CRM戦略とは?3つのメリットと成果を出す5つの構築ステップ

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池村真澄
池村真澄

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📋 この記事の要点

  • CRM戦略とは、顧客体験を最適化しLTV向上と成長を目指す経営戦略のこと。ツール導入と異なり、活用目的の設計が本質
  • 顧客接点の多様化とAI普及により、自社固有の一次データを部門横断で集約することが戦略の根幹となる
  • LTV向上やデータドリブンな意思決定、顧客起点のマーケティングが可能になる
  • 構築は目標・KPI設定、ペルソナ策定、ジャーニーマップ作成、ツール選定、改善サイクルの5ステップで進める
  • 全社での目的共有と入力ルール整備によるデータ品質維持が重要

この記事は12分で読めます

CRM戦略とは?3つのメリットと成果を出す5つの構築ステップ

「CRMツールを導入したものの、期待したほどの成果が出ていない」――そう感じたことはないでしょうか。実は、CRMツールを導入することと、CRM戦略を構築することは役割が異なる取り組みです。ツールはあくまで手段であり、データ活用を通じてどのような顧客体験を実現するかという「戦略」がなければ、データはただ蓄積されるだけで終わってしまいます。

CRM・MA導入の事前準備チェックリスト

CRMやMAを導入する際にマーケティング施策別に準備するべきことをチェックリストにしてまとめました。

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    ポイントは、ツールの導入と戦略の構築を分けて考えることです。目的と指標を先に定めておけば、蓄積した顧客データを施策に活かせます。本記事では、持続的な事業成長を実現するためのCRM戦略の全体像と、取り組むメリット、具体的な構築ステップなどを解説します。

    CRM戦略とは

    CRM戦略とは、顧客データを基盤に顧客体験を最適化し、LTVの向上や事業成長を実現する経営戦略のことです。

    そもそもCRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)は、顧客や見込み客と良好な関係を築くための考え方を指します。CRM戦略は、その考え方を自社の事業目標と結びつけ、実行計画に落とし込んだものです。

    対象範囲はマーケティングだけではなく、営業・カスタマーサービスを含む、顧客接点全体となります。

     

    CRMツールの導入との違い

    CRMツールの導入とCRM戦略の違いは、目的の所在にあります。CRMツールの導入は顧客データを扱う仕組みを整える取り組みであり、CRM戦略はその仕組みで何を実現するかを設計する取り組みです。

    目的や指標、運用ルールが定まらないままツールだけを導入すると、データは蓄積されるものの、施策には結びつきません。誰がどの項目を入力し、その情報を何の判断に使うのかが決まっていないためです。

    CRM戦略が定まっていれば、顧客データをどのような施策へ活用すべきかが設計されているため、単なる管理のためのツールではなく、顧客満足度や企業の収益を上げるための成長基盤として機能します

     

    CRM戦略が必要とされる背景

    昨今、CRM戦略が求められるのは、主に2つの背景があります。

    一つは、市場の成熟です。技術の発達によって、機能は模倣されやすく、製品の機能や価格だけで独自性を示すことは難しくなりました。新商品開発だけで成長を維持することも困難です。

    そこで重要になるのが、CRMを活用した顧客関係の構築です。購買履歴やコミュニケーションの蓄積は、他社が短期間で真似できない「関係性の資産」となります。顧客との信頼関係を深めることで、価格競争に巻き込まれない持続的な成長につながります。

    もう一つの背景は、顧客の情報接触経路の多様化です。Web検索やSNS、比較サイトに加え、最近ではAIチャットツールで情報を整理してから企業へ接触する行動も広がりました。

    HubSpotが実施した日本のカスタマーサービスに関する意識・実態調査2026でも、問い合わせ前に自己解決を試みる手段として約4割の方が生成AIを活用していると回答しており、顧客行動がますます複雑化していることがわかります。

    AI検索による「自己解決」の増加

    こうした多様な流入経路において、部門ごとに情報が分断されていると、見込み客や顧客がどの段階にいるのかを捉えきれません。あらゆる接点で得た行動データを一元的に把握し、部門を横断した一貫性のある戦略を描くために、全社で連携できるCRMが土台となります。

     

    CRM戦略に取り組む3つのメリット

    CRM戦略のメリットは、大きく分けて以下の3つがあります。

    • 顧客満足度・LTVの向上につながる
    • データドリブンな意思決定ができる
    • 顧客起点のマーケティングができる

    顧客満足度・LTVの向上につながる

    顧客データの活用は、顧客満足度とLTVの向上につながります。購買履歴や利用状況からニーズが可視化され、状況に合った提案やサポートを届けられるためです。

    例えば、以下のような出し分けができ、顧客は自分に合う選択肢を見つけやすくなります。

    • 利用が特定の機能に偏っている顧客:活用支援の情報を届ける
    • 継続利用の長い顧客:上位プランの提案を届ける

    自分に合った情報が届く体験が重なり顧客満足度が向上することで、契約期間の維持につながり、LTVの向上に寄与します。

     

