株式会社リクルートの 就職白書2020によると、新卒採用を実施するうえでの具体的な課題(複数回答)で最も多かったのは、「自社認知度」で61.4%、「採用に係るコスト」も39.4%と高い割合を占めています。
【無料】採用業務の効率化と優秀な人材確保に
ATSは、採用業務に関する情報を一元管理できるツールです。このテンプレを使用して効率的に作業しましょう。効果的な採用管理、コストの軽減、データの蓄積などにご活用ください。
採用コストが増大するなか、大企業に比べて認知度が低い中小企業は、限られた予算で効果的な採用活動を実施しなければならない状況にあります。
ただし、採用コストの削減は、やり方を間違えると必要な人材が確保できなくなることがあるので注意が必要です。自社の採用活動を適切に見直し、より自社に適した施策に変更することで、コストを抑えながら自社にマッチした人材の採用が可能になります。
本記事では、採用コストの11の削減方法と注意点を解説します。採用活動の効率化によって必要な人材を確保できるようになり、顧客に対して満足度の高い商品やサービスを提供し続けることが可能になります。採用コストの見直しは、なるべく早期に実施しましょう。
採用コストの削減に効果的な11の方法
採用コストの削減に効果的な11の方法を、一つずつ詳しく解説します。
- コストの内訳を確認する
- 採用フローの見直しを行う
- 企業情報の開示によってミスマッチを削減する
- ターゲットを決めて母集団形成を行う
- ダイレクトリクルーティングを行う
- リファラル採用を行う
- アルムナイ採用を行う
- 自社採用を行う
- 採用代行を利用する
- オンラインツールを利用する
- 雇用形態について見直してみる
1. コストの内訳を確認する
まずは採用コストを内部コストと外部コストに分類し、現状としてどの部分にコストがかかっているのかを確認しましょう。
内部コストは、面接に関わる社員の人件費など、社内で発生するコストを指します。人件費は数値化が難しいとされていますが、面接や採用活動などにかかった時間を時給換算できるようにしておくと算出しやすくなります。
外部コストは、求人掲載費や企業説明会の会場費など、外部に支払ったコストを指します。内部コストに比べてコストの内訳がわかりやすいため、比較的削減が容易です。例えば、求人情報を5か所に掲載している場合、応募や内定率が少ない媒体から撤退することでコストを削減できます。
2. 採用フローの見直しを行う
履歴書の確認やスケジュール調整など、採用の各工程にかかる費用は見えにくい部分がありますが、フローを見直し、不要な部分を省いていくことで人件費の削減が可能です。
例えば、面接回数を減らす、オンライン面接を導入するなどの方法があります。人事部にとって負荷が大きい新卒採用のフローから見直していくと良いでしょう。
採用フローの定期的な見直しは、活動の目的や求める人物像の再確認という点においても効果的です。
3. 企業情報の開示によってミスマッチを削減する
株式会社リクルートの調査によると、2019年度の新卒の採用コストは一人当たり103.3万円、中途は93.6万円です。ミスマッチにより内定辞退や早期退職者が出た場合、一人あたり約100万円のコストが無駄になってしまうだけでなく、新たに募集を行うための採用コストもかかります。
ミスマッチを防ぐには、仕事内容や待遇面など、自社の情報をできるだけ開示し、入社後にギャップを感じさせないことが重要です。また、内定辞退を減らすためには、内定通知後から入社までに内定者とコミュニケーションを取っておくと良いでしょう。
内定者研修の実施や、面談でフォローするなどの方法が効果的です。
4. ターゲットを決めて母集団形成を行う
母集団形成とは、自社への応募者を一人でも多く集めることを指します。応募者が多いほうが、自社とマッチした人材と出会える可能性があるからです。そのため、採用活動において母集団形成は重要なポイントの一つといえます。
しかし、ターゲットを決めずに母集団形成を行っても、自社にマッチする人材は集められません。時間とコストばかりがかかってしまい、効率が悪くなります。
自社で求める人材を明確にするためには、ペルソナの設定が重要です。学歴やスキルなど、求める人物像を明確にすると、コストを抑えながら希望する人材が採用できます。
採用のペルソナ設定の方法については、こちらの記事をご覧ください。
5. ダイレクトリクルーティングを行う
ダイレクトリクルーティングとは、求人媒体を通さずに自社から直接求職者へアプローチする方法です。
自社が求める人材を厳選してアプローチできるため、条件に合った人材を採用しやすい点がメリットです。さらに求人サイトに広告を掲載するよりも、コストを抑えられます。
ただし、採用担当者が慣れていないと時間がかかり、残業などが発生する可能性があります。内部コストの増加につながる場合があるため、費用対効果を見極めたうえで導入しましょう。
6. リファラル採用を行う
