営業の仕事は、直接顧客と接しながら商談を進めるだけではありません。顧客管理やデータ分析など、その業務は多岐にわたります。
SFA (営業支援システム) 導入の基礎ガイドと実践用チェックリスト
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やるべきことが多すぎて、顧客とのコミュニケーションに使う時間が足りないと感じている営業担当の方も多いのではないでしょうか。
営業に関するデータの管理や業務プロセスの効率化には、営業ツールの導入がおすすめです。営業ツールにはさまざまな種類があり、自社に合ったツールを選ぶには押さえておくべきポイントがあります。
今回は、営業ツールの選び方と目的別のツール例、営業組織へのツール導入を成功させるポイントについて解説します。
営業ツールとは
営業ツールとは、営業に関するデータの管理や業務プロセスの効率化に役立つツールのことで、大きく次の3つに分類できます。
- 顧客コミュニケーションを効率化するツール
- 社内コミュニケーションの円滑化に役立つツール
- 案件(顧客)管理に役立つツール
営業の役割は、見込み客の創出から関係性構築のためのナーチャリング、購入のサポート、アフターフォローまで多岐にわたります。顧客情報の管理など、営業ツールによって業務の一部を自動化することで、営業が本当に必要な業務に時間を使えるようになります。
なお、HubSpotが2023年2月に発表した「日本の営業に関する意識・実態調査2023」では、営業ツールの代表例であるCRMについて導入している営業組織は36.1%にとどまるという結果が出ています。
この調査結果は前年度の34.8%からほぼ横ばいとなっており、コロナ禍でテレワークやリモート営業を導入する営業組織が増えた一方でツールの導入はなかなか進んでいないことを示しています。
営業にツールを導入する必要性
営業ツールが注目されている背景には、日本全体の人手不足の現状があります。人事担当者を対象に、人手不足に関する次のような調査が行われました。
【図4】現在、人材が不足している部門が「ある」と回答した企業に伺います。不足している職種について教えてください。(複数回答可)
引用元:2022年「企業の人材不足」実態調査―人事向け情報サイト『人事のミカタ』アンケート― | エン・ジャパン(en Japan)
人材不足を感じている部署のなかでも、とくに営業職の人材不足が著しいことが読み取れます。しかし、日本全体で労働人口が減少していることから、新規採用も簡単ではないのが現状です。限られた人員で成果を上げていくためには業務効率化が必須といえるでしょう。
また、先述の「日本の営業に関する意識・実態調査2023」においては、日本の営業組織において無駄と捉えられている時間が業務時間全体の22.37%にも上る結果になっています。
この無駄な時間は金額に換算した場合約9,802億円にもなるという結果が出ており、業務時間における無駄を削減することも日本の営業組織の大きな課題だと言えます。
そこで活用したいのが営業ツールです。営業メンバーには商談などのコア業務に集中してもらい、それ以外のデータ管理や売上予測などには営業ツールを活用する方法が基本になります。
一部の業務を自動化することで営業メンバーが顧客に使える時間が増え、顧客満足度が向上します。結果的にリピーターが増え、売上の安定につながります。
営業ツールを導入する際の選び方
営業ツールには多様な種類があり、どのツールを使用すべきか迷っている方も多いでしょう。営業ツールを導入する際の選び方を、3つのポイントに絞って解説します。
1. 組織の課題を解決できるか
営業ツールは、あくまでも課題を解決するために導入するものです。課題が明らかになっていない段階でツールを導入しても、十分な恩恵を受けられず、「なんとなく業務が楽になった」という印象で終わってしまう可能性があります。
まずは現在の営業組織において、パフォーマンス(転換率)が悪いフェーズを明確化し、「そのツールがパフォーマンス改善につながるのか?」という視点で考えることが大切です。
具体的には、「商談数が少ない」「商談化率が少ない」「成約率が低い」などの課題によって、必要なツールが異なります。
例えば、商談数の少なさに課題を感じている場合、ホームページからの問い合わせ数が少ないことや、自然検索からの流入が少ないことなどが原因として考えられます。
この場合、新規顧客の創出につながるような営業ツールが必要と想定できます。課題が明確化されていれば、営業ツールを選ぶときに求める機能も絞りやすくなるはずです。