    データドリブンな意思決定ができる

    顧客データが一か所に集まると、経験や勘だけに頼らないデータドリブンな意思決定ができるようになります。

    CRM戦略では、商談・受注・失注・問い合わせ・解約などのデータを顧客単位で結び付けるため、「どの業種の顧客が、どの施策を経て成約し、なぜ離脱したのか」を分析できます。

    例えば、受注率の低下を営業担当者の問題と決めつけず、見込み客の流入元や初回対応までの時間、提案内容といった軸で検証することが可能です。現場の感覚を仮説として活用しつつ、共通の指標で効果を検証・改善することで、再現性のある意思決定につながります

     

    顧客起点のマーケティングができる

    属性データ・行動履歴・取引情報が一つの基盤に集まるため、顧客一人ひとりの状況に合わせたアプローチを設計できる点もメリットです。送りたい情報を全員に配信する発信から、顧客が必要とする情報を必要なタイミングで届ける発信へと転換できます。

    この考え方は、HubSpotが提唱するインバウンドの思想とも重なります。インバウンドとは、顧客の成功を支援することで自らも組織として成長を遂げることを重視する考えです。

    顧客起点のマーケティングができる

     

    CRM戦略を構築する5つのステップ

    CRM戦略は手順に沿って進めることで、施策の一貫性を保ちやすくなります。目標の設定から改善サイクルの実行まで、5つのステップに分けて解説します。

     

    1. 目標・KPIの設定

    最初に取り組むのは、目標とKPIの設定です。指標が定まっていれば、施策の効果を検証し、軌道修正の判断ができます。

    KPIは自社の課題から逆算して選びましょう。

    下記のように、課題と解決したい状態を対応させます。

    • 顧客の定着が課題→解約率
    • 顧客単価が課題→アップセル率

    また、「6か月で解約率を12%から8%へ引き下げる」のように、具体的な数値と期限をあわせて設定すると、進捗の共有が明確になります。

    CRM戦略で用いる代表的なKPIは、次の通りです。

    KPI 測るもの

    顧客維持率・解約率

    継続している顧客、離れた顧客の割合

    コール数・メール数

    活動指標:電話やメールの実施件数

    アップセル率・クロスセル率

    上位プランや関連商品への移行率

    NPSCSAT

    顧客の推奨度・満足度

    LTV

    取引期間の全体でもたらされる利益

     

    2. ターゲットペルソナの設定

    次に、関係を深めたい顧客像を具体化します。役職や抱える課題、意思決定のプロセスまで描くことで、施策の精度が上がります。

    BtoBでは、企業属性だけでは足りません。実際に製品を使う現場担当者と、予算の決裁権限を持つ立場の人物を分けて捉える視点が有効です。

    ペルソナは想像で組み立てるのではなく、既存顧客の実データから成果の出ている層を抽出して設定しましょう。契約期間の長い顧客に共通する特徴が、有力な手がかりになります。

    また、想定と実態にズレが生じることも前提に置き、定期的な見直しを組み込んでおけば、軌道修正がスムーズに進みます。

     

    3. カスタマージャーニーマップの作成

    カスタマージャーニーマップとは、顧客の購買プロセスを可視化した図です。認知、興味・関心、比較・検討、行動というフェーズごとに、顧客の行動や思考、接点を整理します。

    3. カスタマージャーニーマップに沿ったアクションプラン作成

    カスタマージャーニーマップを作成することで、どのフェーズに施策やコンテンツが不足しているかを特定できます。接点の一覧は、投資の優先順位を決める材料にもなります。また、CRM戦略では、営業・マーケティングに加えてカスタマーサービスでも一貫して活用できるよう、購入後のフェーズまで含めるとより効果的です。

    タッチポイントや行動にAI検索が加わった点も織り込んでおきましょう。

     

    4. CRMの選定・導入

    設計した戦略を実行する基盤として、CRMを選定します。顧客データの一元管理と分析を担う仕組みが、施策の実行速度を左右します。

    CRM選定時の判断軸は、機能の多さではありません。ポイントは下記の4点です。

    • 操作のしやすさ
    • 予算感と機能のバランス(ROIの視点)
    • セキュリティ体制
    • ビジネスに合わせたタイプの選択

    無料プランやトライアルで運用のイメージを確認してから範囲を広げると、定着が進みやすくなります。

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    5. 効果測定と改善サイクルの実行

    運用を始めたら、設定したKPIを定期的に確認します。目標との差分から、次の施策を決める流れです。

    成果が出た施策は他のセグメントへ展開し、成果が出なかった施策は、前提としていた顧客像や指標の設定そのものを見直しましょう。

    データの蓄積が進むほど、検証の精度は高まります。初期の段階では完璧さよりも、記録を続けることを優先するのが賢明です。

    CRM戦略は、一度描いて終わる計画ではありません。顧客の変化に合わせて更新を重ねることで、成果が積み上がっていきます。

     

