ホワイトペーパーとは、企業が提供する有益な情報やコンテンツを盛り込んだ資料のことです。ブログ内の記事やランディングページに設定しておくと、自社の商品やサービスに関連するビジネス上の課題を抱えている、潜在客や見込み客とのつながりが生まれます。
しかし、ページ内にホワイトペーパーのCTA(行動喚起)リンクを設置すれば、必ずしもクリック率が高まるわけではありません。
ホワイトペーパーのクリック率を高めるためには、最も目立つタイトルを最適化することが大切です。魅力的なタイトルを付けることで、獲得できる見込み客情報が増え、継続的なコミュニケーションにつなげられるでしょう。
本記事では、ホワイトペーパーにおけるタイトルの重要性や設定方法を解説します。
eBook&ホワイトペーパー作成マスターガイド【無料PPTテンプレ付き】
eBookとホワイトペーパーの作成手順を徹底解説!
- eBook / ホワイトペーパーの基礎知識
- 効果的な作成方法
- 成功事例
- リード獲得への活用
今すぐダウンロードする
全てのフィールドが必須です。
ホワイトペーパーにおけるタイトルの重要性
ホワイトペーパーにはコンテンツやデザインといった構成要素がありますが、そのなかでも特に重要なのがタイトルです。
タイトルの付け方次第でダウンロードボタンやリンクのクリック率が大きく変わります。ホワイトペーパーのタイトルは、ブログ記事であれば記事タイトル、メールマガジンであれば件名にあたり、最も目立つ部分です。
例えば、次のようにブログ記事の内部にホワイトペーパーのダウンロードリンクを設置した場合、読者はタイトルから内容をイメージしようとするため、興味や関心を引くタイトル設定が欠かせません。
また、ホワイトペーパーを閲覧する際に、Webフォームに必要事項を記入し、ダウンロードボタンを押すという労力が発生します。そのため、読者が「労力をかけてでも資料を読みたい」と思わせるようなタイトル設定が必要です。
ホワイトペーパーに適切なタイトルを設定できれば、クリック率が高まり、本来の目的である見込み客情報の獲得や見込み客との関係構築につながりやすくなります。
ホワイトペーパー本来の目的については、こちらの記事で解説しています。
ホワイトペーパーのタイトルの付け方
適切な手順でホワイトペーパーのタイトル付けを進めると、より魅力的なタイトルを設定できます。タイトルは次の3つの手順で設定すると良いでしょう。
- ペルソナを明確にする
- ベネフィットを考える
- タイトルを設定する
1. ペルソナを明確にする
まずは、ターゲットの読者となるペルソナを明確にしましょう。
ホワイトペーパーにおけるペルソナとは、資料ダウンロードによって創出したい理想的な見込み客像です。「20代女性」といった曖昧なターゲットではなく、読者の属性を具体的にしたペルソナを想定することで、より相手の心にタイトルを設定できます。
ペルソナには次のような要素を設定します。
- 基本情報:
担当者名、性別、年齢、役職・職種、業種、企業規模 - 置かれている状況:
類似製品の利用状況、製品に対する知識レベル、現在の組織状況 - 抱えている課題やニーズ:
業務におけるミッション、業務における悩み、現行製品に対する不満
BtoBビジネスの場合は、企業ではなく購買担当者という個人にフォーカスすることが大切です。ペルソナの目線に合わせて専門用語を取り入れるべきか、それとも平易な言葉にするかといった細部を調整しましょう。
ペルソナを活用した分析方法を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
2. ベネフィットを考える
次に、ホワイトペーパーを読むことで得られるベネフィットを考えましょう。
「ベネフィット」はあくまで読者が最終的に得られる恩恵であり、特徴や強みを表す「メリット」ではない点に注意が必要です。
例えば、業界のトレンド情報をまとめたホワイトペーパーを提供すると、読者は最先端の技術やシステムを把握できるでしょう。
しかし、最先端の技術を把握できることは、あくまでホワイトペーパーを読むメリットにしかすぎません。読者のメリットにしか着目していないと、「トレンド情報まとめ」といったありきたりなタイトルになりがちです。
ベネフィットを考える際は、メリットから得られる読者への恩恵をイメージすると良いでしょう。ホワイトペーパーを読めば、トレンド傾向をもとに最先端の技術やシステムを導入できるようになり、結果として業務効率の向上や課題解決に結び付くといったイメージです。
ベネフィットを意識することで、「業務効率化につなげたいマネージャー必見!最新トレンド10選」のように、読者の興味を引く魅力的なタイトルを設定できます。
