📋 この記事の要点
- 問い合わせ分析とは、内容や対応履歴を集計・分類し、顧客ニーズと業務課題を明らかにする取り組み
- 問い合わせには見込み客の引き合いと購入後のVOCがある。同じ基盤に蓄積し目的に応じて見方を変えると良い
- VOCはチャネルごとに性質が異なり、AI検索経由の流入も新たな顧客接点として捉える必要がある
- 分析は「一元化→分類軸の設計→仮説→検証」の順に進め、軸が定まっていることでAIの分類精度も高まる
- 顧客の生の言葉を起点に整備したFAQやナレッジベースは、AIが参照しやすい一次情報として自社の情報発信力を高める
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カスタマーサポートやマーケティング、営業など、顧客と接する部門に日々届く問い合わせには、顧客が何に迷い、何を求めているのかが表れています。こうした声を収集して分析すれば、商品・サービスの品質向上や対応品質の改善につなげられます。とくに近年は、AIの活用によって、分類や要約にかかる手間を抑えながら分析を進めやすくなりました。
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本記事では、問い合わせデータを分析する必要性やKPI、VOCの種類と分析手段、実際の進め方を解説します。AIを活用してより効率的に、高精度に分析する方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
問い合わせの分析とは
問い合わせ分析とは、顧客から寄せられた問い合わせの内容や対応履歴を集計・分類し、顧客のニーズや業務上の課題を明らかにする取り組みのことです。カスタマーサポート・マーケティング・営業など顧客接点を持つあらゆる部門が活用でき、収集したデータをサービス改善や対応品質向上につなげることを目的としています。
何のために分析するのか、どのようなデータを扱うのかを整理することで、次に取るべきアクションが見えてきます。
問い合わせ分析の目的
問い合わせ分析の目的は大きく下記の2つに分けられます。
- 顧客理解:商品・サービスや対応内容の改善につながる
- 業務改善:体制やパフォーマンスの最適化に役立つ
分析は集計そのものではなく、次にどう動くかを決めるために行うものです。
問い合わせを受け取り、そのまま営業へ引き渡すだけの運用では、単なる日々のやり取りの記録と変わりません。背景にある課題が蓄積されず、社内にノウハウが残りにくくなります。
問い合わせに含まれる2種類のデータ
「問い合わせ」には、性質の異なる2種類のデータが混ざっています。
- 購入前の見込み客から届く引き合い(リード)
- 購入後の顧客から寄せられる質問や要望、クレームなどの声
後者は「VOC:Voice of Customer(顧客の声)」と呼ばれます。VOCとは、購入後の顧客から寄せられる質問・要望・クレームなど、製品やサービスに対する実際の評価や体験を指します。問い合わせデータの中でも、VOCは束で読むことで傾向が浮かび上がる性質を持ち、サービス改善やマーケティング施策の精度向上に活用できる一次情報です。
見込み客からの問い合わせは、商談化に向けて1件ずつ扱われることが多いデータです。一方のVOCは、束で読むことで初めて傾向が浮かび上がります。
|
|
見込み客からの問い合わせ |
VOC(顧客の声) |
|
誰の声か |
購入前の見込み客 |
購入後の顧客 |
|
主な内容 |
資料請求、機能・料金の確認 |
質問、要望、クレーム |
|
分析でわかること |
検討時の関心事、比較の観点 |
利用時のつまずき、改善点 |
ただし、この2つは明確に線を引けるものではありません。見込み客からの「既存のツールと連携できますか」という質問は、引き合いであると同時に、検討時の障壁を示すVOCでもあります。
そのため、分けて管理するよりも、同じ基盤に蓄積したうえで目的に応じて見方を切り替えるのが良いでしょう。
問い合わせデータを分析する必要性
問い合わせデータの分析は、顧客理解を起点に、日々の業務の改善や部門間の連携にも効いてきます。分析に取り組む理由を4つの観点から整理します。
- 顧客ニーズを把握できるため
- 業務パフォーマンスの向上につながるため
- 業務品質の標準化につながるため
- 部門を越えて活用できるため
顧客ニーズを把握できるため
カスタマーサポートに寄せられた問い合わせは、顧客の生の声を反映しているため、ニーズを把握する貴重なヒントになります。売り手側の視点からは気付きにくい新たなニーズを発見できる可能性もあります。
多く寄せられるのは、「商品やサービスの使い方がわからない」「設定方法が難しすぎる」といった仕様に関するフィードバックです。「オペレーターの対応が悪い」というクレームが届くこともあります。
