Webを活用した集客が一般的になり、電話営業は「古い手法」といわれることも増えています。しかし、商品やサービスを必要とする潜在顧客へのアプローチができるなど、電話営業にはメリットが数多くあります。


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- 適切な質問とは
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電話をしても「すぐに切られてしまう」、「なかなか話を聞いてもらえない」という場合は、事前準備が不足しているかもしれません。
この記事では、電話営業の効果や、電話営業を通じて見込み客・顧客と信頼関係を築くためのコツを紹介します。成果につながる電話営業で、売上アップにつなげましょう。
電話営業の導入は効果的?
電話営業は、「時代遅れ」「迷惑がられる」といった印象があり、積極的に取り組んでいないという企業が多いかもしれません。
確かに、相手のニーズを無視してランダムに電話をかけるような方法は望ましくないでしょう。このようなアプローチは、相手にとって不要な提案になりやすく、悪印象を与えて自社の評判を損なうリスクもあります。
しかし、事前に相手企業の事業や課題を把握し、「自社の商品やサービスが相手企業の課題解決に役立つ」と判断してアプローチした場合はどうでしょうか。「ちょうど良いときに声をかけてくれた」と感じてもらえる可能性が高く、電話営業から具体的な商談に発展する可能性も高まります。
見込み客について理解を深め、タイミングを見極める必要はありますが、新規顧客の創出が難しくなっているといわれている昨今、電話営業に取り組む価値は十分にあるといえるでしょう。
電話営業のメリット
ここでは、電話営業ならではのメリットを3つ紹介します。電話によるアプローチが有効な場面を見極めて、積極的に活用しましょう。
見込み客・顧客の反応が直にわかる
相手の反応がリアルタイムで感じられることは、電話の大きなメリットです。声の調子や間の取り方などを観察することで、相手の反応に合わせてアプローチできます。あまり興味がなさそうだと感じたら話題を変えたり、理解しづらい様子であれば補足をしたりと、さまざまな工夫をしましょう。
また、「○○できる機能はあるか」「高すぎるのではないか」といった質問やお断りの理由も貴重な情報です。商品・サービスの改良や、営業戦略の見直しに役立てましょう。
短期間で結果がわかる
電話営業は、商品・サービスに興味を持ってもらえれば、すぐ次のステップに進展しやすいのが特長です。仮に断られてしまっても、その場で理由を確認できるため、適切なフォローが可能になります。
電話ではなくメールで見込み客にアプローチした場合は、相手からの連絡を待つ時間が必要です。相手の購買意欲が高まっているときは、電話のほうが商談につなげるタイミングを逃さずに済みます。また、見込み客へのアプローチが中長期にわたると、途中で情報があやふやになり、放置されてしまうことも考えられるでしょう。
潜在顧客にもアプローチしやすい
自社の商品・サービスを必要とする相手であっても、その人自身がニーズを自覚していなければ、検索や問い合わせといった行動には至りません。こうした潜在顧客に対しては、電話を通じた会話によって隠れたニーズを引き出すことが期待できます。
特に、ライバルが多く、他社と差異化しづらい商品・サービスを扱っている業界では、電話営業を行うことで見込み客を効果的に創出できる可能性があります。
ただし、効果が期待できるのは、自社の商品・サービスが相手の課題解決に役立つと確信が持てる場合に限ります。相手のニーズを十分に理解せず、闇雲に電話をかけることは避けるべきでしょう。
電話営業のための事前準備
事前準備を徹底することで、電話営業によるアポイントメント獲得や成約の可能性を高めることが可能です。電話をかける前に、次の段取りを整えておきましょう。
架電リストを作成する
電話営業の際は、チーム内で共通の架電リストを作成しましょう。ターゲット像を明確にしたうえで架電先を選定することで、自社の商品・サービスを必要としている相手へ優先的にアプローチしやすくなります。
また、リストの作成は、架電先の重複を防いだり、通話内容のデータを蓄積したりするうえでも役立ちます。
過去に問い合わせのあった見込み客のデータのほか、次のような情報からも、ターゲット像に合致する企業をリストアップしてみましょう。
- セミナー参加時に交換した名刺
- ターゲットに合致するポータルサイト・業界誌など
- 自社サイトにアクセスがあったIPアドレス
