Google 広告で成果を出すためには、「誰に広告を出すのか」「どこに広告を出すのか」を決めるターゲティング設定が欠かせません。その中でも、店舗へ集客するビジネスを展開している場合、地域を限定したキャンペーンを実施している場合は、「地域設定」を正しく設定することが成果を大きく分けるでしょう。
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本記事では、Google 広告のターゲティング設定の中でも「地域設定」にフォーカスを当て、広告配信地域の絞り込みから地域ごとの入札割合の変更まで、詳しく解説します。
Google 広告の地域設定でできること
Google 広告の地域設定では、次のような設定や確認ができます。
- 配信地域の設定
- 除外地域の設定
- 地域ごとの配信比率設定
- 地域レポート・距離レポートの確認
- 地域設定の種類
これらの機能を使えば、広告効果の高い地域に絞って配信できたり、配信結果レポートを分析して効果の低い地域の配信比率を下げたりと、効率的な広告配信ができるようになります。
それぞれの設定について詳しく解説します。
配信地域の設定
地域設定では、広告を配信する地域の指定ができます。指定方法は、地名、特定の地域からの距離(半径〇〇km)のいずれかで設定します。
地域名で指定する場合、複数の国や地域を一括で追加することも可能です。
除外地域の設定
除外地域とは、Google 広告を配信しない地域のことを指します。
提供する商品やサービスを購入・出荷できない地域がある場合、その地域のユーザーに広告を配信しないようにする設定が可能です。
除外地域は地名でのみ指定が可能で、特定の地域からの距離は利用できません。
また、除外地域と配信地域どちらにも同じ地域が指定されていた場合、除外地域が優先されます。
- 例1:配信地域に東京、除外地域に渋谷区→渋谷区以外の東京都内に配信
- 例2:配信地域・除外地域ともに渋谷区→渋谷区は除外される
除外地域を設定することで、「ユーザーが広告を見て興味を持ったにもかかわらず、そのサービスを受けられない」などの事態を避けられます。自社商品の特徴やビジネスモデルにあわせて活用しましょう。
地域ごとの配信比率設定
Google 広告の地域設定では、入札比率を変えることで、同じ地域のなかでも広告の配信比率を調整することが可能です。
例えば、店舗付近にいるユーザーをターゲットにする場合は入札比率を上げ、店舗から離れているユーザーをターゲットにする場合は入札比率を下げれば、店舗付近にいるユーザーに対して優先的に広告が配信できます。
店舗近くのユーザーに広告を配信することで、ユーザーは欲しいタイミングで欲しい情報を得ることができ、利便性が高まるでしょう。
地域レポート・距離レポートの確認
地域ターゲティングを設定すると、地域レポート・距離レポートで地域ごとの広告の配信結果を把握できます。
地域レポートとは、クリック数やコンバージョン率など、広告の運用結果を地域ごとに確認できるレポートです。地域レポートには2種類あり、ターゲット設定した地域をもとに配信結果を確認できる「ターゲット地域」ビュー、または広告が配信された地域を確認できる「一致した地域」ビューから選択できます。
距離レポートでは、住所表示オプションを使用している広告の配信結果を確認できます。
住所表示オプションとは、会社や店舗の住所や地図、距離を広告に表示できる機能です。ユーザーが広告をクリックすると、所在地に関する情報などが記載されたページが表示されます。
距離レポートを確認することで、店舗付近にいたユーザーのコンバージョン率などを把握できます。
地域レポート・距離レポートを活用すれば、想定していなかった地域からの流入を見つけられたり、コンバージョン率の低い地域の広告配信数を減らしたりと、広告運用の効果を上げるためのヒントを見つけられるでしょう。
広告を必要とするユーザーへ適切に広告を配信し、必要としないユーザーには広告の表示頻度を下げられるので、レポートの活用はユーザーにとってもメリットがあります。
地域設定の種類
Google 広告では、広告配信する地域だけではなく、配信対象ユーザーの範囲も設定できます。ユーザーの条件として次の3つが用意されています。
- 所在地やインタレスト
- 所在地
それぞれの設定内容について、詳しく解説します。
所在地やインタレスト
Google のデフォルト・推奨設定です。その地域にいるユーザー、その地域をよく訪れるユーザー、その地域に関心を示したユーザーが広告の配信対象です。
この設定にした場合、次のようなユーザーが配信対象となります。
- ターゲット地域に住在:東京に住んでいるユーザーが「賃貸」で検索すると、東京の賃貸広告が表示される
- ターゲット地域に関心がある:大阪に住んでいるユーザーが「賃貸 東京」と検索すると、東京の賃貸広告が表示される
店舗の所在地が東京で、遠方のユーザーも見込み客になる場合などは、こちらの設定にしておくことをおすすめします。
所在地
所在地をベースとしたターゲット設定です。その地域にいるユーザー、その地域をよく訪れるユーザーが広告の配信対象です。
ターゲット地域外にいるユーザーがその地域名で検索しても、広告は配信されません。 先ほど例にあげた「大阪に住んでいるユーザーが東京の賃貸を検索」の例が、この設定では配信対象外となります。
また、Google が所在地を把握できないユーザーにも広告は配信されません。
この設定は、次のようなターゲット地域にユーザーがいないと成り立たないビジネスの場合に利用すると良いでしょう。
- 緊急性のあるサービス(鍵交換サービス、水道修理)
- 地域密着型サービス(クリーニング店、クリニック、習い事教室など)
ターゲットが絞られる分、その商品・サービスを本当に必要とするユーザーに対して広告費を多く割くことが可能です。
Google 広告の地域設定はどこから行う?
