国内でも徐々にリモートワークが普及しつつある今、多くの企業がオンライン会議を実施するようになりました。
中でもWeb会議ツール「Zoom」の導入が進んでおり、この記事を読んでいる方は一度は利用したことがあるのではないでしょうか。非常に簡単に利用できる一方で、「どのような機能があるのかわからない」「十分活用できていない」などの課題を抱えている方は多いかもしれません。
今回はZoomの基本的な使い方や便利機能や導入メリット、他のツールとの比較をご紹介します。
便利機能の1つである「ツールとの連携」については、連携メリットや連携方法についても簡単にご紹介していますので、Zoom活用に悩まれている方はぜひ参考にしてみてください。
Zoomとは?
ここではZoomの基本や歴史、使用時に必要なものについてご紹介します。
Zoomとは
Zoomは、パソコン、スマートフォン、タブレットなど様々なデバイスに対応する、Web会議ツールです。これまでオフラインで実施していたミーティングやセミナーをオンラインでも問題なく実施できるよう、多彩な機能が実装されています。
Zoomはアメリカの企業Zoom Video Communications, Inc.によって運営されているツールで、2013年からサービスがスタートしています。
2020年、世界的にリモートワークが拡大していく中、使いやすいインターフェイスや登録なしでも参加できる手軽さなどからユーザーが急増、2020年4月には1日あたりの会議参加者数が重複ありで3億人を突破しました。
出典:strainer
ZoomはWeb会議のゲストはログインなしで参加できますが、アプリをインストールすることで多くの便利な機能を利用できます。
Zoomのインストール手順については、以下の記事をご覧ください。
ZoomのPC版・アプリインストール方法を解説
他のWeb会議ツールとの比較
Zoom以外にもWeb会議ツールは多く登場しており、機能性がそれぞれ異なります。今回は数あるWeb会議ツールの中から、Skype・Microsoft Teams・Google Meetとの比較をご紹介します。
Skype(Meet Now)との比較
Skypeは有名なメッセンジャーアプリですが、Meet NowというWeb会議ツールをリリースしており、Zoomと同じようにオンラインで会議などが行なえます。
無料版の最大参加人数はZoomが100人、Skypeが50人と、Zoomに分があります。会議のゲストがログイン不要で参加できる点、アプリがなくともブラウザで参加できる点は共通です。
一方、Zoomの無料版では3人以上の会議に40分の制限が設けられていますが、Skypeにはこのような制限はありません。
Microsoft Teamsとの比較
Microsoft Teamsはビジネス向けチャットツールの1つであり、Web会議ツールとしての機能も備えています。
無料版の最大参加人数はZoomが100人なのに対し、Microsoft Teamsは300人とかなり多くなっています。カレンダーとの連携や会議中の背景ぼかし・背景変更が利用できる点は共通です。
一方でMicrosoft TeamsはZoomの無料版で可能な録画が有料版でないと行えず、ゲスト参加者もログインが必要となります。
Google Meetとの比較
Google Meetは、ハングアウトのグループビデオ機能が独立したようなサービスで、Web会議ツールとして様々な機能が利用できます。なお、ハングアウトはサービスを終了する予定です。
Zoomはブラウザだけでも会議に参加できる特徴がありますが、Google Meetはブラウザがメインのサービスであり、ブラウザからすべての機能を使用できる点が特徴です。無料版の最大参加人数が100人である点、カレンダー連携ができる点は共通です。
一方、Google Meetでは背景ぼかし・背景変更ができず、挙手やリアクションといった機能には制限があります。
下の図は、今回比較した3つのツールの無料版の機能を表にしたものです。どのツールを導入するか検討する際の参考にしてください。
Zoomの無料版と有料版の違い、有料プランの詳細については、以下の記事もあわせてご覧ください。
Zoom無料プランと有料プランの違いは?それぞれ特徴を解説
Zoomを活用するメリット
Zoomを使用することで得られる4つのメリットをご紹介します。
- ライセンスなしでミーティング参加可能
- Web会議に最大1,000人まで参加可能
- 通信の安定性
- 様々なツールと連携できる
1. アカウント登録ライセンスなしでミーティング参加可能
Zoomの場合、参加者はアカウント不要でURLをクリックするだけで会議に参加できます。
参加するだけであればアカウントは不要ですが、アプリをダウンロードし、アカウント登録しておくと様々な機能を利用できます。今後Zoomを活用していきたいと考えているのなら、アカウント登録しておくことをおすすめします。
Zoomには無料プランと有料プランがあり、まずは無料プランで登録してみると良いでしょう。無料でも以下のような機能を利用できます。
- 1対1の通話は制限時間なしで利用可能
