BtoBビジネスを展開する企業のマーケティング担当者のなかには、「他社の成功事例を知って施策の参考にしたい」、「成功のために押さえておくべきポイントを理解したい」と考えている方もいるでしょう。
事例PDF&お役立ち資料セット | ピー・シー・エー株式会社様
マーケティングからセールス活動の管理運用を一貫化するポイント
- HubSpotを活用した成功事例
- マーケティングと営業一貫化の重要性
- マーケティングと営業一貫化3つのポイント
- HubSpotが提唱する「ライフサイクルステージ」の活用方法
今すぐダウンロードする
全てのフィールドが必須です。
BtoBはBtoCとは異なる特徴があり、それを理解したうえでマーケティング活動を進めていくことが欠かせません。ほかの企業の成功例を知ることが、BtoBマーケティングの特徴を掴むことにもつながります。
そこで本記事では、BtoBマーケティングの成功事例を15件ご紹介します。記事後半ではBtoBマーケティングを成功させるために欠かせないポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
なお、BtoBマーケティングの基礎知識や代表的な手法は次の記事に詳しくまとめています。
BtoBマーケティングの成功事例15選
BtoBマーケティングの成功事例15選を、課題や取り組んだ施策、結果、取り組みのポイントとあわせてご紹介します。
1. アドビ株式会社
出典:Adobe
アメリカに拠点を置くアドビ株式会社は、デジタルツールやソフトウェアの開発を手掛ける企業です。同社はマーケティングの一連の流れを自動化できるMA(マーケティングオートメーション)ツールであるAdobe Marketo Engage(通称:マルケト)を提供しています。
自然検索から流入したユーザーの成約が多かったことから、同社はマルケトのさらなる受注増をゴールとして、SEOに注力しました。
サイトのフォーマットやコンテンツ配信のコンセプトが決まっており、施策を柔軟に立案しづらいなど、外資系IT企業ならではの制約もありましたが、検索キーワード「MA」でコンテンツを上位表示させることに成功しました。結果的に、新規顧客の創出や商談件数の増加につながっています。
2. LINEヤフー
出典:LINEヤフー株式会社
LINEヤフー株式会社は、LINE株式会社とヤフー株式会社のグループ企業が統合し、2023年10月に誕生した企業です。
近年、BtoB関連キーワードの検索数やデジタル広告予算額が増加したことを受け、2023年4月にBtoBの専門チームを立ち上げました。BtoB広告では検索数に限りがあるため、データ活用を推進しつつディスプレイ広告を強化するなどの手法で、BtoB企業の支援を行っています。
名刺アプリとデータ連携することで、業種や従業員規模などの企業情報に加えて、部署や役職などで高品質なターゲティングが可能となりました。その結果、月の出稿金額が10倍になった企業があります。商談単価を3分の1にまで改善できた事例もあり、成果につながっていることがわかるでしょう。
詳細なターゲティングが商談や受注につながっており、ディスプレイ広告によくある「媒体CPAが高い」という課題を克服した点が、同社の事例のポイントです。
3. ビジネスエンジニアリング株式会社
出典:ビジネスエンジニアリング
ビジネスエンジニアリング株式会社は、情報システムのコンサルティングやネットワークシステムの企画・開発を展開する企業です。同社では、Webサイトからの新規顧客が減少したことを受け、リスティング広告による集客を目指しました。
広告出稿によってアクセス数自体は増加したものの、コンバージョンにつながらず期待した成果が出ないという課題が生じます。そこで、出稿するキーワードに合わせたLP(ランディングページ)を作成するなど、戦略を立ててWebマーケティングを実施しました。
結果、Webサイト経由のコンバージョン数を10倍に伸ばすことに成功しています。
4. 株式会社ヴィス
出典:株式会社ヴィス
株式会社ヴィスは、オフィスデザイン、ブランディング、データソリューション、プレイスソリューションなどを中心に事業を展開している企業です。
同社は当初、自社Webサイトを訪れたユーザーのIPアドレスから企業名を割り出し、自社のリストと照合することでメール配信リストを手動で作成していましたが、このプロセスには多くの時間と労力が必要です。さらに、作業が属人化していたため、効率性と再現性に乏しいという課題もありました。