良い点も悪い点も含めた意見には、顧客が商品やサービスに何を期待しているのかに関するヒントが隠れています。客観的な評価を活用することで、品質向上や新機能の開発、顧客対応の最適化など、顧客満足度を高める施策へとつなげられます。
業務パフォーマンスの向上につながるため
問い合わせデータを分析する際は、顧客から寄せられた意見だけでなく、カスタマーサポートの業務内容や目標達成度に焦点をあてることも必要です。
例えば、顧客対応に要した時間や内容を可視化すれば、業務における課題やボトルネックを発見できます。問題点が明らかになれば、解決策や仮説を立てやすくなるでしょう。
日々の業務を客観的に分析することで、業務パフォーマンスの向上や最適化が実現します。
業務品質の標準化につながるため
問い合わせデータを分析すると、各担当者の顧客対応を客観的に評価できます。対応に課題がある場合は、マニュアルの充実や研修の実施によって品質向上を図ると良いでしょう。
また、優秀な担当者の対応を部門やチームで共有すれば、業務品質の底上げや標準化が可能です。
部門を越えて活用できるため
問い合わせから得た顧客の課題は、カスタマーサポートだけのものではありません。マーケティングの訴求内容や営業の提案、商品開発の優先順位にも活かせます。
一方で、データが部門ごとのツールに分散していると、同じ顧客の情報が分断されます。マーケティングが把握している検討時の関心事と、サポートが受け取っている利用後の要望が結び付かず、部門間で顧客像の認識がずれていきます。
こうした情報の分断を防ぐには、マーケティング・営業・カスタマーサービスで同じ顧客データを参照できる統合型の基盤を整えることが重要です。問い合わせから得た気づきを部門をまたいで共有できる環境が、顧客一人ひとりへの理解を全社で深める土台になります。
AI時代に問い合わせ分析の価値が高まる理由
問い合わせ分析の重要性は、AIの普及によって高まっています。その理由は大きく分けて2つあります。
分析工数の軽減
1つ目は、分類や要約にかかる工数が下がったことです。従来は集計に時間を要し、結果が出る頃には状況が変わっているという時間差がありました。AIによりこの差が縮まったことで、分析の頻度を上げやすくなっています。
問い合わせの質の変化
2つ目は、企業に届く問い合わせそのものの性質が変わってきたことです。
HubSpotで調査した「日本のカスタマーサービスに関する意識・実態調査2026」によると、利用者の88.3%が問い合わせ前に自己解決を試みると回答していました。

自己解決の手段としては「生成AI」や「企業のチャットボット」も上位に入っており、顧客が問い合わせ前に情報収集や比較検討を進める傾向がうかがえます。

その結果、企業に届く問い合わせは、単純な確認よりも、比較検討や状況判断を伴う内容へ相対的に移りやすくなっています。件数の推移だけを追っていると、こうした1件あたりの重みの変化を見落としやすいため、内容まで踏み込んだ分析が重要です。
問い合わせ分析のベースとなるKPI
分析を業務改善につなげるには、あらかじめ目標を設定しておくことが欠かせません。カスタマーサポートで設定すべきKPIを理解し、目標数値に基づいて運用していきましょう。
カスタマーサポートの主なKPI
複数のKPI(目標達成に向けた中間指標)を設定することで、目標までの進捗率や業務パフォーマンスを定量的に評価できます。
カスタマーサポートでは、主に次の指標が用いられます。
| KPI | 意味 | 分析で見るポイント |
|---|---|---|
|
課題解決率 |
問い合わせ総数のうち顧客が課題を解決できた割合 |
未解決のまま終わった問い合わせの傾向 |
|
課題解決時間 |
解決し追加の課題が発生しなくなるまでの所要時間 |
長期化している案件の共通点 |
|
一次応答時間 |
問い合わせを受けて初回に応答するまでに要した時間 |
時期や時間帯、チャネルによる差 |
|
応答率 |
問い合わせを取り逃さずに応答できた割合 |
取りこぼしが発生する条件 |
|
処理時間 |
対応開始から後処理が完了するまでの時間 |
担当者ごとのばらつき |
|
リピート率 |
新規顧客数に対するリピーターの割合 |
対応品質との相関 |
目標値に対して実績値が低い場合は、業務改善による対策が必要です。散布図で数値のばらつきを確認し、中央値に寄せて業務の均質化を図る方法もあります。
AI活用時に見直したいKPI
AIやチャットボットの活用が進むと、KPIの見え方も変わります。有人対応の件数が減ったとき、その背景には「顧客が自己解決できた」場合と「解決できずに諦めた」場合の両方があり、件数だけでは成果を判断できません。
