メッセージアプリのLINEを、ビジネスに活用したいとお考えの事業者やマーケティング担当者も多いでしょう。LINEには「LINE公式アカウント」「LINE広告」「LINEチラシ」など多くの集客ツールがありますが、それらを利用するにはLINE for Businessへの登録が必要です。
本記事では、LINE for Businessの概要、使い方、主な機能、運用テクニックをご紹介します。LINE for Businessを利用するメリットや活用事例まで徹底解説するので、導入を検討中の方や、初めて使う方は参考にしてみてください。
LINE for Businessの基礎ガイド
LINE for Businessの基礎から活用事例までを詳しく解説!
- LINE for Businessの基礎知識
- LINE公式アカウントの主な機能
- LINE広告の活用方法
- LINE for Businessの活用事例
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全てのフィールドが必須です。
LINE for Businessとは?
LINE for Businessとは、LINEが企業や店舗などのビジネス向けに提供しているサービスやアプリの総称です。
通常のLINEが、主に個人やグループ間コミュニケーションのためのサービスなのに対して、LINE for Businessは個人と企業をつなぐサービスと考えるとイメージしやすいかもしれません。
LINEには「LINE公式アカウント」をはじめとする多くの集客ツールがあり、LINE for Businessの「LINEビジネスID」を取得することで、これらのサービスやアプリにアクセスできるようになります。
LINE for Businessを利用するメリット・デメリット
LINE for Businessの導入を検討中の方向けに、LINE for Businessを利用するメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
LINE for Businessには次のようなメリットがあります。
- 幅広いユーザー層にリーチできる
- 導入のハードルが低い
- ユーザー側も気軽に利用しやすい
LINEは国内の月間利用者数が9,200万人(2022年3月末時点)にのぼります。これは、FacebookやTwitterなどその他のSNSの約2倍にもおよぶ数です。
出典:総務省|平成29年版 情報通信白書|SNSがスマホ利用の中心に(図表1-1-1-11 代表的SNSの利用率の推移(全体))
LINEの利用者層は、さまざまな年齢・性別・職業・地域の人に分布しています。
出典:LINE株式会社 マーケティングソリューションカンパニー 2021年1〜6月期版 V1.0
そもそもの利用者の分母が大きいことと、ユーザー属性が幅広いことから、多くの人に情報を届けられ、多様なビジネスに適用しやすいツールであるといえます。
また、LINE for Businessのアカウント開設は無料で簡単にできるため、集客ツールとして導入するハードルが低いことも利点のひとつです。
さらに、日常的にLINEを使っているユーザーにメッセージやクーポンを配信すれば、見てもらえる可能性も高まります。LINE公式アカウントに特化したマーケティングのサポートツールである「Lステップ」の公式サイトによると、メルマガの開封率が10~30%程度なのに対して、LINE公式アカウントの開封率は60%です。
LINE for Businessを活用して顧客視点に立ったコンテンツ配信を行うことで、従来のマーケティング施策よりも効果的にユーザーへアプローチできる可能性があります。
デメリット
LINE for Businessには、次のようにデメリットと考えられる側面もあります。
- 商品・サービスのターゲット層によっては非効率になり得る
- 他社との違いを打ち付けないと情報が埋もれやすい
60歳以上のシニア世代のSNS利用率は全体の約半分と低く、LINEはそのなかでも多い方ですが、SNS利用者のうち4割ほどにとどまります。そのため、商品・サービスのターゲット層を60歳以上の世代に設定している場合、他の集客方法を検討した方が良いケースもあります。
出典:シニア世代1,000人にSNSの利用状況を大調査!(マクロミル調べ)
また、LINE for Businessを利用している企業や店舗が多い分、他社よりも優れたコンテンツを発信しなければ、情報が埋もれることも考えられます。
とはいえ、LINE for Businessは期待できるメリットも多いため、デメリットとなり得る点を考慮しつつ、うまく活用すると良いでしょう。
LINE for Businessの目的別サービス一覧
LINE for Businessのサービスは、目的別に大きく3つに分けられます。自社で導入する目的と照らし合わせながら確認してみてください。
1. コミュニケーション関連
まずは、LINEの従来の使われ方であるコミュニケーション機能を応用したサービスです。主に、ユーザーと企業・店舗との距離を縮めることを目的として導入されています。
例えば、こちらのサービスです。
- LINE公式アカウント(旧称:LINE@)