こうした問題を解決するために、MAツールを導入した結果、セミナーの参加状況、ホワイトペーパーダウンロードの有無など、顧客情報を事前に把握した状態でナーチャリングが可能となりました。インサイドセールスの生産性が向上し、アポイントメント獲得率の向上という成果にもつながっています。
5. 株式会社Techhouse
出典:株式会社Techouse
株式会社Techhouseは、採用のためのサイト制作や労務業務の効率化・ペーパーレス化、人材プラットフォームの開発・運営を手掛ける企業です。
新卒社員が億単位の広告運用を一人で担当している状況に課題を感じ、インハウスでの運用体制を強化することになりました。具体的には、数値の改善方法や入稿作業、管理画面の設定といったオペレーション面のサポートやレクチャーを受け、業務運営の改善につなげています。
こうした体制強化の結果、広告運用未経験者が2か月で過去最高のROASを達成し、ROAも30%改善しました。「広告はやってみてから改善」という思考から、「根拠を持って取り組み、高い成果につなげる」という認識の変化も起きたといいます。
6. 富士電機株式会社
出典:富士電機
富士電機株式会社は、エネルギー事業や半導体事業、環境事業を展開する企業です。
自治体向けサービスの企業サイトをリニューアルするにあたり、顧客のニーズをより深く理解するために、カスタマージャーニーマップを作成しました。この取り組みは、訴求ポイントの明確化にも役立っています。また、作成したカスタマージャーニーマップは、コンテンツ制作の際の羅針盤としても機能しています。
7. 株式会社白山
出典:株式会社白山
株式会社白山は、光通信分野や社会インフラ分野を支える製品の開発・製造・販売を行う独立系メーカーです。国内市場だけでなく世界市場にも進出し、主力製品の「MTフェルール」は世界シェア2位を占めます。
同社の強みは高い製品力であり、大手顧客からの大量受注で事業を継続させてきました。しかし一方で、新規顧客の創出や販路拡大のためのノウハウが蓄積されていない点が課題です。
営業方法の見直しと人員の意識改革が急務と考えた同社は、新規顧客の創出や顧客データベースの作成を目的に、CRM機能が搭載された名刺管理ツールを導入しました。その結果、取引先のリスクチェックの時間を10分の1に削減し、部署を越えて顧客情報を共有することに成功しています。
8. Momentum株式会社
出典:Momentum株式会社
Momentum株式会社は、デジタルマーケティングを支援する企業です。広告費が不正に搾取される「アドフラウド」への対策サービスも提供しています。
「アドフラウド」という言葉そのものの認知度が低かったことから需要を喚起できず、コンバージョンにつながらないという課題を抱えていました。
そこで同社は、タクシーの後部座席で放映するデジタルサイネージ広告に注力しました。タクシー広告は、管理職以上のビジネスパーソンや決裁権者に対する効率的なアプローチが可能です。
キャッチーな動画広告によってアドフラウド対策の必要性を訴えることに成功し、自社サービスの認知拡大にもつながりました。
9. ターゲットメディア株式会社
出典:ターゲットメディア
ターゲットメディア株式会社は、BtoBマーケティングの支援サービス、コンサルティングサービス、BPOサービスなどを包括的に提供する企業です。
以前からMAツールを導入していましたが、特定のメールに反応した人にメールを追加で配信するなどの細かい設定ができないことに不満を抱えていたといいます。顧客のニーズに合わせたメールを送るなど施策の実施も困難でした。
その後、クライアントのMAツール運用支援に携わった際に使用していたMAツールへの切り替えを実施します。切り替え後は、ステップメールのシナリオ配信機能、自動配信機能、追客機能などを駆使して2種類のメルマガを配信するなどの施策を実施しました。
結果、メールマーケティングを通じて月間20件のアポイントメントを獲得し、メール配信数を以前の2倍に増やすことに成功しています。また、マーケティングとインサイドセールスを分業して顧客対応を漏れなく迅速に行うなど、マーケティングと営業プロセスを仕組み化したことで商談数は225%に伸びました。
10. 株式会社モンスターラボ
株式会社モンスターラボは、国際的人材を活かし、デジタルビジネスコンサルティングと、DX促進やロボティックプロセスオートメーション、商業施設向けオーダーシステムなどのプロダクト開発を手掛ける企業です。
