営業支援とは、営業担当者がコア業務へと注力できるように周囲のメンバーがサポートを行うことです。
SFA (営業支援システム) 導入の基礎ガイドと実践用チェックリスト
SFA導入を成功させるためのポイントを徹底解説!
- SFAの導入を成功させる方法
- スムーズな社内導入5つのチェックポイント
- SFAツールのご紹介
- SFA導入「実践用チェックリスト」
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営業担当者が顧客とのコミュニケーションや見込み客とのアプローチといったコア業務に注力することで、生産性の向上が期待できます。営業担当者が顧客や見込み客との接点を増やすことは、良い関係性を構築することにもつながり、中長期的な収益の安定化も見込めるでしょう。
本記事では、営業支援のメリットや流れ、実施する際のポイントを解説します。営業支援に役立つツールも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
営業支援とは
営業支援とは、営業担当者がコア業務に注力できるように、周囲のメンバーがサポートを行うことです。営業マネージャーによるフォローや、別の担当者による業務代行など、マンパワーを用いた営業支援が代表的です。ITツールを導入し、業務の一部を自動化することも営業支援に含まれます。
HubSpotが公表している「日本の営業に関する意識・実態調査2024」で、「時間があればやりたいこと」を質問したところ、35%以上の人が「顧客との商談」と回答しています。つまり、本来であれば営業担当者が最優先しなければならない顧客や見込み客とのやり取りに時間を割けていないということです。
適切な営業支援の体制を築くことで、営業担当者が顧客のために使える時間を確保することができ、きめ細やかな対応が可能になります。結果的に顧客満足度が高まり、売上や利益の増加につながるため、営業支援は組織全体においても重要な課題といえるでしょう。
営業支援を実施する目的・メリット
営業支援を実施する際は、あらかじめ目的を明確にすることが大切です。ここで紹介する営業支援のメリットを押さえておくと、自社の課題に合わせて適切な目的を設定できます。
営業組織全体での生産性向上につながる
営業活動では商談以外にも、提出資料やヒアリングシートの作成、メールの確認・送信、データ入力など、さまざまな業務を実行しなければなりません。1人の営業担当者が複数の案件を抱えている企業では、案件の数だけ営業活動に付随する作業も増えてしまいます。このような状態が続くと、顧客や見込み客とのコミュニケーションに使う時間が足りなくなるだけでなく、対応漏れやミスなどにより、顧客満足度が低下することも考えられるでしょう。
営業マネージャーは、このような現状を正確に把握したうえで、適切なフォロー体制を築かなければなりません。
例えば、営業プロセスやタスクの進捗状況を可視化できるツールを導入するだけでも、担当者個別の状態が一目で把握できるようになります。その結果、担当者の課題や滞っているタスクなどをもとに、迅速なフォローを行えるようになり、組織全体での生産性向上につながります。
業務品質の均一化が図れる
パフォーマンスの良い営業担当者の商談化率や顧客との接触履歴、成約率といった情報をノウハウとして共有することで、業務品質の均一化が可能です。営業組織全体のスキルが底上げされることで、成約率や売上といった成果の向上が見込めます。
業務品質の均一化には、SFA(営業支援システム)と呼ばれるITツールが便利です。営業担当者が日々行っている営業活動の詳細をSFAに記録することで、情報が蓄積されていきます。SFAには、組織内で情報を共有できる機能が備わっており、表計算ソフトのような集計を行う手間がありません。
また、案件に関する情報もすべてSFAに集約されるため、営業マネージャーが担当者の現状を見ながら適切なフォローを行うことも可能になるでしょう。
営業担当者の負担を軽減できる
1人の営業担当者が抱えている案件の量が多いと負担が大きくなり、ミスが増える原因になります。モチベーションの低下や離職を引き起こすこともあるため、営業マネージャーは、各営業担当者の業務量を適切な状態に保つための仕組みを作る必要があります。