営業リストの作成方法については、こちらの記事も参考にしてください。
架電先が企業の場合は事前に情報収集する
架電先の情報を把握しておくことは、的外れな質問をしたり、競合他社の名前を出して心象を悪化させたりといった軽率なミスを防ぐのに役立ちます。相手のビジネス状況や市場動向を理解し、自社の商品やサービスが、相手の課題解決にどのように役立つのかを効果的に伝えるためにも、事前の情報収集は欠かせません。
電話をかける前に、コーポレートサイトはもちろん、SNSやインタビュー記事などにも目を通しておくと理解が深まります。次の情報はできるだけチェックしておきましょう。
- 会社概要(社員数・所在地・売上など)
- 事業内容
- 代表者の氏名
- プレスリリース
- SNS
- インタビュー記事
トークスクリプトを準備する
話したい内容をまとめたトークスクリプトを作成しておくと、スムーズに対話が進められます。「何を話そうか」と悩む必要がなくなるため、経験が少ない営業担当でも言葉に詰まることが少なくなるでしょう。相手の話を聞く余裕も生まれます。スクリプトをもとに、反応が良かった部分や悪かった部分を振り返ってブラッシュアップできるのもメリットです。
トークスクリプトについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
トークスクリプトの基本の流れ
トークスクリプトの基本の流れは、次の通りです。
- 挨拶
- 自己紹介
- フロントトーク
- 本題(ヒアリング・商品の案内など)
- クロージング
最初に挨拶と自己紹介を済ませたら、「フロントトーク」に移ります。フロントトークとは、相手が電話を取ってから本題に移るまでの会話のことです。フロントトークで、「話を聞く価値がありそうだ」と感じてもらえるような情報を提供しましょう。
本題部分は、ヒアリング項目を軸に会話を組み立てると良いでしょう。HubSpotでは、トークスクリプトの作成に「GPCT(目標・計画・課題・スケジュール)+ BA(予算・権限)」のフレームワークを使用しています。基本となる質問項目はGPCTです。
より具体的な話に進展し始めた段階で、予算・権限(BA)についても把握しておくと商談を進めやすくなります。
トークスクリプトの作成例
適切なトークスクリプトは、電話営業の目的や見込み客の状況によって異なりますが、一般的には次の3種類を用意すると良いでしょう。
- 初回:初めてのコンタクト用のトークスクリプト。ヒアリングを中心に行う。
- 2回目以降:コミュニケーションを継続するためのトークスクリプト。デモや新製品、セミナーなどの案内を行う。
- クロージング:具体的な提案のためのアポイントメントを取りつけるためのトークスクリプト。
下の図は、初回コンタクトのトークスクリプト例です。スクリプトは想定される相手の反応別に、「場合分け」をしながら作成しましょう。
電話営業を成功させるコツ13選
電話営業は表情やしぐさが見えない分、対面の営業以上に話し方と内容に気を配ることが重要です。ここでは、相手に安心感を与え、信頼関係を構築するための電話営業のコツ13選を紹介します。
好印象を与える話し方のコツ
話し方で好印象を与えるには、常に発声に気を配ることが大切です。具体的には次のポイントに注意します。
- はっきりと明るい声で話す
- ゆっくり話す
1. はっきりと明るい声で話す
相手が聞き取りやすいよう、普段よりもやや大きく高めの発声を意識しましょう。ぼそぼそとこもった話し方をすると、相手は会話自体がストレスになってしまいます。
特に、相手が電話に出た直後の対応が重要です。誰からの電話かが伝わるよう、会社名と名前をはっきり伝えましょう。それにより、第一印象で安心感や信頼感を与えられます。
2. ゆっくり話す
電話営業に慣れていない担当者は過度に緊張してしまい、つい早口になることがあります。相手を置いてけぼりにしないよう、意識的にゆっくり話すことを心がけましょう。
一般的に、人が聞き取りやすいスピードは1分間に300文字前後といわれています。ペースの感覚をつかむために、一度トークスクリプトを声に出して読みながら時間を計ってみるのがおすすめです。例えば、次の文章は約50文字なので、理想的なスピードは10秒ほどです。
興味を持って話を聞いてもらうコツ
話を聞き続けてもらうために、相手の興味を引く話題や言葉選びをすることも重要です。興味を持って話を聞いてもらうには、次のポイントを意識しましょう。
- 要点を絞って簡潔に伝える
- 相手目線のベネフィットを意識する
- 断る理由を提示する質問をしない