近年、コンテンツの競合が激化していることに加えて、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)が重要視されるようになったSEOでは、成果を出すことが難しくなっています。多くの企業が難しい状況にいるなか、同社のDX関連のオウンドメディアは、PV数が前年比で3倍、新規顧客創出数(資料ダウンロード数)が5.2倍と、高い成果を上げています。
現場の担当者だけでなく経営陣もコンテンツ作りに巻き込み、顧客視点を大切にしながらユーザーの悩みを深掘りしているといいます。また、競合のコンテンツをまねるのではなく、同社独自の事例紹介を通じて、オリジナル性を追求したことなどもポイントです。
11. 株式会社kubell(旧 ChatWork株式会社)
出典:Chatwork
株式会社kubell(旧 ChatWork株式会社)は、クラウド型ビジネスチャットツール「ChatWork」を開発・運用している企業です。
同社は、企業向けに、市場動向の変化や経営上の課題を解決するためのヒントを提供するため、動画配信ツールを活用したテレワークカンファレンスを開催しました。
このイベントはオンラインで開催されたため、国内の多くの企業がリモートで気軽に参加できました。結果として、数千人の参加者を集めることができ、ChatWorkのコンバージョンにもつながっています。
12. ログリー株式会社
出典:ログリー
ログリー株式会社は、日本初のネイティブ広告プラットフォーム「LOGLY lift」を提供している企業です。
世界情勢の変化によってオフラインセミナーの開催機会が減少したことで、新規顧客の創出が難航したため、デジタルマーケティングへと舵を切りました。企業から一方的に情報を発信するのではなく、アンケートやクイズを通して、ユーザーからの反応を取り入れられるインタラクティブコンテンツの提供に力を入れました。
さらに、サイトデザインやテーマカラーと調和するようボタンやポップアップの色を設定し、ユーザー体験を損ねないことも大切にしています。
ユーザーの状況や興味関心に応じたコンテンツを提供できるようになった結果、見込み客を増やすことに成功しています。
13. Kaizen Platform
株式会社Kaizen Platformは、セールスとマーケティング領域のDX支援事業を手掛けています。動画制作・Webサイト改善・DXコンサルティングの3つの柱を軸に、クライアントの先にいる顧客体験を向上させることで、ビジネスの成果創出を支援しています。
同社は営業力が強みである反面、マーケティングの体系的な取り組みが不十分だったことから、MAツールを導入しました。MAツール導入後は、コンテンツマーケティングとメルマガを組み合わせ、既存の見込み客へ定常的にアプローチすることに成功しました。
組織的なマーケティング改革の結果、動画事業で高品質なインバウンドマーケティングを実施でき、1年間でアポイントメントの獲得数が1.4倍、商談数は約2倍、受注率も2.6倍以上に大きく増加しています。
14. ピー・シー・エー株式会社
出典:PCA
ピー・シー・エー株式会社は、企業経理業務に関わるPC用基幹業務系パッケージソフトウェアを開発・販売する企業です。
同社では2018年に、インサイドセールス担当者を含めたマーケティンググループを発足させ、新規顧客の創出に向けたマーケティング活動を開始しました。2019年には自社のWebサイト「P-Tips」を開設し、見込み客の創出に成功しています。しかし、見込み客との間に販売代理店が入るケースが多く、顧客の反応を直に確認できないという問題が生じました。
組織改編後は、Webサイトのコンバージョンポイントを再考し、Webサイト上のユーザーの行動を可視化する取り組みを実施しています。ユーザーの行動を詳細に把握できるようになるなど、ユーザーの理解を深めることでマーケティング施策の質が向上した結果、MRR(月次経常収益)が5倍以上になりました。
15. HubSpot
出典:HubSpot
私たちHubSpotも、BtoBマーケティング領域において成功を収めていると自負しています。HubSpotは、マーケティングから営業、カスタマーサービスなど幅広い場面で活用できるCRM(顧客関係管理)を主軸としたプラットフォームを提供しています。
顧客にとって価値のあるコンテンツを提供する「インバウンド」の考え方に基づいたマーケティング戦略を徹底した結果、世界の主要地域に13か所の拠点を構え、19万4,000社以上の企業に導入されるまでに成長しました。自社の成功体験を活かして、インバウンドを前提とした顧客中心の戦略を実行するためのノウハウとツールを提供し、顧客のビジネスが成功できるよう支援しています。
