SaaS(Software as a Service)市場が急速に成長していることに疑いの余地はありません。事実、BetterCloudが実施した調査(英語)によると、調査対象企業の73%が現在利用しているアプリの80%以上が、2020年までにSaaSになる予定だと回答しています。もちろん、この割合は2020年以降も増加していくでしょう。

今回の記事では、SaaS企業の定義、SaaS企業が販売する製品、SaaSビジネスモデルを採用する場合の流れについて説明し、このアプローチで成功を収めているトップSaaS企業をご紹介します。

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SaaS企業とは

SaaS企業とは、ソフトウェアという形態で顧客にサービスを提供している企業のことです。これらの企業の特徴は、製品の構想から開発、ホスト、更新まですべてを自社で一元的に行っている点です。SaaS企業には、土地に縛られることのないグローバル市場に直接参入でき、どれほど製品を出荷して(=企業が成長して)も配送コストがかからないというメリットがあります。

SaaSによって多くの企業で仕事のあり方が変化しています。SaaS製品がオンラインで配信するデータは、ブラウザーを使ってあらゆるデバイスから利用できます。一方、ソフトウェア自体はSaaS企業が常にホストするため、一貫性のあるITサポートが実現します。こうした特徴から、SaaSを利用することでネットワークセキュリティーの強化につながるほか、高度なコラボレーションや柔軟な機能追加も可能になります。また、SaaSの前払い式で透明性のある料金設定も利用する企業にとってはメリットとなります。

SaaSビジネスモデルの流れ

SaaSビジネスは、始動、成長、安定化という3つの段階で構築されます。それぞれの段階について以下で説明します。

始動

始動の段階ではビジネスの基盤を構築します。つまり、製品を誕生させ、製品の市場投入キャンペーンを計画する段階です。ターゲットオーディエンスの特定、効果的なマーケティング戦略と営業戦略の策定、カスタマーサポートの提供方法の検討もこの段階で終えておくと理想的です。

成長

製品を市場に投入し、製品がヒットした後に待っているのが、SaaSビジネスの急成長です。みるみるうちに製品が新規顧客に受け入れられることで、突如としてマーケティング、営業、カスタマーサービスの需要が生まれます。つかの間のこのチャンスを活かし、優良な顧客基盤を獲得するためには何よりも迅速な行動が大切です。

幸いなことに、ビジネスの拡大とともに収益も増加していきます。増加した資金を製品やサービスに再投資することで、十分なリソースを確保して既存ユーザーのニーズを満たすことができます。こうして既存顧客の定着と新規顧客の獲得を同時に進めていけば、収益はさらに伸びていきます。 

安定化

安定化の段階でも引き続き新規顧客は生まれていますが、顧客のニーズに常に対応しなければいけないというプレッシャーは以前に比べて弱まってきます。安定化を迎えるためには再投資の対象を慎重に選ぶことが大切です。つまり、カスタマー サービス ソフトウェアマーケティングオートメーション、製品の更新など、顧客満足にフォーカスすることです。こうした取り組みが、顧客のニーズが反映された満足度の高いユーザーエクスペリエンスにつながります。

SaaS製品

SaaS製品とは、製品プロバイダーが一元的にホストし、インターネット経由で顧客に届けられるソフトウェア製品のことです。ユーザーは、アプリケーションのコピーをインストール、ダウンロードすることなく、Webやモバイルブラウザーから製品にアクセスできます。製品プロバイダーは、ユーザーのニーズに応じてソフトウェアを管理、更新します。

SaaS企業がB2BなのかB2Cなのかは、その企業が提供する製品によって決まります。B2BのSaaS企業は、経営者や経営陣特有の顧客ニーズに焦点を当てる必要があります。

B2BのSaaS企業

B2BのSaaS企業とは、必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアを企業や組織を対象に販売している企業のことを指します。業務の効率化や社内機能の自動化を促進する製品を提供しており、製品の多くはマーケティング、営業、カスタマーサービスの業務最適化のために活用されています。

B2BのSaaS企業の製品はビジネス目標の達成支援が目的となるため、B2BのSaaS企業はカスタマーサクセスに多額の投資を行っています。顧客が成功を収めることによってSaaS企業に対する顧客の信頼感が高まり、両者による相互成長が促進されます。

この1年ほどの間に各分野で厳しい競争を勝ち抜いたSaaS企業が他を引き離し、頭角を現し始めています。これらの企業をSaaS分野の最有力企業、急成長企業、最大手企業に分け、まとめてご紹介します。各社のイメージをつかみ、ぜひ今後の参考としてご活用ください。

トップSaaS企業

最有力のSaaS企業とSaaS製品

このセクションでは、G2 Crowdによって集計されたデータを基に、有力なSaaS企業10社をご紹介します(2020年1月3日時点)。G2 CrowdのGrid® Scoring Technologyは、ユーザーレビュー、オンラインソース、ソーシャルネットワークから収集したデータに基づくスコアリング(0~100)で、トップ企業とトップ製品をランキングします。Grid® Scoring Technologyの詳細については、こちらをご覧ください。