- 画面共有やファイル送信が可能
- 100人までの参加が可能
2. Web会議に最大1,000人まで参加可能
有料プランの場合は最大1,000名、無料プランでも100名まで参加できる会議を開催できます。
無料プランの場合、1対1であれば時間無制限ですが、3名以上参加する場合は最大40分までという制限がつきます。
オンライン会議やウェビナーの規模に合わせて柔軟に対応できる強みがあります。
3. 通信の安定性
Web会議ツールを使っている時に一番問題になるのは、途中で接続が切れてしまうことではないでしょうか。
Zoomは比較的データ通信量が少なく、通信が安定する傾向にあります。
上記以外にも、録画機能や多様な画面共有機能など、会議のスムーズな進行に役立つ便利な機能が多数揃っています。
4.様々なツールと連携できる
Zoomは様々な外部ツールと連携して使える点も特徴です。
連携できるツールには、GoogleカレンダーやDropbox、Slack、HubSpotなどがあります。これらの連携方法については、後に詳しく解説します。
これらの機能性のまったく違うツールを連携させることのメリットは、作業の手間を省ける点にあります。
例えば、Zoomで会議を行うためには参加者にURLを通知する必要がありますが、Googleカレンダーと連携すればスケジュールに自動で追加することで手間を減らせます。
Zoom利用時に必要なもの
Zoomを使う際に必要なのは以下の3つです。
- インターネット回線
- 接続デバイス(スマホまたはパソコン、タブレット)
- Webカメラやカメラ内臓のノートパソコン(映像を表示する必要がなければ不要)
Zoomのインストール方法
Zoomはブラウザ上で動作するため、参加者側であればZoomアプリのインストールは不要です。
開催者側の場合はアプリは必須で、参加者側の場合でもアプリをインストールすることでアプリ限定の便利な機能が利用可能になります。
パソコン版アプリをインストールするには
PCにアプリをインストールする際は、以下の3ステップを踏めば完了します。
- 公式HPからクライアントアプリをダウンロード
- インストーラーをダウンロード
- アカウントの作成
Zoomのダウンロードページで「ダウンロード」ボタンをクリック。
ダウンロード完了後、インストーラーを起動するとインストールが始まります。
インストール完了後は、Zoom公式サイト上でアカウント登録を行います。
Zoom公式サイトのページ右上に表示されている「サインアップは無料です」ボタンをクリックし、登録を完了させましょう。
スマホ版アプリをインストール
スマートフォンでZoomのアプリをインストールする場合は、2ステップで完了します。
- アプリをダウンロード
- アカウントの作成
iPhoneの場合はAppStoreから、Androidの場合はGooglePlayからZoomアプリを検索します。「Zoom」と検索して「Zoom Cloud Meetings」をダウンロードしてください。
アカウント作成は、パソコンと同様、公式サイトから行います。右上のメニューの一番下の「サインイン」をタップし、アカウント登録を進めましょう。
Zoomアプリのインストール方法についてより詳細に知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ZoomのPC版・アプリインストール方法を解説
Zoomでよく利用する主要機能
Zoomの主要機能は以下の7つです。
- Web会議
- チャット
- ファイル送受信
- 画面共有
- Web会議の録画
- ビジネスアプリ連携(有料プラン)
- ウェビナー
各機能について詳しく見ていきましょう。
1. Web会議
Zoomでは1度に最大1,000人まで会議に参加可能です。そして、最大49箇所のWebカメラの映像を画面上に表示できます。
全てのWeb会議に対して暗号化を実施し、パスワードによる保護、部外者の参加防止を行える待機室などによりWeb会議の安全が確保されます。
Web会議はローカル端末やクラウドへ記録することができるため、別途録音機材を用意する必要もありません。
2. チャット
Web会議をしながら文字情報でのやり取りができるのがチャット機能です。
リアルタイムで参加者の反応が見えたり、プレゼンターへ質問しやすくなるという特徴があります。
チャットは1対全員でもできますし、1対1の個別チャットでも可能です。
チャットは履歴として保存できるため、会議後の議事録をまとめる際にチャットログを見返すことも可能です。
3. ファイルの送受信
Web会議をしながらファイルの受け渡しも可能です。
会議中にファイルを受け渡したい時には、他の参加者にPDFやパワーポイントなどのファイルを以下で手順で送信することができます。
【ファイルの送信手順】
- Zoomのチャットを開き、画面右下の「ファイル」から「ミーティング内でファイルを共有する」を選択します。
- ファイルの送信元は自分のパソコンやDropbox、OneDrive、Google Driveなどから自由に選ぶことができます。今回は自分のパソコンから送信すると仮定して「コンピュータ」をクリックします。