そこで、有人対応の件数や処理時間に加えて、「自己解決率」や「AIによる解決率」などを確認すると良いでしょう。あわせて、顧客満足度や再問い合わせ率などの指標で対応の質を見てみると、全体像を把握しやすくなります。
HubSpotが提供するBreeze顧客対応エージェントは、顧客対応に特化したAIエージェントです。AIエージェントによる対応状況や、有人対応へのエスカレーションの有無を確認できるほか、Service Hubのナレッジベース側では閲覧数や評価、検索しても結果が出なかった語句を把握できます。これらを組み合わせることで、AIがどこまで自己解決に貢献したかだけでなく、どのVOCが有人対応や追加コンテンツ整備を必要としているかを特定しやすくなります。
問い合わせ内容(VOC)の種類
企業と顧客との接点となるチャネルごとに、集まるVOCの性質は異なります。それぞれの特徴を理解しておくことで、適切な分析につなげられます。
主要なチャネルは下記の7つです。
- 問い合わせフォーム
- チャットボット
- メール
- 電話
- SNS
- アンケート
- AI検索経由の流入
問い合わせフォーム
問い合わせフォームは、Webサイトの特定ページに設置し、顧客自身のタイミングで問い合わせを送信してもらうためのチャネルです。
電話のように、つながらない心配がなく、比較的気軽に利用できます。自己解決が難しかった際の第一候補としても選ばれやすいチャネルです。
チャットボット
チャットボットは、顧客と自動応答システムがやり取りをすることで課題解決を目指すチャネルです。顧客は自分のタイミングで質問でき、その場で回答を得られるのがメリットです。
AIの進展により対応できる範囲は広がりつつあります。ただし、個別の事情を踏まえた判断が必要な内容は、有人チャットへの引き継ぎが適しています。
やり取りはデータとして記録されるため、どのような問い合わせが多かったのか、どこで詰まったのか、解決できたのかという観点で分析が可能です。
メール
BtoBのビジネスにおいては、メールでのやり取りが顧客との重要なチャネルとなります。
担当者同士が名前や顔を認識したうえでのやり取りになることが多いため、その関係性を踏まえた分析が必要です。
電話
カスタマーサポートにおいて電話は長く活用されてきたチャネルであり、現在も軽視できません。AIによる自動回答の精度がどれだけ高まっても、複雑な課題やすぐに解決したい問題については、顧客は電話で確実な回答を求めます。
電話からは、簡単な質問から複雑な問題、こちらの不手際に対するクレームまで、さまざまなVOCを収集できます。また、AIを活用して通話内容をテキスト化し、感情分析を行うことで、顧客の不安や怒りの度合いを可視化することも可能です。こうした定性的なデータも含めて分析すれば、対応品質の把握に加えて、商品・サービス改善のためのフィードバックがより精緻になります。
SNS
さまざまな意見が集まるSNSも、重要なチャネルの一つです。SNSへの投稿は、通常の問い合わせと違って独り言のような性質があり、より深いインサイトを分析できる可能性があります。
積極的に意見を募集したり、困っている声に対応したりすることで、VOCを収集する方法もあります。
アンケート
アンケート調査でもVOCを定量的に収集できます。
回答者が少し身構えてしまう面はあるものの、質問項目を適切に設計すれば、商品・サービスや対応品質に対する有益なVOCを得られます。
AI検索経由の流入
近年は、ChatGPTやClaudeといったAIチャットツールでの情報収集を経てサイトを訪れ、そのまま問い合わせに至るケースも生まれています。この経路も、顧客接点の一つとして捉えられます。
HubSpotのトラフィックアナリティクスでは、参照元が認識されたAIプラットフォームである場合、「AIリファーラル」としてトラフィックが分類されます。どの経路から訪れた人がどのような問い合わせをしたのかをあわせて見ることで、AI経由の見込み客が知りたがっている情報を把握しやすくなります。
問い合わせ内容(VOC)の分析手段
VOCを分析する手段は、専門ツールから全社的なデータ基盤までさまざまです。自社のリソースや目的に応じて選ぶことで、収集から活用までを無理なく進められます。ここでは代表的な4つの手段を紹介します。
VOC分析ツールを活用する
VOCを分析するための専門ツールを活用する手段があります。ツールを適切に使用できれば、カスタマーサポートチーム内でVOCの収集から分析、活用までを内製化できます。
BIツールを活用する
企業が保有するさまざまなデータを分析し、可視化できるのがBI(Business Intelligence)ツールです。BIツールはデータを効率よく可視化し、事業戦略の策定や経営判断の参考にするためのツールであり、VOCの分析においても優れた結果を期待できます。わかりやすく可視化されるため、チーム内外への共有も簡単に行えます。
