営業部門とマーケティング部門を持つ一般企業を対象にHubSpotが毎年実施している「State of Inbound Report」というアンケート調査の2018年版(英語)によると、営業部門にとっての再優先事項は下記の3つでした。
- 取引の成約件数の増加
- 営業プロセスの効率化
- 取引成立までにかかる時間の短縮
これらの指標を改善することは、自社の売上アップと顧客満足度の向上、そして収益の獲得につながります。この記事では営業や営業組織に関する基本事項をご紹介します。
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営業とは何か?
「営業」とは、商品やサービスの販売に関連する活動を表す言葉です。一般的に企業の営業部門は以下のような基準で分けられた複数チームで構成されています。
- 販売地域
- 販売する製品やサービス
- ターゲットとなる顧客
営業担当者は、自社が販売している製品やサービスに興味を持ちそうな人のほか、既にそれらに興味を示している人(自社のウェブサイトを訪問している人、自社のコンテンツをダウンロードした人、ソーシャルメディア上で自社の担当者とやり取りした人など)に働きかけます。
営業担当者の目標は、上記のような見込み客やターゲット顧客の条件と一致する人々に働きかけて、自社の製品やサービスの購入につながる「ソリューション」を提供することです。
内勤営業と外勤営業
さて、営業部門が製品やサービスを販売する方法としてはどのようなものが考えられるでしょうか? 1つは内勤営業(インサイドセールス)と呼ばれるアプローチです。内勤営業の場合、営業担当者はオフィスから離れることなく営業活動を行い、そのプロセスは効率的で自動化が進んでいる傾向にあります。もう1つは外勤営業(フィールドセールス)と呼ばれるアプローチです。外勤営業の場合、営業担当者はプロスペクトと直接対面しながら取引を進めていきます。
内勤営業と外勤営業のどちらを選択するかは、自社の製品やターゲットとする市場によって変わってきます。
マーケティングと営業の関係
では、営業担当者がプロスペクトを発掘するにはどうすればよいのでしょうか? その方法の1つとして挙げられるのが、マーケティング活動です。先ほども紹介した「State of Inbound Report」によると、営業担当者がマーケティングを通じて獲得したリードの割合は28%に及びます。採用しているプロセスが異なっていても、マーケティングと営業はどちらもリードジェネレーション(リードの獲得)と収益の向上に大きな役割を果たしているのです。
一般的な営業用語
ここからは、営業や営業活動に関する一般的な用語について紹介していきます。
1. 営業担当者
営業担当者とは、製品やサービスの販売に伴うあらゆる活動を実施する人のことです。同義語としては、「セールスパーソン」や「販売担当者」などがあります。
2. プロスペクト
プロスペクトとは、営業活動において製品やサービスを売り込む相手方となる「見込み客」を意味します(マーケティング活動の段階での見込み客を「リード」と呼び、プロスペクトと区別することもあります)。営業担当者は、マーケティングチームから提供されたコンタクトに電話をかけたり、Eメールを送信したり、ソーシャルセリング(SNSを活用した営業)を実施したりするなどの各種テクニックを駆使してプロスペクトを獲得し、プロスペクトが製品やサービスに興味を示した場合はさまざまな戦略を実践して顧客化していきます。
3. 取引
取引とは、営業担当者が販売しようとしている製品・サービスやその価格についての合意形成のプロセスを指します。取引は複数のステージで構成され、その内容は扱っている製品や業界によって異なります。取引の成果はCRMを使用して追跡することができます。営業担当者は取引のタイムラインを作成することで、合意形成と受注までのプロセスをスムーズにすることができます。
4. 営業パイプライン
営業パイプラインとは、営業プロセスに含まれるすべての段階を定義するための用語です。営業パイプラインを確認することで、営業担当者はプロスペクトが営業プロセスのどの段階にいるかを視覚的に把握することができます。
出典:HubSpot
5. 営業計画
営業計画とは、営業部門の目標、目的、戦略の概要をまとめたもので、ターゲットとなる顧客、市場の状況、収益目標、価格設定、チーム構成などの情報も含まれています。この営業計画で規定された戦略に沿って、営業部門は目標達成に向けて取り組んでいきます。
出典:HubSpot
さまざまな営業手法
営業プロセスをどのように構築するかは、優れた営業組織作りの鍵となります。自社にあった営業手法とプロセスを確立し、業界内での自社サービス・製品のポジション確立を目指しましょう。
ここからは、企業が営業活動に利用できる主な手法のうちのいくつかをご紹介します。
- ソリューションセリング:ソリューションセリングとは、プロスペクトに合わせて提供するソリューションをカスタマイズする営業手法です。この手法では、営業担当者がアプローチする前にプロスペクト自身が製品やサービスのリサーチを行い、十分な情報を入手していることが前提になります。
- インバウンドセリング:この手法では、営業担当者はコンサルタントとしてプロスペクトとコミュニケーションを取りながら、プロスペクトの課題を解決していきます。この営業手法では、プロスペクトの特定、関係の構築、課題の分析、アドバイスの提供という4つのアクションが行われます。
- SPIN営業術:SPINとは、営業担当者が顧客に尋ねる質問の種類を表したもので、状況(Situation)、問題(Problem)、示唆(Implication)、解決(Need-Payoff)の4つで構成されます。この4種類の質問を通じてプロスペクトの課題を特定し信頼関係を築いていきます。
- N.E.A.T.セリング:これはプロスペクトの選別と取引の進行に使用するフレームワークで、N.E.A.T.の4文字は、ニーズ(Need)、財政面での影響(Economics)、意思決定者への働きかけ(Access)、タイムライン(Timeline)をそれぞれ表します。
- コンセプチュアルセリング:コンセプチュアルセリングとは、顧客は製品やサービスを購入するのではなく、その製品やサービスが実現する解決策のコンセプトを購入するのだという考え方に基づいた営業手法です。プロスペクトが製品に求めるコンセプトを明らかにし、プロスペクトの意思決定プロセスを理解していきます。
- SNAPセリング:SNAPとは、「keep it Simple(常にシンプルに)」、「be iNvaluable(唯一無二の存在に)」、「always Align(常に足並みをそろえて)」、「raise Priorities(優先度を高めて)」の4つの原則を表す略語です。
- チャレンジャーセールス:チャレンジャーセールスでは、指導、調整、支配というプロセスを踏む営業手法です。営業担当者はプロスペクトを指導し、プロスペクトに合わせてコミュニケーションを調整して、交渉を支配します。
- サンドラーの営業手法:この手法では、営業担当者とプロスペクトがお互いに信頼を深めていくことを重視します。営業担当者はアドバイザー役として、質問を通じてプロスペクトの課題を特定します。
- CustomerCentricセリング:この手法では、主な意思決定者とのコミュニケーションと、プロスペクトの課題や問題に対する解決策の発見に重点を置きます。
- MEDDIC:MEDDICとは、測定指標(metrics)、意思決定者(economic buyer)、意思決定基準(decision criteria)、意思決定プロセス(decision process)、課題の特定(identify pain)、協力者(champion)の6つを表す略語です。これらのトピックに関する質問を通じて、営業プロセスを前に進めていきます。
さらに知識を深めたいという方は、営業とマーケティングの違いについて解説したHubSpotブログの記事をご覧ください。