営業担当者の負担を軽減できることも営業支援のメリットのひとつで、顧客の状況に合わせて契約プランを見直す提案を行うなど、新たな取り組みを行う余裕が生まれます。また、担当者同士がお互いにフォローし合えるような環境を構築することで、組織内の風通しも良くなるでしょう。
営業支援の流れ
営業支援を実施する際の手順は次の通りです。
- 営業フローの棚卸し
- ボトルネックの特定
- 営業支援計画の策定
担当者を支援するにも、「誰が・どのような課題を抱えているか」といった情報がなければ適切なフォロー体制を築くことが難しくなります。そのため、営業支援では、状況把握や課題特定といった事前準備が何よりも重要です。具体的な進め方を見ていきましょう。
1. 営業フローの棚卸し
現状の課題を特定し、支援内容を決定するためには、まずは営業活動の全体像を把握する必要があります。そのためには、営業活動の一連の流れを可視化すると効果的です。
ただし、単に営業活動の流れを図式化した営業プロセスではなく、プロセスごとに各業務の進捗状況がわかる「営業フロー」を構築することをおすすめします。営業フローを可視化することで、プロセス全体の流れだけでなく、それぞれのフェーズで業務が滞っている箇所や、タスクの内容といった細部まで把握できるためです。それにより、フォローが必要な範囲が明確になるため、より効果的な営業支援計画の策定につながります。
営業フローの作成方法については、こちらの記事で解説しています。
2. ボトルネックの特定
営業フローを可視化すると、営業活動のボトルネックが明らかになります。問題が生じている箇所を特定したら、各担当者にヒアリングして要因を探りましょう。
ヒアリングした内容をもとに仮説を立て、解決策を考えることで、効率良く営業支援を実行できます。
3. 営業支援計画の策定
営業フローと特定したボトルネックを踏まえて、営業支援計画を策定します。営業支援計画には次のような要素を盛り込み、具体的な内容にすることを意識しましょう。
- フォローが必要な営業担当者
- 対象となるタスクと業務内容
- 問題の原因
- 支援内容
- 支援スケジュール
支援内容は、「なくす・減らす・変える」という順に具体的な施策を考えることが大切です。
例えば、日報作成に遅れが生じている場合、まずは不必要な項目をなくすことから検討します。不必要な項目が見つかれなければ、規則を見直して入力文字数を減らしたり、プラットフォームそのものを見直したりという流れで対策を講じましょう。
営業支援を成功させるためのポイント
営業支援を実施する際は、次のようなポイントを意識することで成功確率を高められます。
- 定期報告やフィードバックの仕組みを定着化させる
- 進捗状況や成果を組織全体で共有する
- 営業用のツールを活用する
ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。
定期報告やフィードバックの仕組みを定着化させる
営業支援の体制を築く過程で、定期報告やフィードバックの仕組みを定着化させると良いでしょう。それにより、営業マネージャーが各担当者の状況を的確に把握できます。
前述の通り、営業支援計画を策定するには、営業フローを可視化する必要があります。そのフローに沿って、「○○のタスクが終了したら報告する」、「報告に対して必ずフィードバックを残す」といったルールを作成すれば、情報共有が円滑になり、適切なフォローが実現可能です。
進捗状況や成果を組織全体で共有する
営業支援の成果を最大化させるためには、進捗状況や成果を組織全体で共有することが大切です。
営業マネージャーだけが全体の状況を把握するのではなく、メンバー間での情報や進捗の共有も積極的に行いましょう。それにより、手の空いている担当者が別の担当者の業務をサポートするなど、組織全体で能動的な支援体制が築けます。また、帰属意識が高まり、チーム全体のモチベーション向上にも役立ちます。
営業用のツールを活用する
ITツールを導入すると、作業工数が減ることで営業担当者の負荷軽減につながり、マネジメントもしやすくなるため、より効率的な営業支援が実現します。