CRMシステムを活用する
VOCを分析するには、できるだけデータ形式を揃える必要があります。収集チャネルは多岐にわたるため、そのまま保存するのではなく、活用できる形式で蓄積していくことが重要です。AIで大規模なデータを扱う場合も、形式が揃っていることが前提となります。
また、スプレッドシートと各ツールにデータが分散した状態では、集計のたびに手作業での突き合わせが発生してしまいます。同じ顧客の情報が複数の場所に分散していると、そもそも全体を見渡すこと自体にも時間がかかるでしょう。
分散した情報を一か所に集約し、扱いやすいデータとして構造化するための基盤となるのがCRM(顧客関係管理)です。CRMは顧客単位で案件の進捗ややり取りのログ、問い合わせ内容を一元管理する仕組みであり、VOCについても分析しやすい形式で蓄積が可能です。
AIで分類・要約を自動化する
自由記述で寄せられるVOCは、分類の手間が大きくなりがちです。AIに一次分類と要約を任せることで、人は解釈と判断に時間を使えるようになります。
ここで重要となるのが、分類の軸をあらかじめ決めておくことです。軸が定まっていれば、AIの出力の精度と再現性が高まります。
Breeze顧客対応エージェントのような顧客対応に特化したAIエージェントを活用すれば、CRMに蓄積された対応履歴をそのまま踏まえた高精度な処理が可能です。
問い合わせ分析の進め方4ステップ
ここまで紹介した手段を、実際にどの順序で進めるかを整理します。最初から完璧な仕組みを目指す必要はありません。小さく始めて回しながら整えていくほうが、結果的に定着します。
1. データを一元化する
まずは、チャネルごとに散在しているデータを一箇所に集めましょう。この段階で形式を揃えておくと、後の分析が進めやすくなります。
すべてのチャネルを一度に統合する必要はありません。件数の多いチャネルから着手すれば、早い段階で傾向が見えてきます。
2. 分類の軸を設計する
次に、集めたデータをどの切り口で分けるかを決めます。問い合わせの理由、対象となる機能、顧客の購買フェーズなど、目的に沿った軸を選びましょう。
軸が定まらないままAIに分類を任せると、粒度がばらついて比較できなくなります。軸は最初から完成させるものではありません。運用しながら見直す前提で置いておくと、実態に合った形に育っていくでしょう。
3. 課題の仮説を立てる
集計結果をもとに、課題の仮説を考えます。このとき、件数の多さがそのまま課題の重要度を示すとは限りません。すぐに解決できる軽微な質問が上位に来ることもあれば、件数は少なくても解約につながる深刻な問題が埋もれていることもあります。件数に加えて、解決までにかかった時間や顧客への影響の大きさをあわせて見ると、優先すべき課題が見えてくるでしょう。
また、顧客が使った言葉をそのまま拾うことにも意味があります。社内で使っている用語と顧客の表現がずれている場合、それが改善のヒントになるかもしれません。
4. 施策に反映し検証する
導き出した課題を、担当部門に渡して実行に移します。FAQやナレッジベースへの追加、説明内容の見直し、機能改善など、打ち手はさまざまです。
実行後は、同じ分類軸で再度集計し、変化を確認しましょう。この繰り返しが分析を継続的な改善につなげます。
問い合わせデータを分析する際のポイント
分析を成果につなげるには、進め方にも注意が必要です。目的の設定から仮説の立て方、AIとの向き合い方まで、押さえておきたい3つのポイントを解説します。
- 分析目的を明確にする
- ブレインストーミングで仮説の幅を広げる
- AIの出力は人が必ず確認する
分析目的を明確にする
正確な結果を導くには、分析目的を明確にすることが大切です。そのため、まずは現状の課題を洗い出しましょう。
例えば「リピート率の低下」が課題であれば、顧客満足度を高める施策が必要となるため、VOCに着目して顧客ニーズを正確に把握することから始める、などです。
目的が明らかになれば方向性が定まり、効果的な分析が可能になります。
ブレインストーミングで仮説の幅を広げる
分析にあたっては、「なぜ成果が目標に到達しないのか」「データ間の関係から判断できるものは何か」を検証する仮説立案が重要です。しかし、関係性や規則性を見極めようとするあまり、主観的な仮説を立ててしまうケースは珍しくありません。主観的な分析は、その後の結果に偏りを生じさせる原因になります。
客観性を維持するには、ブレインストーミングで仮説の幅を広げることが有効です。複数人で仮説を立案・検証することで、多角的な視点からデータの関係性や規則性を発見しやすくなります。
