問い合わせデータの分析方法とは?代表的な手法やポイントを解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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社内に蓄積された問い合わせデータには、顧客ニーズや対応に関する、さまざまな情報が含まれています。このようなデータを活用すれば、商品・サービスの品質向上や顧客対応の最適化ができ、顧客満足度の向上や業務効率化につなげられます。

問い合わせデータの分析方法とは?代表的な手法やポイントを解説

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    問い合わせデータの活用に役立つのが、VOC分析やKPI分析などの分析手法です。それぞれの手法を効果的に利用することで、課題解決に向けたヒントを発見できます。

    本記事では、問い合わせデータを分析する必要性や分析手法、分析時のポイントを解説します。

    問い合わせデータを分析する必要性

    問い合わせデータの分析が必要とされる理由は、主に次の3つです。

    • 顧客ニーズを把握できるため
    • 業務パフォーマンスの向上につながるため
    • 業務品質の標準化につながるため

     

    顧客ニーズを把握できるため

    カスタマーサポートに寄せられた問い合わせは、顧客の生の声を反映しているため、顧客ニーズを把握する貴重なヒントになります。売り手側の視点からは気付きにくい新たなニーズを発見できる可能性もあります。

    問い合わせに多く寄せられるのが、「商品やサービスの使い方がわからない」「設定方法が難しすぎる」などの、商品・サービスの仕様に関するフィードバックです。「オペレーターの対応が悪い」といったクレームも寄せられます。

    このように、良い点や悪い点を含めた意見には、「顧客が商品やサービスに何を期待しているのか」に関するヒントが隠れています。商品やサービスへの客観的な評価を活用することで、商品・サービスの品質向上や新機能の開発、顧客対応の最適化など、顧客満足度向上に向けた施策へと改善できるのが利点です。
     

    業務パフォーマンスの向上につながるため

    問い合わせデータを分析する際は、顧客から寄せられた意見だけでなく、カスタマーサポートの業務内容や目標達成度に焦点をあてることも必要です。

    例えば、顧客対応に要した時間や内容を可視化すれば、業務における課題やボトルネックを発見できます。問題点が明らかになれば、解決策や仮説を立てやすくなります

    日々の業務を客観的に分析することで、業務パフォーマンスの向上や最適化が実現するでしょう。
     

    業務品質の標準化につながるため

    問い合わせデータを分析すると、各担当者の顧客対応を客観的に評価できます。対応に問題がある場合は、マニュアルの充実や研修の実施によって品質向上を図ると良いでしょう。

    また、優秀な担当者の対応を部門やチームで共有すれば、業務品質の底上げや標準化が可能です。
     

    問い合わせデータの分析手法

    問い合わせデータの主な分析手法は次の3つです。

    1. VOC分析
    2. KPI分析
    3. トーク分析

    評価できる内容はそれぞれ異なるため、自社の目的に応じて適切な手法を選択することが重要です。
     

    1. VOC分析

    VOC分析とは、顧客の声(VOC/Voice Of Customer)をもとに顧客ニーズを正しく理解する手法です。

    カスタマーサポートに寄せられる問い合わせには、顧客の課題や悩み、商品・サービスに対する不満などのさまざまな要素が含まれています。

    例えば、「システムへのログイン方法がわからない」「ログイン時に目的のIDが表示されない」という問い合わせが多い場合、ログインページのUIに問題がある可能性が考えられます。この状態を放置すると顧客満足度の低下や離反につながりかねません。問い合わせ内容をもとに、早急にUIを改善することで、顧客ニーズの解消が可能です。

    VOC分析においては、良い意見は自社独自の強みとして施策を強化し、悪い意見は自社の弱みとして施策を改善に活かすことが重要です。

     

    2. KPI分析

    KPI分析とは、目標達成に向けて中間指標(KPI/Key Performance Indicators)を定めて、目標達成度や進捗率、業務パフォーマンスなどを評価する手法です。具体的な指標と客観的な数値を用いることで、目標と実績の差を明らかにできます。

