企業ではさまざまな職種でExcelが活用されており、これまで触ったことがなくても活用する必要性が出てくることがあるでしょう。
【初心者向け】Excelでの表作成や関数が学べる基礎ガイド
基本的な操作方法から、表やグラフ、利用頻度の高い関数の活用方法を初心者でもわかりやすいよう解説。
- シートの操作方法
- 関数の使い方
- ピボットテーブルの活用方法
- 実践用Excelテンプレート
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全てのフィールドが必須です。
そんなExcelの基本中の基本ともいえるのが、表の作成です。
Excelで見やすい表を一から作成するのは、初心者にとってはハードルが高いと感じるかもしれません。しかし、基本の仕組みを理解すればいくらでも応用がきくため、必ず押さえておきましょう。
本記事では、Excelで表を作成する方法を初歩から丁寧に解説します。基本的な操作方法や見栄えの改善方法まで紹介するので、Excelを使った経験がない方もぜひ挑戦してみてください。
Excelで表を作り始める前にやっておくべき設定
Excelは設定を変えることで、自分好みの操作感にカスタマイズし、使いやすくすることができます。表を作り始める前には、一度設定を見直しておくことをおすすめします。
以下にご紹介する設定は、デフォルトで設定されていることもありますが、始める前に確認しておきましょう。
1. オートコレクトのON/OFF
オートコレクトとは、入力内容が間違っていた際に自動的に修正する機能です。例えば、英単語のスペルが間違えていた際に修正されるなど便利ですが、頭文字を大文字にしたくないときにも大文字に修正されるなど、意図しない修正が行われることもあります。
オートコレクトをOFFにするには、上記と同じ手順でオプションを開き、「文章校正」に進みます。
「オートコレクトのオプション」をクリックすると詳細設定へ進むので、使いたくない項目からチェックマークを外し、「OK」をクリックすると設定完了です。
2. 自動保存
Excelでは「名前を付けて保存」や「上書き保存」を自身の操作で行いますが、自動保存機能を使用することも可能です。自動保存をONにしておけば、万一のときに作成したデータを失わずに済みます。ただし、自動保存はあくまで保険と考え、こまめに保存する習慣をつけるのがおすすめです。
自動保存を利用するには、オプションから「保存」へ進み、「次の間隔で自動回復用データを保存する」にチェックが入っていることを確認します。ここで自動保存の間隔を設定できる他、保存場所を設定することも可能です。
【基本】Excel表の作り方
まずは表の中身となる、見出しとデータを入力するところから始めましょう。罫線や色などの見た目は後から整えるとスムーズです。
実際のExcelの画面を参照しながら、基本的なExcelの表の作り方をご紹介します。
1. タイトル・見出しを記入する
今回は、営業部の売り上げ成績表の作成を例に解説します。縦に名前、横に月を並べて、各営業員が何月にいくら売り上げたかがわかる表を作成しましょう。
- まずはタイトルと見出しを作成して、データ入力の前準備を行いましょう。 表の内容がわかりやすいようタイトルを入力します(B2)。今回は「営業二課売上成績」とし、B列に4名の名前を記入しました。
- 列の見出しとして、C4に「4月」と入力します。
- C4を選択した状態でセルの右下にカーソルを合わせると、下図のようにカーソルが黒十字になります(※下図はわかりやすく大きくしています)。この状態で、右にドラッグしながら引っ張ります。
- 7月まで自動で入りました。このように黒十字カーソルで自動入力する操作を「オートフィル」といいます。
2. データを入力する
表の枠組みができたら、中身の入力に移ります。
オートフィルとは、行内や列内において、規則的な内容を入力したい場合に自動で埋めてくれる機能です。
例えば、「同じ内容を入力する」「1、2、3…と入力する」「1月1日、1月2日…と日付を入力する」などの操作を自動で行えます。次のフェーズである関数もオートフィルでコピーできます。
3. 関数で計算する
関数とは、Excelで使用できるさまざまな計算式のことです。合計・平均を出すといったシンプルなものから、表の中から特定の数値を抽出する、条件に合う数値だけを合計するなどの複雑な関数もあり、組み合わせることでさらに多くのことができます。
Excelの表作成でよく使用する関数が「合計」です。