Google 広告で地域ターゲティングを設定したい場合、「新規キャンペーン作成時に設定する」パターンと、「すでに作成しているキャンペーンを編集する」パターンがあります。
基本的な設定は、新規キャンペーン作成時に設定ができます。もちろん、その後地域ターゲティングを修正することも可能です。
地域設定の一部は、新規キャンペーン作成時には設定できず、後から編集することで変更できるものもあります。こういった設定は高度な調整になるため、運用しながら必要な設定を見極めていくといいでしょう。
Google 広告の地域設定方法
ここからは、Google 広告の地域設定方法を解説します。
基本的な配信地域設定
基本的な配信地域の設定は、新規キャンペーン作成時、あるいは編集時のどちらでも行えます。
Google 広告ではキャンペーンごとにキャンペーン作成フローが変わりますが、地域設定は必ず設定項目として表示されます。
キャンペーン全体の設定フローについて知りたい場合は、以下コラムをご覧ください。
すでに作成したキャンペーンの地域設定を編集する場合は、[キャンペーン]→[オーディエンス、キーワード、コンテンツ]→[地域]と進み、該当のキャンペーンを選択します。
[編集](鉛筆マーク)から編集可能です。
以下は新規キャンペーン作成時の画面です。日本の中でも地域を限定したい場合は、入力欄に地域名を入れることで候補が現れるので、該当する地域を選択します。
神奈川県が追加されたことがわかります。
[検索オプション]をクリックすることで、地図を見ながら直感的に配信地域の編集ができます。
以下は千葉県をさらに追加した様子です。
「範囲」のトグルにチェックを入れると、指定した地域、あるいはピン刺しした地点から指定した距離を配信地域に加えることができます。以下では、さいたま市から半径50kmを配信地域に加えました。
[保存]をクリックすれば完了です。
配信地域の除外設定
Google 広告では、広告の配信地域を指定して除外することもできます。
除外も範囲指定と同じ画面で設定可能です。除外したい地域を検索し、[一致]ではなく[除外]をクリックします。
山梨県が除外されたことがわかります。
すでに作成したキャンペーンを編集する場合は、地域の追加と除外は別タブで指定するようになっています。設定方法は同じです。
地域ごとの入札単価設定
続いて、地域ごとに入札単価を設定する方法を紹介します。
Google 広告管理画面の左メニューから[地域]を選択し、設定したいターゲット地域の「入札単価調整比」をクリックしてください。以下の画面では見えていないですが、マウスオーバーで編集マークが出てきます。
ポップアップで入札単価の調整を行ってください。
「引き上げ」を選択すると、その地域への入札額が増えるため、広告が配信されやすくなります。「引き下げ」は入札額が減り、配信されにくくなります。
Google 広告における地域設定のポイント
ここからは、Google 広告で地域設定をする際のポイントを3つ紹介します。
- 最初は広めの範囲を設定する
- 沿線を登録して見込み客にアプローチする
- ターゲットでない地域からの流入があれば除外設定を行う
最初は広めの範囲を設定する
最初からターゲット地域を絞りすぎると、見込み顧客となりそうなユーザーにも広告が配信されず、機会損失となる可能性があります。
「この地域限定で販売する」などの理由があれば最初から絞ったほうが良いですが、感覚的に「この地域では売れる見込みが低いので配信しない」と絞ってしまうと、商品やサービスを必要としているユーザーに届かない可能性があります。
まずはターゲット地域を広めに設定し、運用を続けて結果が出てから少しずつ絞っていきましょう。
沿線を登録して見込み客にアプローチする
アプローチしたいユーザーが所在する地域として、店舗付近だけではなく沿線も候補として考えられます。その場合、店舗の最寄り駅沿線を地域ターゲティングに設定すると良いでしょう。
地域設定画面で「範囲」を選択し、沿線の駅を追加していきます。上図では、東京駅・新橋駅・田町駅・品川駅からそれぞれ半径1kmを配信地域に加えました。
電車通勤など移動手段が電車やバスの場合、訪問したい店舗を沿線から探すユーザーもいます。このようなユーザーが沿線にある店舗の広告を見れば、今まで知らなかった駅や地域に興味を持つきっかけとなるかもしれません。
駅近の店舗や不動産広告の場合、ターゲット地域として駅やバス停などの沿線を指定すると、多くの見込み客にアプローチできるでしょう。
ターゲットでない地域からの流入があれば除外設定を行う
来店が必要なビジネスの場合、あまりに遠方の地域や海外に広告が配信されても来店につながる可能性は低いでしょう。
このような配信を放置しておくと、広告費が無駄になってしまうだけでなく、ユーザーに必要のない広告が表示されることになるため、メリットがありません。地域別レポートを確認し、ターゲットになる可能性が低い地域での配信があった場合は、除外設定をおすすめします。