3. タイトルを設定する
最後にペルソナの情報やベネフィットをタイトルに落とし込みます。
タイトルを設定する際は、複数の案を作成しA/Bテストを実施すると良いでしょう。A/Bテストとは、配信ページや資料の内容は変えず、タイトルのみが異なる2つのホワイトペーパーを用意する方法です。
AとBのホワイトペーパーを順番に公開すると、クリック率に差が現れます。最終的にクリック率の高いホワイトペーパーを採用すれば、見込み客を創出できる可能性が高まるでしょう。
A/Bテストは一度で終わらせず、繰り返しタイトルを変えて最適化することが大切です。
慣れないうちは、後述するテクニックを活用してタイトルを設定するのも方法のひとつです。
ホワイトペーパーのタイトル設定に役立つテクニック5選
ホワイトペーパーの作成経験が少ないうちは、「なかなか魅力的なタイトルが思い付かない」ということも多いでしょう。タイトル設定に悩んだときに役立つのが、人間心理を活用した次のテクニックです。
- カクテルパーティ効果
- バンドワゴン効果
- スノップ効果
- カリギュラ効果
- ザイガニック効果
ここでは、それぞれのテクニックの特徴や使い方をご紹介します。
1. カクテルパーティ効果
カクテルパーティ効果とは、自分の興味関心のあるものに対し、無意識に注目してしまう人間心理を活用したテクニックです。
ホワイトペーパーの施策を行う場合、「○○の活用ノウハウ」や「市場調査レポート」などの誰にでも当てはまるようなタイトルでは、読者の興味や関心を引くことは困難です。資料のダウンロードにつなげるためには、自分に対するメッセージだと読者に感じてもらうことが大切です。
例えば、「いつもプロジェクトの納期に追われているマネージャーの方へ」というメッセージには、納期遅れを解決しなければならない課題を、読者に自分事として認識してもらう意図が込められています。
カクテルパーティ効果を使ってタイトルを考える際は、ペルソナの属性や関心事、抱えている課題などを明確にする必要があります。
2. バンドワゴン効果
バンドワゴン効果は、多数の人に支持されているものを選びやすい人間心理を活用したテクニックです。具体的な数値を出して人気の高さをアピールしたり、著名人や権威性の高い人物を取り上げたりする方法があります。
ホワイトペーパーのタイトルとして使うのであれば、「ダウンロード数10万件突破」「医師監修」などが該当します。
BtoB企業の場合は、顧客にインタビューするのもひとつの方法です。見込み客がホワイトペーパーをダウンロードし、そこから課題解決や事業の成功に結び付いた場合、「○○社もダウンロードして成功を実感」といった権威性のアピールにつなげられるでしょう。
3. スノップ効果
スノップ効果とは、希少性や限定性を高めて行動意欲を喚起するテクニックです。期間限定商品やオーダーメイドなどに活用されるケースが多く、滅多に手に入らない、自分にしか入手できないという人間の欲求を刺激して購買意欲を喚起します。
ホワイトペーパーの場合は、世間に広まっていない特別な情報であることを訴求すると良いでしょう。「マーケターの90%が知らない事実」といったイメージです。
4. カリギュラ効果
カリギュラ効果とは、ある事柄を禁止されると、かえって強い興味や関心が湧く人間心理を使ったテクニックです。「絶対に押してはいけない」というボタンを見ると、押した後の状態や周囲への影響などが気になってボタンを押したくなるのは、カリギュラ効果の働きによるものです。
ホワイトペーパーにカリギュラ効果を活用するなら、「本気でマーケティングを成功させたいマーケター以外は閲覧禁止」といった表現が使えるでしょう。
ただし、インパクトが強いため、読み手によっては不快に感じてしまうケースもあります。活用する際は、ベネフィットと同時に訴求して表現を柔らかくする工夫が必要です。
また、商材や企業のブランドイメージとマッチしない場合もあるため、使いどころに注意すべきテクニックだといえます。
5. ザイガニック効果
ザイガニック効果は、あえて未完成の情報を伝えることで、読者の興味を高めるテクニックです。結果が明らかになっている事柄よりも、半端な状態で中断していることのほうが興味を持つ人間心理を活用しています。
例えば、Web広告のキャッチコピーのノウハウに関するホワイトペーパーを提供するとします。「わずか2週間でCVRを3倍へと向上させた方法」というように、あえてキャッチコピーのノウハウという情報を伏せることで、読者としては、その方法を知るまでモヤモヤとした気持ちになるでしょう。
