目標達成の原動力となるモチベーションは、営業成績を左右する要因のひとつです。モチベーションを高く保つことが成績向上の好循環を生み出します。
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そのため、営業部門のマネジメントには、メンバーのモチベーションを上げて維持するための仕組みづくりが求められます。しかし、どのような仕組みをつくれば効果を最大化でき、チームを良い状態に保てるのか、悩まれる方も少なくないでしょう。
本記事では、営業におけるモチベーションの重要性や、モチベーションを上げるためのポイント、役立つツールについて解説します。ぜひ営業チームのモチベーション管理にお役立てください。
モチベーションの高さが営業部門に与える3つの効果
「モチベーション」は、日本語で「動機付け」を意味する言葉です。
モチベーションの高さは仕事・学習などあらゆるシーンで効果を発揮しますが、特に営業部門に与える効果には、次の3つがあげられます。
- 試行錯誤しようという考えが生まれる
- 議論が活発化する
- 離職率が低くなる
目標達成のためには、課題を洗い出して改善する必要がありますが、成功へのモチベーションが高いと自然に試行錯誤しようという考えが生まれ、生産的な営業活動に結びつきやすくなります。
また、営業のモチベーションが高い状態は向上心が高い状態でもあり、現状改善のためのアイディアや意見を積極的に発信しようという意識が生まれます。
営業部門内にモチベーションの高い人がいると、周囲にも生産的な雰囲気が派生し、議論が活発に行われる文化が醸成されやすくなるでしょう。逆に、ひとりがモチベーションの低い態度で営業活動をしていると、他の人にも悪影響を与えてしまい、全体の士気が下がる可能性があります。
さらに、モチベーションの高さは、離職率の軽減や定着率の向上にもつながると期待できます。
エン・ジャパン株式会社が人材紹介サービス「エン転職」のユーザーを対象に実施したアンケートによると、「やりがいや達成感のなさ」を退職の理由としてあげた人は、全体で2番目に多い36%を占める結果となりました。この結果から、やりがいや達成感を覚えられ、高いモチベーションを維持できる職場環境が整っていれば、離職率を抑えられる可能性があると考えられます。
定着率の向上は営業部門として経験の蓄積につながるため、モチベーション管理が企業に与える影響は大きいといえるでしょう。
営業チームのモチベーションを上げる7つのポイント
やる気や熱意といった抽象的な感情のコントロールは難しいものですが、体系立てられた理論をもとに取り組むことで、モチベーション管理の仕組み化が可能です。
ここでは、営業チームのモチベーションを上げるための7つのポイントをご紹介します。取り組みやすいものから実践してみてください。
1. 実現可能な目標を設定し、試行錯誤する仕組みを作る
営業目標を立てる際には、「やや挑戦的かつ実現可能なレベル」の目標を設定することで、具体的にどう改善していこうか、という試行錯誤が生まれやすくなります。
一般的に、営業部門ではチーム全体で統一した目標を立てるケースが多く見られますが、モチベーションを上げるためには、一人ひとりに適した実現可能な目標設定を心がけましょう。
現実的な目標をたてるためには、個人の営業スキル・実力・レベルに応じて個別に設定することをおすすめします。
また、目標を細分化し、評価の頻度を増やして試行錯誤する仕組みをつくることも大切です。特に、経験の浅いメンバーに対しては、取り組む項目や達成までの期間を細かく設定することで、より目標が明確化されて成果につながりやすくなるでしょう。
なお、心理学における自己決定理論の定義によると、「自己決定の度合いはモチベーションや成果に影響する」といわれています。人に与えられた目標よりも、主体的に決めた行動目標の方が高いモチベーションを保ちやすくなるため、営業メンバー本人が目標を決めるのもひとつの方法です。
リーダーとして各々の課題を把握するためには、定量データだけでなく面談を通してヒアリングを行い、一人ひとりに適した目標設定ができるようサポートすると良いでしょう。
出典:『Self-Determination Theory』(著者:Richard M. Ryan、Edward L.Deci)
2. 根拠のある評価で承認欲求を高める
モチベーションに対して即効性のある施策に、表彰・ボーナス・インセンティブなどの評価制度があります。しかし、ただ評価の機会を増やすだけでは習慣化されてしまい、継続的なモチベーション効果が得られなくなるため注意が必要です。
より効果を高めるためには、ただ褒めるのではなく、具体的で客観的な事実に基づいた評価基準にのっとった「根拠のある評価」を意識することが重要です。
根拠のある評価をすることで、金銭面など外的要因から、達成感・やりがいといった内的要因へと変化し、より強固なモチベーションへとつながりやすくなります。
評価の目的は、リーダーや周囲から努力が認められていると営業メンバーに感じてもらうことです。評価の理由に納得してもらえれば、表彰など形式的な手法にこだわる必要はありません。
定量評価以外にも、「商談用の資料を工夫した」「営業会議で良い提案をした」など、定性的な面から日々の小さな努力や工夫を褒めるのも効果的です。
3. チームビルディングを強化し、連帯感を高める
営業チームのモチベーションを上げる方法には、チームビルディングを強化する方法もあります。
チームビルディングとは、チームのメンバー全員が共有する目標達成に向かい、個々の能力を発揮しつつ一丸となれる組織を築くことです。