2. 入力・管理負荷が高くないか
営業ツールの導入は現状の業務フローを変えることになるため、業務担当者が活用しきれず定着しないなど、現場との摩擦を生む可能性もあります。
営業組織は企業の売上に直結する重要な部署のひとつであるため、新しいツールが定着しなかった場合、かえって生産性が悪化することも考えられます。
そのため、実際に現場で使用する担当者にツールを触ってもらい、入力・管理負荷が高くないかという点で営業ツールを比較検討することが大切です。日々の業務に無理なく取り入れられるものを選びましょう。
3. スモールスタートできるか
新しいツールの導入には、ツールの利用料金だけでなく、使い方を広めるための社内教育・サポートのための人的コストがかかります。そのため、営業ツールを選定する際には、事業の規模に関わらず、費用や作業負担を抑えてスモールスタートできるかという点を考慮して判断すると良いでしょう。
また、導入後に機能の過不足が発覚した場合、機能の追加や削除が必要になりほかの営業ツールに変更を余儀なくされる場合もあるでしょう。
まずは無料トライアルなどで、気軽に使い勝手を確認できるツールを選ぶのもひとつの方法です。
営業ツールの種類・主要サービス【顧客コミュニケーション】
具体的にどのような営業ツールがあるか確認していきましょう。目的別に、大きく以下のようなカテゴリがあります。
- 顧客コミュニケーションを効率化するツール
- 社内コミュニケーションの円滑化に役立つツール
- (顧客)管理に役立つツール
まずは、顧客コミュニケーションを効率化するツールについてご紹介します。
顧客とのコミュニケーションの効率化には、「日程調整ツール」や「オンライン商談ツール」が便利です。代表的なツールの機能と価格をまとめました。
日程調整ツール「Spir」
日程調整ツールの「Spir(スピア)」は、予定管理や日程調整に役立つビジネスカレンダーサービスです。
主な機能として、次のようなものがあります。
- スマートフォン上でタップするだけで日程調整ができる
- 曜日別の時間帯指定や休日除外を設定すると自動で候補日を抽出してくれる
- 双方のカレンダーにリモート会議URLを登録できる
取引先とのスケジュール調整や、社内のミーティング日程調整などの場面で役立つ営業ツールです。
- 価格:個人プラン(無料)、チームプラン(月額6,600円~)
- 公式サイト:Spir(スピア) | 日程調整ビジネスカレンダー
オンライン商談ツール「ベルフェイス」
買い手にとって好ましい営業スタイルが変化していることが、HubSpotが行った調査「日本の営業に関する意識・実態調査2022」で明らかになっています。以前は「リモート型よりも訪問型営業の方が好ましい」と答えた人が圧倒的に多い現状がありましたが、2020年から2021年にかけて、「訪問型とリモート型のどちらでも良い」を選ぶ人が約1.5倍になっています。
また、この調査の2023年版でも、「どちらでも良い」という回答の割合は横ばいになっており、この傾向が継続していることがわかります。
リモート型営業の定着にともない、オンライン商談ツールの需要も増加傾向にあります。
オンライン商談ツール「ベルフェイス」は、電話とブラウザを組み合わせた営業支援ツールです。インターネットが苦手なターゲット層でも簡単に商談をスタートできるのが特徴です。
ベルフェイスの機能は、SMSからダイレクトに接続できる発番機能、録音録画機能、ブラウザ画面のリモートコントロール機能などです。使用方法の分かりやすさや接続スピードの速さから、幅広い年齢層の方を対象にした商材を扱っている場合に重宝するツールです。
- 価格:初期費用+月額費用(定額)
- 公式サイト:【公式】ベルフェイス - 電話しながら、対面以上の商談を
オンライン商談ツール「Zoom」
Web会議ツールの「Zoom(ズーム)」は、Web上でセミナーや会議を開催するためのツールです。ICT市場調査コンサルティング MM総研の調査によると、有料版のWeb会議システムを導入している企業1,329社のうち、6割がZoomを利用していると答えており、国内でのシェアの大きさがうかがえます。
Zoomの主な機能は、複数人のビデオ通話、チャット機能、ミーティングの録音・録画、ホワイトボード、リモートコントロールなどです。
- 価格:基本プラン(無料)、プロプラン(年額20,100円~/ユーザー)
- 公式サイト:1 つのプラットフォームでつながる | Zoom