合計は一つひとつ電卓を使わなくても、SUM関数(指定したセル範囲の数値の合計値を求める関数)を使うと簡単に求められます。
営業員ごとの4月~7月の実績合計を表示する列を追加し、SUM関数で計算してみましょう。
- まず佐藤さんの合計から求めます。G5に「=SUM(」と入力してください。
- その状態で、合計値を求めたいセル範囲をドラッグして指定します。(C5〜F5) 入力中の関数に、自動で「C5:F5」と入力されるのを確認したら、Enterキーを押しましょう。
- 合計した数値が表示されました。
- そのまま、田中さん~加藤さん分の合計も入力しましょう。上記にてご紹介したオートフィルで下にドラッグすることで、同様の関数が自動でコピーされます。
Excelの便利な関数をもっと知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
4. 表を装飾する
Excelの表は、背景色やフォントなどの見た目を細かく整えることで見栄えよく仕上がります。
会社では自分が作ったExcelファイルを上司や他の社員、お客様などに共有する機会もあるので、誰にでも見やすい表を作ることを心がけましょう。
一例として、具体的な工程を紹介します。必要がないフローはスキップしてもかまいません。作成したい表にあわせて調整してみてください。
ここでは、次の作業を実際にやってみます。
- タイトルの文字を大きくする
- 見出しの色・太さを変える
- 列・行の太さを整える
- 見出しの文字の配置を変える
- 表示形式を変える
タイトルの文字を大きくする
タイトルは大きめの文字が見やすいです。タイトルを入力したセル(B2)を選択し、[ホーム]タブ内の「フォント サイズ」から大きさを変更しましょう。今回は「16」に設定しました。
見出しの色・太さを変える
見出しであることが区別しやすいよう、色と文字の太さを変えて強調しましょう。
まず見出しを選択した状態で「塗りつぶしの色」からの任意の色を選択し、色を変更します。濃い色を選ぶのがおすすめです。「その他の色」からさらに細かく色を選択することもできます。
背景色を暗い色にしたため、文字が読みやすいように「フォントの色」から文字の色を白に変更します。
「太字」にしてさらに強調しましょう。
列・行の太さを整える
入力した内容にあわせて、列と行の太さを整えましょう。同じ要素の列・行は太さを揃えると、しっかり見やすい表になります。
列番号、行番号の間にカーソルを合わせてドラッグすることで幅を調整できますが、均等にするには下図のようにまずC列~G列を範囲選択します。範囲選択は、列番号にカーソルを合わせてドラッグすることで行えます。
この状態でいずれかの列の幅を変えると、他の列も同じ幅に変更されます。
右クリックから「列の幅」を選択し、数値で指定することでも幅を揃えることができます。
行の幅も同様に調整しました。列・行いずれも、文字より少し太くすることで数値が見やすくなります。
見出しの文字の配置を変える
左寄せになっている見出しの文字を中央揃えにすると、より整って見えます。見出しのセルを選択後、ホームタブから「中央揃え」を選択しましょう。
「中央揃え」が使われることが多いですが、左揃え、右揃えの設定もできるので、見やすいよう調整してください。
行の幅を太くしている場合、上下の配置も調整できます。数値が並ぶデータリストの場合、下揃えで視認性が増すことがあります。
表示形式を変える
セル内の文字は「どのように表示するか」を変更することができます。Excelでは、主に数値や日付において任意の表示形式に変更します。
数値を扱う場合は、3桁ごとに区切りのコンマを入れるとかなり見やすくなります。3桁区切りを入れるには、変更するセルを範囲選択した状態で下図のコンママークをクリックします。
他にもこのような表示形式があるので、データに合わせて選んでみましょう。
5. 罫線を引く
Excelで作成した表は、罫線を引くことで全体のバランスが整います。下記の流れで設定しましょう。
なお罫線は表を装飾しながら引いてもよいですが、あとから列・行を追加したいとなったときに引き直しとなるため、できるだけ最後に引くのがおすすめです。
- 罫線を引きたい範囲(B4~G8)を選択した状態で、ホームタブの「罫線」の横にある下向きの矢印をクリックします。罫線の選択肢が出てくるため、ここでは「格子」を選びます。
- このように罫線を引いて見やすくなりました。ただ、デフォルトでは黒の実線しか引けないため、ここではもう一歩踏み込んでみましょう。
- 罫線のメニューから、一番下の「その他の罫線」をクリックします。