その先を読みたい読者の意欲を醸成させた結果、クリック率の向上が見込めます。
ホワイトペーパーのタイトルを付ける際の注意点
ホワイトペーパーのタイトルを付ける際には、いくつか注意すべきポイントが存在します。実際にタイトルを設定する際に意識すれば、より魅力的な文面の考案が可能です。
具体性を付与する
ホワイトペーパーのタイトルには具体性を付与しましょう。あいまいなタイトルよりも、読者が自分事のように感じられる具体的なタイトルのほうが、相手の心に響きやすいからです。
タイトルに具体性を付与するには、5W1Hを意識することが大切です。
こちらは5W1Hを取り入れたタイトルの一例です。
- When(いつ):
「わずか1か月で」「来期までに」 - Where(どこで):
「プロジェクトチーム内の」「営業訪問先で」 - Who(誰が):
「プロジェクトマネージャー向け」「営業担当者用」 - What(何を):
「プロジェクト管理を」「訪問営業を」 - Why(なぜ):
「納期遵守率を向上するために」「効率化につながるよう」 - How(どのように):
「工程管理のコツ」「営業ノウハウを解説」
また、数字を含めて具体化させるのも一案です。「四半期ベースで」「納期遵守率が30%向上する」など、WhenやWhyの部分は数字を活用しやすいといえます。
読者の業務プロセスにも目を向ける
ホワイトペーパーのタイトルを考える際は、想定読者の課題を明確にし、その課題解決につながるような文言を設定しましょう。想定読者の課題を明らかにするためには、業務プロセスにも着目することが大切です。
例えば、プロジェクトマネージャーが想定読者だとすると、「開始・計画立案・実行・監督・完了」というプロジェクトにおける5つの業務プロセスが想定できます。
開始段階の予算案作成で悩んでいる読者に、計画立案段階の資金確保やコミュニケーション戦略のノウハウを提供しても課題解決にはつながりません。そのため、業務プロセスごとのよくある課題や悩みを可視化し、その部分へとピンポイントに訴求できるタイトルを設定しましょう。
タイトルと内容を関連付ける
ホワイトペーパーを作成する際は、タイトルと内容が異なってしまうケースも珍しくありません。
タイトルには「コールセンターの構築ノウハウ」と記載されているにもかかわらず、実際の中身はコールセンターの課題や便利なツールしか紹介されておらず、肝心のノウハウがわからないようなイメージです。
また、「おすすめのCMS6つを客観的に比較」というタイトルに対して、中身では明らかに、自社サービスを優遇するような比較方法を用いているといったケースもあります。
ホワイトペーパーのタイトルと内容に齟齬が生まれると、読者が騙されたような感覚を味わい、商品・サービスに対する信頼が揺らいでしまうかもしれません。
タイトル設定後は、執筆前に構成を作成し、タイトルと内容の整合性を確かめましょう。1人のライターに対して、複数のエディターやディレクターが目を通すことで、抜け漏れのリスクを抑えられます。
ホワイトペーパーの構成方法を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
テクニックを多用しない
前述した心理的なテクニックはタイトル設定に役立ちますが、多用しないよう注意が必要です。1つのタイトルに複数のテクニックを含めてしまうと、タイトルのなかで強調したい部分が不明瞭になってしまうからです。
テクニックはあくまでタイトルを考えるためのヒントにしかすぎません。大切なのはテクニックよりも、読者が抱えている課題やニーズを深掘りし、その部分にピンポイントでアプローチできる言葉を考えることです。
タイトル設定に関しては、心理的なテクニック以外に、ホワイトペーパーのサンプルを参考にするのも方法のひとつです。詳細はこちらの記事で解説しているので、興味のある方はご覧ください。
タイトル最適化でホワイトペーパーの成果を高めよう
ホワイトペーパーの施策を進めるうえで重要なのは、いかにコンテンツの内容を理解してもらい、商品やサービスに対する興味を持ってもらえるかです。ホワイトペーパーを読んでもらうためには、まずタイトルで読者の興味を引かなければなりません。
適切なタイトルを設定するためには、ペルソナや読者のベネフィットを明確にすることが大切です。今回ご紹介した5つのテクニックを適度に取り入れながら、魅力的な文面を考えましょう。
タイトルの設定方法を把握した後は、ホワイトペーパーのコンテンツを作成しましょう。ホワイトペーパーの作り方やダウンロード率を上げる方法に関しては、こちらの記事をご覧ください。