- パソコン内のファイルを選択し、送信します。
4. 画面共有
Zoomではお互いのパソコンやスマホの画面を共有しながらWeb会議が可能です。
パソコンのアプリ上で「画面共有」アイコンをクリックすると、共有ウィンドウを選択することができます。
共有可能なのはデスクトップや開いているブラウザの画面、自身が持つスマートフォンの画面(接続する必要あり)などです。
Zoom上で利用できる「ホワイトボード」を共有する機能もあり、選択すると参加者が自由にテキストやイラストを書き込めます。
YouTubeを端末で再生し、その映像と音声を共有したい場合は「コンピューターの音声を共有」のチェックボックスにチェックしましょう。
「画面を共有」アイコンの右にある「^」アイコンをクリックすると、オプションメニューが表示されます。
「同時に1名の参加者が共有可能」がデフォルトで設定されており、「複数の参加者が同時に共有可能」に変更すると、一度に複数の参加者が画面共有できる状態になります。
「高度な共有オプション」では、画面共有できるのはホストのみなど、権限を制限する設定を行えます。
画面共有の詳しい使い方については、以下の記事を確認してみてください。
Zoomで画面共有する方法とは?会議・プレゼンで便利機能を使いこなそう
5. Web会議の録画
ミーティング中に画面下記にある「レコーディング」ボタンをクリックすると、録画が開始されます。
録画の種類には以下の2種類があります。
- クラウド記録 :Zoom Cloudに記録
- ローカル記録 :パソコンのハードディスク内に記録
スマホはアプリのみ、パソコン版ではブラウザとアプリでZoomを利用でき、それぞれに利用できる録画機能には違いがあります。
クラウド記録を利用する場合は、容量に注意しましょう。
有料プランの最初の段階では、ストレージ容量は1GB、大体3−4時間程度録画可能です。残りのストレージ容量を意識しながら、定期的にデータ整理しましょう。
録画機能の詳しい使い方はこちらの記事を確認してみてください。
6. 他ツールとの連携
ZoomはSlackなどと連携可能です。Slackを使用中に簡単な操作でZoomミーティングを開始することができます。
2つのアプリを連携するためには、以下全ての条件を満たす必要があります。
- ZoomアカウントとSlackアカウントで同じメールアドレスを使用
- Zoom Pro、Business、Education、APIのいずれかのプラン
- ZoomでSlackを承認済み
また、HubSpotとも連携可能です。
例えば、HubSpotのミーティングリンク機能と連携させると、以下のような流れで、ミーティングの設定を非常にスムーズに進められます。
- 自身が発行したミーティングリンクを先方に送付
- 先方がリンクからミーティングを予約した時点でZoomのURLが自動生成される
- 先方・自分双方にミーティング日時、ZoomURLが通知される
頻繁にオンライン会議を実施する方にとっては便利な機能でしょう。
ちなみに、HubSpot無料で利用できるので気になる方は試してみてください。
7. ウェビナー
ウェビナーはウェブとセミナーを組み合わせた造語で、オンライン上で行うセミナーを意味します。
Zoomの機能の1つである「ビデオウェビナー」のメリットは以下のとおりです。
- 最大10,000人を招待できる
- 参加側の発言はホスト側で制御可能
- チャットでのQ&A対応ができるため、双方向のコミュニケーションを実現できる
ウェビナー機能の使い方や料金などの詳細については、以下の記事をご確認ください。
Zoomでウェビナーを開催するには?メリットや利用手順を解説
Zoomと他のツールを連携する方法
Zoomは先にもご紹介したように、外部ツールと連携し、より便利に使える点も特徴です。
ここでは、Googleカレンダー、Dropbox、Slack、TimeRex、HubSpotとの連携方法をご紹介します。
Googleカレンダーとの連携方法
Googleは様々なWebツールを提供しており、Gメール、Googleカレンダー、Gドライブ、ドキュメントなどのツールを利用できます。
ZoomではGoogleカレンダーやGドライブと連携が可能です。
ここでは、Googleカレンダーとの連携方法についてご紹介します。
Googleカレンダーとの連携メリット
ZoomとGoogleカレンダーを連携させると、ZoomからWeb会議のスケジュールを作成することが可能です。
ZoomだけではWeb会議のURLを発行し、参加者に通知する必要がありますが、Googleカレンダーと連携すれば参加者はスケジュールからクリックするだけで会議に参加できます。
連携の手順
ZoomとGoogleカレンダーを連携させるには、Zoomの管理画面の「プロフィール」ページから「カレンダーと連絡先のサービスを構成」をクリックします。
次にサービス選択から「Google」を選択し、連携させるカレンダーのGoogleアカウントを選択、ZoomからGoogleへのアクセスのリクエストを承認すれば連携は完了です。
Dropboxとの連携方法