オンライン営業を成功させるコツや便利なツールについては、こちらをご覧ください。
営業ツールの種類・主要サービス【社内コミュニケーション】
続いて、社内のコミュニケーションを改善するためのツールについてご紹介します。
社内コミュニケーションの円滑化に役立つツールとしては、「ビジネスチャットツール」や「情報共有ツール」が活用できます。
ビジネスチャットツール「Slack」
「Slack(スラック)」は、スマホ・PCから利用できるビジネスチャットツールです。案件や部署ごとにグループを作成できる点が最大の特徴で、簡易的な連絡やタスク管理、ディスカッション、資料の格納などが行えます。
- 価格:フリー(無料プラン)、プロ(月額925円)など
- 公式サイト: Slack はニーズに応えるプロダクティビティプラットフォーム
情報共有ツール「DocBase」
社内での情報共有や情報整理には、文書を書いて簡単に投稿できる情報共有ツールが役立ちます。
「DocBase(ドックベース)」は、文章作成、入力補助、複数人での同時編集機能、スライド表示、コメント機能、検索機能など多くの機能がある情報共有ツールです。シンプルなエディタで使いやすいことはもちろん、セキュリティレベルも国際標準規格と安全性にも定評があります。
- 価格:スタータープラン(月額990円~)
- 公式サイト: 情報共有ツール DocBase(ドックベース) | テレワークを活性化する
営業ツールの種類・主要サービス【案件管理】
続いて、案件や顧客の管理に役立つツールについてご紹介します。
案件(顧客)管理に役立つツールには、MA・SFA・CRMがあります。各ツールの違いは、次の通りです。
- MA(マーケティング・オートメーション):マーケティング業務に関する営業ツール。新規顧客の創出に役立つ。
- SFA(セールス・フォース・オートメーション):営業プロセスの最適化のための営業ツール。顧客情報管理、案件や商談ごとの情報管理、営業担当のタスクやスケジュール管理、売上予測などに役立つ。
- CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント):顧客管理のためのツール。顧客属性や購買履歴などの顧客データの管理・分析に用いる。営業に限らず、顧客接点のある部門全てで活用できる。
MAは、基本的にはマーケティング部門が利用するのが一般的です。ただ、見込み客(リード)の創出も営業部門が担う場合はMAも合わせて活用すると良いでしょう。SFAは営業部門の支援に特化したツールで、CRMは顧客情報を一元管理するツールのため、営業だけでなく、あらゆる部門で利用可能です。
自社の状況に合わせて各ツールを導入し、顧客情報を蓄積していくことで、データに基づいた戦略を実施しやすくなるでしょう。
MA/CRM/SFAツール「Salesforce」
米国の「Salesforce(セールスフォース)」は、情報の一元管理や共有に役立つMA/CRM/SFAツールです。集客から案件管理、顧客データの一元管理・分析、売上予測など多種多様な機能が揃っており、高いカスタマイズ性があります。
- 価格:月額3,000円~/ユーザー
- 公式サイト: Salesforce - セールスフォース・ジャパン
MA/CRM/SFAツール「HubSpot」
当社が提供する「HubSpot(ハブスポット)」もMA/CRM/SFAのオールインワンツールです。
顧客一人一人の行動履歴を一元管理できるCRMを基軸に、ブログや広告媒体の管理、ランディングページ作成、MA機能などさまざまなマーケティング機能を有する「Marketing Hub」と、営業担当者と見込み客とのコミュニケーションを支援する「Sales Hub」を連携させれば、顧客の情報を的確に把握できるため最適なアプローチを実施しやすくなります。
- 価格:無料プラン、有料プラン(月額3,600円~)
- 公式サイト:HubSpot | CRMプラットフォーム
営業ツール選びに重要な「セールステック」
ここまでさまざまな営業ツールについてご紹介してきましたが、このようにテクノロジーで営業活動を効率化していくこと、あるいはそのための製品を「セールステック」といいます。営業活動において課題があったとき、テクノロジーで解決することを目指します。
セールステックには主に以下の8つのカテゴリがあるので、営業課題の解決策としてどのようなツールが適切か探りたいときにご活用ください。
1. 営業支援(SFA)
本記事でもご紹介した、営業活動を効率化するためのツールです。