しかし、機能が多いツールは使いこなすのが難しく、かえって現場の負担になることもあるため注意が必要です。また、システムの性能を活かすためにデータベースを拡張した結果、データ入力の負担が増す可能性も考えられるでしょう。
ITツールの選定はマネジメント層のみで行うのではなく、現場の担当者も巻き込んで意見を聞くことが大切です。候補となるツールが決まったら、トライアル期間やデモンストレーションを活用し、現場担当者に操作性や機能性を確認してもらうと良いでしょう。
営業支援に活用できるツール
ここでは、営業支援に活用できるツールを具体的に紹介します。目的や予算を明確にしたうえで、自社のニーズに合ったものを選んでください。
1. SFA(営業支援システム)
SFA(営業支援システム)とは、営業活動の効率化や自動化を実現するためのツールです。営業フローを可視化するための「営業活動管理」や「パイプライン管理」と呼ばれる機能が搭載されています。
営業プロセスを可視化できるだけでなく、担当者ごとの業務内容やタスクの進捗状況も記録できるため、営業支援体制を築くためには欠かせないツールだといえるでしょう。
そのほか、情報共有に便利な案件・商談情報の一元管理機能や、ルーティンワークを自動化できるワークフロー機能なども利用できます。進捗状況の把握やボトルネックの特定、営業情報のデータベース化など、さまざまな用途で活用できるのがポイントです。
HubSpotが提供しているSFA「Sales Hub」には、取引管理機能・レポート機能・アナリティクス(分析)機能など、営業活動をサポートするさまざまな機能が搭載されています。見込み客の状況に合わせて最適なコミュニケーションを図ることが可能になり、スムーズな商談化を実現できるでしょう。売上予測の正確性を判断するための、AI活用による売上予測結果との照合もでき、担当者の勘だけに頼らないデータドリブンな売上予測が可能です。
2. DSR(デジタルセールスルーム)
DSR(デジタルセールスルーム)とは、商談相手を招待するための専用の部屋を構築できるツールです。オンライン上で商談が行えるだけでなく、価格やスペックといった製品情報や営業用の資料を部屋の中に設定でき、参加者がいつでもアクセスできます。
SFAと連携が可能なDSRは、DSR内でのコミュニケーション履歴がSFAのシステムに蓄積されるため、組織全体で商談内容を振り返る際に効果的です。
優秀な営業担当者の商談内容を記録し、チーム内で共有すれば、営業活動の均質化につながります。また、担当者ごとの商談を見返し、営業マネージャーや熟練の担当者がアドバイスを与えるといったサポートも可能です。
3. グループウェア
グループウェアは、幅広いコミュニケーション機能が統合されたツールです。スケジュール管理やチャット、ファイル共有、掲示板など、社内コミュニケーションを円滑にする機能をワンストップで利用できます。
営業支援を成功させるには、支援を行う営業マネージャーや周囲のメンバーが営業担当者から課題を聞き取り、それに対して適切なフォローを行うための環境構築が欠かせません。しかし、顔を合わせてのコミュニケーションを頻繁に行うことは難しい場合もあるでしょう。
グループウェアであれば、お互いに都合の良いタイミングでコミュニケーションを取ることが可能です。コミュニケーションの場を一か所に集約することで、情報管理がしやすくなることもメリットといえます。スマーフォンに対応した製品も多く、営業先や出張中でも場所にとらわれることなくコミュニケーションが可能です。
最適な営業支援体制を構築し組織全体の生産性を高めよう
一人ひとりの営業担当者が持てる力を最大限に発揮し、組織全体のパフォーマンスを高めるには、営業支援の仕組みが不可欠です。
まずは、営業フローを可視化し、現状を正しく把握するところから始めましょう。業務が滞っている箇所や問題が発生しそうなポイントを特定し、重点的にフォローを行うと効果的です。必要に応じてSFAやDSRといったITツールを導入するのも良いでしょう。
今回紹介した手順や営業支援を成功させるポイントを参考に、さっそく現状把握からスタートしてみてはいかがでしょうか。