Dropboxは、代表的なオンラインストレージサービスの1つです。
無料でも2GBのオンラインストレージを使用でき、ビジネス向けプランでは大容量ストレートや高度なセキュリティなどの機能を利用できます。
Dropboxとの連携メリット
ZoomとDropboxを連携させると、Dropboxに保存してあるファイルを簡単にZoomに取り込むことができ、Web会議の参加者に共有できます。また、Zoomの録音・録画データをDropboxにも同時に保存することが可能です。
DropboxからZoomのWeb会議を開始することも可能で、ファイルの共同作業者同士で素早く意思決定を行うことが可能です。
連携の手順
ZoomとDropboxを連携させるには、Dropboxにログインした状態でこちらのページにアクセスし、「Zoomとリンク」をクリックします。
このようなダイアログボックスが出てくるので、アクセスを許可など手順に従って進んでいけば連携は完了します。
Slackとの連携方法
Slackは、代表的なビジネスチャットツールの1つです。社内のチームや取引先とグループを作ってチャットベースのやり取りをすることができます。
Slackとの連携メリット
ZoomとSlackを連携させると、SlackからZoomのWeb会議を開始することができるため、チャットでの会話からシームレスに会議に移ることが可能です。
また、ZoomのWeb会議がスケジュールされている場合、Slack上から参加者に通知してすぐに参加してもらうことができます。
連携の手順
連携させるには、まずZoomからSlackを承認します。ZoomのマーケットプレイスにSlackがあるので、「Visit site to install」から事前承認します。
次にSlackのワークスペースにZoomアプリをインストールします。こちらのページをクリックすると上記の画像のページにアクセスできるので、「Slackに追加」をクリック、ZoomからSlackへのアクセスを許可します。
Slackのワークスペースを開き、左のサイドバーから「Zoom」を選択、「Authorize Zoom」をクリックしアクセスを許可すれば連携は完了です。
TimeRexとの連携方法
TimeRexは、日程調整を自動で行うことができるビジネス向けのツールです。
Googleカレンダーなどと連携して日程調整が行える他、会議の日程の調整、移動時間の調整なども行えます。
TimeRexとの連携メリット
ZoomとTimeRexを連携させると、TimeRexの日程調整ページからZoom会議設定を行うことができ、調整が完了すると自動でZoomのURLが発行されます。
また、このURLはTimeRexで表示される他、連携したカレンダーにも表示されるため、参加者と日程調整後にスムーズにWeb会議を開始することが可能です。
連携の手順
ZoomとTimeRexを連携させるには、TimeRexにログインした状態でこちらのページにアクセスし、「連携する」をクリックします。
次のページでZoomアカウントへの「認可」をクリックすれば連携完了です。
Zoomからの事前承認がまだの場合も、このページから事前承認を取り、認可することができます。
HubSpotとの連携方法
HubSpotは、無料で利用できるCRMを起点に、ビジネスを成長させるための様々なツールを提供しています。
HubSpotとの連携メリット
ZoomとHubSpotを連携させると、Zoomでウェビナーを行った際その参加者を自動でHubSpotのコンタクト情報に追加できます。
登録されたコンタクト情報は、ウェビナーの参加数や出席時間などでセグメントできるため、各ユーザーに合わせたきめ細かなアフターフォロー、ナーチャリングを実施できます。
また、HubSpotはGoogleカレンダーとも連携でき、Web会議を予約すれば参加者への通知までのフローをほとんど自動化できます。
連携の手順
ZoomとHubSpotを連携させるには、HubSpotのスーパー管理者権限、Zoomの管理者権限が必要ですが、手順はとてもシンプルです。
まずは、HubSpotからマーケットプレイスのページに入り、「アプリマーケットプレイスにアクセス」をクリックします。
検索からZoom連携を探し、「Zoomに接続」をクリックしてZoomにサインインし、アクセスを許可すれば連携は完了です。
ZoomとHubSpotの詳しい連携手順については、以下のページをご覧ください。
まとめ:Zoomの基本を理解し、積極的に活用してみよう
Zoomはオンライン会議やウェビナーなどビジネス用途に特化しており、従来のオンラインチャットツールなどに比べるとスムーズに会議を進められる機能が充実しています。
機能は豊富にありますが、全てを使おうとする必要はありません。画面共有のバリエーションを1つずつ確認してみて少しずつ理解を広げ、会議の目的に合わせて適宜機能を使い分けられるようにしておきましょう。
Zoomは、オンラインでも円滑にコミュニケーションできるようよく配慮されたツールです。目の前にいる参加者と限られた時間でいかに有意義な議論ができるのか、模索しながらZoomを活用していきましょう。