- このように罫線メニューが現れます。ここではいったん、変化が見やすいように色を水色にし、「プリセット」から外枠・内枠を選択して格子にしました。罫線メニューでは、線のスタイルを変えたり、罫線の引く位置を細かくカスタマイズしたりできます。
- 水色で引くと、このように見た目が変化しました。 実際には、黒より薄めのグレーを使うと表が見やすくなります。
6. フィルター機能を追加する
Excelの表は「フィルター」機能を活用することで、データの整理整頓がしやすくなります。表の中に入力した多くのデータのなかから条件を満たすものだけを表示させたり、降順・昇順に並べ替えたりといったことが可能です。
- フィルターをかけたい表全体を選択し、「並べ替えとフィルター」から「フィルター」を選択します。
- 指定した範囲に「▼」のマークがつけばフィルター設定が完了です。
- 「▼」から条件を指定することで、データを任意の条件で絞り込めます。下図では、「実績合計」の列の▼から「降順」を選択しました。
- 実績の多い順で並べ替えられ、田中さんと加藤さんが入れ替わっています。
フィルター機能について詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。
【応用】Excel表の作り方
ここまでExcelの表の作り方、基本の操作をご紹介しました。
応用として、さらに表をわかりやすくする方法をご紹介します。
- 縞模様になるよう行を色分けする
- テーブルを利用してみる
- 書式設定を使いこなす
- グラフを挿入する
- 印刷範囲の設定
いずれも初心者の方でも簡単に取り入れられるので、ぜひ試してみてください。
1. 縞模様になるよう行を色分けする
表のデータが増えると、データ同士が同一の行にあるのかが、一見してわかりづらくなってきます。1行ごとに背景の色を分け、縞模様にすると行の区別がしやすくなるでしょう。
1行ごとに設定すると時間がかかりますが、簡単に色分けするには次にご紹介する「テーブル」が便利です。一方で、「テーブル」は色もふくめすべてを一括で変更する機能のため、行の色だけを変えたい場合は「条件付き書式」を使用します。
条件付き書式はExcelを始めたばかりだと難しいかもしれませんが、行の色分けをするだけなら以下のとおりに操作してみてください。
- まずは色分けしたい範囲を選択し、「ホーム」の「条件付き書式」から「新しいルール」を選択します。
- メニューが出てくるので、一番下の「数式を使用して~~」を選び、「書式」をクリックします。
- ここでは、これから設定する条件に合致する場合に「この書式にします」という指定を行います。下図では、「塗りつぶし」から薄いグレーを選択しました。
- 「OK」で戻ったら、プレビューが表示されています。その上の数式欄に、以下の数式を記入してください。 =MDO(ROW(),2)=0
表のどこを範囲選択していても、この数式でOKです。 - 「OK」でメニューを閉じると、行6と行8がグレーになり、表が縞模様になりました。
- 奇数行のほうに色をつけたい場合は、上記の数式の最後を「1」にします。
今回の例はデータが少ないため、縞模様にしなくても視認性に大きな影響はありませんが、膨大なデータになると見づらくなっていくため縞模様を試してみてください。
2. テーブルを利用してみる
Excelの表作成は、テーブル機能を使うことで効率よくレイアウトが整います。
- テーブル機能を使うには、データ入力が完了した状態の表を範囲選択します。セルの色や罫線をすでに追加していると、テーブルの書式が反映されなくなります。
- [挿入]タブから「テーブル」を選択します。「テーブルに変換するデータ範囲を指定してください」というメッセージが出てくるので、そのまま「OK」をクリックします。
- 自動で罫線や見出しなどのレイアウトが整いました。
- テーブルスタイルは、[テーブルデザイン]のタブから自由に選択できます。
- 罫線や見出しの背景色などがまとめて設定できるため、あとは列や行の幅などを調整すれば見やすい表が完成します。時間短縮術として活用してみましょう。
- Excelにはテーブルのさらに発展形の機能として「ピボットテーブル」があります。
- ピボットテーブルはデータを同じ項目ごとなどで集計し、そのデータを分析したりできる機能です。売上リストの一覧表など、パッと見では分析が行えない場合などに適しています。
ピボットテーブルについて詳しくは、Excelのピボットテーブルの作り方 - 操作手順を徹底解説をご参照ください。
