昨今、さまざまなマスメディアで盛んに取り上げられ、たびたび話題になる「AI」。2000年代前半は一部でしか認知されていない専門用語でしたが、現在はビジネスシーンだけでなく、私たちの生活全般にも浸透してきました。

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しかしAIは具体的な実体がある"モノ”ではなく、仕事でも直接的に関わる機会が少ないことから、本質やその意味についてなかなか理解されていないのが現状です。実際、「AIに仕事を奪われる」といった不安を煽るメディアの論調もあり、AIが何か得体のしれない脅威や魔法のように捉えられることもあります。

本稿では、そもそもAIは何ができる技術なのか、最新の技術トレンドやビジネスでの活用事例をご紹介しながら、今知っておくべき「AI」について解説します。

AIの定義とその歴史

AIの定義とその歴史とは?

AIとは「アーティフィシャル・インテリジェンス」の略で、日本語にすると「人工知能」と訳されます。一般的には、「コンピュータ上に人間のような知能を再現する技術」と定義されており、単純な計算ではなく、人間の脳のように創造的なアウトプットができる技術やシステムのことを指す場合がほとんどです。

ただ、どこからが「創造的」であるかといったAIの定義には明確な基準がありません。開発、提供している企業や組織がAIか否かの判断を行っており、そのことがより一層AIの実態をあいまいにしてしまっている要因となっています。事前にインプットしたビッグデータを解析、自己学習し、プログラムしていた計算以上のアウトプットが出せることがAIだと言えるでしょう。

AIという言葉が生まれたのは1960年代と実は古く、アメリカの研究者を中心に盛んに研究されていました。しかし、当時の技術力では一般的なサービスに活用できるほど複雑な処理を行うことが現実的ではありませんでした。現在、AIがここまで発展できたのは、コンピュータの情報処理技術の発達と、サーバーを分散してクラウド上でより大量のデータ、つまりビッグデータを集めることが可能になったこと、そしてディープラーニングの登場が背景にあります。

AIを考える上で抑えておきたい、機械学習との違いとは?

AIを考える上でよく混同されがちな言葉の1つが「機械学習(マシンラーニング)」です。機械学習とは、インプットされたデータから一定の規則(パターン)や法則(ルール)を、コンピュータ自身が抽出する技術のこと。この技術によって、コンピュータはインプットされた計算処理以上のアウトプットができるようになり、文字通り"人間の脳のように自分で考える”ことが可能になりました

この技術の登場により、コンピュータは過去のデータの中から自分で弾き出した法則を適用させることで、未知のデータに対しても分析、適切なアウトプットができるようになったのです。簡単に言い換えると、「データを自己学習し、整理・分類することで、将来を予測するもの」となります。

「機械学習」はあくまでAIが稼働するための必要な要素の1つです。この機械学習の普及によってAIの研究は加速度的に進み、私たちの生活やビジネスにAIが活用できる水準に達したとされています。その結果、現在のいわゆる“人工知能ブーム”が生まれ、日本だけでなく世界的な社会現象になっているのです。

機械学習(マシンラーニング)と深層学習(ディープラーニング)の違いとは?

機械学習(マシンラーニング)と深層学習(ディープラーニング)の違いとは?

数年前から少しずつ認知が広がりつつある「ディープラーニング」も、AIを考える上で抑えておきたいワードの1つです。「機械学習(マシンラーニング)」と対比して「深層学習」と呼ばれており、機会学習の手法の1つとされています。ディープラーニングとは、人間が手を加えていない未加工のデータ(ビッグデータ)から、コンピュータが自動的にその特徴やパターンを発見する技術のことです。

機械学習で適切なアウトプットを期待するためには、丁寧にデータを加工してあげることが重要だと研究者も考えており、機械学習の実装にはデータの加工もセットになっていました。そのため、データの加工にリソースを割いてしまう関係上、一度に処理できる情報量には限界があったのです。しかし、人がデータを加工せずともコンピュータ自身がその特徴やパターンをデータの中から見つけることができるようになり、アウトプットの精度がこれまでの機械学習を大きく上回るようになるという恩恵がもたらされました。

AIのメリットとデメリットは?得意領域と苦手領域を理解しよう

AIのメリットとデメリットは?得意領域と苦手領域を理解しよう

それでは、AIを私たちの生活やビジネスに導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか。

AI導入のメリット

AIは大量のデータからパターンや判定技術を弾き出し、新しいデータを「分類」することに長けている技術であるため、物事をより効率化できるメリットがあります。ビジネスシーンで一例を挙げると、社員のパフォーマンスや業務評価を効率化することができます。これまでの社員の評価は、主に人事が一人ひとりの情報と面談の内容などを参考に、人の目と手で人事評価を行なっていました。