    CRM戦略を成功させるポイント

    手順通りに進めても、運用の設計次第で成果は変わります。ここで紹介するのは、CRM戦略を機能させるために押さえたい4つのポイントです。組織の合意形成からデータの扱い方まで、順に見ていきます。

     

    全社で目的を共有し合意を形成する

    CRM戦略は、特定の部門だけで完結しません。マーケティング、営業、カスタマーサービスが同じ顧客像を共有して、はじめて機能します。

    まず、何のために取り組むのかを経営層と現場で共有しましょう。部門ごとの目標と矛盾しない設計にしておくと、現場での優先順位が定まります。

    また、データの入力が負担の増加として受け取られると、運用は続きません。入力した情報が自分の業務にどう返ってくるのかを具体的に示すことが、協力を得る近道です。

    部門をまたいで判断できる推進担当を置くと、意思決定の停滞を防げます

     

    入力ルールを定め、データ品質を保つ

    データ品質の担保には、入力ルールの整備が欠かせません。項目の定義、記入の粒度、更新のタイミングを決めることで、担当者による表記のばらつきが減ります。

    重複したデータや古い情報が残っていると、分析結果そのものへの信頼が失われます。定期的な棚卸しをスケジュールへ組み込む運用が有効です。

    入力項目は多いほど良いわけではありません。施策で実際に使う項目に絞ることで現場の負担が抑えられ、運用が続きます。

     

    一次データをAI活用の基盤に据える

    AI活用が広がる今、重要なのは「自社ならではの一次データ」です。

    AIは世の中の膨大な情報を学習していますが、自社の顧客がどんな課題を抱え、いつ満足し、なぜ離れてしまったのかといった「その顧客ならではの背景」までは知りません。だからこそ、商談履歴や契約内容、サポート対応などの一次データが、AIを活用するうえで重要な材料になります

    部門ごとにデータがバラバラだと、AIは顧客情報の一部しか参照できず、一般論に近い回答になってしまいます。一方で、顧客に関する情報が一元化されていれば、AIはこれまでの経緯や状況を踏まえて、より的確な提案や予測ができるようになります

    日々の営業活動で残しているメモや対応履歴も、AIにとっては重要な一次情報です。その一つひとつの記録が、AIの判断材料となり、より良い顧客体験につながっていきます。

     

    小さく始めて改善を重ねる

    最後のポイントは、着手の範囲を絞ることです。全社で一斉に始めるのではなく、対象の部門や顧客セグメントを限定して試行します。

    短期間で結果が見える範囲から着手すると、社内で示せる成功事例を早期に得られます。その事例を明示できれば、他部門の協力も得やすくなり、組織全体でのCRM浸透を加速させる好循環が生まれるでしょう。

    完成した状態を目指すのではなく、運用しながら精度を高める前提で設計するのがポイントです。小さな成果の積み重ねが、適用範囲の拡大や追加投資の判断を後押しします。

     

    CRM戦略は顧客データを基盤に育てていく

    CRM戦略の本質は、単に顧客データを管理することではありません。データをもとに顧客との関係を継続的に深める仕組みをつくり、更新し続けることにあります。

    近年は、生成AIの登場によって、購買行動はより複雑化しました。そうしたなかで価値を増しているのが、部門をまたいで一元化された一次データです。顧客のコンテキスト(文脈)を理解した提案ができるかどうかが、選ばれ続ける企業の条件の一つとなりつつあります。

    HubSpotのCRMは、マーケティング・営業・カスタマーサービスの各部門に散在するデータを一つの基盤に集約できる設計になっています。無料のプランから始められ、組織の規模や成熟度に合わせて段階的な拡張が可能です。

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    CRM戦略に関するよくある質問

    CRM戦略は何から始めれば良いですか?

    目標とKPIの設定から始めましょう。いきなりツールの比較検討から入ると、判断軸が定まらないまま機能の多さで選ぶ結果になりがちです。まず自社の課題を特定し、そこから逆算して指標を決めていきます。

     

    少人数の組織でも取り組めますか?

    CRM戦略は少人数の組織でも取り組めます。すべての機能を使う必要はなく、顧客情報の一元化と対応履歴の記録から始めるだけでも効果が見込めます。コストをかけられない場合は、まず無料プランのあるCRMで初期費用を抑えて運用を開始すると良いでしょう。

     

    成果が出るまでの期間の目安は?

    指標によって異なります。データの整備状況や対応履歴の記録率は、数か月で変化が見えてきます。一方、顧客維持率やLTVは顧客の契約サイクルに左右されるため、判断には半年から1年程度を見込んでおくと良いでしょう。短期の指標と中長期の指標を分けて設定すると、社内への進捗報告がしやすくなります。

    HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

     

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