1. Google

Googleは、検索エンジン、デジタルアナリティクス、ドキュメント作成、オンライン広告など、インターネット関連サービスを軸とする137の製品を所有しています。G2の調査では、市場プレゼンス92、満足度94、総合スコア93の評価を獲得しました。

種別:B2B、B2C

2. Adobe

Adobeは、デジタルメディア、デジタルマーケティング、印刷、出版の分野で50以上のコンピューターソフトウェア製品を所有しています。G2のレポートでは、市場プレゼンス86、満足度92、総合スコア91の評価を獲得しました。

種別:B2B、B2C

3. Slack

Slackは、3つの製品を所有しています。主力製品のSlackは、社内メッセージング、ビデオ会議、プロダクティビティーボットを提供するコラボレーション/チャットツールです。同製品は、市場プレゼンス85、満足度100、総合スコア94の評価を獲得しました。

種別:B2B

4. MailChimp

マーケティングソフトウェア企業のMailChimpは、3つの主要製品を所有しています。主力製品のMailChimpは、自動送信Eメールのスケジュールを設定し、その結果を追跡できるEメール マーケティング プラットフォームです。同製品は、市場プレゼンス85、満足度99、総合スコア94の評価を獲得しました。

種別:B2B、B2C

5. Shopify

eコマース企業のShopifyは4つの製品を所有しています。主力製品のShopifyは、オンラインストア/小売POS向けのeコマースプラットフォームです。Shopifyは、市場プレゼンス87、満足度99、総合スコア94の評価を獲得しました。

種別:B2C

6. Microsoft

Microsoftは、各種ソフトウェアで使用される100種類以上のクラウド製品を所有しています。巨大ソフトウェア企業Microsoftは、市場プレゼンス89、満足度98、総合スコア94の評価を獲得しました。

種別:B2B、B2C

7. SurveyMonkey

SurveyMonkeyは、データを分析、視覚化できるオンラインアンケート作成ツールです。同製品は、市場プレゼンス64、満足度100、総合スコア91の評価を獲得しました。

種別:B2B、B2C

8. MathWorks

MathWorksは、製品開発者やエンジニア向けの数学計算ソフトウェアです。同社は4つの製品を所有しています。主力製品のMATLABは、市場プレゼンス85、満足度99、総合スコア93の評価を獲得しました。

種別:B2B

9. HubSpot

インバウンド マーケティング ソフトウェア企業のHubSpotは、CRM、ソーシャル メディア マーケティング、コンテンツ管理、ウェブアナリティクス、SEO用の各種ツールを所有しています。同社製品は、市場プレゼンス74、満足度95、総合スコア90の評価を獲得しました。

種別:B2B、B2C

10. Piesync

Piesyncは、企業によるアプリ間の高速データ転送を支援するデータ入力の自動化アプリケーションです。同製品は、市場プレゼンス48、満足度91、総合スコア69の評価を獲得しました。 

種別:B2B

急成長するSaaS企業とSaaS製品

このセクションでは、クラウド サービス プロバイダーOktaによって集計されたデータを基に、急成長するSaaS企業10社をご紹介します。同データは、SaaS企業の製品の過去12カ月間の成長率に基づいています。Oktaでは、多数のカテゴリーの顧客データを分析しBusinesses @ Workレポートを作成しています。Businesses @ Workレポートの詳細については、こちらをご覧ください。

1. KnowBe4

KnowBe4は、ユーザー向けのセキュリティー意識向上トレーニングを提供して、スピアフィッシング、ソーシャルエンジニアリング、ランサムウェア攻撃を対象としたITセキュリティーの問題解決を支援しています。KnowBe4は12カ月の調査期間中に178%の成長を遂げました。

種別:B2B

2. LastPass

LastPassはパスワード管理ソフトウェアです。このソフトウェアにパスワードを保存しておけば、万が一忘れてしまった場合でも安心です。LastPassは過去12カ月間で132%の成長を遂げました。

種別:B2B、B2C

3. Proofpoint

Proofpointは、企業による攻撃キャンペーンの阻止/データ保護を支援するサイバーセキュリティー企業です。この1年間でProofpointは122%の成長を遂げました。

種別:B2B

4. Jamf

Jamfは、Appleデバイス管理用のシンプルなITソリューションを提供しています。同社は12カ月間で120%の成長を遂げました。

種別:B2B

5. Zoom

Zoomは、リモート会議を支援するビデオ会議ツールを提供しています。レポートによると、同社は107%の成長を遂げました。

種別:B2B

6. Atlassian

Atlassianは、社内の問題を追跡するチケット管理システムJiraで有名なソフトウェア開発企業です。Atlassianは調査期間中に91%の成長を遂げました。

種別:B2B

7. Freshservice

Freshserviceは、Freshworksのカスタマーサービス部門です。同社はカスタマー サービス チームの日常業務を支援するヘルプ デスク ソフトウェアを提供しています。Freshserviceは過去12カ月間で78%の成長を遂げました。

種別:B2B

8. Ring Central

Ring Centralは、メッセージング/ビデオソリューションで社内コミュニケーションを支援するコミュニケーションプロバイダーです。同社は12カ月間で73%の成長を遂げました。  