しかし、人が処理できる情報量に限界があり、会社の規模が大きくなるにつれて、人の手だけによる社員評価は現実的に不可能になります。そこで、AIを活用したツールやシステムを導入することで、一人ひとりの売上や出勤時間、能力やスキル、人事のヒアリング結果などのデータを分類、そして分析することでより効率的に人事評価を行うことが可能になるのです。

AI導入のデメリット

一方で、不得意な分野もあります。その1つが事前の情報なしで、0(ゼロ)から新しい法則やアウトプットを出すことです。大前提として、人が情報をデータとしてAIに与えることが必要になり、そこで初めて自己学習することができます。人工知能は人の脳をコンピュータで再現しているため、人に例えると分かりやすいでしょう。

アーティストは生まれながらにしてアーティストではなく、その人生経験や蓄積したスキルを元に創作活動を行い、アート作品を生み出しています。これはAIも同じことで、一定以上の基準を満たしたアウトプットを出すためには、相応のインプットが必要になるのです。そのため、情報がまだ少ないサービスや分野にAIを導入するのはコストばかりかかってしまい、デメリットになることもあります。

もう1つの不得意な分野とは、「正解」を導き出すこと。事前に情報をインプットしていたとしても、その量が足りていなかったり、その情報にムラがある場合アウトプットに偏りが出てしまったり、期待していたアウトプットが出てこない場合があります。

AIができることはあくまでも情報を分類、整理し、「予測」をすることです。天気予報と同じく、過去の情報から確からしい予測をすることができますが、もちろん外れることもあります(AIはこの外れた場合の情報も学習することができることが強みの1つでもあります)。従って、そのAIを管理している人が、そのアウトプットをもとに最終的な判断を下さなければならないというデメリットがあるのです。

AIを活用する3つの企業事例

各業界におけるAIを活用した新しいビジネスモデルの実践例をいくつかご紹介します。

製造における事例:株式会社MUJIN

産業向けモーションプランニングAI技術をもとに、知能ロボットコントローラ「MUJINコントローラ」を中心とする高付加価値自動化ソリューションを提供している会社が、株式会社MUJINです。

MUJINのモーションプランニングAIとは、ロボット自身に動作を考えさせるというモーションプランニング技術。従来のロボットは、ティーチング(プログラミング)をしないと動かない、逆に言うとティーチングをされた動作を忠実に繰り返すことがロボットの定義とされてきましたが、この技術によって人の手によるマニュアルティーチング作業はもはや必要がなくなります。

小売における事例:エアクローゼット

エアクローゼットとは、プロスタイリストがコーディネートした洋服を借りることができるサービス。「何を着れば良いのか分からない」「服を選ぶ時間がない」といった忙しい女性の悩みをパーソナルスタイリングで解決しています。

エアークローゼットでは、AI開発専門チーム「データサイエンスチーム」を社長室直下に設立。独自のオンラインシステム「スタイリング提供システム」で顧客のスタイリングデータを一元管理、およそ2,000万を超える膨大なデータを蓄積することで、AIがレコメンドした洋服の中からスタイリストがお客様にスタイリングを提案するというサービスを実現しています。

医療における事例:メドメイン

同社が提供する「PidPort」は、独自のディープラーニング技術により画像化した細胞や組織から短時間でAIが解析し、超高精度に病変の検出を行うというもの。医療機関から送られてきた組織や細胞のスライド標本をスキャナーに読み込ませ、高精度なデジタル画像に加工し、AIによるデータ解析を行っています。

AIで人の仕事は本当に奪われるのか?

AIで人の仕事は本当に奪われるのか?

ここ数年、頻繁に話題に上がるのが「AIによって人の仕事が奪われる」というテーマ。皆さんも一度は見聞きしたことがあるはずです。不安を煽るような論調が多いのですが、人の仕事は変わりこそするものの、全てが置き換えられることはありません。前述の通り、AIには不得意な分野があり、人の仕事とうまく補完しあっていくことが大事なのです。

特に創造的な0から何かを生み出すような仕事や、そもそもAIを生み出す仕事、そしてAIのアウトプットを最終的にチェックし、サービスに活かすために変換する仕事などはまだまだ人間が担うべきです。何より、自社の顧客に対してどれだけ価値を提供できるかは、自分たちで考えなければいけません。

今後、これまでAIを活用してこなかった業界や業種でも、さまざまな形で関わってくるでしょう。その際に大事なことは、AIを正しく理解し、正しく活用すること。AIは人間の仕事を奪う敵でもなければ、何でも解決できる魔法の杖でもありません。自社のデジタルシフトを推進するための1つの手段と認識しましょう。AI導入に業務効率化を推進できれば、顧客へ提供する価値を高めるための、創造的な業務に集中できるようになるはずです。

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元記事発行日: 2020年8月03日、最終更新日: 2020年8月04日

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