3. 書式設定を使いこなす
これまでご紹介してきた、文字の大きさを変える・セルに色をつける・罫線を引くなどの装飾は、「線の色は薄めに設定する」で登場した「セルの書式設定」でほとんど行えます。1つずつ上部のタブから編集するのもいいですが、書式設定を使いこなすと装飾を効率化できるでしょう。
上記では右クリックから「セルの書式設定」を選択しましたが、以下のショートカットキーからも呼び出せます。
- Ctrl+1(Windows)
- Command+1(Mac)
「表示形式」では、文字のスタイルを変更できます。前に「¥」をつけて値段の表記にしたいときは「通貨」にしたり、日付の表示内容を編集したりといった変更が可能です。
「フォント」では、フォント(書体)や太字などのスタイル、サイズ、文字色などを編集できます。
4. グラフを挿入する
表を作成したら、その内容をビジュアル化するグラフを挿入してみましょう。Excelには多くのグラフ機能が備わっているため、資料を視覚的にリッチにできます。
- まずはグラフにしたい表の部分を選択します。
- 「挿入」タブからグラフメニューを探します。メニューから選んでもいいですが、今回は右下のマークをクリックしてポップアップを表示させます。
- 「すべてのグラフ」から好きな形式を選びます。今回はおすすめグラフの上から3番目を選択します。
- 営業担当者ごとの成績の推移、比較が視覚的にわかりやすいグラフが挿入できました。
- グラフタイトルの内容や書式、指標の書式、グラフのスタイル、グラフの大きさなど、細かいところまでデザインを変更できるので、いろいろ試してみましょう。
Excelのグラフについてさらに知りたい方は、以下コラムをご覧ください。
5. 印刷範囲の設定
Excelで作った表を印刷する場合、表のサイズによっては紙からはみ出てしまうケースがあります。印刷するときに困らないよう、あらかじめ印刷範囲を設定しておくのがおすすめです。
- [表示]タブを開き、「標準」になっているブックの表示を「改ページプレビュー」に変更します。
- グレーアウトされていない部分が印刷される範囲です。このままだと横長の表が、点線の部分で2ページに分割されてしまいます。
- 点線にカーソルを合わせると「⇔」に変わるので、印刷したい範囲までドラッグで引っ張りましょう。
- 1ページに収まるようになりました。
- 「ファイル」→「印刷」から印刷できます。プレビューが表示されるため、問題がないか確認して、印刷しましょう。
覚えておきたいExcelの便利なショートカットキー
上記にて「セルの書式設定」を呼び出すショートカットキーをご紹介しましたが、Excelでは他にも便利なショートカットキーが膨大にあります。すべてを覚える必要はありませんが、よく使うものを覚えておくことで作業効率を上げることが可能です。
ここでは、Excelの中でも表作成で使用することの多いショートカットキーをピックアップしました。
その他のショートカットキーについては、以下コラムでもご紹介しています。
見やすいExcelの表を作れるようになろう
Excelの表作成と一口に言っても、見やすさを意識したりコツを知っていたりするのとそうでないとでは仕上がりに大きく差がつきます。Excelの表を見やすく作れるようになると、自身でデータを確認しやすいことはもちろん、他の社員への情報共有もしやすくなります。上司や顧客に向けたプレゼンの資料作りにも役立つでしょう。
慣れてくれば、簡単な表は短時間で作れるようになってきます。そこからさらにExcelの機能を研究したり、空いた時間を資料の改良に充てたりと、業務の質を高めるための一歩につながるはずです。人に見せるためのわかりやすい表を意識することで、業務評価の向上も期待できるでしょう。
本記事を参考にExcelの表の作り方を学び、ぜひ日々の業務に役立ててください。
Excelを操作しているときにエラーが起きて困った際は、以下の記事をぜひ参考にしてください。
Excelのさまざまな機能を使いこなせるようになると、顧客情報の管理や案件の進捗管理なども行えるようになります。一方で、情報が膨大になればなるほど管理が難しくなり、表などを作るだけで終わってしまう可能性も出てきます。
効率のいい管理や仕事の成果につながる管理を目指している場合は、高度な顧客情報管理機能(CRM機能)を備えているHubSpotの導入をご検討ください。
HubSpotでは、取引内容のトラッキングや企業インサイトなどの機能を用い、単なる表の管理に留まらない施策が可能になります。