成功事例から読み解くBtoBマーケティング成功のポイント
ここでは、成功事例を踏まえたBtoBマーケティング成功のポイントを見ていきましょう。
- 見込み客のニーズを理解する
- 顧客にとって最適なタイミングで訴求する
- ツールを導入・活用する
- 部署を越えて密に連携を取る
- 継続的にコンテンツを生産する
見込み客のニーズを理解する
見込み客のニーズを深く理解することは、マーケティング活動の基本といえます。
見込み客の悩みや課題を把握し、それを解決できる手段として商品やサービスを訴求するという順番が大切です。
顧客のニーズを理解するには、ペルソナの設定や、顧客が商品・サービスを認識してから購入に至るまでのプロセスをまとめた「カスタマージャーニーマップ」の作成が役立ちます。実際の顧客にヒアリングする方法もおすすめです。
このような方法から得られた情報をもとに商品・サービスを設計したり、マーケティング施策を立案したりすると、顧客満足度が高まります。その結果、売上アップや認知度拡大など、自社の目的も達成しやすくなるでしょう。
顧客にとって最適なタイミングで訴求する
見込み客や顧客が必要とする情報は、「認知」「興味・関心」など、購買に至るまでのフェーズによって異なります。
最初の段階では、自社商品の特徴やメリットを訴求し、顧客の購買意欲を高めることに注力します。その後、顧客の関心が高まったタイミングで、割引クーポンなどを送付すると効果的です。
顧客とのタッチポイントを最適化するには、カスタマージャーニーマップの作成がおすすめです。商品を認知してから購入にいたるまでの顧客の行動や心理状況を可視化し、顧客視点に立って変化を捉えるのがポイントとなります。
施策の実行・検証を通じて、カスタマージャーニーマップを改善し続けることも重要です。
ツールを導入・活用する
MAツールやSFA、CRMなどのマーケティング活動に役立つツールを利用するのもポイントです。複数のツールを組み合わせることで、マーケティング活動の流れを効率化できます。
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、マーケティング活動を自動化できるツールです。顧客データ管理、メール配信、新規顧客創出、リードジェネレーションなどを効率化できます。
「営業支援システム」と呼ばれるSFAは、営業活動に特化したツールです。営業の進捗状況や商談化率の可視化、営業活動のマネジメントに役立ちます。
CRM(顧客関係管理)ツールとは、顧客と中長期的に良好な関係を築くためのツールです。顧客のニーズや行動を管理するのに役立ち、パーソナライズ化されたコミュニケーションの提供や、顧客満足度を高めるための施策の立案に活用可能です。
部署を越えて密に連携を取る
BtoBマーケティングでは、新規顧客創出からリードナーチャリング、営業、アフターサポートに至るまで、多くの部署が関わります。そのため、部署を越えて密に連携を取ることも成功のポイントです。
代表者で定例ミーティングを行ったり、MAツールやSFA、CRMなどの各種ツールを利用して顧客情報を共有する体制を整えたりする方法が有効です。その他、カスタマーサクセスチームと協力して顧客満足度を高め、LTV(生涯顧客価値)を改善することも重要といえます。
継続的にコンテンツを生産する
本記事で紹介した成功事例のなかには、コンテンツマーケティングで顧客の悩みを解決し、結果的に売上を伸ばした事例がいくつかあります。オンラインでリサーチして意思決定まで至ることの多い現代では、ユーザーの課題解決に貢献できるコンテンツを充実させる取り組みが欠かせません。
質の高いコンテンツを継続的に生産していくうえで社内のリソースを確保できない場合は、外注も検討しましょう。
BtoBマーケティングの成功事例を参考に自社の戦略を検討しよう
今回紹介したBtoBマーケティングの成功事例のなかには、自社の施策の改善につながるヒントがたくさん隠れています。そのままでは自社での実施が難しいと感じる施策であっても、規模を縮小するなどの工夫をして、スモールスタートしてみてはいかがでしょうか。
BtoBマーケティングを成功に導くためには、顧客を深く理解し、寄り添うことが何よりも重要です。CRMやMAなどのツールも活用しながら部署を越えて連携を強化し、顧客体験の最適化を目指しましょう。