- LINEミニアプリ
- LINEマーケットプレイス
- LINEプロモーションスタンプ
- LINE STAFF START
情報配信やチャット機能を基盤としたサービスが多く提供されており、ユーザーと企業・店舗との接点を創出し、ブランドの認知やファン化の増進が期待できます。
2. 広告関連
LINEの強みである、利用者の多さやユーザー層の多様さを活かせるのが、広告関連のサービスです。LINEが提供する広告配信サービスは2つあります。
- LINE広告
- Talk Head View
LINE for Business独自の広告配信機能や、ターゲティングの精度の高さが特徴的です。新規顧客や見込み顧客の創出など、幅広いマーケティング目的で活用できます。
3. 販促・OMO関連
販売促進やOMOを目的としたサービスもあります。「OMO(Online Merges with Offline)」とは、オンラインとオフラインを融合した施策のことです。
- LINEで応募(旧称:LINEセールスプロモーション)
- LINEチラシ
- LINEポイントAD
- LINE POP Media
実店舗への集客やキャンペーン参加の促進、顧客の購買行動の分析など、さまざまな課題を解決できる便利なサービスが多くあります。
運用側にとっては店頭業務の軽減につながり、ユーザー側は有益な情報をタイムリーにキャッチできるなど、導入する意義が大きいといえます。
LINE for Businessの主なサービス
LINE for Businessのサービスの大まかな目的が把握できたところで、それぞれのサービスの詳細を確認していきましょう。
LINE公式アカウント(旧称:LINE@)
LINE公式アカウントとは、友だち登録したユーザーへメッセージやクーポンを配信できるサービスです。他にも、LINE上でポイントカードの発行管理ができる「ショップカード」や、ユーザーからの通話が無料になる「LINEコール」などの新機能も登場しています。
以前のLINE公式アカウントは、事業の規模の大きさによって、中小企業・中小店舗は「LINE@」、大企業や公官庁などは「LINE公式アカウント」と区分されていました。しかし、現在はLINE公式アカウントに統合されています。
LINE公式アカウントでできることや、アカウント開設方法など詳しい内容については、こちらをご覧ください。
LINE広告
LINE広告は、LINEユーザーを対象に広告を配信できる運用型広告のプラットフォームです。少額から利用でき、広告出稿後に配信効果を計測して運用改善を図ることも可能です。
広告配信面や料金については、こちらで詳しく解説しています。
LINEミニアプリ
LINEミニアプリは、LINE上で機能する自社のアプリを開発・導入するためのサービスです。
例えば、「店内モバイルオーダー」「順番待ち受付・呼び出し」「デジタル会員証発行・提示」といった機能を、自社サービスとして実装できます。飲食店や美容サロンをはじめ、多くの実店舗が利用しています。
LINEで応募(旧称:LINEセールスプロモーション)
「LINEで応募」とは、LINEが提供するパッケージを利用した販売促進機能です。店頭の商品についているQRコードやLINE広告バナーからキャンペーンへ参加し、ポイントや景品を獲得できる仕組みです。
ユーザーも楽しみながら参加でき、運用側としては購買促進やブランド認知度の向上、アンケート収集などができます。
出典:【公式】LINEで応募
LINEリサーチ
LINEリサーチは、LINEアンケートを通じたモニター機能です。LINEアンケートの友だち登録者は約1,770万人で、うちアクティブモニター数は約613万人(2022年8月時点)とされています。
LINEリサーチでは、回収が難しいとされている学生や若年層へのアンケートも可能で、一般消費者に近いリアルな調査結果やデータを取得できるのが特徴です。
LINEチラシ
LINEチラシは、LINEでユーザーへチラシ情報を配信できるデジタルチラシ機能です。ユーザーの属性や生活エリアに基づいた情報を配信できます。
新たなアプリのインストールや、会員登録不要でチラシ情報を受け取れるため、ユーザーにとっても実用的な機能といえるでしょう。
LINE for Businessの基本料金
LINE for Businessの利用には料金が発生します。代表的なサービスの基本料金は次の通りです。
(2022年9月時点)
「LINE公式アカウント」「LINE広告」「LINEチラシ」は、いずれも予算や目標に合わせて、比較的少額から運用をスタートできます。
「LINEミニアプリ」「LINEで応募」などその他のサービスは、登録・開発・運用の規模に応じて異なるため、LINE for Business公式サイトから資料請求や問い合わせが必要です。
LINE for Businessの各サービスへアクセスするための、LINEビジネスIDの発行とアカウント開設自体は無料なので、まずはアカウント開設から始めてみると良いでしょう。
LINE公式アカウントの作り方や設定方法についてはこちらをご覧ください。
LINE for Businessの運用テクニック
