自社のWebサイトは今どんな状況なのか?
成果を改善したいと考えているなら、まずは現状を正しく理解しましょう。

Webサイトの分析は、大きく2つのタイプに分けられます。1つはGoogleアナリティクスなどを使った数値に基づく定量的な分析手法。もう1つは、数値だけでは表しきれないユーザーの心情や体験などを評価する定性的な分析手法です。
本記事ではこれら2つの分析を実施する際におさえておきたいチェック項目を解説します。合わせておすすめの分析ツールも紹介するので、これからWebサイト分析にチャレンジする方はぜひ参考にしてみてください。
Webサイト分析時、Googleアナリティクスで最低限見ておきたい指標は?

無料で利用できるWebサイト分析ツール「Googleアナリティクス」は、Webサイト運営には欠かせない存在です。無料とは思えないほど多彩な機能がある一方、確認できる項目が多すぎて、最初はどこをどう見るべきかわからないと感じる方も多いでしょう。
実際のところ、基本的なWebサイト分析で見るべき項目はそれほど多くはありません。最低限確認しておきたい指標を見ていましょう。
サイト全体のアクセス状況を俯瞰する

まずはサイト全体のアクセス状況を俯瞰しましょう。
左メニューの「ユーザー→オーディエンス」を選択すると、1日・1週間・1カ月ごとに以下のデータが表示されます。
表示データ |
データから分かること |
ユーザー数 |
対象期間中にサイトを訪問してくれたユーザー数 |
新規ユーザー数 |
初めてサイトを訪問してくれたユーザー数 |
セッション |
ユーザーの訪問回数(30分以上操作せず再訪したら新たなセッションとしてカウントされる) |
ページ/ビュー数(PV数) |
サイトのページが読み込まれた回数 |
ページ/セッション |
1訪問で閲覧されたページ数 |
平均セッション時間 |
1訪問の滞在時間 |
直帰率 |
1ページ閲覧後離脱したセッションの割合 |
ユーザーがどの経路から流入したのかを確認する
次に、ユーザーがどんな経路でサイトに来たのか確認しましょう。自社サイトにとって重要なチャネル(流通経路)を見極めることで改善策を見つけ出せます。
チャネルごとの流入数を確認するには「集客→すべてのトラフィック→チャネル」を選択します。

各チャネルの意味
Organic Search |
GoogleやYahoo!など検索エンジンからの流入 |
Direct |
直接URL入力、ブックマークからの流入 |
Referral |
外部サイトのリンクからの流入 |
Display |
バナー広告からの流入 |
Social |
FacebookやTwitterなどSNSからの流入 |
Affiliates |
アフィリエイトリンクからの流入 |
Paid Search |
リスティング広告からの流入 |
ここで、どのチャネルを通じてサイトを訪れたのかがわかります。しかしこれだけではどのコンテンツを読んでくれたのか、どんなキーワードでサイトにたどり着いたのか、どのSNSが集客効果が高いのかまではわかりません。
ユーザー行動や集客効果をより深く分析するために、チャネルと合わせて次の3つのデータも確認しておきましょう。
ソーシャル
アナリティクスメニューの「集客→ソーシャル」では、どのソーシャルメディアから、どれくらい流入しているかがわかります。セッションの多いSNS媒体との連携を強化するなど、改善策を立てる指針になるはずです。
SearchConsole
SearchConsoleでは、流入キーワードやクリック数などがわかります。特に流入キーワードは、訪問者の求めるものを理解するうえで重要です。
Google広告
広告運用をしているサイトでは、Google広告との連携は必ずしておきましょう。
広告経由のユーザーが、どのページに興味を持ち、どれくらい滞在したのか等を分析できます。
サイト内のユーザー行動を把握する

訪問したユーザーは、Webサイト内でどのような行動をとっているのか?
これはアナリティクスの「行動」メニューで確認できます。具体的にどのように見ればいいのか、ポイントを説明していきます。
行動→行動フロー
「行動フロー」では、ユーザーがどのページへ訪問したのかを順番に確認でき、上図のように左から右へ動線が流れていきます。
各項目にカーソルを合わせると、セッション数や離脱数が表示され、問題のあるページの発見につながります。
行動→サイトコンテンツ→すべてのページ
ページ別の流入数や滞在時間などを確認できます。よく読まれているページを分析し仮説を立てて、下位ページの改善策に活かしてみましょう。
行動→サイトコンテンツ→ランディングページ
ユーザーがそのサイトで一番最初に訪れたページを確認できます。セッション数が多いのに、コンバージョンに繋がらず、直帰率が高いページがあれば優先的に改善しましょう。
行動→イベント
これは「イベントトラッキング」といって、単一のページ内での行動を分析したい場合に使用します。資料のダウンロード数やリンクのクリック数などの計測から、ページ改善のヒントを得ましょう。
これを利用するには、イベントトラッキング用のタグをWebサイトに書き込む必要があります。こちらの記事にて詳細な解説をしていますので、ぜひお読みください。
設定した目標に対する実績を確認する

「設定→ビュー→目標」を選択し、あらかじめサイトの目標値を設定しておけば、成果の達成具合が一目でわかります。確認方法は以下のとおりです。
コンバージョン→目標→概要
設定したすべての目標の達成度が表示されます。
コンバージョン→目標→ゴールフロー
ユーザーの目標行動をフローで視覚的に確認できます。離脱が多い部分を強化し、コンバージョン率を上げるのに確認すべきデータです。
ユーザー視点に立ってWebサイトを客観視してみる