リファラル採用とは、自社の社員に親族・友人・知人などを紹介してもらう方法です。広告費や求人サイトへの掲載費用が不要なので、採用コストを減らせます。
人材を紹介してくれた社員にはお礼としてインセンティブを支払うと良いでしょう。一人あたり数万円?数十万円が相場で、紹介してもらった人材のスキルや経験などに応じて設定する方法が一般的です。インセンティブを支払ったとしても、広告費や求人サイトの利用に比べてコストを抑えられます。
7. アルムナイ採用を行う
アルムナイ採用とは、一度退職した社員を再雇用する方法です。過去に自社で働いた経験がある人材を採用できるため、面接が簡略化されることが一般的で、面接官の時間やコストを削減できます。
ミスマッチが起きるケースが少なく、採用後に仕事や自社の決まりなどを説明する手間も省けるため、即戦力として働いてもらえる点もメリットです。
アルムナイ採用は、大手企業や中堅企業では導入が進んでいますが、中小企業ではまだまだ浸透していません。社内体制や福利厚生などを整えたうえで、実施を検討してみると良いでしょう。
8. 自社採用を行う
自社のホームページなどに採用情報を掲載し、求職者からの応募を待つ方法です。求人サイトに広告を載せるよりも、採用コストを抑えられます。
ただし、自社のホームページを活用した採用活動は、コンテンツへのアクセスを集める必要があるため、認知度があまり高くない中小企業には適さない可能性があります。SNS経由であれば比較的チャレンジしやすいため、試してみても良いでしょう。
採用手法は他にもさまざまあります。コスト削減に役立つヒントが得られるかもしれませんので、あわせてぜひ参考にしてください。
9. 採用代行を利用する
採用をプロに委託するのも一つの方法です。しかし、「本来自社で完結できる採用業務を外注するとコストがかかるのではないか」とお考えの方もいるでしょう。
採用代行は、募集から内定まですべてを委託する必要はありません。書類審査の振り分けや説明会の運営など、業務の一部のみの委託も可能です。
決まったルールに沿って繰り返し行う業務は外注化しやすく、社員のリソースを大幅に減らすことが期待できます。結果的に内部コストの削減につながるでしょう。
10. オンラインツールを利用する
デジタル化やリモートワークの普及により、Web会議システムなどのオンラインツールは身近になりつつあります。
オンラインツールを活用すれば、貸会議場などのレンタル費用や社員の交通費の削減が可能です。さらに、移動時間がかからないぶん、社員がコア業務に時間を使うことができるようになり、内部コストの効率化にもつながります。
また、従来は電車やバスなどで通える範囲の求職者しか集まらない傾向がありましたが、オンラインの採用活動やリモートワークを実施することで、地方の優秀な人材の採用もできるでしょう。
11. 雇用形態について見直してみる
採用活動の目的や必要性を考え、雇用形態を見直してみるのも一つの選択肢です。正社員だけにこだわらず、パート・アルバイトの採用や、フリーランスへの依頼も検討してみましょう。
雇用形態を制限しすぎず柔軟性を持たせると、正社員の募集では接点を持てなかった人材が集まる可能性があります。例えば、子育て中の人の場合、正社員は難しくてもパートなら働けることもあるでしょう。
リーチできる人材が増えれば採用確率が高くなり、結果的にコスト削減につながります。
採用コスト削減時の注意点
採用コストを削減する際の注意点は、次の2つです。
- 採用の質を重視する
- 人事担当者の負担を増やさないようにする
それぞれのポイントを見ていきましょう。
採用の質を重視する
「採用の質」とは、求職者と自社とのマッチ度合いを指します。コスト削減を意識しすぎて採用の質が下がってしまうと本末転倒なので、注意が必要です。
採用の質を維持・向上させつつも、コストの削減を行うことが大前提です。例えば、採用ツールを削減した結果、求める人材が集まりにくくなってしまうのであれば、必要なコストとして残しておくべきでしょう。
人事担当者の負担を増やさないようにする
採用コストを削減した結果、人事担当者の負担を増やしては意味がありません。負担が増えれば、内部コストを始めとした人件費が増加します。さらに、業務量が増えると人事担当者のモチベーションが低下し、離職につながる可能性もあります。
採用コストを削減する際は、人事担当者にヒアリングを行うなどして、現状や改善して欲しい部分などについて意見を吸い上げるのがポイントです。
採用コストを削減しつつ自社にマッチした人材を確保しよう
採用コストを削減したとしても、自社が求める人材の確保は可能です。本記事で紹介した11の削減方法から自社でできる取り組みを選び、始めてみてはいかがでしょうか。
ただし、コストの削減だけを目的にしてしまうと、採用活動の質が下がったり人事担当者の負担が増えてしまったりする可能性があるため、注意が必要です。
ただ採用コストを削減するのではなく、自社が求める人材を確保するために何を残すべきなのかを見極めることが大切です。採用活動の質の担保と向上を前提に置きながら、コスト削減に取り組みましょう。