LINE for Businessは、広告や販促など直接的な集客だけでなく、管理業務の簡略化やブランディングにも活かせます。LINE for Businessの具体的な運用テクニックを3つご紹介するので、これから始める方や、思うように成果が出ずにお困りの方はぜひお役立てください。
LINEショップカードで特典ポイントを発行・管理
出典:LINEショップカードの活用方法 - LINE for Business
LINE上でポイントを発行・管理できるサービス「LINEショップカード」を活用することで、「商品購入」「サービス利用」「来店」などの特典の管理を一元化できるようになります。
運営側にとって管理業務が楽になることはもちろん、ショップカードの使用状況を分析することも可能で、費用対効果の検証にも役立ちます。
「ポイントカード」はLINEアプリ内に設置できるため、ユーザー側の視点でも、紙のショップカードを持ち歩かずに済むなど顧客満足度の向上も期待できます。
LINEリッチメニューで視覚的にメッセージを配信
出典:リッチメニューの活用法 - LINE for Business
LINEリッチメニューとは、LINE公式アカウントのチャット画面下部に表示されるナビゲーションバーです。使用頻度が高いと想定されるメニューを配置することで、ユーザーが目的の機能に到達しやすくなり、自社の公式アカウントの活用につながります。
以前は、LINEリッチメニューはLINE公式アカウントの有料プランでしか使用できませんでしたが、2019年4月以降はフリープランでも使えるようになりました。
LINEプロモーションスタンプでブランドの認知度を向上
出典:LINEプロモーションスタンプ - LINE for Business
LINEプロモーションスタンプとは、広告費を支払うことで、ユーザーへLINEスタンプを提供できるサービスです。ユーザーは、「友だち追加」などの条件付きでスタンプを取得できます。
魅力的なオリジナル公式LINEスタンプを作成・提供し、多くの人に使ってもらう機会が増えると、ブランドの認知度アップも期待できるでしょう。
LINE for Businessに関する注意点
さまざまなビジネスにフィットしやすいLINE for Businessですが、注意すべきこともあります。LINE for Businessを運用する際には、次の3点に気を付けましょう。
1. アカウント管理・情報管理を徹底する
友だち追加してもらったLINEアカウントや問い合わせ内容などは、顧客情報として適切に扱わなければなりません。
また、複数人でアカウントを管理する場合、権限によって「メンバー管理」「メッセージ配信」「タイムライン投稿」など、操作できる内容が変わってきます。各担当者に必要な権限のみを付与することで、適切なアカウント管理につながります。
2. 宛先の誤送信に注意する
LINEの利用者のなかには、本名ではなくニックネームで登録しているユーザーも多いため、宛先を間違えないよう気を付けましょう。
特に、LINEビジネスIDに個人アカウントを使用している場合は、管理を徹底する必要があります。プライベート端末と仕事用の端末を分けるなど、情報流出や漏洩などがないよう気を付けましょう。
3. 目的によっては他のマーケティング手法も併用する必要がある
LINE for Businessのなかには、LINE公式アカウントのように、メッセージ配信できる対象が自社のアカウントに友だち登録している人に限定されているサービスもあります。
新規顧客や見込み顧客を創出していくためには、他のWeb広告などのマーケティング手法と併用するなど工夫が必要です。Web広告に関しては、こちらもあわせてご覧ください。
LINE for Businessの活用事例
LINE for Businessのサービスの内容が理解できたところで、活用事例も見てみましょう。導入後の効果がイメージしやすくなるはずです。
事例1:限定クーポン・イベント告知の一斉配信
LINE for BusinessのLINE公式アカウントには、セグメント別にメッセージを一斉配信する機能があります。飲食店、小売店、美容院、サロンなどの実店舗で、LINEの友だち登録者向けに限定クーポンやイベント告知を行ったところ、効果が出たという事例が多く公開されています。
事例2:カスタマーサポート業務の簡略化
LINE公式アカウントのチャット機能は、AIチャットボットによる自動対応とオペレーターによる有人対応が選択でき、併用も可能です。
忙しい時間帯や少ない人数で営業している店舗などに導入することで、カスタマーサポート業務の簡略化につながるうえに、トーク履歴が残るため人的ミスも軽減できるといわれています。
特徴や注意点を押さえてLINE for Businessを活用してみよう
LINE for Businessを活用すれば、企業や店舗とユーザー間で気軽にコミュニケーションができます。セグメント別の配信やレポート機能など、企業側にとってのメリットも多いでしょう。
サービスを利用する際には、自社のターゲットがLINEの利用者層に適しているかどうかを確認し、運用開始後は、情報の取り扱いに十分注意が必要です。
本記事の内容を、LINE for Businessを導入するかどうかの判断材料や、活用のヒントになれば幸いです。