3. 要点を絞って簡潔に伝える
前置きが長すぎると、相手がストレスを感じやすくなります。突然かかってきた電話に出た時点で相手の時間を使っていることを認識し、要点を絞って簡潔に目的を伝えましょう。
最初に用件を伝えれば、相手側でさらに詳しい情報が必要かどうか判断できます。その後の詳細説明も、不要な情報を削ぎ落とすことを心がけましょう。
4. 相手目線のベネフィットを意識する
電話営業の際は、常に「会話を続けることが相手にとってメリットになるか」という視点を忘れないことが大切です。
話を聞くことに価値を感じてもらうには、相手の立場に立った言葉を選ぶのがおすすめです。例えば、「ご好評いただいている」「おすすめしています」など自社目線のフレーズは、売り込みや押しつけに聞こえることがあります。無料トライアルや無料相談などの直接的なメリットをシンプルに伝えたり、「○○業界の皆さまに役立つ情報をお伝えしております」といった表現に変えたりするだけでも、興味を持ってもらいやすくなります。
5. 断る理由を提示する質問をしない
「今お時間よろしいですか」「○○とお考えではないですか」などの質問は、「いいえ」の回答で会話自体が終了してしまう可能性があります。
話題を広げることが難しくなるため、質問形式で尋ねることは避けましょう。例えば「一度お伺いしてお話ししたい」など、質問ではなくこちらの希望をストレートに伝えるのがおすすめです。
信頼を深めるコツ
話に興味を持ってもらえたら、対話を続けながら信頼関係を築いていくことを目指します。その際に、次のようなポイントを押さえておきましょう。
- 双方向のコミュニケーションであることを意識する
- ペーシングを活用する
- Yes/But法を駆使する
- 接触頻度を増やす
見込み客・顧客との信頼関係を深める際に役立つ心理学テクニックについては、次の記事をご参照ください。
6. 双方向のコミュニケーションであることを意識する
トークスクリプトは営業トークの質を高めるうえで有効ですが、事前に準備した内容をただ読み上げているだけでは、対話が成立しません。スクリプトの流れをベースに、電話に出た相手と「対話」するという意識で臨む姿勢が、信頼関係の構築につながります。話の流れをトークスクリプトに無理やり合わせようとせずに、相手の反応を注意深く確認しながら話を聞くことを意識しましょう。
相手の反応に合わせて臨機応変に対応するためのトレーニングには、ロールプレイングが効果的です。
7. ペーシングを活用する
電話に出た相手に安心感を持ってもらうには、「ペーシング」の手法が役立ちます。ペーシングは、「相手とペースを合わせる」という意味の心理学用語です。
相手の声が大きく早口であれば、自分も相手に合わせます。言葉数の少ない相手に対しては、無言の時間ができることを恐れずに、話しすぎないことが大切です。
話すペースや声のトーン、間の取り方を合わせることで、相手との間に一体感が生まれます。親近感を抱き、話しやすい人だと感じてもらえるでしょう。
8. Yes/But法を駆使する
電話営業に断り文句は付き物です。断られた場合は真っ向から反論せず、一度受け入れたうえで切り返すよう心がけましょう。こうした話法を「Yes/But法」といいます。
例えば、「高い」という断り文句に対して、「確かにご予算を上回ってしまいますよね」と受け止めたうえで、「ですが弊社の製品を活用することで○時間の業務を削減できた例もございます。人件費も含めて一度シミュレーションしてみませんか」などと切り返すようにします。こうすることで、相手は「否定された」と感じにくくなり、こちらの主張も受け入れてもらいやすくなるでしょう。
9. 接触頻度を増やす
対人関係において、会う頻度が多い人ほど好感度が上がりやすくなる効果のことをザイオンス効果といいます。やりすぎると「しつこい」と感じさせてしまい、逆効果になりますが、適切な間隔を空けてアプローチをくり返すことで親しみを覚えてもらえるでしょう。
ただし、電話はタイミングや頻度によっては「迷惑」と感じやすい手法です。メールや手紙なども活用しながら接触回数を増やす方法がおすすめです。
クロージングのコツ
電話営業のゴールには、資料送付やアポイントメントの獲得、成約などがあります。これらに向けたクロージングをする際は、次のようなポイントを意識して、相手に負担や不安を与えないための配慮が必要です。
- 答えやすい質問をする
- テストクロージングを行う
10. 答えやすい質問をする
判断を求める際は、「YesかNo」や「AかBかC」で選ぶような「クローズドクエスチョン」にすることを意識しましょう。選択肢を提示することで、判断の難易度が下がり、相手が回答しやすくなります。
