(Complication)…安定した状況をくつがえす、ハプニングや障害を想定します。

    例:「弊社がお取引させていただいているお客様の中には、急激に成長されている企業ならではの問題を抱えていらっしゃるという状況もあります。一例を挙げますと、〇〇の面で過去にこのようなことが起こったケースがあります」

    Q(Question)…問題に対して、ペルソナが発する質問を想定します。

    例:(お客様)「そのような問題に対して、その会社はどのように対策を取ったのですか?」

    A(Answer)…課題解決の手段を提示します。

    例:「お客様には弊社が〇〇というご提案をさせていただきました。といいますのも〇〇の~という機能は…(以下機能の説明へ)」

    ステップ3:お客様の行動を想定

    ペルソナに従っていくつかのパターンを想定します。ここでは以下3つの例を紹介します。

    パターン1:顧客側がまだ導入の検討に入っていない状態

    (お客様)「導入するかどうか今はまだわからないな」

    【対応策】

    望ましい状況との間にずれはないか、何か標準を下回っているところはないかなどの質問を行い、潜在的な問題意識を掘り起こします。

    【回答例】

    「今までお伺いした範囲では、御社は〇〇の面でもシェアの伸長が期待できるのではないか、と感じられるのですが…」

    パターン2:社内で検討がスタートした段階

    (お客様)「社内で検討したい」

    【対応策】

    単に話を打ち切るための「検討」と区別するために、具体的な検討プロセスを質問します。また検討の経過を要所要所で聞かせてほしいと要請します。

    【回答例】

    「検討のご参考になるような資料や導入企業様の事例など、今後もご提供させていただきたいと思っております。御社でのご検討はいつごろか、お聞かせいただけますでしょうか?」

    営業活動とあわせて、Webサイト上でのお客様の閲覧状況などを追跡し、効果的な提案を検討します。

    パターン3:提案書を依頼される段階

    (お客様)「社内で検討したいので、提案書を作成してもらえないか」

    【対応策】ヒアリングや商談の経過を踏まえ、その会社に合った提案を行います。これまで商談を重ねてきたお客様は、今後、提案を通していくためのパートナーになります。

    【回答例】

    「それでは早速提案書をご用意させていただきます。」

    ステップ4:お客様の返答・質問を想定

    想定したペルソナごとに、構築できている関係性の深さに基づいたいくつかのパターンを用意します。ここでは以下4つの状況におけるスクリプトの例をご紹介します。

    パターン1:関係性の構築が不十分な場合

    話がうまく進まない時や相手が乗り気でなさそうな場合の質問を想定します。

    (お客様)「また必要になったらこちらから連絡させてもらいます」

    【対応策】

    商品説明に入る前に、 ペルソナに応じて接触回数を増やしたり、雑談を交わしたり、お客様に対する敬意を示し、信頼関係を深めましょう。

    パターン2:ニーズの深掘りがさらに必要な場合

    お客様が自社の商品やニーズに関して、「自分事」になっていない場合です。

    (お客様)「そういうことは確かに起こるかもしれませんね。でもウチは業種も事業規模も違うので」

    【対応策】

    お客様が痛みを感じるような状況を具体的に提示しながら、ニーズを掘り起こしていきます

    【回答例】

    「先ほど〇〇と伺ったのですが、これは~社でも同じことが起こったんです」

    「過去に~という状況に陥った事例が実際にありました。このような状況は困ったことになりますよね」

    パターン3:自社商品やサービスを導入したらどうなるかのイメージが不十分な場合

    導入することによってどうなるか、お客様がリアルに想定しにくい状況です。

    (お客様)「まあ、どこでも自社製品のことは良いことしか言わないしね」

    【対応策】

    何が起こるかをデータや画像、事例を含めて具体的に説明します。

    【回答例】

    「このグラフ(画像)を見ていただけますか? 自社の〇〇を導入した前後の違いがこのように表れています」

    パターン4:結論を先延ばしにされた場合

    必要性を実感していないお客様は、角が立たないように断るために、結論を先延ばしにする場合があります。

    (お客様)「折を見て検討させてもらうよ」

    【対応策】

    なぜ断ろうとしているのか、その原因を質問します。多くの場合、断る原因は次の4つのいずれかです。

    1. コストがあわない
    2. 使える人材がいない、導入がむずかしそう
    3. 自社には必要ない
    4. 関係性の構築が不十分

    1. 「コストがあわない」が原因の場合

    具体的なデータを元に、初期導入コストがかかったとしても、それを上回るメリットがあることを説明します。

    【回答例】

    「無料デモもご用意しております。無料デモを実際にご利用いただいて、使用感などをぜひお試しください」

    2. 「使える人材がいない、導入がむずかしそう」が原因の場合/h5>

    導入に際しては自社、または協力企業からのサポートがどのように得られるかを具体的に説明します。この場合も、無料デモの提案が効果的です。

    3. 「自社には必要ない」が原因の場合

    ニーズの深堀りを行い、深掘りの過程で明らかになった「痛みを感じる状況」を利用します。

    【回答例】

    「先ほど『〇〇の状況になったら大変だ』とお伺いしました。しかし、現在の~業界ではA社のような例やB社のような例も現実に起こっています。このような事態には、早期対策が何よりも効果を上げていることが実証されています。少しでも『試してみようか』と思われましたらご相談ください。」

    4. 「関係性の構築が不十分」が原因の場合

    接触機会を増やしたり、お客様の企業の参考になるような資料や事例を提供したりして、信頼関係の構築に努めてください。

    ペルソナ像をしっかり作っておけば、場面に応じた顧客の反応もリアルに想定できます。ぜひペルソナ像の作成と合わせて、営業トークスクリプトを作成してください。

    なお、営業活動の対象となる「バイヤーペルソナ」の作り方については、HubSpotの別ページ「 バイヤーペルソナの作り方【無料テンプレート付き】 」で詳しくご紹介しています。