    カスタマーサポートでは、主に次のKPIが用いられます。

    • 課題解決率:問い合わせ総数のうち、顧客が課題を解決できた割合
    • 課題解決時間:問い合わせが解決し、追加の課題解決が発生しなくなるまでの所要時間
    • 一次応答時間:問い合わせへの初回応答に要した時間
    • 応答率:顧客からの問い合わせを取り逃さずに応答できた割合
    • 処理時間:電話などの対応開始から後処理が完了するまでの時間
    • リピート率(継続率):新規顧客数に対するリピーターの割合

    KPI分析において、目標値に対して実績値が低い場合は、業務改善による対策が必要です。また、散布図によって各数値のばらつきを確認し、できるだけ中央値に寄せて業務の均質化を図るのも良いでしょう。

    問い合わせデータの活用手段として、特にKPI分析は、業務効率化や生産性向上に欠かせない手法です。

     

    3. トーク分析

    トーク分析は、担当者と顧客との会話内容を分析する手法です。問い合わせデータから「会話の流れ」や「回答のわかりやすさ」などの傾向を収集し、より最適な顧客対応へとブラッシュアップさせることが可能です。

    KPI分析はカスタマーサポート部門の全体的な業務効率化に有効である一方で、トーク分析は従業員のスキルを個別最適化するのに役立ちます。
     

    問い合わせデータを分析する際のポイント

    問い合わせデータを分析する際のポイントは次の通りです。

    • 分析目的を明確にする
    • ブレインストーミングで仮説の幅を広げる
    • 分析に役立つツールを活用する
       

    分析目的を明確にする

    問い合わせデータの分析は手法ごとに評価内容が異なります。適切な手法を選択して正確な結果を導くには、分析目的を明確にすることが大切です。

    まずは現状の課題を洗い出しましょう。仮に、リピート率が低下している場合、顧客満足度を高める施策が必要です。そのためには、VOCに着目し、顧客ニーズを正確に把握することから始めなければなりません。

    目的が明らかになれば方向性が定まり、効果的な分析が可能になります。その結果、課題解決に役立てられるでしょう。
     

    ブレインストーミングで仮説の幅を広げる

    問い合わせデータを分析する際は、「なぜ成果が目標に到達しないのか」「データ間の関係から判断できるものは何か」といった点を検証する仮説立案が重要です。しかし、関係性や規則性を見極めようとするあまり、主観的な仮説を立ててしまうケースは珍しくありません。主観的な分析は、その後の分析結果に偏りを生じさせる原因になりうるため、排除する必要があります。

    分析において客観性を維持するには、ブレインストーミングで仮説の幅を広げることが有効です。複数人で仮説を立案・検証することで、多角的な視点からデータの関係性や規則性を発見しやすくなります
     

    分析に役立つツールを活用する

    ツールを活用すれば、問い合わせデータの分析を効率化できます。

    一般的なツールとして、エクセルを活用するケースも少なくありません。しかし、エクセルはデータ管理が可能な一方で、高度な分析には不向きです。「データ量が多い」「エクセルの機能のみでは限界がある」という場合には、専用の分析ツールを活用するのも良いでしょう。

    代表的な分析ツールは次の3つです。

    • VOC分析ツール:
      VOCデータの収集や分析に特化したツール。アンケートの収集や集計、ヘルススコア解析などの機能が搭載されている
    • BIツール:
      企業が保有するさまざまなデータを集約・分析するツール。分析結果はレポートとして可視化できるため、スムーズな情報共有につながる
    • 問い合わせ管理システム:
      電話やメール、チャットなどの複数の問い合わせチャネルを一元管理できるツール。ダッシュボードやレポートなどの分析・共有に役立つ機能が用意されている

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    問い合わせデータを分析して業務改善を図ろう

    カスタマーサポートで取得した問い合わせデータは、顧客満足度の向上や業務効率化など、さまざまな目的に活用できます。本記事でご紹介したVOC分析やKPI分析、トーク分析を用いることで、課題解決に向けたヒントを得られるでしょう。

    ただし、やみくもに分析を行っても、方向性が定まらず、正確な結果を取得できない可能性があります。問い合わせデータの分析は現状の課題をもとに適切な目的を設定することが大切です。社内に蓄積されたさまざまな問い合わせデータを分析して、業務改善を図りましょう。

     

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