AIの出力は人が必ず確認する
AI活用で効率的に分析を行うことは、これからの時代に必須です。ただし、AIによる分類や要約は「頻出する傾向」を拾いやすいため、「件数は少ないものの重要な意見」が相対的に目立たなくなってしまう可能性があります。また、文脈を読み取り誤るリスクもゼロではありません。
そのため、AIが出力した結果をそのまま鵜呑みにするのではなく、人が必ず最終確認を行うことが重要です。件数の多寡だけでなく、その意見が持つ影響度や文脈を人が精査することで、重要な兆候の見落としを防ぐことができるでしょう。
どの課題に取り組むかを決めるのはあくまで人であり、AIはそのための材料を整える優秀なアシスタントと捉えるのが賢明です。
問い合わせ分析が生む一次情報の価値
問い合わせ分析の役割は、顧客理解や業務改善のみにとどまりません。顧客の生の言葉は、AI検索が広がる時代において、自社にしかない情報資産としても機能します。
顧客の言葉はAI検索時代の資産
AIチャットツールは、信頼できる情報源として認識したコンテンツを回答内で引用・推奨します。この、AIの回答の中で自社の情報が表示される状態を目指す取り組みが、AEO(Answer Engine Optimization:回答エンジン最適化)です。
一般論をまとめた内容は、どこにでも存在します。一方で、実際の顧客が語った課題や表現に基づく情報は、自社にしか存在しない一次情報です。こうした一次情報は高い価値を持った情報として評価されやすく、AI回答の中で自社名や自社サービスが表示される一要素となります。
問い合わせ分析は、この一次情報を掘り起こす手段としても役立ちます。
VOCをコンテンツへ還元する
分析で見えた頻出の問い合わせは、FAQやナレッジベースの記事に還元できます。顧客が実際に使った言葉で書かれた質問と回答は、問いと答えが対になっているため、AIが参照しやすい形式でもあります。顧客の貴重な声をコンテンツに活用し、顧客の検索体験を最適化していきましょう。
どのVOCから着手するかは、AIから自社がどう見えているかと照らし合わせると判断できます。無料のAI検索最適化ツールAEO Graderを使えば、AIからの自社評価の確認が可能です。
例えば、問い合わせで「既存システムと連携できるか」という質問が頻出しているのに、AIは自社を業務効率化のツールとしか説明していないとします。顧客が知りたい論点をAIが拾えていない状態なので、まずは実際の問い合わせをもとに、既存システムとの連携に関するFAQを整備する、という優先順位が見えてきます。
顧客が求める情報と、AIが認識している情報。AI検索で見つけてもらうためには、この2つのずれを埋めることが欠かせません。
実際に、ヘルプ記事の整備とAIを組み合わせてLLMO対策まで取り組み、自己解決率90%超を達成したSaaS企業の事例もあります。
問い合わせ分析で顧客理解と成長を両立する
日々届く問い合わせは、顧客が自分の言葉で語った課題そのものです。社内に集まるこの声は、処理すべき業務である以上に、活用すべき資産といえます。
資産として活かすために必要なのは、分散したデータを一箇所に集め、分類の軸を決めて傾向を読み取り、施策に返して検証するという流れです。収集・分析の流れを円滑に回すことで、顧客理解が深まり、業務改善も同時に進みます。AIを活用すれば分類や要約の負担が下がり、改善のサイクルをより速く回せます。
こうした一連の流れを支えるのが、部門をまたいで顧客データが集まる基盤です。問い合わせを処理すべき業務として消費するだけでなく、顧客理解と事業改善の起点として活用する視点が、AI時代における競争力の源泉になります。HubSpotのService Hubは、CRMを基盤としたAI搭載のカスタマーサービスソフトウェアです。部門をまたいで顧客データを一元化し、問い合わせ分析から改善サイクルまでを一つの基盤で回せる環境を、無料プランから始めることができます。
問い合わせ分析に関するよくある質問
問い合わせ分析はどの部門が担当すべき?
データを持つカスタマーサポートが収集を担い、分析と活用はマーケティングや商品開発と共同で進める形が現実的です。専任を置くことよりも、各部門が同じデータを見られる状態を整えることが先になります。
データが少なくても分析できる?
件数が少ない段階でも、1件ずつ読んで顧客の言葉を拾えば十分な示唆が得られます。手作業で読める時期に分類軸を作っておくと、件数が増えてからの分析がスムーズに進みます。
分析結果はどう共有する?
数値の報告に加えて、顧客の実際の発言を添えると伝わりやすくなります。定例で共有する場を設け、施策への反映まで追う形が有効です。
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