Googleアナリティクスではユーザー行動の結果こそ分析できますが、Webサイト閲覧時のユーザー心理までは読み取れません。
しかしWebサイトを正しい方向に改善していくにはしっかり把握する必要があります。理想は、実際にユーザーヒアリングを実施することです。もしすぐに行うのが難しい場合は、自分自身が1ユーザーとなって、以下のポイントを軸に自社サイトをチェックしてみましょう。
アクセシビリティしやすさ
1つめはアクセシビリティ。どのデバイスからでも利用しやすいサイトを目指しましょう。
【チェックポイント】
- どのデバイスでも表示が崩れないか
- 読みやすいフォントや色が採用されているか
ユーザビリティ
2つめはユーザビリティ。操作がしにくかったり、情報がどこにあるか分からなかったりするサイトは、ユーザーにストレスを与えてしまいます。これでは離脱されやすいのは言うまでもなく。
そこで以下のポイントに注目してみてください。
【チェックポイント】
- サイトの構造は複雑になっていないか
- わかりやすいナビゲーションがあるか
- コンテンツは読みやすい構成か
- 問い合わせや購入のボタンは押しやすいか
- サイト表示速度が速いか
サイトの信頼性
3つめはサイトの信頼性です。サイト内の情報に信憑性がなかったり、サイトのセキュリティ対策がイマイチだったりすると、ユーザーは安心して利用できませんよね。
【チェックポイント】
- 情報は一次資料に基づくものか
- 主観と客観の使い分けができているか
- サイト運営者の情報が明記されているか
- プライバシーポリシーが明記されているか
- セキュリティの内容が明記されているか
情報の有用性
4つめは情報の有用性です。「知りたい」「購入したい」など、ユーザーは何かしらの目的をもってサイトを訪れます。提供する情報はユーザーの目的達成につながるものでなければいけません。
【チェックポイント】
- ターゲットユーザーのニーズを把握できているか
- ニーズを踏まえたコンテンツが提供できているか
- 行動の指針を示せているか
無料で使えるおすすめのWebサイト分析ツール6選

ここではWebサイトの分析に役立つ無料ツールを6つ紹介します。いずれも手軽に利用できる定番ツールです。ぜひ使ってみてください。

先ほどチェック項目を解説した「Googlアナリティクス」は、アクセス分析に必須のツールです。ユーザーが①どこから、②何を目的にサイトを訪れ、③何をどの時間見て、④目的を果たしたのかを解析できます。

「SimillarWeb」は、競合サイトのアクセス状況をリサーチできるツールです。アクセス数だけでなく、流入キーワードや外部リンクまで検索可能ですが、無料版では対象期間が1カ月と短くデータ不足になることも。より長い期間の分析がしたい場合は有料版に登録しましょう。

「Juicer」は、人工知能がGoogleアナリティクスと連携してデータを解析し、ユーザーの属性や興味、心理などを教えてくれるツールです。
たとえばペルソナ分析では、データから導かれたユーザー像を提示してくれます。リードスコアリングでは、認知からコンバージョンに至るまでの各ステージにいる人数を確認できます。

「USER HEAT」はユーザーのマウスの動きや熟読エリア、離脱エリアなどをサーモグラフィのように色で表示するヒートマップツールです。数値にできない行動が理解でき、コンテンツのリライトやデザインの改修に活用できます。

「WooRank」は、SEOの観点からサイトを解析するツールです。
入力されたURLのサイトについて、タイトル文字数やhタグ利用数など50の要素をもとにチェックして点数化。SEO上弱い部分を見つけて改善するのに役立ちます。

「AIアナリスト」はGoogleアナリティクスと連携し、自動解析から改善提案まで行ってくれる解析ツールです。これまでご紹介してきたツールは、改善を検討する上で必要なデータを抽出するものだったのに対し、AIアナリストは改善点まで提案してくれるという特徴を持ちます。
Webサイトの分析・改善のポイント

次にWebサイトの分析・改善を行う上で押さえておくべきポイントを3つ解説します。
課題を発見したら、解決策もセットで考える
分析の結果、課題を発見できたと同時に解決策も考えるようにしましょう。Googleアナリティクスを巡回して課題をいくつか見つけたものの、そのまま放置してしまって手をつけていない・・・ということにならないよう、ネクストアクションもセットで考えると良いでしょう。発見したひとつひとつの課題について、具体的な対策をできる限り考えましょう。
客観的な視点を取り入れながら分析する
主観的な解釈ではなく、客観的事実に基づいて分析を行いましょう。アクセス解析ツールから得られたデータをどう受け止めるかは担当者次第。自分の仮説に合わせて都合よく解釈してしまうのはよくあることです。主観を完全に排除するのは難しいので、チームメンバーの意見やユーザーインタビューなどを通じてできるかぎり客観的な視点を取り入れるようにしましょう。
PDCAを回して改善の効果を継続的に測定する
PDCAを継続的に回し続けることも大切です。期間限定公開などの一部の例外を除き、ほとんどのWebサイトは長期的に運営されるものであり、それに伴い改善施策も長期間かけて取り組まなければいけません。
数値の向こう側には、人がいることを忘れない
今回はWebサイトの分析において押さえておきたいチェック項目や、おすすめの無料分析ツールのほか、意識すべきポイントなどを解説しました。
Webサイト分析に取り組む際、データの向こうには「人間」がいるということを忘れないようにしてください。数値は結果でしかなく、その結果が出るに至ったユーザーの欲求や心理の変化があるはずです。
ですので管理画面と向き合うだけではなく、できれば実際に利用していただいているユーザーに直接話を聞いてみましょう。データだけではわからなかった、意外なインサイトが見えてくるかもしれません。とはいえ、ユーザーは自分自身のインサイトを正確に把握しているとは限らず、また正確に答えるとも限りません。データとヒアリング内容を照らし合わせながら分析を進めていきましょう。