なお、想定しない地域からの流入があっても、そこから良いエンゲージメントにつながっている場合はその限りではありません。Google広告では最終的にコンバージョンするかどうかが重要なため、レポートを継続的に確認するようにしましょう。
Google 広告で地域設定をする際の注意点
最後に、Google 広告で地域設定をする際の注意点も見ていきましょう。
- 設定した地域に100%配信できるわけではない
- あまりに狭い地域は設定できない
- 地域を絞りすぎて広告が表示されず機会損失となる
- 広告グループでは地域設定はできない
- 自動入札の場合は地域別の入札はできない
地域設定では、さまざまな設定が可能ですが、正しく設定しないと広告が表示されなかったり、思わぬ地域で表示されてしまったりする可能性もあります。それぞれの注意点を詳しく解説していきます。
設定した地域に100%配信できるわけではない
ユーザーの所在地はGoogle の位置情報を利用しており、ターゲット地域付近にいるユーザーや、頻繁に移動するユーザーにも配信される可能性があります。
また、ユーザーのターゲット地域への関心はGoogle での行動をもとに推定されたものです。そのため、所在地・関心ともにターゲティングは100%ではないことを理解したうえで活用しましょう。
地域別レポートで配信結果をチェックし、配信したい地域、したくない地域に適切に配信されているかどうかを確認し、必要に応じて設定を調整していくことが重要です。
あまりに狭い地域は設定できない
Google ではプライバシー保護のため、指定した地域の面積が小さすぎたり、ユーザー数がGoogle の基準値を下回ったりする場合、ターゲットとして指定できません。
そのため、面積が極端に小さい地域や人口が少ない町・村はターゲット地域に設定できない可能性があります。
地域を絞りすぎて広告が表示されず機会損失となる
地域を絞って配信した結果、本来広告を届けたかったユーザーに配信できない可能性もあります。
例えば、ターゲット地域を都道府県や市町村・区単位で設定すると、ユーザーが商圏内にいてもターゲット地域外にいれば広告は表示されません。
近隣の市区町村なども含めたり、地点からの距離で指定してみたり、地図を確認して地域設定することが重要です。
広告グループでは地域設定はできない
Google 広告では広告を管理するためのキャンペーンと、その配下に宣伝したい商品やサービスなどテーマ別に広告グループを作成して運用します。
地域設定はキャンペーン単位でのみ可能で、広告グループ単位では設定できません。そのため、異なる地域に広告を配信する場合は、キャンペーン単位で分ける必要があります。
自動入札の場合は地域別の入札はできない
本記事では地域別に入札の割合を調整する設定もご紹介しましたが、キャンペーンの入札戦略が自動入札になっている場合は調整ができません。
入札戦略とは、どの広告枠にどれくらいの入札を行ってオークションに挑むのかを設定する項目です。「クリック数の最大化」や「コンバージョン数の最大化」などがありますが、Google 広告ではAIによるアシストが進化しているためか、キャンペーンごとに選択できる入札戦略が限られています。実施したいキャンペーンによっては、自動入札しか選べないこともあるでしょう。
なお、自動入札になっていたとしても、AIが確度の高いエリアのユーザーに対して高い入札を行ってくれるため、大きく心配する必要はありません。
地域ごとにかける予算をコントロールしたい場合は、キャンペーンを複数作成して地域を別々に分けるといいでしょう。この場合も、完全に地域を分けられるわけではないことには留意が必要です。
Google 広告において重要なその他のターゲティング
本記事では地域設定について詳しく解説してきましたが、Google 広告では他にもさまざまなターゲティング設定があります。
大きく分けると、「どこに出すか」を決めるコンテンツターゲティング、「誰に出すか」を決めるオーディエンスターゲティングがあります。
地域設定については、ちょっとややこしいですが、その地域に住んでいる「人」を絞り込む設定なのでオーディエンスターゲティングです。
ただし、現在のGoogle 広告にコンテンツターゲティング、オーディエンスターゲティングの明確な区分けはなく、作成したいキャンペーンによって設定項目が細かく異なります。
以下コラムではGoogle 広告のターゲティング設定について、すべての項目を解説しているのでぜひあわせてご覧ください。
Google 広告の地域設定でより効率的な配信を
Google 広告で最適な地域設定をすれば、広告を届けたいユーザーに届けられ、ニーズを満たす広告運用ができるでしょう。ユーザーにとっても、近くの店舗や関心のある地域の情報を受け取れるため、欲しい情報を得られるメリットがあります。
そのためには、まずは自社の広告を求めるユーザーがどこにいて、どのようなことに関心を持っているかを理解することが欠かせません。正しい顧客理解のもと、地域設定を活用することが重要です。
本記事でご紹介したさまざまな機能を使って、効率的な広告配信を目指しましょう。