    無料から有料まで。営業トークスクリプト作成ツール3選

    営業 トークスクリプトを実際に1から作るのは、大変な作業です。そこで既存の営業トークスクリプト作成ツールを活用しましょう。

    無料ツール

    初めて営業トークスクリプトを作成する上で、何をどのように作成したら良いのかわからないとき、無料で利用できるサンプルを見てみましょう。

    コーキ株式会社 トークスクリプト/レポート・サンプル

    新規獲得編、キーマン調査編、クロスアップセル編など4種類のサンプルを見ることができます。

    有料ツール

    営業 トークスクリプトの作成に役立つ有料のツールとして、以下のものがあります。

    MiiTel

    MiiTelは実際の電話営業をAIが評価し、文字起こしを行います。時間のかかる文字起こしが自動でできるだけでなく、電話営業をAIで分析、コーチングするなど、電話営業やインサイドセールスで役立つツールです。

    利用料金は月額5,980円/IDから。使用できる機能や費用については問い合わせが必要です。

    HubSpot営業向けプレイブック

    HubSpotの営業プレイブックでは「コールスクリプト」のほかに「アカウントベースのセールスマニュアル」や「ハウツー」などのテンプレートが用意されており、それに沿って営業トークスクリプトが作成できます。事前に用意しておくと、営業直前や電話の途中などで参照もできます。

    HubSpot Marketing Hubの中で営業向けプレイブックが利用できるのは、月額384,000円のEnterprise版のみですが、デモ版は無料体験可能です。

    営業トークスクリプトを最大限活用する3つのポイント

    営業トークスクリプトは作成して終わりではなく、作成してからが本番といっても過言ではありません。

    作成した営業トークスクリプトを徹底的に活用するために以下3点の活用法を説明します。

    1. 営業トークスクリプトの効果を定量的に測定する

    作成した営業トークスクリプトが効果を上げているのかどうかを評価するために、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定します。電話営業の場合や対面営業の場合など、営業トークスクリプトのタイプに応じて、それぞれKPIを設定します。

    電話営業の場合

    インサイドセールスやテレアポの場合、以下が主なKPIになります。

    • 営業トークスクリプトを使って1日に何分お客様と話をしたか
    • 何件コールを行ったか
    • 何社にヒアリングを行ったか
    • 何社と案件化ができたか
    • 営業に何件の案件を渡せたか

    対面営業の場合

    フィールドセールスやアウトバウンドセールスの場合、以下が主なKPIになります。

    • 営業トークスクリプトを使ってコンバージョン率はどうなったか
    • 追加提案(アップセル・クロスセル)が何件できたか
    • 営業トークスクリプトを使って行った商談で、顧客との信頼関係は深まったか(営業後のフォローアップメールで満足度などのアンケート調査を行います)

    測定したKPIは一定期間ごとに集計を行い、推移を確認します。

    2. 内容を改善するためにA/Bテストを行う

    測定したKPIを通じて、営業トークスクリプトの課題を抽出します。

    例えば架電件数は多いのに、実際に見込み客と話している時間が短く、1人当たりに直すと1分弱だったとします。その場合は、いくつかの課題が考えられます。

    • 架電する時間・曜日は適切か
    • 適切な見込み客に電話をかけているか
    • 最初の20秒以内に見込み客の興味を引く話題を切り出せているか

    検討した後、代替策を立て、A/Bテストを行います。A/Bテストとは、1つの条件だけを変えた2つの施策をお客様にテストし、結果を測定する方法です。

    例えば「架電する時間帯が適切ではなかった」という仮説を立てたとします。現状、お昼休み前の時間帯を狙って電話をかけて成果が上がっていないのであれば、午後の3時過ぎはどうかなどお客様に電話をかける時間帯を変えながら、最も効果が上がる時間帯を割り出すテストを行います。

    A/Bテストについては、HubSpotの別ページ「 A/Bテストとは?コンバージョンを最大化させる手順まとめ 」で詳しくご紹介しています。

    3. ロープレによる課題発見

    営業 トークスクリプトは、実際に声に出して自分のものにしてこそ、効果を発揮します。その場合、1人で読み上げるだけでなく、チーム内でのロールプレイングを活用します。

    ロールプレイングとは、営業トークスクリプトを用いて「営業担当者」と「顧客役」に分かれて、それぞれの役割を演じます。 ロープレを行うことで、営業担当者のスキルアップが期待できるだけでなく、複数の視点から顧客ニーズや課題を見ることで、新しい解決策を導き出すきっかけにもなります。

    営業トークスクリプトを活用したロープレを組織的・継続的に取り組めるよう、仕組み化する必要があります。また、 営業担当者役を演じる際には、毎回、顧客理解をふまえた課題を設定してください。

    営業ロープレについては、下記で詳しくご紹介しています。

     

    営業トークスクリプトを活用して、お客様に「価値ある営業」を提供しよう

    営業トークスクリプトは営業活動を助け、新人の育成にも役立ちますが、最大の目的である「お客様に高い価値を提供すること」 を忘れないでください。

    お客様との信頼関係を構築し、対話の密度を高め、価値ある提案を行うために役立つ営業トークスクリプトを作成し、営業現場で活用・測定しながらブラッシュアップを続けましょう。

    営業トークスクリプトは、万能ではありません。どこの企業にも当てはまり、どんな見込み客にも使えるような万能のスクリプトは存在しません。お客様に「話を聞いてもらえて良かった」「こんな見方があるとは気づかなかった」「将来に希望が持てるようになった」と思っていただける営業を目指して、営業トークスクリプトを磨き続けてください。

    HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

     

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    トピック: 営業テクニック

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