チームの連帯感は、個人のモチベーション向上にも大きくかかわっています。
株式会社emphealが実施した在宅勤務者の生産性調査によると、業務におけるコミュニケーション機会が減るなど、チームの連帯感を感じにくい環境下では、社員のモチベーションの減少が見られました。
チームビルディングの強化によって、連帯感と同時に責任感も必然的に生まれ、目標の達成に向けて社員同士でサポートし合う文化が醸成されやすくなると考えられます。
4. 営業チーム内でのナレッジ・情報共有をする
ただ目標を与えるだけでなく、具体的な成功例やコツなどのナレッジを共有することで、メンバーのモチベーションアップが期待できます。特に、経験の浅い営業メンバーの場合は、目標を設定するだけではなく、実践しやすいよう具体的な行動のアドバイスを与えると良いでしょう。
この時、営業チーム内でのナレッジや情報をどのように共有していくかは、あらかじめリーダーが決めておきましょう。
なぜなら、営業部門では顧客に関する情報や注意点を共有することも多く、情報漏洩のリスクも考慮する必要があるからです。
例えば、「営業業務における重要事項の共有には、Slackなどのコミュニケーションツールを使用する」といった具体的な共有方法まで決めておくと、安全な情報共有の仕組み化が可能となるでしょう。
5. 営業活動に直結しないタスクを排除する
業務のなかで営業活動に直結しない業務に時間が奪われることが続くと、生産性が下がり、モチベーションの低下につながるおそれがあります。管理者として営業メンバーのモチベーションを低下させないためには、業務に優先順位をつけ、営業活動に直結しないタスクはできるだけ削減する工夫が必要です。
実際に営業社員にヒアリングしてみるなど、必要なタスクだけを残し、仕組み化や他部門への割り振りを行うと良いでしょう。
目標に優先順位を付けておけば、たとえ達成できない目標があったとしても、限られた時間のなかで収益や自身のスキルを最大化するための行動を選択しやすくなります。
6. 社内の意見を吸い上げやすい仕組みを作る
組織のなかで自分のアイディアや意見を安心して発言できる状態を「心理的安全性」と呼び、この状態が確保できているかどうかもモチベーションに影響します。
HR総研(ProFuture株式会社)のアンケート調査によると、チームのパフォーマンスを高めるうえで、「心理的安全性の確保が重要である」と答えた人は全体の9割にのぼりました。意見を吸い上げられない理由には、日々の営業業務に追われて意見を発言する機会がない場合や、上下関係が障壁となっている場合も多いでしょう。
この課題を解決するには、1対1で話せる機会を設けるなど、風通しを良くするための仕組み化が必要です。規模が大きい組織の場合は、社内SNSや定期的なアンケート、メーリングリスト、意見を送信するフォームの活用なども有効です。
7. 個人の理想のキャリアを尊重して支援する
全体の目標達成とあわせて、個人が思い描くキャリアに寄り添った支援をすることで、会社への信頼感・安心感をもって活動でき、モチベーションアップにつながります。
営業部門のマネージャーは、メンバーにとって目標達成のボトルネックとなっている課題や、本人が伸ばしたいと考えているスキルがないか、日々の営業活動などを観察して見極める必要があります。
課題を明確化したら、スキルアップのためのトレーニングへの参加推奨や、関係部門と連携した支援も検討すると良いでしょう。
営業チームのモチベーション維持に役立つツール
モチベーションには外的・内的要因が影響するため、唐突に「頑張ろう」と発起したところで、すぐに効果がでるわけではありません。そのため、短期的な施策ではなく、中長期的な仕組みづくりから考えることが重要です。
営業チームのモチベーションを維持できる仕組みづくりには、SFAのツールを活用するのもひとつの方法です。
SFA(営業支援システム)とは、営業活動の記録や進捗状況、顧客情報などの情報全般をデータ化して蓄積・分析できるソフトウェアです。SFAには、ナレッジ・情報共有に役立つ機能や、営業活動に関係のないタスクを簡略化・自動化ができる機能があるため、中長期的な取り組みに適しています。
モチベーション維持へのSFAの活用方法として、行動履歴機能を利用し、受注など結果だけでなく過程を評価することも可能です。「結果にはつながらなかったが、営業活動の内容自体は認めている」と営業メンバーへ伝えることで、前向きに活動を続けやすくなるはずです。
また、SFAでは過去のデータと比較でき、前年や前月より成果がでているのがひとめでわかります。成果や行動の変化に気付きやすくなるため、モチベーション維持のための評価や声かけを行いやすくなるでしょう。
営業チームのモチベーション維持は仕組み・文化づくりから
営業成績は個人のモチベーションに左右されやすいことから、組織の目標達成のためには、企業として社員のモチベーション管理に積極的に取り組む必要があります。
体系的なモチベーション維持の仕組みづくりのためには、短期的な施策ではなく、中長期的に取り組むことが重要です。
営業メンバーは自分の存在を認め尊重し、評価してくれることを望んでいると想定できます。その気持ちに寄り添いつつ、自然とモチベーションが醸成されるような仕組み・文化づくりから始めると良いでしょう。
モチベーション管理には、営業メンバーの意見の吸い上げや、データ分析、行動管理、顧客管理など営業活動全般をサポートできるSFAのツールを活用するのもおすすめです。
モチベーション管理で営業成績の改善に導き、その成功体験をさらなるやる気へと還元する好循環を目指しましょう。