クレーム対応は、企業の信頼性や顧客満足度の向上を実現するために重要な要素のひとつです。しかし、対応が不適切であったり担当者によって異なったりする場合、顧客に不快な思いをさせてしまう可能性があります。また、迅速な対応ができなければ、企業イメージの低下にもつながりかねません。
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適切なクレーム対応マニュアルを作成できれば、リスクを回避し、迅速で一貫した対応を行えるようになります。結果的に、顧客との信頼関係構築にもつながるでしょう。
本記事では、クレーム対応マニュアルに記載する具体的な項目や作成時の注意点を解説します。クレーム対応の品質や業務効率に悩む担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
クレーム対応マニュアルの必要性
クレーム対応は、企業のイメージに関わる重要な業務のひとつです。
経験の浅い担当者がクレームに慌ててしまい、うまく対応できなくなることもあるでしょう。このような事態を避け、迅速かつ適切に対処するために役立つのが、クレーム対応マニュアルです。ここでは、クレーム対応マニュアルがもたらす主なメリットを2点解説します。
誰が対応しても同じ対応ができる
クレーム対応マニュアルを導入することで、担当者のスキルや経験に依存せず、誰が対処しても同じ基準で対応しやすくなります。
クレームが発生した際、担当者によって対応が異なると、「前回はこうしてもらえたのに」「他の客がしてもらった対応と違う」といった不満が出て、新たなクレームにもつながりかねません。
マニュアルによって方針や基準を予め定めておけば、担当者ごとの対応差が生まれにくくなり、前述したような事態は防げるでしょう。具体的には、クレームの聴き取り方から、解決策の提案、フォローアップにいたるまでの手順や各段階での対応方法を記載しておくのがベストです。
担当者の負担を軽減できる
クレーム対応は、担当者にとって精神的にも負担がかかる業務です。感情的なクレームに対処する際に慌ててしまい、どのように対応すれば良いかわからなくなる場合もあるでしょう。そうした場合にマニュアルがあれば、クレーム対応の流れや基準が明確になり、担当者は冷静に対応しやすくなります。
また、クレーム対応マニュアルに、よくあるクレームのケーススタディや対応例を記載すれば、同じようなクレームが寄せられた際に対応を一から考える必要がなく、担当者の負担が軽減されます。
クレーム対応マニュアルに記載すべき項目
クレーム対応マニュアルは、企業が顧客からのクレームに適切に対応するための重要なツールです。効果的に活用するためには、具体的かつ実践的な項目を記載すると良いでしょう。
ここでは、クレーム対応マニュアルに記載しておくべき主要な項目を解説します。
- クレームの定義・自社の方針
- クレーム対応手順
- よくあるクレームの事例集
- 関連部署の相談先
クレームの定義
クレームというと、苦情や不平不満、一方的な主義主張といったネガティブなイメージが強いかもしれません。しかし、クレーム対応の目的は、顧客の不満を解消し、信頼回復に努めることです。また、クレームは企業が気付かなかったサービスの欠点を明らかにし、改善のヒントを与えてくれる可能性もあります。
原点に立ち返り、「クレームとは何か」「クレーム対応がなぜ必要なのか」という点を明確にすることで、従業員のクレームへの意識も変わってくるでしょう。そのためにも、例えば下記のようにクレームの定義を決めることが大切です。
- 顧客が解決したい悩み・問題であること
- 改善によって自社に価値をもたらすこと
マニュアルの冒頭には、「クレームの定義」「対応の目的」などと記載し、従業員が瞬時に理解できる内容にまとめましょう。
定義を明確にすることで、クレームか否かの判断スピードが早まり、問題解決までの流れがスムーズになるといった効果も期待できます。
クレーム対応における自社の方針
クレームを受けた際には、顧客への最初の対応方法や基本方針をあらかじめ定めておく必要があります。例えば、「店舗内で顧客がスタッフに対して不満を訴えた」場面での、担当者の受けとめ方はさまざまです。
- まずは顧客の話をしっかりと聞いて、冷静に対処しよう
- 自分の対応が間違っていたかもしれないので、すぐに謝罪しなければならない
- トラブルが大きくなる前に、他のスタッフに助けを求めよう
このような受けとめ方の違いは、対応のばらつきを生む原因になります。個々の対応が一致しないと、顧客に不信感を与えるおそれがあるため、統一した対応基準を設けましょう。
一例として、次のような対応方針が考えられます。
- 顧客に不快な思いをさせたときは、まずその事実に対して誠実に謝罪する
- 顧客からの不当な要求に対しては、上司に対応してもらう
クレームに対する組織としてのスタンスを明確にすることで、同じ基準で対応を行えるようになり、対応品質の向上につながるでしょう。
クレーム対応手順