クローズドクエスチョンの対義語で、相手が自由に回答できる質問が「オープンクエスチョン」です。次のように、オープンクエスチョンをクローズドクエスチョンに変更すると相手が回答しやすくなります。
- 「どうお考えですか?」→「AとBはどちらが適していますか?」
- 「いつがよろしいですか?」→「月曜日と火曜日のどちらがよろしいですか?」
YesかNoで答えられる質問は、相手にとっては答えやすいですが、「No」も言いやすくなります。例えば、「来週、ご説明に伺ってもよろしいですか」と聞くのではなく、「週の前半と後半でしたら、どちらが良いでしょうか」と聞くなどの工夫をしてみましょう。
11. テストクロージングを行う
テストクロージングとは、本格的なクロージングの前に、成約に向けて前向きな気持ちがあるかどうかを確認することです。
興味を持ってくれた見込み客であっても、クロージングを急ぐと押し売り感が出てしまい、気持ちが離れてしまう可能性があります。本クロージングに入る前に見込み客の意思を確認することで、こちら側の余裕が伝わり、相手の本音が引き出しやすくなります。テストクロージングの反応を見て、さらに信頼関係を構築するための時間を取るか、本クロージングに進むかを決めましょう。
また、テストクロージングによって、相手が成約に踏み切れない理由を話してくれることもあります。次のような質問を投げかけることで、本クロージングまでにフォローしておくべき懸念点が明確になります。
- 商品説明前:「ご説明に入る前に、譲れない条件などはございますか」
- 金額提示前:「商品の内容だけ見た場合、導入してみたいと思われますか」
ただし、テストクロージングは、決裁者と直接やりとりをする場合に有効な方法です。決裁権を持っていない相手にテストクロージングで断られてしまうと、決裁者との商談にたどり着けなくなる可能性があるので注意しましょう。
マナーに配慮した架電のコツ
電話をかける際は、マナーにも配慮が必要です。話の内容が良くても、マナーを守れていないと悪印象を持たれてしまうかもしれません。マナーに配慮した架電のコツは次の通りです。
- 忙しい時期・時間帯を避ける
- 相手が切ってから静かに電話を終える
12. 忙しい時期・時間帯を避ける
忙しい時間帯に営業電話があると、マイナスの印象からのスタートになりかねません。
業界や企業によっても異なりますが、電話をするのは午前中の10~11時すぎまでか、午後の14~16時頃がおすすめです。業務が比較的落ち着いていて、在席している場合が多いといわれているためです。どの業種であっても、始業直後や昼休み、終業間際の電話は好まれないため避けましょう。
なお、消費者庁の特定商取引に関する法律等の施行についてでは、「午後9時から午前8時まで等」の営業行為を避けるよう通達されています。
また、繁忙期がわかっている場合は、その時期の電話も控えたほうが良いでしょう。相手の業界について理解を深め、計画的に営業活動を進めることが大切です。
13. 相手が切ってから静かに電話を終える
電話は、かけたほうが先に切るのがマナーとされていますが、営業電話の場合は相手方に先に切ってもらうのが慣例です。ただし、お互いに譲り合いになってしまった場合は、こちらから電話を切ってもかまいません。
固定電話や子機の場合は、電話を切るときに「ガチャン」と音がしないよう、フックボタンを手で押さえてから受話器を置いてください。
相手と信頼関係を築けるような電話営業を目指そう
電話営業は「売り込み」のイメージが強いかもしれませんが、やり方によっては相手と信頼関係を築き、効果的な営業活動につなげることも可能です。この記事で紹介したポイントを意識して、相手の立場になった電話営業を心がけましょう。
より効果的な営業活動を目指すなら、電話営業を含むインサイドセールスに取り組んでみてはいかがでしょうか。インサイドセールスとは、電話やメール、オンライン会議といった非対面で行う営業活動全般を指し、リードナーチャリング(見込み客の購買意欲を高めること)が主な役割です。電話に限らず、適切な営業手法を組み合わせて取り組むことで、効果的に商談へとつなげられます。
インサイドセールスでは、複数の見込み客とコミュニケーションを取りながら状況を管理する必要があるため、CRM(顧客関係管理)ツールやSFA(営業支援システム)、MA(マーケティング・オートメーション)ツールなどの活用が欠かせません。
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