種別:B2B

9. Teem

Teemは、オフィスにいながらにして簡単に会議をスケジューリング、計画できる会議室予約ソフトウェアです。レポートによると、Teemは前年から73%の成長を遂げました。  

種別:B2B

10. Sophos

Sophosが提供するセキュリティーソフトウェアとセキュリティーハードウェアは、モバイル/ネットワークセキュリティー、暗号化、脅威管理などを支援します。Sophosは12カ月間で42%の成長を遂げました。

種別:B2B、B2C

最大手のSaaS企業

このセクションでは、Statistaによって集計されたデータを基に、大手SaaS企業10社をご紹介します。同データは各SaaS企業の時価総額に基づくものです。StatistaによるSaaSレポートの詳細については、こちらをご覧ください。

1. Salesforce

Salesforceは、従業員と顧客のコラボレーションを支援する58のクラウドコンピューティング製品を所有しています。Salesforceの時価総額は1,178億ドルです。

種別:B2B

2. ServiceNow

ServiceNowは、社内全体の業務と会話を効率化するエンタープライズ オートメーション ソリューションを提供しています。ServiceNowの時価総額は509億ドルです。

種別:B2B

3. Workday

Workdayは、人事チームが使用する財務管理および人材管理用ツールです。Workdayの時価総額は465億ドルです。

種別:B2B

4. Atlassian Corporation

Atlassianは、JiraやConfluenceなど、ソフトウェア開発、チームコラボレーション、プロジェクト管理、コード品質の改善を支援する製品を提供しています。Atlassian Corporationの時価総額は315億ドルです。

種別:B2B

5. Square

Squareは、クレジットカード払いへの容易な対応を可能にする、レジ不要のクレジットカード決済アプリです。ユーザーが購入したSquare製品をスマートフォン、コンピューター、タブレットに接続するだけで、そのデバイスが瞬時にクレジットカード処理端末に変わります。Squareの時価総額は314億ドルです。

種別:B2B

6. Veeva

Veevaは、製薬およびグローバル ライフ サイエンス業界向けのクラウドソリューションを提供しています。Veeva Systemsの時価総額は186億ドルです。

種別:B2B

7. Splunk

Splunkは、マシンが生成したビッグデータを検索、監視、分析、解釈するソフトウェアソリューションを提供しています。Splunkの時価総額は189億ドルです。

種別:B2B

8. Twilio

Twilioは、社内外の関係者とのコミュニケーションを支援する、人と人をつなぐためのツールを企業向けに提供しています。Twilioの時価総額は160億ドルです。

種別:B2B

9. Okta

Oktaは、複数のアプリケーションを1つのインターフェイスに統合し、一元化された場所から各アプリへの安全なアクセスを可能にするソフトウェアを提供しています。Oktaの時価総額は141億ドルです。

種別:B2B

10. Paycom

Paycomは、企業における給与業務の管理と最適化を支援するソフトウェアプロバイダーです。同社の時価総額は130億ドルです。

種別:B2B

B2Cの最大手SaaS企業

このセクションでは、Mike Sonders氏によって集計されたデータ(英語)を基に、B2Cの大手SaaS企業6社をご紹介します。同データは、最大規模の公開SaaS企業を2019年2月の時価総額に基づいて評価したものです。B2CのSaaS企業だけを集計したデータが存在しないため、今回の目的に合わせてデータを絞り込みました。

1. Dropbox

Dropboxは、クラウドベースのドキュメント/データ ストレージ ソリューションです。同社は4つの製品を所有しており、その時価総額は合計97.4億ドルです。 

種別:B2B、B2C

2. Elastic NV

Elastic NVは、検索機能を活用した新たなデータ解釈を支援するデータ アナリティクス プラットフォームです。同製品の時価総額は64.5億ドルです。

種別:B2B、B2C

3. athenahealth

athenahealthは、オンラインサービスを使用して分析情報を提供する医療プロバイダーです。athenahealthの時価総額は55.5億ドルです。

種別:B2B、B2C

4. Wix

Wixは、ウェブ開発がほぼ未経験のユーザーを対象としたウェブサイト作成ツールです。同製品の時価総額は53.4億ドルです。

種別:B2B、B2C

5. CarGurus

CarGurusは、新車や中古車の売買を支援するSaaS企業です。CarGurusの時価総額は47億ドルです。

種別:B2C

6. Pluralsight

オンライン教育プラットフォームPluralsightは、従業員のキャリアスキルを分析し、個人の評価スコアに基づいてテクノロジーの使用方法を指導するコースを提供しています。同製品の時価総額は44.6億ドルです。

種別:B2B、B2C

今回ご紹介した企業から成功するSaaSビジネスとはどのようなものかをイメージできたでしょうか?各企業の取り組みと実績を参考に、2020年以降の具体的な目標設定に役立てていただければ幸いです。

SaaSビジネスの詳細については、IaaS、PaaS、SaaSの違いを説明したブログ記事をお読みください。

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元記事発行日: 2020年4月16日、最終更新日: 2020年4月16日