クレームの受理から解決までの流れを記載します。
以下は、対応手順の一例です。
- クレームを受けた際の初期対応(不快な思いをさせた事実に対するお詫びなど)
- 担当者へのエスカレーション(上司に相談して判断を仰ぐ/対応をゆだねるなど)
- 事実確認・原因追求
- 解決策・代替案の提示
- 顧客へのフォローアップ
手順では、各段階で誰が何をすべきかを明確にしましょう。また、対処する際に注意すべきポイントや言葉遣いなどの具体例を記載すると、担当者が対応しやすくなります。結果として対応の一貫性が保たれ、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
クレーム対応の具体的な手順やフローチャートについては、こちらの記事で解説しています。
よくあるクレームの事例集
クレーム対応では、顧客の悩みを速やかに解決する必要があります。その際、よくあるクレームの事例が役立ちます。過去に寄せられたクレームの具体例と、それに対してどのように対応したかを簡潔に記載しましょう。
例えば、商品の不具合やサービスの遅延など、起きがちな問題のケーススタディを掲載します。そうすれば同様のクレームが発生した際に、迅速かつ適切な対応が可能となるでしょう。
関連部署の相談先
クレームの内容によっては、専門知識を持つ部署への相談が必要です。そのため、マニュアルには、関連部署や担当者(責任者)の連絡先を記載しておくと良いでしょう。
<例>
- 商品の不具合に関するクレーム → 品質管理部門、製造部門
- オンライン購入のページに関するクレーム → 情報システム部門(□□さん)
担当者の連絡先以外にも、相談する際のフローやどのような情報を共有する必要があるかも記載すると、効率的に対応できます。相談先が明確になれば、クレームを受け付けた従業員が迷うことなく対応にあたることができるでしょう。
クレーム対応マニュアルを作成・運用するときの注意点
マニュアルを作成する際には、次の3つのポイントに注意しましょう。
- ルールや対処法を細かく書きすぎない
- わかりやすい表現で記載する
- 定期的にマニュアルを見直す習慣を作る
ルールや対処法を細かく書きすぎない
マニュアルをあまりに細かく設定すると、担当者が混乱しやすく、かえって対処が遅れたり判断を誤ったりするおそれがあります。書かれていること以外のクレームが寄せられると慌ててしまい、適切に対応できなくなるといった弊害も考えられます。
また、細かすぎるルールがあると、担当者はマニュアル通りの対応をしようとしてしまいがちです。そうした対応は、ときに機械的な接客態度と受け取られ、顧客をヒートアップさせる要因にもなりえます。
手順やクレームの事例を記載することは大事ですが、すべての事象に対して一つひとつ細かく対処法を書くのではなく、方針や基準を明確にして、顧客対応の方向性を示すようにしましょう。
わかりやすい表現で記載する
クレーム対応はスピードが求められるため、焦ってしまうこともあります。そのため、細かい文章よりも図表や箇条書きを使った説明の方がわかりやすいでしょう。
例えば、対応の流れをフローチャートで示したり、具体的な対応方法をイラストで解説したりすることで、担当者が視覚的に理解しやすくなります。対応中に必要な情報を迅速に確認できるような表現の工夫が大切です。
チャネルごとのクレームの特徴や対応例は、こちらの記事で解説しているので、参考にしてください。
定期的にマニュアルを見直す
クレームへの対応方法は、社会的な環境や顧客ニーズの変化に応じて変わります。そのため、クレーム対応マニュアルも定期的に見直しを行い、最新の情報や対応方法を反映させる必要があります。
特に、顧客からのフィードバックや新たに発生したクレーム事例を参考に、マニュアルをアップデートすると良いでしょう。情報や対応方法を常に最新の状態にしておくことで、顧客のニーズに応えられる可能性が高まります。
クレーム対応マニュアルを作って対応品質を上げよう
クレーム対応マニュアルは、企業が顧客との信頼関係を築くための大切な要素のひとつです。迅速な解決が求められるクレーム対応は、適切なマニュアルによって対応品質を下げずにスムーズに解決できるようになります。一貫性のある対応も実現でき、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
クレーム対応マニュアルは一度作成したら終わりではなく、定期的に見直し、最新の事例や対応方法を反映させることが大切です。マニュアルのアップデートを繰り返すことで、常に高品質な対応を提供できる体制を整えましょう。
マニュアルの整備とあわせて、問い合わせチャネルの工夫も重要です。例えば、自動応答サービスを取り入れれば、担当者の負担軽減につながります。有人での対応が難しい時間帯でも、自動応答であれば速やかな解決につながる可能性もあり、顧客体験も向上するでしょう。
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