案件管理、進捗管理、見積書・請求書の作成、情報の共有、個々の営業パーソンの成績把握など、日々の営業活動や改善に役立つさまざまな機能を備えています。
2. セールスイネーブルメント
セールスイネーブルメントとは、営業研修やマネジメントなどを通して営業活動を効率化・強化していくこと、およびそのためのツールです。
顧客の分析や、商談内容の書き起こしなど、営業において判断をサポートするための機能も含まれます。
3. 顧客管理(CRM)
同じく本記事にてご紹介した、顧客の情報ややり取りを管理するツールです。
企業と顧客との関係を可視化し、どの顧客にどのようなアプローチをすればいいのかの判断をサポートしてくれます。
4. 顧客体験
顧客体験を一段高いところまで上げてくれるツール群です。
ポップアップの表示、ユーザー行動の追跡、チャットサポートの実装など、その機能は多岐にわたり、目的にあわせて導入する必要があります。
5. 顧客コミュニケーション
顧客との関係性の醸成に重きを置いているツールです。
トークスクリプトなどコミュニケーションをサポートする機能から、電話内容を分析して次のアクションを表示する機能などもあります。
6. カスタマーサポート
顧客満足度の向上を目的としたツールです。
カスタマーとのタッチポイントごとに重要なチャネルを判断し、それに対応したツールを選択しましょう。
7. データ分析・可視化(BI)
顧客情報などをもとに分析を行い、重要な経営判断を行う際の客観的なデータを抽出できるツールです。
8. コーチング
営業担当の教育を行うためのツールです。コーチングを受ける側はもちろん、コーチングを実施する側の操作性も重要です。
セールステックの8つのカテゴリについては、以下のコラムにて詳しくご紹介しています。
営業組織へのツール導入を成功させるポイント
営業ツールの導入の際には、いくつか留意すべきポイントがあります。
営業組織へのツール導入を成功させるポイントは次の3つです。
1. 「効率化が必要な業務か」の視点を持つ
営業組織の効率化のためにツールを導入したいと考えている場合、「そもそも該当の業務が本当に必要なのか?」という視点も持ちつつ、導入を検討することが必要です。なぜなら、洗い出した作業内容によっては、ツールの導入の問題ではなく、その作業自体を廃止することも検討した方が良いからです。
HubSpotの調査にて、営業担当者が実際に行う営業に関する業務のなかで「ムダ」と思うものを選択式(複数回答)で尋ねたところ、1位が「社内会議(50.3%)」、2位が「社内報告業務(39.3%)」と社内の情報共有に関するものが上位となりました。自由記述欄では、「会議のための会議」「似たような書類の複数入力」という声もあがっています。
有益性の低い業務を効率化しても成果には結びつきにくいため、作業の見直しも視野に入れたうえで、営業ツールの導入を検討しましょう。
2. 導入する目的を明確化し、効果検証をする
営業ツールを提供しているプラットフォームの多くは、料金体系としてサブスクリプション(定額制)モデルを採用しています。効果が出ていない業務の効率化のために費用を確保し続けるのは、得策ではありません。
そのため、営業ツールによる効果を検証できるよう、事前に導入する目的を明確化しておくことが重要です。結果の状態や目標数値によって、営業ツールの使用を継続するかどうかを判断できるようにすると良いでしょう。
3. ベンダーサポートを活用し、使用を浸透させる
新しいツールを導入すると、従来の業務プロセスを変更することになります。実際にツールを扱う現場の担当者が使用方法を理解できなければ、導入がスムーズに進まなくなってしまいます。
営業ツールの使用を社内で浸透させるには、製品の提供者・販売店などのベンダーサポートを活用するのもひとつの方法です。一部の人だけ使用できる状態ではなく、関係者全員が使い方を理解できるようになることを目指すようにしましょう。
HubSpotでは、各種営業ツールの導入支援サービスを提供しています。
ツールを活用して営業組織のパフォーマンスを上げよう
営業ツールを選ぶ際は、自社が抱える営業の課題を洗い出し、最も成果が期待できるところを見極めることが大切です。ただし、実際に導入してみたものの、思ったような成果につながらないこともあります。
営業ツールをはじめて導入する際には、HubSpotのように無料プランからスタートできるサービスから試用し、社内でフィットするかどうかを検証するのがおすすめです。
本記事で紹介したツールを活用し、営業組織のパフォーマンス向上に役立てていただけると幸いです。